表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

9


「ほほ、そう不安な顔をしなくても大丈夫じゃ。 能力の開花には時間がかかる。 その手助けは十分にするつもりじゃし……もし、能力が無くても放ったりはせん」


 リードさんはにこやかに笑う。 そう言ってくれるのは嬉しいけど……こんな仰々しく注目されて、やっぱり何もできませんでした……なんて言える器量は私には無い。




「……そうじゃな。 先ずは、不安の元である能力について

確認してからが良いかの。 ラスティ」


「はい」


 変わらず不安にしている私を見て、リードさんは思いついたようにラスティさんを呼んだ。




「お前には、彼女の能力開花補助を命ずる。 もし、能力が目覚めなかった場合には、別の生き方の指導をするように」


「承知致しました」


 私に聞こえるように話したあと、ラスティさんがこっちに近づいてくる。 笑いかけられたので、軽く会釈をして返した。




「では、一旦この場を解散とするが……ギルバート様、何かありますかな?」


 リードさんは解散を宣言する前に、玉座に座る主人に声をかけた。 彼は目をリードさん、ラスティさん、私と向けたあと、ゆっくりと立ち上がる。


 その瞬間、会場の雰囲気が引き締まった気がした。 私に向けられていた視線は全て玉座に注がれ、全員がギルバート、様の動向を伺う。








「セラと言ったな」


「は、はい!」


 第一声は私の名前の確認。 慌てて勢いよく返事してしまったせいで、せっかく彼に向いていた視線が再び私に集まってしまう。


 何を言われるのか気が気でない私は、緊張しながらじっと見つめ返す。




















「私は、お前に何も期待していない」


「……え」


 次の言葉は中々理解できなかった。 今なんて言われたの? 無能と見放された? それとも、たちの悪い冗談? 言葉に詰まり、虚無感が襲ってくる。








「お前は自由に、好きなように生きるが良い。 もし、成果が上がれば報酬は出す。 その内容によっては地位も上げる。 だが、嫌ならば投げ出しても構わん。 ただ、適当に暮らすのも良かろう。 他国に行くというならば、それも許可しよう」


 ……? 私に興味がないって事? 勝手に召喚して、勝手にここにつれてきたくせに? あまりにも自分勝手な言葉に、ふつふつと怒りがこみ上げてくる。




「……何かあれば、キールに言え」


 最後に一言を発したあと、彼は護衛数人と供に奥の部屋に行ってしまった。 あとに残ったのはさっさと移動を始めるエリックさんに、申し訳無さそうな顔をしながら奥の部屋へ向かうリードさんと、私の横で苦笑いをしているラスティさん。 他の人もぞろぞろと解散していく。








「大丈夫? ごめんなさいね、あの人はいつもああなの」


 弁解するラスティさんの言葉を聞きつつ、ギルバート……様が去っていった扉をにらみつける。 落ち着こう……平常心平常心。




「キールの時もそうだったわ。 好きにしろ、勝手にしろ。 期待していない。 なんてね?」


「……期待していないなら、どうして私を連れてきたんですか? あの人は」


 言葉に少し棘が付いてしまった。 ラスティさんにあたっても仕方がない。 もうちょっと落ち着くために、深呼吸をしよう。




「今までの転生者にも、ずっとあの態度なんですか?」


「そうね……。 今までも、というより、あの人が転生者を連れてきたのはキールと貴女だけよ」


 え? キールの話では、転生者を呼ぶ儀式は割と頻繁に行われているって言っていた。 それなのに、連れてきたのはキールと私の二人だけ?


 素人の私の考えでも、国に有用な転生者は取れるだけ取っておくのが正解だとわかる。 他の国の人との争奪戦に負けたとかならわかるけど……あの儀式の場での強引さを見る限り、それは無さそう。




「ふふ、考えてることはわかるわ。 周りの国にばかり転生者が引き取られて、ここはどんどん遅れを取っていく……なんて事になりそうでしょ?」


「……なっていないんですか?」


 考えを読まれた。 私って、そんなに顔に出ているのだろうか? でも、確かにそうだ。 転生者が他の国より少なければ少ない分、遅れを取るのは確か。




「ええ、問題ないわ。 このセレスト皇国は、魔術皇国なんて言われるくらいに魔術に長けているから」


「魔術……? ですか?」


 また知らない単語が出てきた。 魔術? 能力とは違うの? 困っていると、ラスティさんがため息を吐いた。




「……はぁ。 キールは魔術についても話してないのね」


 額に手をやりながら、ラスティさんは入り口を見る。 どうやら、本来ならキールが私に教えておく内容だったみたい。




「貴女達、転生者がそれぞれ能力を持っているように、私達、この世界の住人も魔術という力を持っているの」


 人差し指を上に向けると、そこに火が付いた。 手のひらを確認しても、腕を確認しても何もない。 突然、そこに小さな火が現れた。




「ふふ、仕掛けは何もないわ。 これは、体に流れる魔力という源を使って生み出しているの」


「魔力……?」


 炎は強くなったり、青白くなったり、小さな火花を上げたりしながら変化していく。 ラスティさんが逆の手で握り潰して開くと……火は消えてしまった。


 ……手に火傷の跡もない。 まるで手品みたいだ。 なんて、見てたら、ラスティさんがにこにこと笑っているのに気づいた。


 


  



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ