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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


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90/100

23-2

>更新履歴

・2月4日付

誤植修正:現実鹿見ていない→現実しか見ていない

 同日午前十一時、草加駅近くのARゲーム専門のゲーセンには、多くのプレイヤーが入店していた。

それもそのはず、このゲーセンにはVR版ヒーローブレイカーでビスマルクが来店していたからである。

(一連の炎上騒動も決着したけど、全てはここから――)

 数日前にはセンチュリオンやヒュベリオン、ヒーローブレイカーのマッチポンプ説などが独り歩きをしてSNS上で炎上している事もあった。

しかし、今では運営側の説明やプレイヤー側が偽情報を拡散しているまとめサイト等を通報した事で、炎上していた一件も鎮火しつつある。

 その一方で、今回の動きをマッチポンプと思う一部勢力もいる。あまりにも事件が解決し過ぎているのもマッチポンプと疑っているのだ。

しかし、こうした発言を行う勢力もごく少数であり、イースポーツ大会の運営には問題がない。むしろ、他の対象作品で参加しているプレイヤーにも迷惑がかかる。

【ヒーローブレイカーの一件は聞いているが、そちらに合わせて運営する必要性は感じない】

【ある特定作品だけをピックアップし、炎上させる方法はまとめサイトでは常套手段。それに反応する事こそ、やってはいけない事】

【特に関係はない。他所は他所であり、こちらとは無関係】

【イースポーツ大会の対象に入っていないので、こちらは普通に運営を続けるだけ】

 FPS、対戦格闘、リズムゲーム、レースと言う順での反応だが――何処も対応は割れてしまっている。

その一方で、炎上勢力の記事等をチェックして非常事態を防ごうという動きには同調しているようだ。

(イースポーツ大会が無事に進行する事を祈るばかりだが――)

 ゲーセン内の待機席に座ってネットサーフィンをしているビスマルクだが、炎上まとめ等を見ている訳ではない。

彼女がチェックしているのは、イースポーツ大会のスケジュールと対象作品のサイトだった。

さすがに複数作品でエントリーする訳にはいかないが、彼女としては他のゲームのプレイに興味があるのだろう。



 十分後、ビスマルクのいるゲーセンに姿を見せたのはセンチュリオンだった。

フードを深く被らずに素顔も分かる状態だったので、さすがのビスマルクも目の前を通り過ぎた事には驚きを隠せないでいる。

「センチュリオン、あなたはいったい何を――」

「ビスマルクか。全てはヒュベリオンの掌の上で踊っていた訳ではない。それを証明する為にも」

「マッチポンプの事か? それとも、ダークフォースの事か?」

「両方の意味だ。全ては自分で決着を付ける」

「その後、けじめを付ける為に引退するのか?」

「引退したとしても炎上するのであれば、最後まで付き合うまでだ」

 両者ともに視線を合わせる事無く会話をしている。

不思議と感情的な話題になるはずが、そうはならないのも二人ならではなのか?

「お前は現実しか見ていないような気がする。もう少し、夢を見たらどうなのか?」

「それが出来れば、ここまでの流れにはなっていないだろう。リアリストとしての――宿命だ」

 その後、センチュリオンはARゲーム側のコーナーへと姿を消す。ビスマルクもそれは見送るものの、同行はしない。

あくまでも彼女の目的は有名プレイヤーのプレイを上手く吸収する事だからだ。

(そうなると、彼女が戦う相手はアルストロメリアか)

 ビスマルクはおおよその対戦相手を把握していた。

彼女と深い因縁がある訳ではないのだが、ヒュベリオンとヒーローブレイカーの一件を踏まえると、相手は自然とアルストロメリアになる。

それに、彼女が戦うべき相手も向こうにいるはずだから。


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