第8話 幼なじみのドレミ
目が細く、濃い眉毛に前髪が乱雑に被さっている。決して艶があるとは言えない黒髪に左上部に寝癖の型が付いている。乾燥しきった唇に、すらっとした鼻、女性経験がない僕そら豆が初めて好きになった2D女性、その女性がドレミ。
勇者ソラシドの幼なじみとして、農家の長女として大切に育てられ、明るく活発な彼女だったが、12歳の時に魔女メビシウスの業火によって、家、畑と家族を失い、禁欲規制のある孤児院に預けられた。
そして現在18歳にて家族の復讐を果てすべく、世界へと旅立った少女の姿は、素性を明かさない可憐で背が高く、黄金色と赤茶が混ざった腰まである髪が特長のもちもちとした肌・・・
列車が終着駅へ着いてしまった。ドレミの事を語るとトイレに行くのを忘れるくらい情熱愛になってしまう。
急ぎパジャマから紺色のくさびからびらと緑黄色のマント羽織い、ホームへと一歩足を踏み込む。ゲーム内でも青空は透き通って青く、湾岸から流れる風には海の香りがした。出航の時間が近づいているのか、船場通りへ向かう列が続いている。
「おっとごめんよ」
右膝に生温かい液体がかかる。通りすがりの小僧が鍋に入ったスープをこぼしてしまった。
「コカトリスの貴重な無農薬が〜」
悲痛の叫びと共に険悪な目が寄せられる。
「こっちが被害者だろ!!」
「こっちも被害者だい!! フーテン野郎!!」
小僧は罵声を言いながら路地へと消えた。なんてクソ野郎な都市だ。髪の毛に蜘蛛の巣がかかったようなイライラな気持ちだけが残った。