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聖女の娘は穏やかに暮らしたい  作者: 追放系聖女Tuber
1章 聖女の娘の日常
7/25

7話 王都アマルティア

「おお……」


 長い馬車旅も終え、無事に王都アマルティアにたどり着いた。

 前いたクレイア王国とは違い木組みの家が立ち並んでおり、さすが王都というだけあって人も多い。


「では、またどこかで」

「またね、アリサちゃん」

「ばいばい。また会おうね!」

「はい、また会いましょう」


 馬車から降りて景色を堪能していると、ママが挨拶を終えたようで、ここでメディクさんたちと別れることになった。

 リサとリアとは結構仲良くなったので、少し寂しい。

 今にもあふれそうな涙を必死に抑え、手を振って馬車で屋敷に向かう皆を送り、ママと手を繋いで王都にある商人ギルドに向かった。

 ここで土地を買い、建築業を営んでいる人に依頼を出して、王都に家を買うためだ。

 ママが金貨を何千枚単位で持っていたので一括で土地を購入し、金の力で家も急ぎで作ってもらうことになった。

 しかし、急ぎとはいっても流石に今日明日で完成する物でもないので、完成までは宿暮らしだ。


「よし、それじゃあ観光でもしよっか」

「したいです!」


 とはいえママと私はこの国でもそこそこの有名人の様で、歩いていればどうしても視線を浴びてしまうので、認識阻害の魔法をかけて聖女の母娘だとバレないようにしたうえでの観光だ。


「まずはどこ行きたい?」

「お買い物したいです」

「いいよー。じゃあこのあたりの露店をまわろっか」


 ママと手を繋いで露店を見て回る。

 村ではたまに来る行商人からしか買えなかったような装飾品や服が安く売っているので、稼いだお金も今日で使い切ってしまいそうだ。


「ママ、これ似合いますか?」


 まずは、装飾品が売ってある店で見つけた月形のヘアピンを付けてみて、似合うか聞いてみる。


「うん、似合ってるよ。ちょっと髪型変えてヘアピン付けるだけで、すっごく可愛くなるね」


 べた褒めで、さらに頭も撫でてくれた。購入決定。


「これください」

「はいよ。大銅貨三枚ね」


 大銅貨……確か大だから銅貨十枚分だったか。

 パンとジュースを買ったときにお釣りでもらったので、ちょうど持っている。


「まいど。似合ってるよ、お嬢ちゃん」

「うへへぇ、ありがとうございますっ」


 リサとリアがそれはもうことあるごとに可愛いだのすごいだの褒めてくるせいで、こうして可愛いと言われるのにも慣れたし、何なら前より嬉しさが増した気がする。


「ママ、可愛い?」

「うんうん、すっごく可愛い!」


 今度はぎゅっと抱きしめながら褒めてくれる。

 こうして褒められているときの顔は人に見せられたものじゃないんだろうなぁと自覚はしているのだが、どうしても表情が緩んでしまうのだから仕方ない。

 何というか、八年も女の子として生きていれば自然に年相応の、女の子らしい行動が出るようになるものなんだな。ちょっと悔しい。


「ママ、せっかくだから新しい服もほしいです」

「そうだねー。それだったら確かあっちの方に店があったかな」


 ママに手を引かれ、王都でも有名だという店に連れていかれた。

 少し値は張るものの、売ってあるものは王都の庶民っぽい人たちが着ていたような服だ。

 試着してみると、今までの物よりも圧倒的に肌触りがよく、そしてデザインも可愛い。

 やっぱり異世界で女の子が着る服と言えばディアンドルっぽい服だよな、うん。


「嬢ちゃん、似合うじゃねぇか」

「ホントですか?」

「ああ、似合ってるぜ。くるっと回ってみな」


 店主のおじさんに言われるがまま、くるっと一回転してみる。


「おじさん、これ買います」


 私以上にママがこの格好を気に入ったようで、即決していた。

 せっかくだからとママも似たデザインの服を買って、他にも普段着を数着買って、店の裏を借りて着替えてからお揃いで店を出る。

 親子で衣類を買うと言えば下着なんかもある気がするが、そっちはどうなのだろう。まあ私は二次性徴もまだだし気にすることではないか。下着はかぼちゃパンツで我慢しよう。


「アリサちゃん、ご機嫌だね」

「はい!」


 自分でもわかるくらいに笑顔になっている。なんせ、見たことのない大きな街を、ママとお揃いの服を着て歩けるのだ。

 こんな経験、あのど田舎じゃ絶対にできなかった。

 もちろん、田舎だからこそ出来ることもあってそれはそれで悪くはなかったけど。



 王都観光を満喫しているうちに日が暮れてきたので、私たちは宿に戻った。

 夕食は宿屋ではなく近くの店で取ることにして、さらに日が暮れてから店に足を運んだ。

 満席というほどではないが客は多く賑わっていて、特に冒険者をやっていそうな男や騎士が多い。それこそ、親子連れどころか所謂非戦闘員的な人は見受けられない。

 場違いではと少し怖気付いたが、ママもいるし大丈夫だろうと奥の席に座って注文を取る。


「「いただきます」」

 この世界ではもっと別な神に感謝的な台詞があるのだが、我が家では食べる前はいただきますだ。やっぱりママは日本人だな。


「この肉美味しいです!」


 早速、モンスターをハントするゲームに出てきそうな料理に手をつける。

 店員が気を利かせてくれたのか、明らかに量が少なくなっているので、これなら私でも完食できそうだ。

 一緒に頼んだジュースもなかなか美味しい。ちなみに、ママは清楚系の見た目をして麦酒をグビグビ飲んでいる。

 私がいるからなのか、そもそもみんな弁えているのか、荒くれ者に絡まれるという定番イベントはなく、無事に料理を完食して店を出た。


「はぁ~、美味しかったです……」

「美味しかったねー。やっぱり美味しい料理は王都だね」

「でもお腹が……ふぅ」


 完食できる量ではあったものの、やはり量自体はなかなか多かったので少しお腹が苦しい。


「ふあぁ~……お腹いっぱいで眠くなってきました……」

「じゃあ早くお風呂入って寝ようね」

「はい……」


 閉じてしまいそうな目を必死に開きながら宿に戻って、聖女が使える浄化の魔法で体を綺麗にしてからすぐにベッドに入る。

 これからこの大きな町で生活できるのかと思うとわくわくして眠れなかったが、ママが眠れない私に気が付いたのか、いつの間にか魔法で眠らされていた。


阻害だの睡眠だの、精神系の魔法はいろいろ便利です

水浴びだって覗けます

覗かれる側ですけどね

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