表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/100

13-3

 ビスマルクのプレイから一〇分が経過した頃、秋葉原のゲーセンではある人物がARゲームエリアへとやってきていた。

白衣姿の天津風唯あまつかぜ・ゆいはゲーセンの入口にある立て看板でヒーローブレイカーのアップデートを知り、入店をしている。

(やはり、見覚えがあるシステムだ)

 天津風は、以前に見覚えがあると思っていた物の正体が何だったのかが改めて分かった。

その正体こそ、自分が過去に考えていたARゲームのシステムだったのである。しかし、あれはWEB小説と言う形で公開した物であり、完全再現など不可能に近いだろう。

それに、フィクションのWEB小説を現実化してしまう様な事例は何度かあるのだが、こればかりはやり過ぎとも考えている。

(下手をすればデスゲームにも応用でき、更には兵器にする事もたやすい。これほどに危険なゲームと言う物もないだろう)

 これほどに危険な物を生み出した事に対し、自分に責任があるのは確かだろう。

しかし、そのアイディアをどうするかはそれを使用した物にゆだねられる。あのシステムは様々な作品で使われている物を調整した物で、自分独自の物ではないのだが。

それでも、このアイディアを『パクリ』と言う様な人物はいるだろうし、炎上させようとするまとめサイトもあるかもしれない。

だからこそ、天津風は決意を固めたのだろう。コンテンツ市場を正常に直した上で様々なルールを構築していく事を。



 社長室で引き続き動画をチェックしているヒュベリオンは、SNS上でささやかれている噂を耳にした。

情報提供があったサイト、それは明らかにアフィリエイトで銭稼ぎをする為のサイトである事は確定的に明らかだろう。

ニュースの内容も、ソースを確かめたのか不明な物ばかりで信用に値しない物が多い。記事に付けられたコメントも炎上狙いの煽り系コメントが目立つ。

【ヒーローブレイカーはあるゲームのパクリだ】

【それだけではない。ARゲームは、あるシステムを真似た物である】

【今こそ、ARゲームの運営中止を訴えるべき】

【時代は芸能事務所Aのアイドルコンテンツが神であり、日本で唯一無二の存在――】

【芸能事務所AとBのコンテンツ以外を流通させない魔女狩り法案を作る為の署名にご協力を!】

【下手をすれば、芸能事務所AとB以外のコンテンツでテロ事件が起きるだろう。その前に手を打たないと!】

 案の定というか、このサイトの正体は悪質なゲハブログの情報を拡散するクローンサイトだった。

これらの出所を突き止めないと、同じ事は繰り返される。手遅れになる前に対応したいと思おうヒュベリオンだが、彼が今回の件には手を出せない。

それこそ超有名アイドル商法を巡る争いの二の舞だ。ガーディアンもサイトの特定を進めているが、摘発出来たのは数パーセントのサイトだけ。

(これもヒーローブレイカーのシナリオにはすでに組み込んである。この問題こそ、全ての元凶なのだから)

 彼は事前にシナリオの内容をどうするか決めており、そこには超有名アイドル商法を巡る争い、コンテンツ流通、SNS炎上、まとめサイト問題等を組み込んでいた。

その辺りの問題を何とかしなければ『どのコンテンツが神コンテンツなのか』と言う争いが起き、それが大規模テロになりかねないとも考えている。

ヒュベリオンが介入すれば、あまりにも目立ち過ぎて真犯人は雲隠れしてしまいかねない。それだけ名前が広まってしまった弊害もあるだろう。

(ここは彼らに託すしか方法がないという事だな)

 現状、自分でどうする事も出来ないので様子見をするしかない。それこそ、自分が介入するのは最終手段である。

だからと言って、そちらを動かす訳にもいかないだろう。彼の選択は別の意味でも大詰めなのかもしれない。



 自分の順番が回ってきて、ARスーツをどうするか天津風は考えたが、それも不要であるとチュートリアルで説明されている。

スーツはなくても、ジャンルによっては問題ない。ないと出来ないのはARパルクール等の屋外系だろう。あちらはリアルでスポーツに近いので、大けがをしかねない。

(タイプは使用者の割合的に――)

 天津風はどのタイプでも自分がプレイするのには不便ではないと思う。プレイスタイルは人それぞれなので、強制は出来ない。

その為、ARメットに表示された情報を参考にして、彼女が選んだのはESPだった。

「そう言う事か。ARスーツなしでも何とかなる物だな」

 天津風は自動的にアーマーが装着されていく様子を見て、別の意味でも感心している。

まるで特撮ヒーローが変身ベルトなどで変身する様な物と言うべきか。それをゲーム上で再現した事にはシステム原案者としては感心していた。

それをゲーセン内の限られた場所だけでなく、システムを設置した歩行者天国等でも出来るようにしたのが作品のシステムである。

ゲームプレイヤーからは明らかに発想がおかしいとも言われる可能性が高く、リアルでヒーローごっこを再現できる点ではアトラクションとしても売り込めるだろう。

(ただ、悪意を持って運用する者がいれば事件が起きかねない)

 物が物だけにこのシステムを悪用すれば、事件が起きる可能性は否定できないだろう。

殺傷能力は一切ないと言っても、衝撃はゼロとは言えない物だ。それに、VR版のアバターを現実に出現させるシステムも悪用されれば問題が出かねない。

(過去にあったハロウィン騒動、それ以外にも様々な個所でパリピの暴走が問題となっている。リアルの町でVRアバターを実体化できれば――)

 天津風の考えは夢物語なのかもしれないが、これを正しく利用すればイベント等でも大いに役に立つだろう。

だからこそ、ダークフォースや過去の超有名アイドルを巡る争いの様な事は、彼女にとってはテロ事件等と同等と認識されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ