3.超越魔法使いと錬金術師 6
セロフィート
「初代〈 エルゼシア国王 〉は、〈 国王 〉になる前は〈 皇 〉と共に≪ エルゼシア大陸 ≫中を旅していた〈 冒険者 〉でした。
共に≪ 大陸 ≫を歩いた信頼の置ける親友に不在となる≪ エルゼシア大陸 ≫を任せ、〈 出張 〉へ出ました。
再び〈 皇 〉として≪ エルゼシア大陸 ≫へ戻って来る日迄、〈 皇 〉が不在の≪ エルゼシア大陸 ≫を治め、守り続けると生涯の友に誓って──。
初代〈 国王 〉の思いを2代目〈 国王 〉も受け継いでいました。
2代目〈 国王 〉も〈 皇 〉を知っていましたから、其の思いは初代〈 国王 〉に負けない程に強かったでしょう」
マオ
「………………。
3代目〈 国王 〉は、初代〈 国王 〉と2代目〈 国王 〉の思いを受け継がなかったんだな……」
セロフィート
「何時戻って来るのか分からない〈 皇 〉をひたすら待ち続けて≪ エルゼシア大陸 ≫を治め、守る事に人生を費やすよりも、『 〈 皇 〉は、≪ エルゼシア大陸 ≫を見限り、見捨てた 』という偽りを事実と入れ換えました。
〈 皇 〉に代わり、自分が〈 国王 〉として≪ エルゼシア大陸 ≫を統治する人生を歩む道を選んだのです。
≪ エルゼシア大陸 ≫を人間が統治し続ける為には、〈 皇 〉は邪魔な存在です。
何時の戻って来るのか分からない〈 皇 〉が、戻って来れば、必ず『 ≪ エルゼシア大陸 ≫を返してくれ 』と要求しに来るだろうと考えた3代目〈 国王 〉は、〈 国王 〉に忠実で絶対服従する16剣騎士団──、後の〈 精霊騎士団 〉を結成します。
其は、ただただ≪ エルゼシア大陸 ≫へ帰還した〈 真の持ち主 〉──、〈 皇 〉へ≪ エルゼシア大陸 ≫を返さない為。
当時は其以外の使命はなく、〈 精霊騎士団 〉は、ひたすら〈 皇 〉を探し続けていました。
もう其の頃には、〈 精霊騎士団 〉は〈 王命 〉に依って魂を言霊で縛られており、完全に支配されていました。
──時は流れ、〈 精霊騎士団 〉が結成された本来の理由は忘れ去られてしまいましたが、〈 精霊騎士団 〉は未だに〈 王命 〉に縛られてます。
今は≪ 王都 ≫を守る内回り役の4組と≪ エルゼシア大陸 ≫を巡回する外回り役の12組に分かれて、〈 陸民 〉の安全を守ってます。
まぁ…其もフェイクですけど……」
マオ
「他にも理由があるのか?」
セロフィート
「あります。
マオが知る必要のない理由です。
大事な事は、〈 精霊騎士団 〉は〈 皇 〉を処刑する立場である──という事です」
マオ
「うん……。
〈 国王 〉も≪ エルゼシア大陸 ≫を返す事を拒むのかな??」
セロフィート
「其は直接聞いてみなければ分かりません。
然し、〈 出張 〉していた〈 皇 〉が、人間の少年──、正当なる王位継承者の皇子に生まれ変わり、戻って来ました。
マオに対して、〈 国王 〉も無茶な事は出来ないでしょう」
マオ
「そうなのかな??
──だってさ、〈 国王 〉は〈 前王妃 〉と一緒に……〈 前王妃 〉のお腹の中で〈 第一皇子 〉も死んでしまった──って思ってるんだろ?
実は〈 第一皇子 〉は産まれていて、内密に≪ 王都 ≫から逃がされていて、無事に大人として育って、≪ 王都 ≫へ戻って来て、一目惚れした少女と、ひっそり結婚して、オレが産まれました。
──なんて、話して信じてもらえるのかよ?
幾ら〈 前王妃 〉の形見の指輪を持ってるからってさ……」
セロフィート
「其もマオが心配しなくても良い事です。
全てワタシに任せてください」
マオ
「………………不安しかないんだけど…」
セロフィート
「ふふふ。
大人への階段を上がる為の大事な一歩ですよ、マオ」
マオ
「オレはもう、大人だってぇ〜〜の!!」
セロフィート
「はいはい」
マオ
「〈 皇 〉は≪ 地球 ≫の中心にある〈 コア 〉から生まれた──って教えてくれたよな?」
セロフィート
「そうですね。
信じられませんか?」
マオ
「…………ピンと来ないよ。
オレの前世は〈 出張 〉に出たっきりの〈 皇 〉になるのか??
オレ……何も覚えてないんだけど……」
セロフィート
「安心なさい。
〈 皇 〉となれば全てを思い出します。
今は魂の奥底に記憶が封印されているだけ。
〈 皇 〉となれば、記憶の封印は解かれます」




