表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/100

第9話:ミッションオブイカヅチ


 四月一日も午後六時となり、様々なニュースの種明かしがされていく。

その中で衝撃を受けたニュースとは、木曾きそアスナのアルストロメリア参戦と言う内容である。

動画の方は木曾視点のプレイ動画も追加されており、一見するとフェイクニュースの構図にも見えてくる物だ。

【時間的にエイプリルフールは過ぎているだろう】

【偽ニュースとしても流すタイミングが間違えている。炎上狙いの煽りでは?】

【ダークフォースが拡散しているようなネタに反応するのは――】

 それ以外にも内容に疑問を持つプレイヤーは多い。実際、このニュースが拡散されたのは午前一二時と昼である。

それに加えて、タイミングがタイミングなだけにフェイクニュースと疑うユーザーも多く、このニュースを信じる者はいなかったという。

「何て事なの――」

 木曾のニュースが事実と分かり、驚いていたのはビスマルクの方だった。バイトの方は終了し、既に自宅で夕食と言うタイミングで種明かしを知ったらしい。

木曾に関してはそこそこのプレイヤーと言う事もあって、何処かのチームに加入する可能性はあったのだが。

これはネットのニュースを偽物ばかりと放置し続けた反動なのだろうか? その真相は分からずじまいである。

(どちらにしても、これは急ぐ必要性があるのかもしれない)

 ビスマルクは冷蔵庫から冷えた五〇〇ミリリットルのペットボトルコーラを取り出し、キャップを開けてそれを飲んでいた。

彼女としては、思わぬ所で出鼻をくじかれたというべきか。

『これは参りましたね』

 想定外の事が起こって冷静でいられていないのは、もう一人いた。ダークフォースに所属し、現在は密かに行動しているアルビオンである。

彼の方は何時ものARスーツでゲーセンに姿を見せているが、周囲からは誰も指摘される気配がない。これがARゲームエリアの外だったら警察が来てもおかしくはないと言うか、明らかだろう。

しかし、ARゲームエリア内ではARスーツのまま歩いていても問題はない。それに、スーツと言っても解除ボタンをタッチするだけで解除できるような物も存在している。

アルビオンの場合は、解除すれば元の姿には戻るだろう。しかし、ここで自分の正体を知られるのは行動的な意味でもマイナスでしかなかった。

『こちらとしては、今以上の戦力を揃えて欲しくないのですが――彼女たちには』

 特定人物しか知り得ないような情報を知っているかの口調で、今回の事を残念に思った。

いずれ強くなるのは明らかなのだろうが、急激に強化されるのはシナリオ的な部分からしてもご都合主義になりかねない。

『どちらにしても、ヒュベリオンが行動していない以上は――』

 ダークフォースのリーダーとして名前を連ねているヒュベリオンだが、本格的な行動を起こす気がないのだろうか?

アルビオンは、彼の考えに関して疑問を持つようになっていた。他のダークフォース構成員には無関係な疑問なのは間違いない。

【迂闊だった。木曾まで参戦するとか】

【これ以上の戦力強化は危険だな】

【どうすればいい?】

 ダークフォースのコミュニティでも混乱は続いていた事から、木曾のニュースを拡散したのは彼らではない事が分かる。

しかし、アルビオンとしては誰が情報を拡散しても結果は同じだろうと考えていた。どちらにしても、プラスになるのはアルストロメリアなのだから。



 四月二日、その日の草加市にあるARゲーム専門のゲーセンには三人の姿が確認出来た。

既に何者かとマッチングしており、その相手は何とアサシン・イカヅチだったのである。これには照月てるつきアスカと秋月千早あきづき・ちはやも想定外だろう。

木曾に関しては、こうなる事が若干想定内と考えているようだが――それでも実際にマッチングすれば、手加減をして勝てる相手ではないのは百も承知だ。

(これは正直言ってまずいかな)

 秋月は今回のマッチングは、向こうとしても偶発的要素によるマッチングではあるのは間違いない。

それに加えて、明らかに現状のスキルや経験で他ゲームでもプロゲーマークラスとSNSで言われている彼に勝てる可能性は皆無に等しいだろう。

「アサシン・イカヅチ――」

 照月も噂は知っている。彼のゲーム技術は深く言及するまでもなく、ほぼ最強に近い。

一作品特化のプレイヤーでなければ、おそらくは五本の指に入る実力者だろう。いくらゲーム内レベルが低くても、それをカバーする技術は向こうが上だ。

そうした関係もあって、照月は腕が若干震えている。自分もゲーマーとしては相当な腕を持っているはずなのに、それでもプレッシャーに押しつぶされそうな気持ちになるだろう。

(イカヅチ、ここで会う事になるとは)

 過去に別のFPSゲームでも遭遇歴を持つ木曾は、彼の実力を三人の中では一番知っていると言ってもいい。

そして、小手先の技では一蹴される事も知っている。だからこそ、木曾は二人を引っ張らないようにしようと何とか策を考えるのだが――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ