マオを〈 にゅい 〉へ任せたセロフィートは〈 古代魔法 〉を発動させた。
セロフィートの前に〈 魔法陣 〉が出現すると、〈 魔法陣 〉の真ん中は、夜更けの≪ 街 ≫の様子を映し出した。
夜の≪ 街 ≫は、シィーーーーンと静まり返ってかおり、出歩いている人の姿は見られない。
野良犬,野良猫の類いの鳴き声はせず、姿が見えない。
日が暮れたら外出を禁じる御触れを忠実に守っているのだろう。
暫く様子を見ていると、何処からか薄い霧が出て来た。
霧の出所は分からない。
薄い霧の中を進んで行くと段段と霧の濃度が上がって来ていた。
セロフィート
「困りました。
此では周りが見えません」
別に大して困りはしないのだが、左右の眉毛を下げ、少し困った様に笑ったセロフィートは、〈 古代魔法 〉を発動させた。
〈 古代魔法 〉が邪魔な霧を一掃して行く。
すっかり霧が晴れてしまうと、とある一ヵ所から霧が発生しているのを見付けた。
近付いてみると、霧を発生させていたのは、大層美しい大きな石だった。
セロフィートは其の石を見た瞬間に≪ 地球 ≫上に存在する石ではなく、『 星降りの夜 』と呼ばれた夜に雨の様に地上へ降り注いだ流星群の1つだと分かった。
因みに此の石を使かったとしても、人間に〈 賢者の石 〉を精製する事は出来ない。
セロフィート
「こんなに大きな隕石が落下していたとは……。
此の隕石は何処からか運んで来たのでしょう…。
霧を発生させる隕石ですか──。
其だけなら良かったのですが……、どうやら厄介な生物も一緒に運んで来てしまった様です…。
…………此は少しだけ、面白いです」
セロフィートは〈 魔法陣 〉を通して、クスリ…と笑った。
人間にとっては、ちっとも面白い事態ではなく、一大事なのだが、セロフィートからすれば、そんな事は酷くどうでも良い事だった。
セロフィート
「──さて、隕石を宿り木としていた生物は何処に居るのか……」
既にセロフィートには、≪ 街 ≫で事件を起こしている犯人の目星は付いてしまった。
セロフィートは隕石を宿り木としていた生物を探す事にした。
セロフィート
「居ませんね…。
宿り木から遠くへは行けない筈ですけど…。
何処かに隠れているのかも知れません。
折角ですし、出て来てもらいましょう。
其の為には餌が必要です。
誘き寄せるなら活きの良い元気で新鮮な餌が良いですね。
ふふふ…。
丁度良い適任な餌が居ました!」
セロフィートは実に嬉しそうに両手の掌を合わせるとパンッと叩いた。
にゅい
「にゅい〜?」
やけに嬉しそうでウキウキしている自分の〈 創造主 〉を見詰めながら、〈 にゅい 〉は『 ママ、何するの〜〜? 』と言いたげだ。
〈 古代魔法 〉を発動させたセロフィートは、彼の《 地下室 》に捕まっていた〈 ノマ 〉を数名を〈 魔法陣 〉から〈 転移召喚 〉させた。
特に活きの良かった殺意剥き出しだった8名である。
女性が5名の男性3名だ。
女性の人数が多いのは、セロフィートなりのレディーファーストである。
セロフィート
「返り血の浴びて血生臭い彼等なら、彼の生物も喜んでくれる筈です。
〈 魔法陣 〉の外には出られない様にしてますし、後は彼の生物が出て来るのを待つだけです」
セロフィートは〈 古代魔法 〉を発動させると、〈 魔法陣 〉から本を出した。
読書をしながら彼の生物が現れるのを待つ事にしたのだ。
2頁程捲った後に動きがあった。
〈 魔法陣 〉の中から出られない8名が恐怖におののいて叫び出したのだ。
逃げる術が完全に断たれている8名は泣き叫びながら、〈 魔法陣 〉の中を必死に走り回っている。
〈 ノマ 〉である8名には〈 魔法陣 〉が見えていない為、見えない壁に阻まれ、正体の分からない怪物に襲われ、恐怖も普通より倍増している筈だ。
セロフィートは頁に栞を挟むと本を閉じた。
セロフィート
「彼の生物も現れましたね。
面白くなりました♪
身長は2m強ありそうです。
肩幅は広いですね。
大人の頭が3つ分程ありますか」