♪ 2.宿泊室(夜) 5
〈 古代魔法 〉を発動させたセロフィートは〈 魔法陣 〉を消すと、新たに別の〈 古代魔法 〉を発動させた。
テーブルの上に置いてあった新聞が、セロフィートの膝の上に現れた。
セロフィートは《 宿屋 》が騒がしくなる迄、新聞の記事を読む事にした。
──*──*──*── 22時頃
15分もしない内に、セロフィートとマオが宿泊している《 宿屋 》にも、怪物騒ぎの情報が入って来た。
廊下で宿泊客達がドタバタと走る音が聞こえて来た。
新聞を読むの止めたセロフィートは、新聞を折り畳み、テーブルの上に置く。
《 宿泊室 》のドアを開け、顔を出したセロフィートは、走り回っている宿泊客に声を掛けた。
セロフィート
「もし。
こんな時間にどうされました?」
宿泊客:男
「おぉうっ?!
べっぴんさんじゃねぇか!
起こしちまったかい?
悪ぃね(////)」
男は鼻をデレッと伸ばし、今にも涎を垂らしてしまいそうな顔で、はだけているセロフィートの胸元を見ていた。
男の身長からして、目線の位置が偶偶セロフィートの胸元なだけであり、態とセロフィートの胸元を凝視している訳ではなかった。
非常事態でありながら、非常識にも、大の男が鼻の下を伸ばし、無意識に涎を垂らしてしまう程、夜のセロフィートが妖艶且つ魅力的に見えてしまうだけだ。
人間の実際の肌の色とはまるで似ていない理想化された様な綺麗過ぎる宍色の肌が、男をムラムラとさせ、男の中で静かに眠っていた性欲を掻き立てる。
はだけた衣服から見える胸元は破壊力も効果も抜群だ。
理性なるものを失わない様に、維持させる為に、男は何度も唾をゴクリ…と飲み込んでいた。
何度目の唾を飲み込んだ頃だろうか、目の前にある男の『 いけない欲望 』を誘う厭らしい胸元──ではなく、宿泊客が口を揃えて『 べっぴんさん 』と呼んでいる〈 吟遊詩人 〉の美男に、「 何かありました? 」と尋ねられた。
男は、ハタ──と我に返ると、現在で分かっている範囲の事情をセロフィートへ、掻い摘まんで簡単に話した。
セロフィート
「《 宿屋 》が怪物に襲われて──??」
宿泊客:男
「ああ、そうなんだ。
多分だが、昨夜《 民家 》を襲った犯人かも知れねぇって話だ。
襲われた被害者は首筋を噛まれてるらしい。
今、〈 警察官 〉が〈 冒険者 〉と協力して怪物を捕獲しようと奮闘してるらしい。
街中に居る〈 冒険者 〉と〈 魔法使い 〉に招集が掛かってな。
今から行かなきゃならねぇんだわ」
セロフィート
「其は一大事ですね。
教えてくださって有難う御座います。
気を付けてください」
宿泊客:男
「お、おう(////)
此方こそ有難うだぜ、べっぴんさん!!」
セロフィート
「はあ……??
どう致しまして??」
男の言葉の意味が全く分からないセロフィートは、少しだけ困った様な表情をして微笑んだ。
セロフィートは後でマオに聞いてみようと思った。
男は話を切り上げると、名残惜しそうに階段を下りて行った。
つい先程、会話をした人畜無害で、ひ弱そうな優男の『 べっぴんさん 』な〈 吟遊詩人 〉が、まさかまさかの『 故意的に《 宿屋 》を破壊し、怪物を投下させた張本人で、首謀者で、真犯人である 』と一体誰が考えるだろうか。
昨夜と今夜の事件に手を下した諸悪の根源が『 べっぴんさん 』だと気付かなかった男は、実は幸運だったと言える。
幸運序でに、今夜の大惨事の大事件を運良く生き残るかも知れない。
此処で持ち前の運を使い果たし、帰らぬ故人となるかも知れない。
彼の人生に幸あれ────。
《 宿泊室 》のドアを閉めたセロフィートは、マオを起こす事にした。
鍵は掛けてないが、〈 古代魔法 〉が掛かっている為、セロフィート,マオ,フィンフィレイナ,〈 にゅい 〉以外はにドアを開けられない様になっている。
勿論、《 宿泊室 》での話し声も、怒鳴り声も、悲鳴も、あらゆる音がシャットアウトされている為、廊下にも外にも声や音が漏れてしまう心配もない。
セロフィートは、安心して『 いけないお茶目 』を好きなだけ出来る環境を整えているのだった。




