セロフィート
「体格は確りしていて、体毛が濃いです。
人間を切り裂ける程には爪が長いですね。
耳は尖っていて、兎の耳を思わせます。
口には牙が見えますね。
彼の牙で人間の首筋へ噛み付き、血液を吸っていた──という事ですか…」
〈 魔法陣 〉を動かし、様様な角度から彼の生物を観察する。
セロフィート
「吸血行為をする未確認生物ですね。
仮に『 UMA 』としましょう。
──あぁ、成程……。
両腕で餌を掴み、首筋に噛み付いて──吸ってますね。
………………おや?
吸うだけですか?
身体中の血液を吸い尽くされた人間は、骨と皮だけになりますか…。
息絶えてますね。
あれだけの体格です。
8名分の血だけでは物足りないでしょう。
…………ふふふ♪
良い事を思い付きました。
コートさんの《 家 》を使うとしましょう。
彼処の《 地下室 》には〈 ノマ 〉が沢山居ますし、絶好の餌場です♪
此を機に、建物を壊せば中で餌にありつける事を学習するでしょう。
では早速──」
セロフィートは楽しそうにクスクスと笑いながら、〈 魔法陣 〉の中に『 UMA 』を閉じ込めた。
勿の論、『 UMA 』にも〈 魔法陣 〉は見えない。
セロフィートが一時的に命名した『 UMA 』は、目に見えない壁に囲まれている事に気付かない程、最後の人間の血液を吸血する事に夢中だ。
セロフィートは〈 古代魔法 〉を発動させ、〈 魔法陣 〉を宙に浮かせた。
再び〈 古代魔法 〉を発動させ、空中に浮いている〈 魔法陣 〉を《 コートナエイシッド宅 》の上空へ瞬間転移させる。
〈 魔法陣 〉の中に閉じ込められている『 UMA 』は異変を感じたのか、けたたましい雄叫びを上げると激しく暴れ出した。
然し、其の程度でどうにかなる程、〈 魔法陣 〉は柔ではなかった。
〈 古代魔法 〉を発動させ、《 コートナエイシッド宅 》の壁に穴を開けたセロフィートは、暴れて興奮状態の『 UMA 』を《 コートナエイシッド宅 》に落とした。
〈 魔法陣 〉が消えると、『 UMA 』と血液を吸血されて死んだ8名の死体が《 コートナエイシッド宅 》へ落とされた。
セロフィート
「──さて、此の危機的状況の中、〈 暗殺者 〉達はどうするでしょう?
ふふふ♪
ワタシを楽しませてくださいね、ムタさん」
眠っているであろう〈 暗殺者 〉達とコートナエイシッドの迷惑等考えず、とんでもない事をしでかしたセロフィートは、傍観を決め込んだ。
《 コートナエイシッド宅 》に落とされた『 UMA 』は、濃い血の匂いを嗅ぎ付けると穴の空いた床を壊し、《 地下室 》へ入って行った。
〈 暗殺者 〉達,コートナエイシッド,〈 ノマ 〉が外へ逃げ出さない様に〈 古代魔法 〉を発動させ、《 コートナエイシッド宅 》を〈 魔法陣 〉で囲んだ。
《 地下室 》からは、〈 ノマ 〉達の悲鳴や叫び声が聞こえている。
眠りを妨げられた〈 暗殺者 〉達は、戸惑いながらも現状を懸命に把握しようと努めていた。
〈 暗殺者 〉達は、外へ逃げる事はせず、戦闘態勢を整えると、慎重に《 地下室 》へ下りて行った。
セロフィート
「おや?
ムタさんとコートさんが居ません??
面白くなると思ったのに……。
仕方無いです。
《 地下室 》の様子を見ますか」
残念そうに呟いたセロフィートは右手を動かした。
セロフィートの前に浮いている〈 魔法陣 〉の真ん中に映る映像が《 地下室 》の様子を有りの侭に映し出した。
《 地下室 》の様子は、地獄絵図を見ているかの様だった。
但し、セロフィートにとっては地獄絵図程のものではなく、幼児の描いたヘタッぴ〜な落書き程度なのだが……。
セロフィート
「随分と派手に暴れましたね。
生き残りは──。
あぁ、居ました。
目撃者は必要ですね。
数名は残しておきましょう」
セロフィートは〈 古代魔法 〉を発動させると、『 UMA 』が好む濃い血の匂いを《 地下室 》の中へ充満させると、『 UMA 』を誘導させる為に《 地下室 》の出入口へ移動させた。