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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


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18-2

 四月十三日、この日はあいにくの小雨である。ARゲームを起動するのにもかなりの電力を消費する為、太陽光発電は重要だ。

ゲーセンの屋上に太陽光発電を設置している場所もあれば、別枠で建てられている太陽光発電所から電気を……という場所もある。

電力を使うゲームはARゲーム以外にもあるかもしれないのだが、太陽光発電による電気を使用する事がARゲーム設置の条件でもあった。

「太陽光発電を草加市が推奨していると思ったら、そう言う事か」

「これは意外だったな」

「原発に依存しない社会を目指す的な物か?」

「そこまではいかないだろうな。むしろ、そう言った流れになるのは望んでいないかもしれない」

「つまり、太陽光発電は原発と無関係?」

「電力消費的な事情なのは間違いないだろう。それで埼玉県が大停電したら、それこそ非難の的だ」

 ゲーセンの屋上にある太陽光発電を見て、別の場所にいるギャラリーがつぶやく。屋上自体は駐車場スペースと言う訳ではない。

このギャラリーは一階と言う位置の別角度からゲーセンを見ており、そこで太陽光発電パネルを発見した形である。

「確か、草加市は自然災害リスクを防ぐ為、様々な整備事業を行っていたな」

「その通りだ」

「事業の資金は何処から出ている? 税金だけでここまでの設備を早い時期に完成させるのは不可能だろう」

「噂によると、草加市で展開しているARゲーム、そこから出ているという噂がある」

「ゲームのプレイヤーが増えると、草加市に税金が入ると?」

「そこまで単純ではないが、そう言う事なのだろう」

「超有名アイドル商法の件が下火になったと思ったら、今度は――イースポーツか」

 ギャラリーの男性はゲーセンに興味があるのではなく、あくまでも草加市が何故にイースポーツ分野に資金投入する様な流れになっているのか?

彼らはゲーム雑誌の記者と言う訳ではない。あくまでも新聞社の記者なのかもしれないが。


 

 同日午前十一時、草加駅より少し離れた場所にあるARゲーム関連グッズを取り扱うアンテナショップ、そこにアサシン・イカヅチの姿があった。

ゲーセンに立ち寄る前にARゲームのガジェット類を見て行こうという気配なのだが、そのグッズの値段を見て目まいがしそうになる。

(これで五千円なのか――)

 関連するガジェットの値段は五千円と言う値札があるのだが、その仕上がりはどう考えても一万円位のタブレットと変わりがない。

下手をすれば、この技術でタブレットパソコンが作る事が出来れば、間違いなく日本はアメリカ等をあっさりと抜く事は可能だろう。

しかし、ARガジェットやARアーマーで使われている技術はゲーム専用であり、他の技術に転用させる予定はない話もある。

何とももったいないような話だが、イカヅチは改めてARゲームの技術に驚くしかなかった。

「この動画は――」

 手に取った展示品を少し触っていると、見覚えがあるような動画が再生され始める。

展示品なので特に持ち出しをしなければ何も言われないだろうが、その動画の内容には驚かされる物があった。



 動画の内容はアルテミシアと相手プレイヤーの対戦動画であり、木曾きそアスナがアルストロメリアに合流した辺りの物だろう。

実際、この動画の再生数は百万回を突破していたのが証拠になる。

(この人物は、一体何者だ?)

 アルテミシアのメンバーには大和やまと三笠みかさと言うトップランカーと言える実力を持った二人のチームだ。

しかし、それ以外にもアルテミシアのメンバーとしてもう一人いたのである。その証拠は、三人共にチーム名が同じアルテミシアだった事。

(違うチームメンバーやソロプレイヤーとのマッチングであれば、チーム名部分の表示も違うはず)

 イカヅチ自身も似たような事は体験済みであり、そこから三人目のプレイヤーに若干興味を持つ。

そして、その名前を見た時にイカヅチは別の意味で驚く事になった。そのプレイヤー名は、ビスマルクだったからである。

(彼女がビスマルクと言う事か――)

 イカヅチは何かを心配するような表情で、この動画を視聴し続けた。

結果としては一分近くでアルテミシアが圧勝するのだが、ビスマルクのスキルはFPSプレイヤーだったイカヅチから見ても相当な物と言える。

「彼女がビスマルクなのか? まさか、あの――」

 イカヅチは彼女のプレイスタイルに心当たりがない一方で、これほどの実力者がヒーローブレイカーに来ていた事には驚くしかない。

自分以外にも他のゲーム出身者がいるのは予測できていたのだが、同じジャンルからプレイヤーが出ていた事には信じられないような表情をする。



 同日午前一二時、お昼時に竹ノ塚のファストフード店に立ち寄ろうとしていたのは照月てるつきアスカと秋月千早あきづき・ちはやだった。

彼女たちはお昼を食べてからゲーセンへ立ち寄ろうとしていたのだが、その際にセンターモニターで見覚えのある人物を発見する。

「あれって?」

「間違いないわ。彼女が、ビスマルクよ」

 流れていた動画は例の動画ではないが、大和、三笠、ビスマルクの三人が揃ったプレイ動画である。

やはりというか、圧倒的なスキルと実力で雑魚グループを寄せ付けない。それがアルテミシアの今の立ち位置だろう。

(超有名アイドル商法を巡る争いのエンドレスから、今度はイースポーツを巡る争いに変わるのか)

 秋月はビスマルクの一件を知った上で、これから起こる事に関して予測をしていた。

全ては題材を変えただけのテンプレで進むのか? それは二人にも分からないのである。


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