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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


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95/100

24-3

 センチュリオンのスコアが低い理由は別にあった。実はチートの類でペナルティを受けている訳ではない。

その真相は――他のプレイヤーからすれば信じがたい理由である。

「そう言う事か――やってくれる」

 理由を察し、若干不機嫌になったのは天津風唯あまつかぜ・ゆいだった。

実は別件で調べていたまとめサイトの記事の事を知っており、それにセンチュリオンが関係している事も掴んでいる。

ヒュベリオンも一連の記事の存在を知ってはいたのだが、それは彼が権限を凍結された翌日の事だった。

社長権限で警告を出す事も、この状態では不可能だろう。それに加えて、イースポーツ大会を下手に混乱させても今度は対象作品から外される危険もある。

【やはり、あの噂は本当だったか?】

【チートガジェットとは別に、特殊ツールが存在するらしいな】

【戦術ツールの事か。噂ではダークフォースが拡散していたとも言われているアレか――】

【誰が見つけたのだろうか?】

【既に逮捕されたメンバーが持っていたデータの残骸を解析し、そこから発見したらしいな】

【そうなると、既にオリジナルはない、と】

 まとめ記事によると、一般的に摘発されやすいチートとは違って、このツールを使えば摘発されにくいという物らしい。

それに加えて、見た目には動画等でも見られるような上級プレイを再現できるアプリなので、発覚が遅れたようである。

(アプリ自体の拡散は既に掴んでいたのに――)

 天津風も謎のアプリの存在を掴んでいたが、それがダークフォース経由で配布、その正体がチートアプリだった事までは分からずじまいだった。

さすがに、そこまで手の込んだ事を彼らがする訳がないと思っていたのも理由の一つだが。



 プレイ中、センチュリオンは既に動作が遅くなっている原因を突き止めている。そして――。

「お前達に教えておこう! ダークフォースが配布していたチートツール、それを使わなくても可能であると!」

 次の瞬間、センチュリオンの全身が赤く発光し始めた。おそらくは、ブーストを使うつもりだろう。

「向こうは明らかにVRである事の利点を生かしている! あれでは――」

 ライブ中継を見て、天津風はセンチュリオンがVR側でログインしていると予測する。

あの動きをARで出来る訳がないのに加え、ARの場合は危険動作防止のセキュリティが自動的にかかっているのだ。

当然、ARでプレイしている照月てるつきアスカは、それを百も承知でAR版をプレイしている。

「VRとARでは微妙に動作関係で違う部分がある。それを踏まえれば、ああ言った無茶もVRでは可能になるだろう」

 ビスマルクもセンチュリオンの挙動を見て、明らかにVRの利点を生かしたプレイをしている事に気付く。

それに加えて、彼女はARでのプレイも何回か経験しているので、両方の挙動を把握した上で動く事も可能だ。

VRサイドのプレイをあまり把握していない照月にとっては、これが大きなハンデとなる。



 一分後、その挙動は予想外の所で発揮された。何と、スコアでは最下位だったセンチュリオンはいつの間にか照月に迫るスコアになっていたのである。

これには周囲のギャラリーも何が起こったのか分からない。むしろ、チートと疑われそうな展開だったのも、その証拠か?

(あれがセンチュリオンの全力? いいえ、あれは――)

 照月は別の事を考えている。ARとVRを把握しているセンチュリオンが、あれだけの動きを出来るのであれば、自分でも可能ではないか――と。

(照月アスカ、ゲームに対する愛があると断言できるなら、この状況を変えるだけの行動を起こしてみるんだな)

 センチュリオンの挙動は、もはや人域を超えるような世界に見えるかもしれない。ギャラリーも言葉を失うとは、この事だろう。

しかし、それでもまだスコアとしては照月が上であり、まだ可能性は残っている。

「ヒーローブレイカーの愛を試しているのであれば、こちらも――!」

 照月が呼び出したもの、それは今まで見た事のないような形状のホバーボードだった。

ネット上で画像を検索するギャラリーもいたが、該当アイテムがない。近いものであれば、パワードスーツの拡張アーマーで似たような物が数件ある。

(あれは、まさか? 今まで試していた――)

 秋月千早あきづき・ちはやは過去の練習を思い出し、アレを照月が試そうとしていたのを把握する。

それは二人乗りパワードスーツと同様に上級スキルが必要なパワードアーマーだった。

これをフリーバトルで使用するユーザーはいるのだが、マッチングでは実例がない。その理由が、単純に重すぎるからである。

センチュリオンの高速移動ブーストは数十秒で効果が切れるのだが、こちらはエネルギー切れまでは使用可能と言う利点もあった。

しかし、エネルギー切れは使用する武器やアクションによっても異なり、超必殺技を使用したらすぐに終了したという失敗例も――。

「誰も使いこなせなかった、パワードアーマーを今度こそ使いこなす!」

 ある意味でも照月の挑戦でもあった。これが出来れば、おそらくはイースポーツ大会の使用クラスや武器にも大きな変化が起きるだろう。

それを照月は起こそうとしていたのである。これが成功すれば、トータルバランスが変化するのは言うまでもない。

「パワードアーマーを使いこなすだと? 他のプレイヤーも実現できなかった事を――」

「現実主義を盾にしてチャレンジを拒否したりはしない! 自分は失敗をしても挑戦する事は諦めたくない!」

「あくまでも現実主義は――」

 センチュリオンは照月の行動を見て、明らかに他のプレイヤーでも出来ない事と言う事もあって不可能だと宣言しようとする。

しかし、それを照月は思わぬ言葉を使って遮った。彼女は現実主義と言う便利な言葉を使って挑戦を諦めてしまっている、と。

「ヒーローブレイカーは、既に現実に存在している! それを見ても、未だにこれはゲームであって現実ではないというの!」

 照月の言葉に対し、センチュリオンも若干だが焦りが出始める。それに加え、スティックを握る手にも汗が――。

確かにヒーローブレイカーはゲームである事は間違いない。しかし、それは架空の世界としてのゲームだ。

「ゲームはゲームなのは間違いない! それは、フィクションとしてのゲームだろう」

 センチュリオンの動きも変化を見せ、スコア対決はセンチュリオンと照月の直接対決になったと言ってもいい。

お互いの動きを見て、これがイースポーツ大会ではないのが嘘みたいだという言葉もあった。それに加えて、これが決勝ではないのが悔しいという声も。

【これはすごい事になっている】

【どちらが勝ってもおかしくない】

【パワードスーツが底辺だという意見は、過去形になるかもしれないな】

【しかし、センチュリオンのプレイもプロゲーマーに迫る物なのでは?】

【このバトルは、間違いなくヒーローブレイカーのトレンドを変化させるのは間違いないだろうな】

 SNS上ではネット中継の感想や実況が流れるのだが、その中には今回のバトルが全てを変えるという意見もある。

そして、その時が訪れる瞬間が――迫っていた。


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