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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


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>更新履歴

・午前3時29分付

誤植修正:プロゲーマーの¥を名乗るなんて→プロゲーマーの肩書を名乗るなんて

 天津風唯あまつかぜ・ゆいの目撃した光景、それはリアルでゲームのような体験をしているような物である。

ヒーローブレイカーにはVR版もあるという話を公式ホームページで見ていたが、AR版は予想以上にリアル体験が可能なゲームだったのだ。

(これは――予想以上の物ではないのか。まるで、WEB小説が現実化したような)

 この光景を見た彼女は、ARゲームは想像以上に拡散したのかもしれない、と考えた。

しかし、ARゲームの拡散は別の弊害を生み出している。それは過去に起こった超有名アイドル商法絡みの事件でも実証済み。

(そして、この光景は思わぬ形で非日常となる日が来る)

 この先の流れが手に取るように分かる――そう彼女は感じていた。それこそ、彼女がWEB小説で書籍化をする程の有名人であるという事。

それ以外にも彼女は様々な問題を今回のヒーローブレイカーから感じていたのだが、何を踏まえていたのかは不明である。



 四月五日、アップデート予告が公式ホームページでアップされた。様々な仕様変更もある中で、一番注目されていたのは意外な物である。

【案の定というべきか】

【裏では様々なチートが問題視されている。運営もこれ以上の拡散は望んでいないだろう】

【下手をすれば、ゲームバランス崩壊は確実だ。それに、イースポーツへの進出も延期となりかねない】

【変更予定で一部ツールの無効化とあるが?】

【一部ツールを無効にしても、結局はもぐら叩きの繰り返しになるだろう】

 システム面やシナリオの追加等の更新箇所もある中で、SNS上で議論になっていたのはチートツールの無効化である。

一部とは言及されているが、具体的名称はセキュリティ等の関係で非公開だ。

しかし、大抵のユーザーは問題視された事件が何なのか把握しているので、そこで使われた物と認識しているらしい。

【チートを使ってまで上位ランカーを倒したいというのは、何か違うと思う】

【ヒーローブレイカーにはプレイヤー同士での対決要素はない。マッチングはあくまでも――】

【スコア的な部分でチートツールが横行したのだろうな】

【対戦格闘の様な対戦要素もないようなゲームでチートを使う事自体、間違っているだろう】

【そこまでして金が欲しいのか? イースポーツ化の話も含めて】

【しかし、チートを駆使してプロゲーマーの肩書を名乗るなんて、ドーピングでメダルを手に入れるアスリートと同じような物だ】

 この話題は案の定というか、SNS上で話題となっている。まるで、この問題を無視してイースポーツ化は実現しないとでもいうような勢いだ。

イースポーツとは無縁のプレイヤーにも巻き添えで炎上している気配もするのだが――。

「この状況自体が、非日常化と言うべきか。無関係な人物に怪我をさせない分だけ、まだマシとでも言いたいのか」

 秋葉原のゲーセンでスマホ片手にヒーローブレイカーの動画を見ていたのは、三笠みかさである。

今回も三笠は単独行動なのだが、天津風を探している訳でもない。彼女は大和やまとのストーカーみたいな存在ではないだろう。

(無差別テロなんて、むしろ――)

 三笠としては二度と血が流れるような悲劇だけは起きて欲しくない――そう願っていた。

ゲームのヒートアップし過ぎで度が過ぎるのはあるだろうが、各自で自重できるのであれば自重すべき箇所はあるはずだろう。

デスゲームの様な殺伐とした光景は、もう繰り返してほしくない。それを三笠は望んでいる。



 同タイミングで草加駅近くのゲーセンに姿を見せていたのは、私服姿の木曾きそアスナだった。

ゲーセンと言っても、小規模と言うよりは若干の規模が大きいチェーン店ポジションのゲーセンで、ヒーローブレイカーはVRではあるものの一〇台も設置されている。

大盛況と言う訳ではなく七台は既にプレイ中のようだが、三台は空席状態だった。その内の一台はメンテナンス中のようだが。

(天津風か――)

 木曾がARゲームのシステムに関して気になる箇所があり、それを調べている際に天津風の名前を知った。

この時は天津風の名前がARゲームとは無関係と言う事で重要視をしていないようだったが、状況を変えたのが午前中に発生したある事件である。

【ARゲームのサーバーがハッキングされたらしい】

【ハッキング? それこそ炎上勢力の煽りネタだろう】

【いや、ハッキング自体は認めている。何を探っているまでは不明だが】

【個人情報は別サーバーだったので被害がなかったようだが、何を狙っていたのか?】

 その事件とは、ヒーローブレイカーのサーバーがハッキングされた事だった。一時的にホームページの閲覧が出来なかったのは、これが理由かもしれない。

しかし、公式はハッキングはあっさりと認めた割には何の情報が閲覧されたのかには言及していない。

(おそらく、ハッキングされたのはチートデータの類か。下手にチートデータが流出したと発表すれば、それこそARゲームにとっては問題となる)

 木曾は何の情報を抜き取ろうとしていたのか分かっていた。そのデータとは、次回のアップデートで対象となるチートデータ絡みのプログラムである。

それを手に入れることでデータを解析し、他のARゲームでも使用できるようなチートデータでも拡散しようとしているのだろう。

(これこそが、非日常の始まりなのか――)

 シナリオモードでも言及されている非日常の始まり、それが今回のチートプロテクトの流出をきっかけに動きだすと考えていた。

ヒーローブレイカーの本当の意味、あの世界がプレイヤーに警告しようとしていた物、それはこれから始まろうとしている異変だったのかもしれない。


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