にゅいは自慢気に鳴くと、ジャンプをしてマオの右肩へ乗った。
マオ
「 隙間が見えるな。
何だろ?
…………風??
──ムタさん!!
にゅいが隙間のある床を見付けたんだ。
隙間から風が吹いて来てるんだけど! 」
マオに呼ばれたディクノシズムタは、にゅいが見付けた床を調べ始めた。
ディクノシズムタ
「 ………………。
お手柄だ。
これは地下室の階段だ。
マギ法ほうタ使つかい は魔ま法ほうマジックを使つかい、地ち下か室しつの階かい段だんを隠かくしている。
マ魔まギ法ほうタ使つかい でない我われ等らに地ち下か室しつの階かい段だんを探さがし出だすのは至し難なんの技わざだ。
でかしたな 」
マオ
「 態わざ々わざ魔ま法ほうマジックで地ち下か室しつの階かい段だんを隠かくすなんて… “ ヤバい事ことしてます ” って宣せん伝でんしてるもんじゃんか。
( セロは直すぐに見み付つけたんだろ〜〜なぁ〜 )
にゅい──、魔ま法ほうマジックで隠かくされた地ち下か室しつの階かい段だんを見み付つけるなんて、凄すごいぞ!! 」
賢者の石:にゅい
「 にゅいっ! 」
にゅい賢者の石はマオの右みぎ肩かたで、誇ほこらし気げに鳴ないた。
ディクノシズムタの指し示じにより、部ぶ下か達たちは地ち下か室しつへ続つづく階かい段だんの床ゆかを開あけた。
ディクノシズムタ
「 ──よし、行いくぞ 」
ディクノシズムタの合あい図ずで、ディクノシズムタを先せん頭とうに部ぶ下か達たちが次つぎ々つぎと地ち下か室しつへ下おりて行いく。
マオ
「 にゅい、オレ達たちも行いこう 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい〜〜〜 」
ディクノシズムタと部ぶ下か達たちが地ち下か室しつへ下おりて行いったのを見み送おくった後あと、マオも階かい段だんを下おりた。
──*──*──*── 地下室の階段
マオ
「 ムタさんの言いう通とおりだな、にゅい。
地ち下か室しつに近ちか付づく程ほど、血ちの臭においが強つよくなってる…。
…………殺ころした〈 ノマ 〉を材ざい料りょうにしてるのかな?
幾いくら身み寄よりのない孤こ児じや浮ふ浪ろう者しゃだとしても、材ざい料りょうに使つかうなんて許ゆるせないよな!! 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい〜?? 」
マオ
「 にゅい、如い何かにも悪わるい奴ヤツは食たべてもいいからな! 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい?
にゅい〜〜〜♪♪♪ 」
マオから「 人にん間げんを食たべてもいい 」と言いわれたにゅい賢者の石は、嬉うれしそうにテンションを上あげた。
マオ
「 それにしても随ずい分ぶんと長ながい階かい段だんだよな?
何い時つ、地ち下か室しつに着つくんだ? 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい〜〜… 」
マオ
「 これも魔ま法ほうマジックの力ちからなのかな?
──あっ!
にゅい、そろそろ着つくみたいだ 」
──*──*──*── 地下室
マオ
「 はぁ〜〜〜…。
やっと着ついたよ…。
セロを探さがさないとな 」
長ながい階かい段だんから漸ようやく解かい放ほうされたマオは、地ち下か室しつに着ついたディクノシズムタの部ぶ下か達たちの背せ中なかを見みた。
マオ
「 あれ?
どうしたんだろう??
何なんで皆みんな…止とまってるんだ?
ムタさん、どうして止とまっ──……うげっ!?
何なに…これ?? 」
マオは目めの前まえに広ひろがる光こう景けいを見みて驚おどろいた。
思おもわず無む意い識しきに手てで口くち元もとを押おさえてしまった。
マオ
「 ──ええっ?!
何なに……してんの??
ム…ムタさん……これって── 」
ディクノシズムタ
「 ………………。
俺おれにも分わからん…。
こんな事ことは初はじめてだ…… 」
暗あん殺さつを主しゅとした殺ころしの玄くろうプ人とロであるディクノシズムタですら、あまりにも酷ひど過すぎる光こう景けいを目めの前まえにして、言こと葉ばを失うしない、その場ばに立たち尽つくしていた。
部ぶ下か達たちの中なかには全ぜん身しんを震ふるわせている者もの,腰こしを抜ぬかして尻しり餅もちを付ついている者もの,隅すみっこで嘔おう吐としている者もの,放ほう心しん状じょう態たいで立たち尽つくしている者もの──等など々など、様さま々ざまな症しょう状じょうをきたした者ものがチラホラと居いた。
賢者の石:にゅい
「 にゅい〜…… 」
マオ
「 だ、だよな?
こんな事ことが出で来きる奴ヤツって言いったら……セロしか居いないよ… 」
賢者の石:にゅい
「 にゅいにゅい 」
普ふ段だんはにゅい賢者の石と意い思しの疎そ通つうも満まん足ぞくに出で来きないマオだが、こんな時ときは何な故ぜだかにゅい賢者の石と意い思しの疎そ通つうが出で来きてしまう。
にゅい賢者の石の場ば合あいはマオとは違ちがい、「 流さす石が、ボクのママ!! 」と生うみの親おやであるセロフィートを絶ぜっ賛さんしているのだが、幸さいわいな事ことにマオにはにゅい賢者の石の思おもいが分わからないのだった。
マオ
「 …………止とめれなかった……。
セロを1人りで行いかせたら駄ダ目メだったのに…!! 」
ディクノシズムタ
「 マオ…。
どういう事ことだ?
この有あり様さまに心こころ当あたりがあるのか? 」
マオ
「 …………あ〜〜……うん…。
あるよ……。
これは…間ま違ちがいなく…十じゅっ中ちゅう八はっ九く……セロの仕し業わざだからさ…… 」
ディクノシズムタ
「 超ちょうトラン越えつセンドの魔まマ法ほうギ使つかいタの仕し業わざだというのか? 」
マオ
「 そうだよ…。
セロは凄すごいんだけど……『 性せい格かくに問もん題だいがある 』って言いったろ?
今いまは、これ──。
セロは何な故ぜか人にん間げんを達だる磨まにする事ことにハマってるんだ…… 」
ディクノシズムタ
「 人にん間げんを達だる磨まにする──だと?? 」
マオ
「 うん……。
多た分ぶん此こ処こに居いる人にん間げん達だる磨まは、失しっ敗ぱい作さくだと思おもうんだよな… 」
ディクノシズムタ
「 失しっ敗ぱい作さく……だと?! 」
マオ
「 そっ。
な・り・そ・こ・な・い・って言いうのかな…… 」