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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


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13-2


 本日も会議が終了し、午後一時には既に退社をしているスタッフも存在していた。

ヒュベリオンが社長を務めるゲーム会社である。午後一時に退社をするスタッフがいる一方で、午後から作業を始めるスタッフもいた。

ある意味でもシフト制を敷いている会社なのかもしれない。この会社に関しては評判としてはブラック会社とは聞かないので、怪しいとは到底思えないだろう。

ただし、彼らが開発しているゲームがイースポーツ絡みのARゲームだという事実は、あまり知られていないのである。

「ダークフォースの動きは、一部の連中が暴走している関係で無法地帯になりつつあるようだ」

 もはや他人事のように、社長室でもARバイザーをして動画を視聴していたのはヒュベリオンだった。

会議終了後はバイザーをしなくてもよいのだが、状況が状況だけにバイザーを着用する。そうでないと正体バレをしてしまう問題があった。

「全ては、アシュラの暴走が引き金だったのだろう」

 最初に見始めた動画は、アシュラがアルストロメリアに敗北をするプレイ動画である。

この時のアシュラの行動がきっかけで、ダークフォースの方向性が決まったのだろうか? あるいは、アシュラを真似て行動するパリピが流れ込んだのが原因なのか?

「どちらにしても、この暴走が全てを変えたと言ってもいい。過去の知名度などに依存して流れているパリピにはいい薬になっただろう」

 この他にも様々なダークフォースに関係したプレイ動画を視聴しつつ、彼はダークフォースのネームバリューが全ての元凶とも考える。

頭領の件に関しては、アシュラの事例以上に悪い事例で一部サイトに晒し上げられた事もあって、ダークフォースのブランドを地に落としたと言ってもいい。

「しかし、彼らはどちらにしても反面教師と言う形でダークフォースと言う名前を拡散してくれた。それだけは利用価値があったというべきか」

 アシュラや頭領の様な人物でも、後のダークフォースの計画を進める為の反面教師としては役に立っただろう。

それだけでなく、ダークフォースの一部メンバーはガーディアン等に大量摘発されている現状もあった。

(所詮、彼らは勝手に自滅しただけだ。それでブランドイメージが悪くなり、別のコンテンツを炎上させれば――)

 ヒュベリオンは改めて思う。ダークフォースを利用しようと考えている点に関してだけ言えば、自分も同罪であるのは間違いない。

それに関しては反論出来ないし、下手に炎上させればブーメランになるのも明らかだ。

「しかし、彼らは自分が作ったゲームで好き勝手やろうとしていた。そこだけは許せないのだよ」

 ヒュベリオンは、自滅をしたアシュラ達を改めて切り捨てた上で高笑いをするが――ARバイザーを装着していても、防音面はお察しだった。

社長室こそは防音設備が完備しているが、あまりにも大声で叫んだりすれば他の社員に気付かれる。それに気付いて少しだけ声のトーンを下げたのだが。



 ダークフォースの情報を配信するニュースサイトでは、一連のアシュラ等の動きを『暴走』とは考えていなかった。

むしろ、それこそが過去のダークフォースを真似ようとして『無責任に発言を続けて自分が炎上している』と解説する記事が多数という現状だろう。

【ダークフォースも、名前だけは有名でも最近では低レベルな炎上ユーザーと同じとは】

【発言に責任を持てないような人間がダークフォースを名乗るべきではない――というのも過去になったか】

【過去と言うか、何時頃の話だ?】

【西暦二〇〇〇年より前と言う話もあるが、都市伝説である以上は正確なソースを見つけるのが難しい】

【まとめサイトでは、偽情報に踊らされて炎上を繰り返すパターンか】

【アフィリエイト系ダミーサイトが多い現状では、そう言う流れかもしれないな】

 ニュースサイトのコメントでは、様々な意見もあるのだがそれらがマッチポンプである可能性もある為、鵜呑みにはできない。

こうした連鎖が、まとめサイトやSNSの信頼が失われている事態になっているのだが、それを知るような人物は少ないだろう。

むしろ、こうした状況を悪用して更に炎上を図ろうとする人物は、何処にでもいる。その為、SNS上が無法地帯となっているのも納得かもしれない。



 午後一時一〇分頃、遂にビスマルクもAR版ヒーローブレイカーをプレイする為に草加市内のゲーセンに到着した。

先ほどのゲーセンでは他のプレイヤーに乱入されたりする危険性を考えたのだろうか?

使用するタイプは即決でパワードスーツだったが、決して照月てるつきアスカに影響を受けた訳ではない。

カスタマイズはチュートリアルを含めて、あっさりと決まった。タイプとしては中距離タイプである。

髪型は、黒髪のメカクレと言う気配なのだが――これが本来のビスマルクの髪型なのだろう。普段のアレがウィッグだったというべきか?

スーツデザインは全プレイヤーが共通でSFチックなインナースーツにアーマーが装着されたタイプ。しかし、ビスマルクの場合は装備が若干異なっていた。

(なるほど。そう言う事ね)

 ビスマルクが察したのは、セーブいデータの存在だった。過去にプレイしていた事があるのかは不明だが、何処かのタイミングでプレイしたデータが残っている。

その関係でアーマー以外の装備が微妙に充実していた。本来の初期装備ユーザーとは違っている個所も、彼女にとっては有利に動くだろう。

「ワタシの本気を、見せる時が来たようね」

 日々の努力で積み重ねたもの、それがビスマルクの強みとも言える。

それは逆に言えば、初見プレイで適応出来たようなプレイヤーとは逆のプレイスタイルとも例えられるだろう。

右手の指を動かして、何かの感触をつかんだビスマルクは、チュートリアル終了後、早速だがバトルへと参戦をした。


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