♪ 2.怪物退治 1
〈 転移魔法陣 〉が出現したのは、襲撃を受けている《 宿屋 》から少し離れた人気の無い場所だ。
マオ
「やっぱ、〈 転移魔法陣 〉って早いし便利だよな〜〜。
…………セロ、大丈夫か?」
セロフィート
「えぇ…。
近場ですし、〈 原質の源 〉も直ぐ補充されます。
ワタシは大丈夫です。
其より、怪物です。
捕獲の手伝いをしないと、被害が拡大しますよ」
マオ
「そうだった!
行って来るよ!」
セロフィート
「行ってらっしゃい。
マオ」
フードを被り、顔を隠したマオは、怪物が暴れている《 宿屋 》へ走った。
マオを見送くったセロフィートは、マオの勇姿を高見の見物する為に、傍観に徹する事にした。
傍観するのに丁度良い場所を見付けたセロフィートは、ベストポジションへ移動した。
──*──*──*── 襲われている宿屋
目的の《 宿屋 》を見付けたマオが近付くと、予想に反して野次馬が多い事に驚いた。
《 宿屋 》へ行くには、此の密集してぎゅうぎゅう詰めの野次馬達の人混みを掻き分けて進まなければ《 宿屋 》へ着く事は出来ない。
困ってしまったマオは、屋根に上がり、屋根づたいに進む事にした。
セロフィートから貰った特別なブーツは、ジャンプ力が大幅にUPする為、一軒家を飛び越える事等、雑作もない事だった。
ジャンプをし、屋根に上がったマオは、《 宿屋 》へ走る。
目的の《 宿屋 》の全貌が見える。
怪物が暴れている所為もあり、破壊された部分が多く、修復よりも建て直さなければならない程に酷い有り様だ。
セロフィートが話してくれた様に、多くの〈 冒険者 〉や〈 魔法使い 〉が怪物と戦っていた。
負傷の〈 冒険者 〉や〈 魔法使い 〉も多く、離れた場所で手当てを受けている。
当の怪物はと言うと、屋根よりも低いのは分かる。
其でも身長は3m 〜 4mはあるだろうか。
肩幅は左右を合わせても、2mはありそうだ。
口からは長くて鋭い牙が生えているのが見えるが、人間の首筋に噛みつくには、大き過ぎる口と牙だという事は、誰が見ても一目瞭然であり、『 人間を丸呑みにする 』の間違いではないか──と思ってしまう。
全体的に毛深く、背中には太い棘の様な物が、びっしりと付いている。
丸まったりされれば、針の山になりそうだ。
顔面は毛深くはないが、雰囲気は何処と無くサーベルタイガーに似ているかも知れない。
尻尾は無く、人間と同様に、二足歩行している。
マオ
「アレを捕獲する気なのか??
無茶するなぁ……」
にゅい
「にゅい〜……」
マオは、鞘から双刀を引き抜くと構える。
大きく深呼吸したマオは、助走を付けて走ると怪物目掛けて、ジャンプした。
──*──*──*── 戦闘中
マオ
「──駄目だ……。
何度攻撃しても、体毛に跳ね返される!!
此じゃ、何時迄経ってもダメージを与えられないよっ!
──あっ、また!
誰かが捕まった!!」
〈 魔法使い 〉の1人が怪物に掴まれ、実に器用に首筋を噛まれる。
血を吸い付くされた〈 魔法使い 〉は、どんどん干からびて行く。
マオ
「此じゃあ被害者が増えるだけだ!
何とかしないとっ!!
でも、どうしたら……」
受話器:にゅい
「{ ──マオ、聞こえます? }」
マオ
「──はっ??
えっ?!
セロ??」
マオの左肩に乗っている〈 にゅい 〉からセロフィートの声が聞こえて来た為、驚いた。
マオ
「何で〈 にゅい 〉からセロの声が聞こえるんだよ!?」
受話器:にゅい
「{ 成功しましたか。
安心しました。
説明は後でします。
マオ、良く聞いてください。
怪物は、血を吸う事で体力回復と傷を治癒させてます。
体力が回復すると体毛も丈夫になる様です」
マオ
「そ、そうなのか?!」
受話器:にゅい
「{ なので──。
先ず、怪物が血を吸えない状態にしてください }」
マオ
「血を吸えない状態??」
受話器:にゅい
「{ そうです。
何とかして両手を切り落とすか、凍らせれば〈 冒険者 〉や〈 魔法使い 〉が怪物に捕まる事もないです。
後は動けない様に両足を凍らせます }」




