♥ 君の名は
セロフィート
「 安心…です? 」
マオ
「 うん。
賢者の石も万能じゃないんだな──って分かったら、何かホッとしたんだ(////)
おかしいかな? 」
セロフィート
「 ふふふ。
この世の何処にも “ 万能なるもの ” は存在しません。
〈 久遠実成 〉がそのように創世されました。
皆、何処かが不完全です。
己の不完全な部分を補いたいが為に、殆どの生物は群れたがります 」
マオ
「 ………………セロ…も? 」
セロフィート
「 はい? 」
マオ
「 ──セロも自分の不完全な部分を補う為に……大勢の人間の中から、オレを選んでくれたの?
オレならセロの不完全な部分を補える──って、セロは思ってくれたのか? 」
セロフィート
「 ……………………。
マオと初めて言葉を交わしたあの僅かな瞬間で “ 君しか居ない ” と思ったのは確かです。
同時に “ マオが欲しい ” と感じた事も覚えてます。
当時のワタシは、マオに一目惚れしてしまったのでしょう 」
マオ
「 一目惚れ……(////)
セロがオレに??
な、なんか照れちゃうな(////)」
セロフィート
「 まるで体内を電流が走ったような感覚がした事も覚えてます。
“ 電流が体内を走る ” ような事、実際には有り得ないですけど… 」
マオ
「 そっそんなに?!
〜〜〜〜(////)
すっげぇ嬉しいっ(////)
──セロ、大好きだ〜〜〜♪♪♪ 」
マオは両手を広げると、セロフィートの腰辺りに抱き付いた。
嬉しさのあまりか、猫のように右頬をスリスリしている。
セロフィート
「 はいはい。
知ってます。
有り難う、マオ。
( そう……。
あの感覚は、≪ エルゼシア大陸 ≫の真の持ち主──〈 皇 〉となる者と接触した合図……。
あの時は気付けなかったようでしたけど、……マオと契約を交わし、意思が繋がった瞬間、初めて理解しました。
マオとワタシは〈 久遠実成 〉に出会わされたのだと──。
あの日、眠りに就た夜、人形の中で入れ替わりが起きたのも……、マオを〈 皇 〉にする為に必要な事だったのだと──。
その為のワタシ……。
マオが晴れて〈 皇 〉となれば、また人形の中で入れ替わりが起こる。
意識はマオと出会った人形に戻り、ワタシは2度とマオには会えない……。
マオで遊べなくなるのは……少し…寂しい…… )」
セロフィートは抱き付いているマオの頭の上へ左手を載せると、頭を優しく撫でてあげた。
まるで飼い猫のように甘えるマオの様子を、セロフィートは寂しそうな表情で見詰めていた。
セロフィート
「 マオ…。
折角ですし、賢者の石に名前を付けましょう 」
マオ
「 名前?? 」
セロフィート
「 そうです。
毎回、 “ 賢者の石 ” と呼んでは隠せませんし。
生み出した親がワタシなら、名付け親はマオがなると良いです。
賢者の石も名付け親のマオに懐いてくれます。
名前を付けてあげてください 」
マオ
「 う、うん。
分かったよ。
…………何がいいかな〜〜??
──お前はどんな名前がいいんだ? 」
未だに錬成陣の中で、ぷよぷよ…と動いている賢者の石へ、マオは何と無く声を掛けて聞いてみた。
賢者の石
「 にゅい?
にゅい〜〜〜??
にゅ〜……にゅい 」
マオ
「 ………………。
何言ってんのか全然分かんない…… 」
セロフィート
「 当たり前です。
マオは未だ賢者の石と意思が繋がってません 」
マオ
「 意思が繋がったら、コイツの言葉が分かるのか? 」
セロフィート
「 それはマオ次第です 」
マオ
「 ……オレ次第??
……………………。
“ にゅい ” は、どうかな?
鳴き声が『 にゅい 』って聞こえるから──ってだけなんだけど(////)
捻りが無くて面白くないけどさ…。
分かり易くていいかな〜〜って(////)」
セロフィート
「 ふふふ。
“ にゅい ” ですか。
発音が可愛らしいです。
では、名付けましょう 」
そう言うや否や、セロフィートは賢者の石の前に右手を翳した。
賢者の石が眩く光だす。
光が収まると、賢者の石の色が蒼色に変化していた。
マオ
「 …………え??
色が変わってる??
何でだ? 」
セロフィート
「 赤色よりも目立ち難い色へ変えました。
蒼色がマオと合ってます。
“ にゅい ” ──、彼が君の名付け親の “ マオ ” です。
ワタシのマオです。
ワタシの代わりに、君がマオを “ あらゆる危険から守護る ” のです。
良いですね 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい?
にゅ〜〜〜い?
にゅい!
にゅいにゅいにゅい!! 」
セロフィートの言葉を理解したのかにゅいは、ぷよぷよする体をぷるんぷるん──と上下に動かした。
マオ
「 何か…可っ愛いっ〜〜(////)」
セロフィート
「 マオと意思が繋がって喜んでます。
良かったですね、マオ 」
マオ
「 うん(////)
今から宜しくな、にゅい 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい~~~~ 」