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アシュラは強制ログアウトされる前にチートツールを使用していたのである。それが、強制ログアウトとなる不正判定の決め手になったのだろう。
しかし、使用したツールには発動と発動の間にラグが存在し、それが不正プレイと認定する決め手だった。
『こんなことが、あっていいのか? これも大手芸能事務所の陰謀に違いない!』
自分がやった事を棚に上げて、この発言をしたのは強制ログアウトが行われるわずか数秒前。
その後、彼は強制ログアウトされる事になる。ログアウト後に待ちうけているのはガーディアンであるのは間違いないだろうが――。
結局プレイの方は、照月アスカと秋月千早の勝利となった。彼女たちにとっては喜べる勝利ではないのだが。
その一方で、秋月の懸念していた無効プレイにはならなかったようで戦績等は有効となっている。
(やはり、ARゲームにダークフォースの影がちらつくのは事実だったのか)
秋月は疑問を持つのだが、それを口にする事はない。照月に何か不安を与えるのも違うと思っていたからだ。
(とにかく、情報をあつめないといけない。ダークフォースに関しては)
照月が何も言わないのは逆に気になるが、秋月は何としても別の情報を集めないと不味いと考えた。
ダークフォースに関してはSNSで探せば情報は簡単に見つかるのかもしれないが、フェイクや釣りと言った物もあるのかもしれない。
一連の動画はやはりというか、様々なサイトに拡散している。中には秋月の考えている通りのフェイクニュースも存在していた。
これらに関しては一部こと削除はされているものの、何度もコピー&ペーストがされているのでエンドレスに近い。
「何処までが本物で、何処までが偽物なのか」
別のゲーセンでヒーローブレイカーの中継を見ていた長門ハルも、一連のニュースには疑問を持つ。
どれが真実でどれが偽物なのかという考えは、既に週刊誌報道で炎上した事件を含めて実例は存在する。
それらを踏まえると、明らかに今回の事例は何かがおかしいのだが。
【一連の事件、どう思う?】
【あれはパリピの仕業だろうな。あるいは他ライバルを炎上させようという芸能事務所とか】
【どうだろう。真相はどこにあるのか】
【それが分かれば苦労はしないと思う】
【やはり、偽のまとめサイト等に流れるのは危険と言う事だな】
【自衛策は必要だろう。どちらにしても、まとめサイトを鵜呑みにして誤情報を拡散する様な人間にSNSを持たせるのは危険すぎる】
様々なコメントが流れているが、それらを注視しているような人間がいるのかは分からない。
どちらにしても、何が真実なのか混乱している中では自分と知り合い、公式以外は信用できないと言うべきか。
PV等を稼ぐ目的でデマ拡散を行う様なサイトも存在し、これらのサイトは社会問題となっているのかもしれない。
コンビニ前でサイトを閲覧しているのは三笠と大和の二人だが、周囲から見れば有名人なので周囲を囲まれそうな気配はする。
二人を囲むようなギャラリーはいない事に違和感を持つ通行人はいるだろう。服装が普通過ぎて目立たないという訳ではない。
あくまでもコンビニのような場所でトラブルを起こすのは、SNSでの炎上に繋がると考えている可能性は高いだろう。
「アシュラの一件には様々な諸説が飛び交っていて、非常に危険すぎる」
タブレット端末でまとめサイトを見ていたのは、三笠だった。彼女は他のサイト情報を調べている途中で、一連のサイトを発見したらしい。
しかし、それらの記事を鵜呑みにして拡散する程に単純な彼女ではなかった。
「議論が正常に出来れば問題はないと思う。しかし、今の現状は確かに――」
大和の方はSNS炎上に関しては起こる物は仕方がないのだが、今の状態は危険だと考えている。
下手をすればリアルでけが人が出てもおかしくはないし、大きな事件としてトップニュースとなってしまう可能性もあるだろう。
「どちらにしても、急ぐ必要性はあるのかもしれないが――」
このまま静観するのも悪くはない。炎上するような情勢で亡くなったタイミングで正しい情報を配信するのも一理ある。
しかし、それでは今回の一件は間に合わない可能性もあった。何としても、SNSが炎上する前に動かないと。
「三笠、とりあえずこれだけは言っておく。SNS炎上は絶対起きないとは保証できない。それは確実」
大和は無策でSNS炎上を防ごうと考えている三笠に対して指摘する。
対する大和も策を考えていない訳ではないが、決定力に欠けていたので実行しても成功する保証はない。
「しかし、ありとあらゆるデスゲームを禁止に出来た可能性を――自分は信じたい」
現在の日本ではデスゲームをリアルで起こすのは禁止されている。もちろん、大規模テロなどももってのほかだろう。
それだけの事を実現する為に団結できた可能性を、三笠は信じようと考えていた。




