第19話:レイドバトルの始まり。
四月十五日、午前十一時頃。あるプレイヤーが注目される事になった。
そのプレイヤーとはビスマルクである。理由に関しては、様々あるだろうが――。
【やはりというべきか】
【プロゲーマーにも勝利する様な実力者だったのか?】
【向こうが油断していたとか、手加減していたとか?】
【手加減はないだろう。明らかにやらせ等と判定されれば没収試合だってあり得る。違うゲームの話だが】
何故に注目され始めたのかは不明だが、動画サイトがきっかけともあのプレイ動画がきっかけとも言われていた。
実際、彼女のソロプレイ動画もアルテミシアとしての動画と同様に再生数が伸びている事が証拠だろう。
他にも有名プレイヤーや上位ランカーは存在する中で、ビスマルクが注目されている事には何か含みがあるのかもしれない。
(やはりというか、そう言う流れになっていくか)
ビスマルクの動画が注目されている事に関して、ヒュベリオンは悩んでいた。
方針転換が必要な事は分かっているのだが、それ以外にも課題は存在しているからである。
彼は何時もの社長室で様々な動画を視聴しており、そこから情報を集めているのかもしれない。
(バグの修正やマッチング調整は順調と言うべきか。後は、チートと疑われるアプリをどう摘発するか)
ロケテストの段階から様々なバグが報告はされているが、最初の内は一部のバグが残っている状態で稼働していた。
しかし、そのバグが最終ロケテスト辺りであるパターンを生み出した事で猛威となり、特定装備で無双をするプレイヤーも存在する事に。
こうしたバグを放置すれば、せっかくの新規プレイヤーも離れていくと判断し、先行稼働の段階では残ったままのバグも、正式稼働の頃には調整されていった。
(次はイースポーツ大会の種目になった事で、他のタイプも使われるようなゲームバランスを模索しないと――)
ヒーローブレイカーと言うタイトルなのでヒーローが多いのは仕方ないのかもしれないが、それでもパワードスーツ系が少ないのは悩みの種とも言える。
このタイプだけ不利と言う訳ではないと思うが、不人気なのはSNS上の感想から見ても明らかだろう。
「プレイヤーを増やす為にもエンタメ的な要素を加えるのが先か、それとも他のプレイヤーにも分かる形で調整するのが先か―ー」
しかし、新要素を先にするか今までの要素に調整を入れるのを先にするかで迷っている。
イースポーツ大会の種目に選ばれたまではいいが、今度はそれに応えるべきゲームバランスにしようと考えているのかもしれない。
一方で、パワードスーツ系でプレイしているプレイヤーで有名なプレイヤーもいた。
その内の一人が、照月アスカである。彼女は他のクラスをあまり試しておらず、パワードスーツがメインとなっているプレイヤーでもあった。
「パワードスーツも研究されつくしているように見えるが―ー」
照月は動画を独自で調査しているが、それでも探せば新たな動画は発見される。
ヒーロー及びESPの動画は一時間以内でも数十本アップされる事もザラだが、パワードスーツは一本あればいい方だ。
その状況を変えたのは、間違いなく照月であるのは言うまでもない。しかし、それを彼女本人は全く気付かないでいる。
秋月千早にも似たような事は言われているのだが、その話に反応する事はなかった。
むしろ、SNS上で何を言われても特に関与しないような状態なのかもしれない。
(そう言えば、イースポーツ大会の対象種目に――)
ふと何かを思い出してネットサーフィンをする照月だったが、そこであるゲームタイトルを発見した。
それはヒーローブレイカーとは少し先のタイミングで対象種目になったFPSタイトルだが、そこで何やらトラブルがあったらしい。
「このゲームも対象になっていたのね」
タイトルを見て知っている作品だったので反応をしたのだが、実際にプレイしたのはわずかな時間である。
プレイ時間が短いのは、ヒーローブレイカーをプレイし始めた時期と被るというのもあるかもしれない。
(複数のゲームを兼業するのも、非常につらい物ね)
ヒーローブレイカー以外にも複数のソシャゲ等を掛け持ちしていた時期とは違い、今は掛け持ちしている作品は減っている。
一部作品はサービス終了していたのだが、いざ終了するとさみしい物だった。ヒーローブレイカーも、人気がなくなればそうなる運命かもしれない。
(始まりがあれば、終わりがある。それはエンドレス化した先にみ完結になった作品よりは――)
WEB小説で類似案件を目撃した事もある照月にとっては、無事に終了できる事こそがゲームとしても理想の形だと思っていた。




