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イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり
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1-3


 午後三時一〇分、グレーベースのインナースーツに着替えた秋月千早あきづき・ちはやが盛りあがっている一角を気にしていた。

盛りあがっていたのはセンターモニターが設置された場所で、その一角にあるゲームこそが――。

《ヒーローブレイカー》

 ゲームのプレイヤーエントリー用の端末には、はっきりと作品タイトルが書かれている。

むしろ、これでお目当ての機種を探せない人はいないかもしれない。公式でも設置店舗情報はあるのだが、こちらはARとVRの区別はついているが、情報更新のタイミングが微妙に遅かったりもするだろう。

遅いと言っても数日程度のブランクであり、プレイヤーにとっては影響がないレベルかもしれないが。

「そう言えば、アスカの方は――?」

 秋月は別の場所へ置いていってしまった気配のする照月てるつきアスカだったが、さりげなく彼女もヒーローブレイカーのセンターモニター近くで発見された。

どうやら、照月は色々とゲームを見ていく内に盛りあがっている一角を発見し、ここへ辿り着いたとの事らしい。

「これが――ゲームなの?」

 照月は過去にネット上で似たようなゲームを見た事があるのだが、それを上回る衝撃をプレイ映像から感じていた。

目の前で繰り広げられているのは、一言で言えば『高度な演出を用いたヒーローショー』である。ゲームに、ここまでの物が表現できる作品が今まであったのか?

仮に出来たとしても、完全再現は不可能だろう。それこそ、WEB小説の作品をリアルで再現しようという2.5次元プロジェクトが失敗する構図を想像できるかのようだ。

子供の頃に見た特撮番組は数あれど、ここまでリアルに再現されたヒーローショーは今まであっただろうか? それ位の衝撃を照月は感じ取っていた。



 丁度、このバトルにエントリーしているプレイヤーがいた。明らかに実力が伴わないようなプレイヤーも混ざる中、彼女だけは全く違っている。

まるで、マッチングサーバーが間違って上位クラスのプレイヤーを割り当てたかのようなレベルだ。周囲のプレイヤーも『桁が違う』や『あれでは勝負にすらならない』とつぶやくほど。

『マッチング幅が違うという言い訳は、運営に言う様なクレームではない!』

 全長二メートルという表現をするべきな重装甲パワードスーツ、装備されているのは遠距離用の主砲と表現する様な物ばかりだ。

それに、この人物が女性と分かるのはスーツの形状だろう。肌の露出はパワードスーツの関係上で不可能だが、スーツの形状を見る限りでは胸の部分等で確認出来る。

『ゲーム初期ではプロゲーマークラスのプレイヤーが混ざっている時期もあった以上、今のマッチングと比べるまでもないだろう』

 彼女の放つ主砲は、一〇メートルも満たないような距離にいた大型レイドボスに対して直撃、効果的なダメージを与える。

現状、複数のプレイヤーが大型レイドボス一体に攻撃を加えている構図なのだが、その構図がいかにも特撮番組であるような連携攻撃等を思わせていた。

『そのプロゲーマー時代も、実際に体験したのはあたしだけだけどね!』

 パワードスーツの人物に割り込んで姿を見せたのは、露出度が若干ありそうな軽装スーツに大型の右腕アーマーと思わしき物を装備した女性プレイヤーだった。

その人物こそ、島風彩音しまかぜ・あやねである。彼女は過去にも何度かヒーローブレイカーをプレイし、上位ランカーになった人物の一人なのだ。

『噂のトップランカー、実力を見せてもらうわよ!』

 レイドバトルの残り時間が一分を切った辺りで、島風が動き出した。彼女が右手をレイドボスに向け、無謀な突撃を行う。

これに対して他のプレイヤーは自滅行為とも批判したが、トップランカーだけはその反応が完全に違っている。

(あのニワカプロゲーマー時代を戦っていたからこそ、あの戦略と言う事か)

 当時はヒーローブレイカーの攻略情報が今ほどの充実な状態ではなかった。

それを差し引いても、ある意味で地獄絵図だったのは言うまでもない。それはトップランカーの彼女も自覚している。

『これで決める!』

 彼女が右腕のアーマーから放ったのは、ビームにはなっているものの特殊な形状をした杭だった。

その威力は、レイドボスを瞬時にして防御力ダウンを付加、ボスの体力ゲージも一割は削るレベル。明らかにバランスブレイカーだろう。

しかし、近距離専用の零距離武装はプレイヤーから好まれない。その為か、彼女の使うパイルバンカーは気が付けばマイナー武器へと降格していたのである。




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