第9話 仲間の行方
集合場所は鍛冶屋2階の客室。木製の切れ目がかった机がドンと中央にあるだけで、一見みすぼらしく見えるが情報交換をするだけなので、多少配慮に欠けても問題はない。
地図がなく、道に迷い予定時刻より1時間遅くなってしまった。公式ガイドブックを家から持参すればよかったと本気で嘆く。
客間には窓から差し込む陽射しだけで誰もいなかった。部屋中央に虹色のシャボン玉が宙に浮いており、ゆっくりと触るとパンと弾けて天の声が聞こえた。
「ドレミがいないの。もしかしたら魔女の手先に襲撃されたかもしんない。ドレミが情報収集行ったカトリーヌ地方は最近内戦が多く、人間同士が不信になっていて、街全体が正常ではないのよ。あたし達3人は先に現地へ向かっているから、空豆も追っかけて来て。もう本当にドレミが心配」
「僕はどうでもいいんかーい」
脚を大きく振りかぶったら、靴が勢いよく脱げてしまい、ベランダ窓の外へと消えていった。そして外からのざわめく声が・・・
「上から来たぞ」
「新手の侵略者か?」
「違法投棄はドラゴンの火あぶりの刑とされている」
「秩序ない奴、今すぐひっ捕らえろ!」
明らかにやばそうな会話が聞こえたので、僕は階段をかけ滑り、鍛冶屋の裏口から人混みへと逃げた。
逃げて、逃げて、一旦昼寝してまた逃げた。