3.超越魔法使いと老剣士 1
午前6時過ぎに、入浴前に朝食をする〈 光剣騎士団 〉の皆さんと一緒に朝食を始めたマオとセロフィートは、午前8時前に朝食を終えた。
《 宿泊室 》で〈 にゅい 〉と壮絶なバトルを繰り広げていたフィンフィレイナは、朝食を終えて《 宿泊室 》へ戻って来たマオにドンパチバトルを止められた。
今は1階に居り、お1人様で朝食を楽しんでいる。
セロフィートも1階に居り、老剣士クリッキスチタルと話をしている最中だ。
《 宿泊室 》へ戻り、フィンフィレイナと〈 にゅい 〉の喧嘩を体を張って止めたマオは、疲れ果ててしまった。
そんな理由で〈 にゅい 〉を枕代わりにしたマオは、ベッドの上に寝転がり、熟睡していたのだった。
──*──*──*── 広間
シンッ──と静まり返っている《 広間 》に置かれているソファーに腰を下ろし、丸いテーブルを挟んで向き合って座って居るのは、セロフィートとクリッキスチタルだ。
丸いテーブルの上には、一口サイズで食べれる美味しそうな茶菓子が皿に載せられている。
クリッキスチタルが美味しそうに飲んでいるのは、セロフィートが淹れた紅茶である。
入浴を先に済ませたクリッキスチタルは、セロフィートが用意した温泉浴衣を着ていた。
武装をしていないと、人の良い老紳士に見える。
今も尚現役で剣を振り翳し、〈 光剣騎士団 〉を引っ張っている敏腕な老剣士とは、とても思えない。
クリッキスチタル
「タシル殿が淹れてくださった紅茶は、とても美味しいですな。
茶菓子も紅茶に良く合いますしな」
セロフィート
「ふふふ。
有難う御座います」
クリッキスチタル
「時に…タシル殿──」
セロフィート
「何でしょう?
クリッキスチタルさん」
クリッキスチタル
「何故、貴殿は態態偽名を名乗っておられるのですかな?」
セロフィート
「はて?
何の事でしょう?」
クリッキスチタル
「お惚けになりますかな?
此の老い耄れ、老いても記憶力は衰えてはおりませんゆえな」
セロフィート
「ははぁ…。
貴方はワタシを知っていると?」
クリッキスチタル
「存じておりますぞ。
貴殿は《 バセリナ城 》の離れにある塔の最上階に囚われて居られた〈 吟遊詩人 〉様ではありませんかな?」
セロフィート
「ふふふ…。
ワタシの姿を見た事があると?」
クリッキスチタル
「城内何度か見掛けた事がありますゆえ」
セロフィート
「………………。
さて、困まりました」
クリッキスチタル
「……は??
『 困った 』とは、どういう意味ですかな?」
セロフィート
「まさか『 こんな所 』で当時のワタシを知る者と出会ってしまうとは……。
とても残念です…」
クリッキスチタル
「何が『 残念 』なのですかな?」
セロフィート
「敢えて知らないフリをしてくれたならば、見逃す事も出来ました。
何故、態態知っている事を明かしてしまうのか…。
相も変わらず人間は…自分で寿命を縮めるのが好きですね…」
クリッキスチタル
「貴殿は私を…どうされる気なのですかな?」
セロフィート
「本当に、どうしてくれましょう?
マオは貴方を気に入ってしますし…」
クリッキスチタル
「マオ殿が…私を……」
セロフィート
「隠さず正直に答えてください。
貴方以外に〈 光剣騎士団 〉の皆さんの中で、ワタシの事を知っている者は居ますか?」
クリッキスチタル
「居りません…。
居ない筈です…」
セロフィート
「そうですか…。
ならば、良しとしましょう。
マオに免じて、今回は貴方を見逃します。
良いですか?
『 今回だけ 』です」
クリッキスチタル
「…………有難う御座います。
貴殿の御慈悲に感謝致します…」
セロフィート
「《 地下室 》に《 運動場 》を作りました。
〈 光剣騎士団 〉の皆さんで使ってください」
クリッキスチタル
「其は有難う御座います」
セロフィート
「剣術の打ち合いをする時は、マオも一緒にお願いします。
マオの剣術を確実に上達させる為にも、稽古は貴方が直直に付けてください」
クリッキスチタル
「……此の老い耄れた私で宜しいのですかな?
上達させたいのであれば若く腕の立つ者に──」
セロフィート
「実戦経験の足らない雛にマオの相手をさせる気です?」
クリッキスチタル
「そ、そういうわけでは──」
セロフィート
「貴方が良いのです。
ユグナダールトと共にアルソリュンド・シェルダーシカ,ラオスインダスト,マフィテリオットを鍛え、育て上げた貴方が適任です。
ワタシのマオを任せられる相手は貴方しかいない。
ワタシのお願い聞いてくれます?」
クリッキスチタル
「──!!!!
貴殿は其処迄知っておられるのか!?」
セロフィート
「塔の最上階から見てました」
クリッキスチタル
「そうでしたか…」
◎ セロフィートとクリッキスチタルの会話を何と無くですが考えてみました。
本当なら他愛のないのほほん話をしながら、束の間のティータイムを楽しませる予定でした。
◎ 老剣士の口調は難しいです。
紳士っぽい話し方ってどんな感じなのでしょうか??




