表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イースポーツオブサンダーボルト  作者: 桜崎あかり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/100

7-3

 その日の夜、自宅の居間でノートパソコンを開いて動画を視聴していたのは秋月千早あきづき・ちはやだった。

既に夕食を食べ終わった後で、居間にはテレビもあるのだが――そちらでは格闘技中継が流れている。

今の時間帯は午後八時、この時間帯で格闘技中継も異例な気配もするだろう。実際はCSの格闘技チャンネルを回しているようだ。

(やっぱり、CPUでは入手出来るアイテムにも影響するか)

 CPUでも何とかプレイできなくはないのだが、途中でPCが参戦した時と比べると入手可能アイテムのレアリティも微妙に下がる。

それでも一個は確実にスーパーレアが保証されており、PCマッチングだけが有利にならないようにはシステムの調整はされていた。

PCオンリーだと勝利時のスーパーレアが二個~三個、CPUが混ざると一個保障で二個は稀である。

「CPUメンバーを入れるのが絶対的に不利ではないし、それで大差がつくようなゲームバランスでもない。それでも、やはり――」

 秋月が考えているのは育成すればAIのCPUでも不利と言う事ではなく、逆にレベルの低いプレイヤーをチームに入れる方がリスクがあるだろう。

他のプレイヤーにプレイを教えるのは慣れているので、問題があるとすれば別の箇所だ。

そうしたリスクを抱えるよりは、CPUを育成するのが実は有利になるかもしれない、と。

「プレイヤーを加えるにしても、やっぱり実力が――?」

 秋月が新着動画で異常な再生数を刻んでいる動画の一つを発見する。その内容はヒーローブレイカーなのは間違いないだろう。

しかし、プレイ動画にしては異常な再生数になっている理由が思い当たらない。

有名プレイヤーの動画であれば、そのプレイヤーがアップするだけで十万再生は余裕で出せるはずだ。

動画の投稿者もプレイヤーだが名前を見ても有名プレイヤーではない。実際、プレイ動画で確認出来るこの人物のレベルは10にも満たない物である。



 その動画では該当プレイヤーは敵側と言う扱いだった。動画の再生数を上げている原因のプレイヤーを味方側とした場合だが。

三対三と言う構図なのに、該当プレイヤーは明らかに単独プレイとも取れるようなスタイルを取っていた。

まるで、照月のプレイを見ている様なデジャブを秋月は感じている。

【明らかに一人だけ違う】

【プレイヤーネームなし? どういう事だ?】

【プレイヤーネームなしではないだろう。これは非公開設定なのかもしれない】

【あのカスタマイズは明らかにヒーローのソレだ。ESPと表示されているのは間違いか?】

【動画を加工したのでは? 実況動画でアップしたりするプレイヤーもいるのを踏まえて】

【名前を加工したのはありそうだな。非公開設定と言う概念はヒーローブレイカーにはないはずだろう】

 動画で流れるコメントを見ても、そのプレイヤーにつながるようなヒントはない。

そう言った事もあり、秋月はコメント機能をオフにした。

(単独プレイと言うよりは、むしろ他のプレイヤーも単独プレイをメインとしている傾向か)

 秋月は該当プレイヤーと組んでいる二名が単独プレイ主体のプレイヤーで、あえて連携を取っていない可能性を考える。

【あのプレイヤーは、さりげなく上位プレイヤーでは?】

【上位? あり得ないだろう。投稿者のレベルは10にも満たないのに?】

【マッチングレベルと言うよりは、混雑具合でマッチングされたとしたら?】

【ヒーローブレイカーのマッチングサーバーであれば、稀にプロゲーマークラスと当たる事はゼロではないだろうが】

 秋月にとっては非表示で見えないコメントの中には、一部で有力な情報もある。

それらのコメントを見て別の感想を持ったのは――。



「他にもコスプレイヤーでプレイヤーと言う人物が出始めた――のね」

 ペットボトル入りのコーラを片手に秋月と同じ動画を見ていたのは、島風彩音しまかぜ・あやねだった。

彼女の自宅は足立区と草加市の間に近い場所にあるのだが、外見は一軒家に見えても実際はシェアハウスに近いだろう。

厳密には島風のコスプレ撮影のスタジオにも使っていた場所である、スタジオで撮影する事が多いが、稀にカメラマン側の要望で別のロケ地と言う事もあるらしい。

彼女が動画を見ていた場所は畳換算で十畳と言う広さを持つ場所で、ここで撮影及びCG処理等を行っているオフィスとも言える場所だろう。

「結局は自分が先駆者になったとしても、人気が出れば便乗するような人間は必ず出てくる――と」

 バーチャルコスプレイヤーもわずか数日で類似技術が確立され、独自で始めるコスプレイヤーが出現していた。

それを踏まえると、コスプレイヤーでゲーマーもあっさり出てきた事には驚きを隠せない。ただし、それはヒーローブレイカーでの話である。

それ以外のゲームではARリズムゲームでリアルのヴィジュアルバンドやアイドルのコスチュームで再現PVを作るような動画投稿者だっていた。

「どういう身の振り方をしようかなぁ……と」

 後追いが続々と出ている状況に対し、島風も若干弱気の発言が出ると思ったらそうではない。

逆にライバルが出現した事でやる気が出てきたというべきだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ