──*──*──*── 牢屋前
牢屋の前に着いたセロフィートは、牢屋の中へ入っていた。
古代魔法を発動させれば、鉄格子の内側へ入る事は容易いのである。
セロフィートは姿を消したままで、マギ法ほうタ使つかい見み習ならいに声こえを掛かける事ことにした。
セロフィート
「 もし、其そ処この君きみ。
何な故ぜ、君きみだけ牢ろう屋やへ入いれられてます? 」
マギタ見習い
「 ──?!
幻げん聴ちょう?! 」
セロフィート
「 幻げん聴ちょうなわけないでしょう。
理りわ由ゆうけあって今いまは姿すがたを見みせられません。
ワタシの質しつ問もんに答こたえてください 」
マギタ見習い
「 ………………。
『 姿すがたを見みせられない 』って……。
アナタはマ魔まギ法ほうタ使つかいですか?? 」
セロフィート
「 君きみは声こえを控ひかえた方ほうが良よいでしょう。
ワタシはセロフィート・シンミン。
君きみの名な前まえを教おしえてください 」
マギタ見習い
「 ………………。
{ 僕ぼくは…僕ぼくの名な前まえは──、コートナエイシッド…です。
仲な間かまからは “ コート ” と呼よばれてます }」
セロフィート
「 コートさん。
君きみはマオ・ユーグナルを知しってます? 」
コートナエイシッド
「 ──?!
{ アナタは、マオを知しってるんですか?!
マオは僕ぼくを助たすけてくれた親しん切せつな少しょう年ねんなんです!!
態わざ々わざ家いえまで送おくってくれて…… }」
セロフィート
「 君きみがマオの助たすけたマ魔まギ法ほうタ使つかい見み習ならいですか…。
会あえて良よかったです。
ワタシは君きみを助たすけに来きました 」
コートナエイシッド
「 ──僕ぼくを?!
{ 僕ぼくを助たすけに来きたって、どういう事ことですか? }」
セロフィート
「 コートさん、君きみは口くちが軽かるいそうですね。
今こん回かいはその口の軽さのお蔭かげで命いのち拾びろいするわけですけど。
マオと出で会あえて良よかったですね 」
コートナエイシッド
「{ ……………………。
賢けん者じゃの石いしの事ことですか?
確たしかにそれ話してしまったのは僕ぼくの落おち度どでした。
それが原げん因いんで僕ぼくは牢ろう屋やに入いれられてしまってるわけですけど…… }」
セロフィート
「 ふふふ。
口くちは災わざわいの元もとです。
差さし詰ずめ、責せき任にんを取とって賢けん者じゃの石いしの材ざい料りょうにされる──ですか 」
コートナエイシッド
「 ──!!
{ 何なんでその事ことを──?! }
セロフィート
「 ワタシも過か去こに賢けん者じゃの石いし作づくりに携たずさわった事ことがあります。
予よ想そうはしてました。
賢けん者じゃの石いしを錬れん成せいする材ざい料りょうに〈 ノマ 〉の人にん間げんを使つかう事ことは、コートさんにしてみれば、寝ね耳みみに水みずだったのではないです? 」
コートナエイシッド
「 ──その通とおりです!!
{ あ…済すみません……。
1つの賢けん者じゃの石いしを錬れん成せいするのに、あんなに大おお勢ぜいの〈 ノマ 〉を使つかうなんて信しんじられますか?!
僕ぼくは師し匠しょうを──、先せん輩ぱい達たちの事ことも尊そん敬けいしていたし、目もく標ひょうとして、お手て本ほんだと思おもって、目め指ざしていました。
何なによりも信しんじていたんです!!
それなのに……材ざい料りょうが〈 ノマ 〉だなんて──。
頭あたまがイカれてるとしか思おもえません!! }」
セロフィート
「 コートさん以い外がいに反はん対たいしたマ魔まギ法ほうタ使つかいやマ魔まギ法ほうタ使つかい見み習ならいは居います? 」
コートナエイシッド
「{ …………居いるわけないですよ…。
皆みんな…儀ぎ式しきの真まっ最さい中ちゅうなんですから…… }」
セロフィート
「 成なる程ほど…。
コートさんの師し匠しょうも先せん輩ぱいのマ魔まギ法ほうタ使つかい達たちも同どう僚りょうのマ魔まギ法ほうタ使つかい見み習ならい達たちも、儀ぎ式しきと偽いつわった “ お楽たのしみ儀式 ” の真まっ最さい中ちゅうなわけですね 」
コートナエイシッド
「{ …………そうですよ…。
大人おとなの男おとこには暴ぼう力りょくと拷ごう問もんの虐ぎゃく待たいを繰くり返かえすんです。
女じょ性せいは性せいの捌はけ口ぐちにされて……性せい的てき虐ぎゃく待たいや強ごう姦かんを繰くり返かえしされます。
ボロボロになって使つかえなくなるまで先せん輩ぱいや同どう僚りょうの間あいだを何なん度ども回まわされるんです……。
子こ供ども達たちも同おなじですよ…。
子こ供ども達たちの相あい手ては…後こう輩はい達たちです。
慰なぐさみものとして相あい手てにされてるみたいで……。
特とくに可か愛わいい子こ供どもは師し匠しょう達たちの相あい手てを…… }」
セロフィート
「 そうですか…。
何い時つの時じ代だいも行いき着つく先さきは同おなじですか…。
救すくいようも無ない。
ワタシのマオには悪あく影えい響きょうでしかないです 」
コートナエイシッド
「{ 『 ワタシのマオ 』……ですか?? }」
セロフィート
「 そうです。
マオはワタシの大たい切せつな家か族ぞくです。
家か族ぞくは守まもらなければいけません 」
コートナエイシッド
「{ …………家か族ぞくかぁ…。
僕ぼくには家か族ぞくと呼よべる人ひとが、もう居いないから…マオが羨うらやましいな… }」
セロフィート
「 ふふふ。
案あん外がい早はやく、コートさんにも家か族ぞくが出で来きるかも知しれませんよ 」
コートナエイシッド
「 え?? 」
セロフィート
「 さて──、ワタシは掃そう除じをして来きます。
コートさんは掃そう除じが終おわるまで待まっていてください 」
コートナエイシッド
「{ ええっと──、掃そう除じって何ど処こを掃そう除じするんですか?
セロフィートさん?? }」
コートナエイシッドの問とい掛かけにセロフィートは答こたえなかった。
セロフィートは既すでに牢ろう屋やの中なかには居いなかったからだ。
◎ セロフィートの方が酷い事をしているので、セロフィートが「 酷い 」と言う資格はないんですけどね……。