太古の国
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かつて、この世界は一つの国家に支配されていた。
その国は、ほかを凌駕する兵器を持っていた訳でもなく、優秀な人材の育成に力を入れていた訳でもない。
ただ一つの奇跡によって、強大な力を手に入れていたのだ。
それは、失われた命を復活させる奇跡。 異世界にて失われた魂を、自分達の世界に呼び寄せる事が出来るものだった。
呼び寄せられた魂は新しい肉体と、新たな力を持つ。 その力は多岐に渡り、一節によれば体から雷鳴を轟かせる者や、天候を支配する者、他者を意のままに操る者も居たらしい。
彼らは転生者と呼ばれ、恐れられた。 魂の復活の反動か、記憶の一部を失っているのも特徴だ。
そんな彼らを、軍事力として使役した時の王。 彼もまた、異質な存在であった。
様々な能力を持った転生者を尽くねじ伏せ、圧倒的な力の元に支配していたのだ。
圧政は続き、人々は希望を失っていた。 そんな中、各地で立ち上がる者達が出る。
その者達は転生者でもなく、各地の有力者に関係のある者でも無い。 突如として現れ、王の支配下の能力者を退ける程の実力を持っていた。
――力を合わせ、幾度の戦を経て、ついに彼らは時の王を打ち破る事に成功する。
虐げられていた民を解放するため、彼らは各地に散らばり、それぞれ国を築いた。 それが、今の各国の前身となっている。
問題は、残った奇跡。 ……転生の術だ。 ここで破壊する事も議論されたが、何れ誰かが復活させてしまうかもしれない。
そうなった時の為、抑止力の意味を込めて術は残される事に。
更に、誰かが抜け駆けなどと考えない為に策が練られた。 百年毎に、各国に一人ずつ。 転生者をむかえいれることにしたのだ。
互いに転生者を持つことによって、抑止力を生む。 その儀式の管理は、各国から独立した教会を設置する事に決まった。
――そして、転生者の力を活用し、世界は急速に発展する事となる。
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