♥ 街中 3 / マギタ見習いの家 3 / 救出 3
仮面の男はマオに背中を向けると仲間の元へ向かって歩いて行った。
マオ
「 にゅい…小さくなって、オレの肩の上で彼奴等を監視しててくれないかな?
にゅいが大きいと落ち着いて話が出来ないんだ。
頼むよ、にゅい…… 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい?
にゅ〜〜〜にゅい。
にゅにゅにゅい? 」
マオ
「 分かったよ!
オレに危害を加えたら食べていいから!
その代わり、何もして来なかったら逃がしてやるんだぞ 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい〜〜♪♪♪ 」
マオから「 食べてもいい 」という許可をもらったにゅいは嬉しそうに体を、ぷるぷるぷるるん──と左右に振るわせた。
にゅいは体を小さくすると、マオの右肩の上へ飛び乗った。
マオ
「 にゅい、有り難な! 」
賢者の石:にゅい
「 にゅい〜〜〜(////)」
マオが指でにゅいを撫でるとにゅいは嬉しそうに鳴いた。
マオの右頬に体を寄せるとスリスリする。
マオ
「 あはっ(////)
擽ったいよ。
可愛いなぁ(////)」
懐いてくれるにゅいを指で撫でてあげながら、先程の3名がにゅいの中で溶かされ、完全に消化されてしまった事が何かの間違いで、嘘だったのではないかと思ってしまう。
3名が溶かされてしまう所をハッキリと見てしまったマオには、かなり衝撃的だったが、セロフィートが実に楽しそうに人間達磨を作る光景と見比べてみれば「 未だ、マシだな 」と思える光景ではある。
セロフィートは何故だか、人間を肥えさせ、両腕,両足を消し去り、人間達磨にしてしまうのが好きなのである。
何故、人間達磨が好きなのかというと、セロフィート曰く「 面白いから 」の一点に限るのだ。
マオ
「( ………………。
セロのする事に比べれば、にゅいのする事なんて……可愛いもんだよな? )」
仮面の男
「 待たせたな。
話を付けて来た。
お前には何もしない。
俺の仲間は見逃してくれ 」
マオ
「 そっちが約束を守ってくれたらいいんだ。
言っとくけど、 “ 約束は破る為にあるんだ ” ってのは無しだよ! 」
仮面の男
「 そんな事は言わない 」
マオ
「 ならいいけど…。
じゃあ、自己紹介からしよっか?
──オレは、マオ。
マオ・ユーグナルだよ。
オレの肩に乗ってるのはにゅいだよ。
信じてもらえるか分からないけど、にゅいは “ 賢者の石 ” なんだ 」
仮面の男
「 賢者の石だと??
馬鹿な事を言うな! 」
マオ
「( …………やっぱ信じてもらえないんだな〜〜〜。
『 信じろ 』って言う方が無理だよな〜〜…… )
アンタの質問に1つづつ答えるよ。
アンタの事は何て呼べばいいの? 」
仮面の男
「 …………ディクノシズムタだ。
仲間からは “ ムタ ” と呼ばれている 」
マオ
「 へぇ?
じゃあ、オレも “ ムタさん ” って呼んでいい? 」
ディクノシズムタ
「 構わない。
好きに呼べばいい 」
マオ
「 有り難う、ムタさん。
オレの事も “ マオ ” でいいよ。
あっ、敬称とかは付けなくていいから 」
ディクノシズムタ
「 分かった。
そうしよう 」
マオ
「 うん。
ええと……最初の質問の『 其の不可思議な生き物(?)は、お前のか 』に対しての答えだけど……。
にゅいはセロとオレの家族だよ 」
ディクノシズムタ
「 家族だと? 」
マオ
「 そっ。
今日出来た新しい家族なんだ。
──2つ目の質問の『 お前は何者だ 』に対しての答えだけど……。
オレは──、錬金術師なんだ。
見えないかも知れないけど、こう見えてもオレは……、 “ 偉大なる錬金術師 ” のマオ・ユーグナルだ!! 」
ディクノシズムタ
「 ………………。
そう…か…… 」
マオ
「( ──あっ…これ…信じてない目だ。
オレを疑ってる…。
いや、まぁ…仕方無いけどさ…… )
──3つ目の質問の『 何故、突然此処に現れた 』に対しての答えだけど……。
セロの転移魔法を使って此処に来たんだ。
──4つ目の質問の『 さっき消えた白い奴は、お前の仲間か 』に対しての答えだけど……。
セロはオレとにゅいの家族だよ。
セロは──、元素魔法の初級魔法 〜 極級魔法までを使いこなせる超越の魔法使いなんだ!!
転移魔法は超越の魔法使いにしか使えない凄い魔法なんだぞ!!
──5つ目の質問の『 俺達の仲間に何をした 』に対しての答えだけど……。
にゅいはオレを守護る為に……、オレに襲い掛かって来たムタさんの仲間を呑み込んでしまったんだ…。
生き物は…溶かして消化しちゃうんだ。
オレを『 守護るように 』って言うセロからの言い付けを守ってるから…。
──6つ目の質問の『 何故そいつから黄金が出て来た 』に対しての答えだけど……。
にゅいは賢者の石だから、呑み込んだ物体を黄金に変える事が出来るんだ。
黄金は本物の純金だよ。
オレは要らないから持って帰ってもらっても構わないよ 」
ディクノシズムタ
「 ………………。
そうか… 」