♥ 初めての釜料理 4
──*──*──*── 厨房
パエリア鍋を持ち、流し台の前に立つ。
流し台に張られている分解水の中へ静かにパエリア鍋を沈めた。
そのままマオは、明日のサンドイッチに使うパンを作る事にした。
──*──*──*── パン焼き中
分解水で汚れが落ち、綺麗になっている食器,食具,調理器具を流し台の中から出す。
空気に触れると残った分解水が乾く為、水切りをする必要がなく、直ぐに運べるようになる。
乾いた食器,食具,調理器具を専用の台車へ移し、片付けた。
使い終わった台車を片付け、窯の前に立ち、パンの焼き具合をチェックする。
パンが焼き上がるには未だ時間が掛かりそうだ。
マオは食堂へ入り、カウンターの椅子に腰を下ろして座った。
マオ
「 …………そう言えば、夕食はどうするんだろう?
セロを怒らせちゃったわけだし、作ってくれないかも知れないな……。
お風呂だって今日は一緒に入れないかも……だよな。
………………はぁ〜〜〜〜 」
マオは両肩を落とし、ガッカリしながらパンが焼けるのを待つのだった。
──*──*──*── 17時頃
?
「 ──マオ、マオ…。
起きてください 」
マオ
「 ん〜〜〜……?? 」
?
「 何処で寝てますか 」
マオ
「 んん〜〜〜〜…… 」
?
「 ──マオ、起きなさい! 」
マオ
「 ふへっ?? 」
背中を強く揺さぶられたマオは、顔を上げた。
マオ
「 え〜〜〜と…………何?? 」
?
「 …………マオ、窯にパンを入れたまま寝てはいけません 」
マオ
「 へ??
パン?? 」
?
「 ……マオ、確りしなさい 」
マオ
「 ……………………パン??
パン……窯??
………………あっ!!
明日のパンっ!! 」
?
「 思い出しました? 」
マオ
「 ………………セロ??
えっ……セロ?!
何でセロが居るの?? 」
セロフィート
「 はあ?
マオの夕食を作る為ですけど? 」
マオ
「 え……?
オレの夕食?? 」
セロフィート
「 未だ寝惚けてます? 」
マオ
「 な、何でだよ! 」
セロフィート
「 はい?
どうしました? 」
マオ
「 ──だって……セロは、オレに怒って宿泊室に戻ったじゃないか!!
オレ……セロと一緒に夕食は出来ないって──、思って…諦めてたのに…… 」
セロフィート
「 何を言います。
夕食はワタシが作ると言ったでしょう?
マオの忘れん坊さん 」
マオ
「 ………………っ、セロ!! 」
マオは今にも泣きそうな表情になった。
両目に涙が溜まったまま、セロフィートの腰に抱き付いた。
セロフィート
「 マオ?
大丈夫です? 」
マオ
「 〜〜〜〜セロ、御免っ!!
でも……好きだっ!! 」
セロフィート
「 マオ……。
未だ寝惚けてます?? 」
マオの行動の意味が今一分からないセロフィートは、腰の辺りにギュッと抱き付いているマオの頭を優しく撫でてやる。
マオ
「 寝惚けてないよっ(////)
もう、バッチリ目は覚めたし! 」
セロフィート
「 それなら良かったです。
窯の中に入っていたパンは出しました 」
マオ
「 え?!
出してくれたの?!
有り難な、セロ(////)」
セロフィート
「 どう致しまして。
美味しく焼けてました。
焦げなくて良かったですね 」
──と言うのは、セロフィートの大嘘である。
実際には、マオの焼いていたパンは見るも無惨な真っ黒焦げになっていた。
台無しになったパンをセロフィートが〈 原質の源 〉へ変換し、新たに〈 原質の源 〉で構成したパンである。
マオ
「 う、うん……(////)
どのくらい寝ちゃってたんだろ?
焼き上がる迄に時間の掛かるパンだったのかな??
良かった(////)」
セロフィート
「 4本も焼いたんですね 」
マオ
「 うん。
結構使う予定だから作ったんだ! 」
セロフィート
「 マオは何を食べたいです? 」
マオ
「 ~~~~(////)
セロが作ってくれるなら、オレは何でもいいんだけど(////)
温かいクリーム煮とか食べたいかな〜〜〜 」
セロフィート
「 クリーム煮です?
──それなら、牛乳を使った白身魚と青野菜のクリーム煮を作りましょう。
クリームと粒マスタードのソースが美味しいチキンクリーム煮も作りましょう。
ベビーホタテと白菜のクリーム煮,たっぷり茸のクリームパスタ,丸ごとキャベツのクリーム煮,鶏胸肉の茸と馬鈴薯のクリーム煮,ふわふわ卵のクリーム煮も良いですね。
モサモサしますけど、パイ包みにしても美味しでしょうし 」
マオ
「 え〜〜〜!
そんな事言われたら、何れも食べたくなっちゃうじゃんか! 」
セロフィート
「 全部作ります。
楽しみにしてください 」
マオ
「 えっ?
いいの?!
やったぁ!! 」
セロフィート
「 ふふふ。
喜び方が子供ですよ、マオ 」
マオ
「 う、煩いよっ(////)」
セロフィート
「 はいはい。
料理が出来るまで、にゅいと温泉に入って来てはどうです? 」
マオ
「 ええっ?!
オレ、セロと入りたいよ! 」
セロフィート
「 我が儘言わないでください。
温泉から出たら直ぐに食べれるように作ります。
ゆっくり入って、温泉を堪能してください 」
マオ
「 う〜〜〜 」
セロフィート
「 にゅいも落ち込んでますし。
確り元気付けてあげてください 」
マオ
「 そう言えば……。
にゅいはちゃんとフィンに謝ったのかな? 」
セロフィート
「 どうでしょう?
宿泊室へ戻って確かめてみてはどうです? 」
マオ
「 …………分かったよ。
にゅいと入るよ…… 」
セロフィート
「 是非そうしてあげてください 」
マオはエプロンを外すと食堂を出た。