3.老剣士と妖精少女 1
《 広間 》に1人残されたクリッキスチタルは、ゆっくり『 ふぅ〜〜〜 』と息を吐いた。
クリッキスチタルは心の中で頭を抱えていた。
まさか目の前に〈 超越マギタ( 魔法使い ) 〉が現れるとは思わなかった。
然も、自分の事を『 偉大なる〈 吟遊大詩人 〉 』だとも言っていた。
20歳前に見た『 偉大なる〈 吟遊大詩人 〉 』は、当時と同じ姿のままだ。
〈 超越マギタ( 魔法使い ) 〉だからなのだろうか。
〈 マギタ( 魔法使い ) 〉は〈 魔法 〉で自身の老化を遅らせる事が出来る──と聞いた事がある。
其が事実なのかクリッキスチタルには分からない。
本人に確認はしていないが、彼もそうなのかも知れない。
〈 超越マギタ( 魔法使い ) 〉と出会った事を忠誠を誓い、命を捧げている〈 エルゼシア国王 〉に報告しなければならない。
勿論、〈 精霊騎士団 〉に所属する自分以外の総団長達にも報告をしなければならない。
報告を受けた〈 エルゼシア国王 〉は直ぐ様、〈 精霊騎士団 〉を動かし、『 偉大なる〈 吟遊大詩人 〉 』であり、〈 超越マギタ( 魔法使い ) 〉のタシィルドレテク・セロッタを捕らえに来る事だろう。
クリッキスチタルは〈 エルゼシア国王 〉にも〈 精霊騎士団 〉其其の総団長達にも報告をしたくないと思っていた。
あれだけの美貌を持つ美し過ぎる〈 超越マギタ( 魔法使い ) 〉を≪ 王都 ≫の《 地下室 》──、暗くて臭くて汚くて、明らかに空気が穢れており、身体に悪影響を及ぼしかねない危険区域とされている最深部に施されている〈 魔法陣 〉の中に未来永劫──いや、≪ 王都 ≫が滅びる迄、死しても尚『 魂の牢獄 』に囚われ続ける事になるのだ。
美しい〈 超越マギタ( 魔法使い ) 〉は、≪ 王都 ≫を繁栄させる為の道具として〈 エルゼシア国王 〉の私物となってしまうのだ。
クリッキスチタル
「……………………実に惜しい事だ……。
タシィルドレテク・セロッタ……。
何故…貴殿は〈 超越マギタ( 魔法使い ) 〉なのか……。
唯の〈 吟遊詩人 〉ならば、こんな事にはならなかったというのに……」
クリッキスチタルは、大きく深い溜め息を吐いた。
気掛かりなのは、タシィルドレテク・セロッタが〈 精霊騎士団 〉に捕らわれ、連行された後だ。
クリッキスチタル
「1人残されてしまったマオ殿は、どうなってしまうのか……。
我等に捕らわれたタシル殿を助ける為に、たった1人で剣を向けるか……」
?
「馬ッ鹿ねぇ。
マオは1人じゃいわよ。
アタシと煩いスライムが居るんだから!」
クリッキスチタルの背後から若い少女の声が降って来た。
クリッキスチタル
「どちら様ですかな?」
クリッキスチタルは気配を完全に消し、背後に立っている声の主に声を掛けてみた。
?
「アタシは〈 妖精 〉のフィンフィレイナよ。
セロ様の永遠の恋人よ〜〜〜☆
セロ様を捕らえ様だなんて、人間の分際で──、無礼も通り越して愚か者ね〜〜。
セロ様に手を出す前に、アタシがアンタ達を亡き者にしちゃうのに!」
フィンフィレイナは、セロフィートが座っていたソファーに腰を下ろし、深深と座ると、ふてぶてしい姿勢で目の前に居るクリッキスチタルを見詰めた。
ティーポットの取っ手を持ったフィンフィレイナは、セロフィートが使っていたティーカップに紅茶を注ぐ。
ティーカップの取っ手を持ったフィンフィレイナは、ティーカップに口を付け、淹れ立ての紅茶を、グビッ──と飲み干す。
セロフィートと間接キスをする形となったフィンフィレイナは、左右の頬を染めている。
フィンフィレイナ
「セロ様の特製紅茶、やっぱり美味しいわぁ〜〜(////)」
セロフィートの紅茶に舌鼓を打つフィンフィレイナは、再びティーポットの取っ手を持ち、ティーカップの中に紅茶を注いだ。
フィンフィレイナ
「ねぇ、分かるぅ?
老い耄れお爺さん。
此のティーポットはね、唯のティーポットじゃないのよ。
此はね〜〜、セロ様の美味しい紅茶を何時でも何処でも飲みたいだけ飲める『 魔法のティーポット 』なのよ〜!
此の中に入ってる紅茶はね、未来永劫無くならないの。
淹れ立ての紅茶よ!
凄いでしょう?
こんな事をパパッと出来ちゃうセロ様は本っ当に凄い方なのよ〜〜。
そんなセロ様をアンタ達は──。
アタシからセロ様を奪うなんて許さないわよ」
クリッキスチタルとフィンフィレイナの会話も何と無く考えてみました。
老剣士の口調に悩みます。




