第5話 我が決意
「報酬はもちろん差し上げます。主に賞金にはなるんですが、あとゲーム内のものを一つ現世に持ち帰る事が出来ます」
ソラシドは机の上に散らばったお金を丁寧に集め、封筒に入れ、渡してきた。その丁寧な振る舞いと説明の仕方はゲーム案内人に思えてくる。
「気になる事がある。異世界で死んだらどうなる? そして僕は一度このゲームをクリアしたはずだ。君はこの先の冒険がどうなるのか知らないのか?」
「質問が好きなお方ですね。面倒くさいのでもう質問は終わりにしましょう。まず異世界で死んだら・・・もちろん即死ですよね。異世界に墓を作る事になります。二つ目の質問は確かに一回目のソラシドは今後の展開がどうなるか知っていると思いますが、僕は二回目のソラシドなんで知りません」
「そうか・・・ならいい。魔女退治させて頂こうじゃないかソラシドさんよー」
僕は投げやりにお金の入った封筒を掻っ攫った。ソラシドは一瞬きょとんとしたが、すぐに笑みを浮かべ、お辞儀をした。
この先目に見えた展開の冒険をクリアする事は容易い事だ。左手で鼻くそをほじくって、右手をポケットに手を突っ込んでいてもクリアする事が出来る。それに僕が容認したのはお金のためじゃない。もっと嬉しい事があるからだ。だが僕のこの甘い考えがとんでもない結果になるとは誰も知る由はなかった。