受け入れて、
タッ タッ タッ タッ
私は走る。闇の中を走る。まるで何かに追われているかのように走る。
嗚呼、もう辺りは真っ暗だ。こんな暗闇、見たことがない。
今日の空は、そう言われてみると確かにおかしかった。
朝は、まるで泣き出してしまいそうな雲の色だったの。鈍い、とてつもなく鈍い灰色で、私は一瞬外に出るのを躊躇ったものだ。
昼は、とても明るかった。今朝の雲は何処へいったのかと不思議に思うくらい、光で満ち溢れていたわ。
もしかすると、それもおかしな空の動きの一つだったのかもしれない。
夕方、気付くと空は真っ赤に染まっていて。太陽なんて見えないのに、雲が血に染められたように赫かった。空気も、浸透していくように赤くなってゆき、幻想的な風景になった。しかし私は、その幻想が恐ろしくて恐ろしくてたまらなかったの。
そしてその後すぐに、真っ暗になった。闇が迫ってくるような気がして、私は恐怖を覚えて走り出したのだ。
だが、走る途中で気付いた――否、気付いてしまった。空は、人間と同じなのだということに。
辛いことがあって、朝は憂鬱で。昼は皆に心配をかけまいと空元気を出し、友達も明るくなるように暖かく接してくれる。しかし夕方になると、不安が込み上げてきて友達の存在を霞ませてしまう。そしてその辛さから血を流してしまうのだ。夜は不安に潰される。もう駄目だと思い、自分を必要以上に責めてしまう…。
そこまで考えた時、私の足は止まった。人間と同じであるならば、受け入れなければいけない。潰されてしまいそうならば、支えなければいけない。
そして振り向き、闇へと、足を進めた。
――私の存在は消え、空の支えとなった。
取り、込まれた…。