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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


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14-4

 ヒーローブレイカーをプレイしようと三笠みかさはAR版の一角へと向かうのだが、その途中でセンターモニターの表示で気になる物が表示された。

《現在、こちらの店舗のAR版はメンテナンスの為、運営を停止しております》

 まさかのメンテナンス告知だった。原因は民度の低いプレイヤーによる暴走の様な事例ではなく、単純にデータベースエラーである。

AR版のサーバーは運営本部に全て置かれている訳ではなく、ゲーセンにサーバーを設置するタイプになっていた。

これは運営本部でサーバーエラーが発生した際、他の店舗にまで被害が拡大するのを避けるための対応らしい。

(単純なサーバーエラー程度であれば、三〇分弱で復旧できるか)

 おおよその時間を想定し、他のゲームを巡ろうとも考えたのだが、どうしても気になる物が別にあった。

それはVR版ヒーローブレイカーである。こちらの方はシステム的な部分で根本的な個所が違うので、AR版がサーバーエラーでも稼働できた。

「こちらをプレイしていくか」

 普段はARをフィールドにしている三笠だが、今回は初めてとも言えるVR版挑戦だった。

VR版はARガジェットをタッチするパネルもあり、そこへタッチすればデータは認識するようである。

三笠は現金の持ち合せがない訳ではないが、ヒーローブレイカーは電子マネー対応なので電子マネー決済で処理した。

単純に小銭を両替する手間が面倒と言う気配もするが、電子マネー決済はある意味でもゲーセンを一変させるほどの画期的なアイデアだったのかもしれない。



 ARとVRでは操作関係が異なる部分もあるのだが、三笠はチュートリアルを飛ばすことなく操作をチェックしていた。

ARではそのまま正面を歩けば、正面を歩く。武器に関しては武器によって基本動作が異なるが一度でもチュートリアルを受ければ面倒な操作ではないので、すぐに慣れるだろう。

しかし、VR版は目の前にあるレバーで武器の使用とアバターの移動を行う必要性がある。

ロボットアクションゲーム等ではジョイスティック一本だけの作品もあるが、これは二本で上手く操作をする必要性があった。

(これを、こうか)

 左手のスティックを前に倒し、右手のスティックは後ろに倒すことでアバターはその場で時計回りに方向転換をする。

この操作だけで三笠は『だいたい覚えた』と言わんばかりに、操作をしていく事に。これは周囲のギャラリーも驚くような光景だ。

「あれって三笠じゃないのか?」

「まさか? ARをメインとしている三笠がここに来ている訳はないだろう」

「三笠と言えば、大和やまとと組んでいる事が多い。単独はあり得ない」

「三笠と大和が二人一組で行動している気配はするだろう」

「しかし、モニターのプレイヤーネームを見ろ。あのプレイヤーネームは――」

 センターモニターで三笠のプレイを見ていたギャラリーは、それがなりすましプレイヤーや偽者とも疑う。

実際、同名プレイヤーは数人確認されている。例えばビスマルク、島風、大和のような有名プレイヤーが該当するだろうか。

しかし、一部の上位プレイヤーはプレイスタイルを見て容易になりすましを見破れるらしいという話も、真実かは不明だが存在していた。

「あそこまでの動きで偽者はないだろう?」

「プレイスタイルもARでの三笠と同じに見える。偽者と決めつけるのは――」

「それに、仮に偽者だったら装備を微妙に変える様なことだってありえるだろう」

 目の前で繰り広げられているレイドバトル、そこにいる三笠は装備を含めて間違いなくAR版と同じ人物である。

「だが、あのアイコンはVRのアイコンだよな?」

 ある男性からの指摘で、周囲がざわつき始めていた。それは、三笠がログインしているのがVR版だったからである。

両方のバージョンをプレイしているプレイヤーは存在、それで上位に到達した事例もあるだろう。

実際、木曾きそアスナは両方のアカウントを持っていた。


 

 三笠のプレイは、AR版を見事にとレスしたようなプレイだったのは誰の目から見ても明らかだったのである。

最初こそは操作関係で苦戦し、他のプレイヤーに後れを取ったシーンもあるかもしれない。しかし、立て直してからは三笠のターンだったのは言うまでもないだろう。

バトル終了後、周囲が盛り上がったのは言うまでもないだろう。

(やはり、そう言う事か。さすがに完全互換と言う訳にはいかない、と)

 確かにVR版とAR版の画面は変わりがないし、移植度合いも非常に高いレベルだ。

しかし、それでも微妙なラグや操作関係は完璧と言う訳ではない。むしろ、AR版の方が先に企画として存在したと言わんばかり。

「そろそろ、ARの方もサーバーが――」

 三笠がAR版の方へと向かう途中でセンターモニターにインフォメーションが流れる。修理完了の告知とは別に、何かのインフォメーションに見えた。

(再調整? どういう事だ)

 インフォメーションの内容に三笠は目を疑う。サーバーエラーは解消したし、プレイは問題ないとの事だった。

しかし、それとは別のニュースを三笠は目撃したのである。

《近日中にサーバーエラー関係で再調整を行います。その間はAR版のプレイは出来ません》

 どうやら今回のサーバーエラーは他の場所でも発生していたらしく、それに関してのパッチを導入するという物だった。

その間はAR版をプレイする事は出来ない。こうなってくるとVR版に人が流れそうだが、実際はそうではないだろう。

「サーバー調整? まさか、チートツール関係で動きがあったの?」

 センターモニターのインフォメーションを見て驚くのは、島風彩音しまかぜ・あやねも同じだった。

しかし、島風と三笠では自分達のいる場所が違う事もあって、接触する事はなかったのだが。


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