自己愛ラプソディー
私は貴方に真実を伝えない。だって伝えたら、貴方は壊れてしまう。
こんな残酷な真実を知るのは、未だ私だけでいいの。それまでは貴方には、甘い甘ァい優しい嘘を吐いてあげる。
貴方が今虐めいたぶり残虐非道なすべてを尽くしているその娘が、実は全くもって清廉潔白で何も悪いことをしていないなんて知ったら、貴方は傷付き慟哭し自らで自らを責めそして壊すでしょう。
私があの娘に酷いことをされたなんて言ったから、貴方は私を守るために、全力でもってあの娘を潰そうとしてくれている。
だから私は、貴方に嘘を吐き続けるの。
私は貴方を守るために、優しい優しいヤサシイ嘘を吐くわ。
最初は貴方もあの娘も悲しみのどん底に突き落とす予定だったけれど、貴方の騎士ぶりを見て考えを変えてあげたわ。
なんてなんてヤサシイ私!
最初は残酷な嘘を吐いたけれど、それ以降は優しい嘘なのよ。だって貴方が思った以上にあの娘を突き落としてくれたのだから、ヤサシイ私はご褒美をあげなくちゃ。
だから本当に極上のご褒美は、一番最後にとっておこう。そのご褒美は、自分へのモノなの。
ヤサシイヤサシイ嘘を吐き続けた私へのご褒美。
私へのご褒美は、私の騎士となって動く貴方へのご褒美になるはず。だって私の手足なのだから、喜びだって同じでしょう?だから最後に、とっておきのご褒美を私と貴方にあげるの。
――それは残酷な真実を貴方に伝えることができるというご褒美。
悲しみの底なんかより地獄の底なんかよりもっとヒドイトコロに、突き落としてアゲル。