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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


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最終話:そして、決着へ

 三対三のマッチングだが、イースポーツ大会の予選ではない。それなのに、何処からか噂を聞き付けたユーザーがゲーセンに集まっている。

それ以外にも、該当するライブ中継は様々なゲーセンのセンターモニターで流れる展開となった。

「これは予想外のマッチングでは?」

「予選より盛り上がるノーマルマッチングも異例すぎる」

「上位ランカーは既に予選を通過している話だが、どういう事なのか?」

「確かにそうだな。大和やまと三笠みかさは既に予選通過、さすがに予選パスで本戦入りしたランカーはいないと思うが」

「むしろ、それが可能だと思われた大和と三笠が予選からプレイしているという事で、シード権は入れない事にしたのかもしれない」

「ヒーローブレイカーに関しては、色々と事件があり過ぎたのも原因だろう。その関係で、実力を測るという意味でシードをなしにしたとか?」

 別の店舗モニターで見ていたギャラリーも、このマッチングに関しては驚くしかない。

むしろ、この対戦カードは本選でやったとしてもおかしくない様な組み合わせだ。

それが予選にも関係しないマッチングで行われている事こそ異常と認識されているのだろう。

「これって――」

 近くを通りかかったのは草加駅に到着後、モニター前を通りかかったのは天津風唯あまつかぜ・ゆい島風彩音しまかぜ・あやねである。

中継映像を見て、ようやく事態を把握するのだが――それは予想外の出来事だった。

(あのモニターに映っているのは、照月だけ――?)

 島風は照月てるつきアスカ以外のアルストロメリアのメンバーがいない事に気付いた。

天津風もメンバーが足りない事に違和感は持ったのだが――。

「急げば間に合うのでは?」

 島風の言う事も一理ある。センターモニターの設置されている場所はB館なのだが――。

「あっちに行ってみるか」

 天津風が指さしたのは、A館である。

やはり、建物の形状や入口の仕様が似ていると間違えやすいのか?



「バトルの前に、一つだけ伝えておく。どちらにしても、ヒュベリオンはダークフォースを利用してSNS炎上をしていたように見えるが――実際には違うだろう」

「それって、どういう事なの?」

 バトルが始まる一分前、センチュリオンは照月に対して一つだけ話す事にする。

この話は、ゲームのプレイを惑わせる目的ではない。あくまでも、ある出来事に関しての話だった。

「最終的な目的はお前と同じだった。イースポーツを変える為にヒュベリオンは様々な宣伝方法を考えたが、その中でインパクトがあったのがヒーローブレイカーのストーリー再現だったのだろうな」

 これ以上の事をセンチュリオンは語らなかった。下手に語って動揺させたくない可能性も否定できない。

しかし、これで照月の疑問もある程度は解決する。以前に誰かが言っていた『ヒュベリオンと目的が似ている』と言う発言、その真相がそこにはあった。

「やっぱり、あの時のストーリーモード再現は――」

 照月はヒュベリオンが最後の戦いとしたアレをストーリーモードの再現とは――まだ割りきれない。

全てはメーカー側のスケジュール変更だったのか? もしくは別の圧力が動いてヒュベリオン自身がスケジュールを早めたのか?



 A館へ入った天津風と島風はARゲームエリアまで向かうのだが、ヒーローブレイカーが発見できない。

「ヒーローブレイカーなら入り口付近ですよ」

 男性プレイヤーらしき人物に場所を教えてもらい、そこへと向かうのだが――。

「まさか、ここで他のアルストロメリアのメンバーに会うとは」

 その人物は『他の』と言った。まさか、ここに他のメンバーがいるのだろうか?

しかし、それらしき姿はない。もしかして、場所を間違えたのか?

「えっ? あなたはもしかして――」

 島風は目の前にいる人物が誰なのかが分かっていた。その正体は、ビスマルクである。

天津風は、ここで島風がビスマルクの関係者だという事を知ったのだが――。


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