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僕と魔女さん  作者: 霧芽井
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第61話 ナナさん家の赤ちゃん大騒動 その六

 ふかふかでぬくぬくの空間。冬の朝のベッドの中は正に楽園。至福の時間を味わう私。でもそこに邪魔者登場。


「ナナ殿、朝ですぞ。起きてくださいナナ殿!」


「……うるさいね。もう少し寝させておくれよ。んふふ、ハルカ……」


「そうですか。ならお好きに。ですがお忘れですかナナ殿。ハルカ嬢は貴女の無駄に発達した乳房経由でないとミルクを飲まない事を。可哀想に、ハルカ嬢は今朝は朝食抜きになりますな」


「はい! 起きた! 起きたよ! もう完璧に起きたよ!」


 大慌てでベッドから飛び起きる。冗談じゃない、ハルカを朝飯抜きなんてさせられない。


「実に結構。おはようございますナナ殿。早く着替えてダイニングに来てください。朝食の準備が出来ておりますので」


 そう言ってハルカをおんぶしながら去って行くエスプレッソ。そうだね、さっさと着替えて朝飯にしよう。ハルカもお腹を空かせているだろうし。しかし、私の乳房経由じゃないとミルクを飲まないってのは困ったもんだね。甘えん坊と言うべきかね? ま、とにかく急がないとね。






「へぇ、今朝は洋食かい」


 テーブルの上にはスクランブルエッグとサラダの乗った皿とコンソメスープの入った皿、トーストの乗った皿が並んでいた。どれも見るからに旨そうで、良い匂いが漂っている。ムカつく奴だけど相変わらず良い腕してるよエスプレッソは。スイーツブルグ侯爵家を300年に渡り支えてきた、名執事だけはある。さて、さっさと頂くかね。私に続いてエスプレッソも席に付き、朝飯を摂り始める。


「昨日が和食でしたからな。本当はだし巻き卵を作ろうかと思ったのですが、さすがにハルカ嬢のあの味は私にも出せないので。何かコツが有るのでしょう。ぜひ、知りたいものですな」


「あぁ、その辺は無理だと思うよ。あの子、料理のレシピに関してはかなりの秘密主義だからね。色々と努力してるし」


「そうですか。それは残念。とはいえ、苦労して編み出したレシピはそう簡単には教えたくないのもまた、事実ですな」


 感心するエスプレッソ。いや、本当にあの子は料理に並々ならぬ情熱を燃やしているからね。魔女専門の通販サイト『ア魔女ン』で料理のレシピ本やら調味料やら色々買っているし。


「しかし、ナナ殿。その食事の仕方はいささか、横着ではありませんか?」


「仕方ないだろ。私は今、両手がふさがっているんだからさ」


 私の食事の仕方にケチを付けるエスプレッソ。まぁ、確かに行儀は良くないけどさ。でも仕方ない。何せ、今、私はハルカを抱いて授乳中。ハルカは夢中になって私のおっぱいを吸っている。この状況では両手が使えない。そこで念動力を使って食事をしている。


 おや、ハルカが気付いた様だね。トーストが宙に浮き、その上にスクランブルエッグが乗って私の口元にやってきたのを不思議そうに見ている。そして宙に浮いているトーストに向かって手を伸ばす。


「どうしたんだい? ハルカ。トーストが気になるのかい?」


「あい!」


 あれ? 今、この子返事しなかったかい? まぁ、ハルカだからね。色々と規格外なんだろう。でも、今のハルカにトーストは無理だからね。まだ噛んで食べられないし。


「悪いけどハルカ。今のあんたにトーストはまだ早いよ。元に戻ってからにしようね」


「む~」


 諭すものの、ハルカは不満そう。何か、赤ん坊になってからは随分とわがままだね。普段は控え目なんだけど。それを見ていたエスプレッソ。


「赤ちゃんになった事で、普段は抑え込んでいる願望が表に出てきたのでは? せっかくの機会です、思い切り甘えさせてあげてはいかがです、ナナ殿」


「言われずとも、そのつもりさ。さぁ、ハルカ。早く朝飯を済ませてママと遊ぼうね」


「あい、まま」


「家事を手伝う気は無いのですなナナ殿」


「うるさい!」


 余計な事言って、水を差すんじゃないよ。






「ほら、ハルカこっち向いて。よし、その表情頂き。うんうん、可愛いよハルカ。さ、もう一枚いってみようか?」


「貴女も飽きませんな、ナナ殿。一体、何枚写真を撮られる気ですか?」


「うるさいね。こんなに小さくて可愛いハルカを愛でる事が出来るんだ。飽きる訳無いだろ。それに赤ん坊になったハルカの写真を撮れる機会なんて、今後有るか分からないしね。おっと動画も撮らないと。あ~、可愛いよハルカ」


「やれやれ。まぁ、ハルカ嬢の負担にならない様、ほどほどになさる事です」


 朝飯を済ませた後、ふと思い立ち、ハルカの撮影会を開始。私特製のカメラを持ち出し可愛いハルカの姿を撮りまくる。エスプレッソがごちゃごちゃ言ってるが知った事か。可愛いハルカを愛でないなど罪だ。ちなみに今、ハルカはお気に入りの小さなヒヨコのぬいぐるみを手にご満悦。ハルカの部屋からわざわざ持ってきたんだけど、私はそのぬいぐるみが気に入らない。なぜなら……。


『イサムとか言うあのオカマ小僧からのプレゼントだからだ』


 あのオカマ小僧、明らかにハルカを狙っているからね。冗談じゃない、男なんかにハルカを渡してたまるか。ハルカは私の物だ。ハルカの『初めて』は私が美味しく頂くんだ。その為にも手塩にかけて育てているんだからね。そんな事を思っていたら、ハルカが私の服の裾を引っ張る。


「まま。おちょと、おちょと」


 そう言って、窓を指差す。は? おちょと? 言われて窓を見る。外は見事な青空。急に雨が降りだした訳でもなし。何がしたいんだい? あ、もしかして外に出たいのかも。私はハルカに問いかける。


「ハルカ、あんた外に行きたいのかい?」


「あい」


 その通りらしい。さて、どうする? あまり外に出歩きたくないんだけどね。寒いのは私の力でどうにでもなるが、年末で何かと立て込んでいる時期だしね。厄介事に巻き込まれるのは嫌だし。でも、ハルカは私の心中などお構い無し。


「やぁん! おちょと、おちょと~!」


 また泣き出した。冷気の嵐付きで。


「分かった! 分かったから、泣くのは止めて!」


 全く、赤ん坊になってからは本当にわがままになっちまって。なんとかなだめて、出かける準備。もっとも、子連れで出かけるなんて、未知の領域だからね。ここは経験者にアドバイスを貰おう。


「どこに行ったら良いと思う? エスプレッソ」


「そうですな。赤ちゃん連れの散歩ならば、ここからしばらく行った公園がよろしいかと。子供連れや、赤ちゃん連れのお母様方に人気の場所です。綺麗な公園な上、トイレにオムツの交換所が有ったりと何かと設備が充実しておりますので」


「へぇ、そりゃ良いね。よし、そこにするかね」


「私も同行致します。もしもの事態に備えませんとな」


「まぁね。それじゃ、さっさと行くよ」


「あい!」


「フフフ、元気なお返事ですな、ハルカ嬢」


 こうして、散歩に出る事にした私達。考えてみれば、21日の昼にハルカが赤ん坊になって、外に出たのは買い物に出た1回だけだからね。ハルカも外で羽を伸ばしたいんだろうね。






 で、やって来た公園。この寒い中、ガキ共が遊んでいる。元気なこった。それにしても良い公園だね。広いし、綺麗だし、設備も整っている。とりあえず、手近なベンチに座って一休み。おぶっていたハルカを抱く。


「なかなか良い公園じゃないか、エスプレッソ」


「ナナ殿もそう思われますか。ちなみにこの公園は17年前の戦争終了後の区画整備の一環で造られました」


「戦争の結果、この公園が出来たのかい。何とも皮肉なもんだね」


「戦争でこの辺りは焼き払われてしまいましたからな。新しく何かを造るには好都合だったので」


 それっきり黙る私とエスプレッソ。あまり楽しい話題じゃないしね。17年前は焦土だったこの辺りが今では立派な公園。ガキ共はそんな事知らないのか、元気に走り回る。


 わずか17年でここまで国を建て直すとはね。現、国王がかなりのやり手って話は本当の様だね。ん? ガキ共がこっちに来たね。


「あ、赤ちゃんだ」


「可愛い~」


「ねぇねぇ、おばちゃんの子?」


 ハルカを目ざとく見つけたらしく、興味津々といった感じで見ている。ハルカは可愛いからね、注目を集めるのも当然だね。


「ふふん、可愛いだろ? ま、私の子供じゃないけどさ。後、誰がおばちゃんだ! お姉さんと言え!」


 するとガキ共、すっかりビビって泣きそうになる。根性無しなガキ共だね。


「ナナ殿、子供相手にやり過ぎです。あぁ、君達泣かないで。ほら、これをどうぞ」


 エスプレッソがガキ共にお菓子を渡す。また、随分とありきたりな手だね。でも、効果は有った。エスプレッソが渡したのは、庶民じゃ決して口に出来ない、貴族御用達の高級チョコだったからね。こうしてチョコで場を収めた後、ガキ共から散々、質問攻めにあったよ。やれ、どこに住んでいるのか?、2人は結婚しているのか?、ハルカは誰の子か? とか。しまいには、遊びに付き合わされたし。その辺はエスプレッソが相手してくれたけどね。そんなこんなで、昼近くまで公園で過ごしたよ。






「さて、そろそろ昼だし、帰るとするかい。腹も減ったし」


 ガキ共の相手をしたり、母親連中と世間話をしたりして過ごしていたけれど、いい加減、帰らないとね。


「ふむ、そうですな。提案ですがナナ殿。この近くに良いカフェが有ります。今日の昼食はそこに致しませんか?」


「カフェねぇ。私は酒が飲みたいんだけど」


 カフェじゃ、酒やツマミは期待出来ないからね。理想はハルカの作ったツマミを食べながら、ハルカに酌をして貰って酒を飲む事だけど。するとエスプレッソが不機嫌顔。


「ナナ殿、貴女は日中から飲酒をなさる気ですか? 貴女はハルカ嬢の保護者でしょう、もっと保護者としての自覚を持ちなさい! ましてや今は、擬似的とはいえ、ハルカ嬢に授乳している身でしょう。自重なさい!」


「悪かったよ。そんなに怒らなくても良いだろ」


「現状、ハルカ嬢がナナ殿を叱れませんからな。僭越ながら、私が代役を務めさせて頂きました」


「……そんなもん、代役を務めるな」


「何か文句でも?」


「別に!」


 全く、ハルカが赤ん坊になってガミガミ言われなくて済むと思っていたのに、これじゃ変わらないよ。するとハルカがもぞもぞ。


「どうしたんだい? ハルカ」


「まま、ちゅうちゅう」


 また、よく分からない赤ちゃん語が出てきた。ちゅうちゅう?


「ちゅうちゅう~!」


 言葉の意味に首をひねっていたら、ぐずり始めた。ヤバい! 早く意味を理解しないと。


「ナナ殿、落ち着いて。ハルカ嬢はお腹が空いたのは? ちゅうちゅうとは、ハルカ嬢なりにミルクを吸う事を表現したのでしょう」


 エスプレッソが赤ちゃん語を解読してくれたものの、ミルクなんて持ってきてないよ。うかつだった。でも、そこは敏腕執事エスプレッソ。


「こんな事も有ろうかと、ミルクを用意しておきました。ほら、ナナ殿出番です」


「ちょっと待て! 私にこの場でハルカに授乳しろってのかい?!」


「迷っている暇は有りません。早く!」


「くそっ! 分かったよ! ほら、ハルカ飲みな」


 早くミルクを飲ませないと、ハルカが泣いて冷気の嵐が巻き起こって大惨事になる。そんな事させる訳にはいかない。ハルカの為なら、外で胸を晒すぐらい安いもんだ。


「ちゅうちゅう♪」


 嬉しそうに私の乳房に吸い付くハルカ。さっそくミルクを飲み始める。おら、ガキ共、じろじろ見るんじゃないよ! 後、おっぱい、おっぱい騒ぐな! 見世物じゃないよ! それと母親連中、微笑ましい親子の光景って言うな! ついでに言うと、私とエスプレッソは夫婦じゃない! と、言いたいがハルカがミルクを飲んでいる以上、騒ぐ訳にもいかず。結局、ハルカが満足するまで、周りからの温かい視線を浴び続ける事になった。コラ! エスプレッソ、笑うな!






「あ~恥ずかしかった。全く、あのガキ共、騒ぎ立てやがって。やっぱり1発ぐらい殴っておけば良かった」


「ナナ殿、子供相手に暴力はいけません。まぁ、罪を犯したならば徹底的に痛め付けますが。それこそ、産まれてきた事を後悔する程に」


「……あんたも大概えげつないね」


「いやなに、痛い目に会わないと学びませんからな」


 現在、エスプレッソの提案したカフェで一息付いている。本当は酒が飲みたいんだけどね。さすがに赤ん坊連れじゃあね。ちなみにハルカはミルクを飲んでお腹一杯になったらしく眠ってしまった。すると店員が注文を聞いてきた。


「いらっしゃいませ、ご注文は?」


「私はコーヒーとミックスサンドを」


 エスプレッソはさっさと注文を言う。さて、私は何にするかね。肉料理をがっつりと食べたいんだけど、カフェだからね。私はメニューを見ながら考える。よし、これにするか。


「ミートグラタンとカツサンド。それにカフェオレ、大サイズで」


 少々物足りないが、肉系のメニューを頼む。カフェオレも大サイズだ。


「ご注文を確認致します。コーヒーとミックスサンド。ミートグラタンとカツサンドとカフェオレ大サイズ。以上でよろしいでしょうか?」


 店員が注文の確認を取り、私達がそれに返す。すると、店員がハルカを見て言った。


「あら、可愛い赤ちゃんですね。お二人のお子さんですか?」


「あぁ、その子は……」


 そこまで言いかけた所でハルカが目を覚ました。で、開口一番。


「まま」


 やれやれ、真っ先に言う事がそれかい? 店員も温かい眼差しでハルカを見ている。


「あらあら、甘えん坊さんですね。ママの事が大好きみたいですね」


「……まぁね。とにかく、早く注文の品を頼むよ」


 何だか恥ずかしいやら、照れ臭いやら。どうもママ呼ばわりは慣れないよ。そこに余計な口出しをするエスプレッソ。


「すみません、カフェオレ大サイズですが、キャンセルしてください。代わりに野菜ジュース大サイズをお願いします」


「ちょっと待てエスプレッソ! 勝手に私の注文を変えるな!」


「ナナ殿が野菜を食べてくれないから困るとハルカ嬢が言っておられたので」


「う……」


 それを言われると返す言葉も無い。ハルカに度々言われているしね。


「あの、ご注文はカフェオレ大サイズを野菜ジュース大サイズに変更でよろしいでしょうか?」


 店員が確認を取ってきた。カフェオレ大サイズを野菜ジュース大サイズに変えたからね。


「はい、注文は以上で」


 エスプレッソが店員に告げ、彼女は帰っていった。くそ、酒が飲めない上に、野菜ジュースを飲む羽目になるなんて。全く、ハルカは余計な事を喋りやがって。ブスッとしているとエスプレッソにたしなめられた。


「ナナ殿、そんな顔をなさらないでください。ハルカ嬢は貴女の健康を考えられての事です」


「……分かってるよ、それぐらい」


 あの子が私の健康に気を使っている事は良く知っている。本当に良い子だよ。でもね、嫌いな物は嫌いなんだよ。ま、その辺はハルカも色々工夫しているけれど。この前作ってくれた黒酢あんかけ酢豚は美味かったねぇ。あぁ、ハルカの料理が食べたい。






 待つ事しばらく、注文の品が運ばれてきた。へぇ、エスプレッソが言う店だけは有るね。ミートグラタンはこんがり焼き上がったアツアツで、カツサンドも香ばしい揚げたてのカツの香りとソースの香りが食欲をそそる。どれ、グラタンから行くかね。フォークで一口。


「アチチチ! ふん、ハルカの料理には劣るけど、なかなか良い線いってるね」


 続いてカツサンド。揚げたてサクサクのカツとソース、パンが見事に噛み合う。こりゃ、旨いね。で、最後に野菜ジュース。飲みたくないんだけどね。でも、飲んでびっくり! 旨い! 良く有りがちな青臭くて、のど越しの悪い奴を想像していたら、全然、青臭さが無い上に、のど越しサラサラ。これなら飲める。


「お気に召されましたか? ナナ殿」


「まぁね。ハルカの料理には劣るけど、悪くないね」


 正直に感想を述べる。癪に触るがさすがはエスプレッソだ。良い店を知っている。ハルカが元に戻ったら連れてきてやろう。そう思っていた、その時。向こうの方で何やら騒ぎ。見れば、銃を持った男が人質を取って立て込もっていた。ん? あの人質に取られているのは、公園で会ったガキ共の1人じゃないか。私がハルカに授乳している時に、おっぱい、おっぱい騒いでいた奴。銃を突き付けられて、真っ青になっている。


「強盗……ではなさそうだね」


 どうも、金目当てには見えない犯人。それにエスプレッソが答える。


「恐らく、反体制派のテロリストですな。まぁ、この手の輩は昔から絶えた事が有りませんが」


 確かに。こういう奴らはいなくなった試しが無い。私としては別段、放っておいても構わないんだけどね……。私は傍らにいるハルカを見る。ふん、ハルカが見ている前で、何もしないって訳にはいかないね。普段のハルカなら、きっと助けに入っただろうし。私は店員を呼ぶ。


「悪いけど、このカツサンド持ち帰りで」


 あぁ、くそっ。カツサンドはともかく、ミートグラタンは諦めるか。もったいないね。


「ナナ殿、ここは私が……」


 私がテロリスト退治をしようとしているのを察し、エスプレッソが申し出てくるが、私はそれを遮る。


「エスプレッソ、あんたはハルカを頼むよ。何、あの程度の雑魚なんぞすぐに片付けるさ。それじゃ、行ってくる。代金は立て替えとくれ。後で返すから」


 そう言うなり、私はカフェを出た。で、テロリストだけど、3人組だったが速攻でボコボコにして鎮圧してやった。昔なら殺していたんだけどね。さすがに赤ん坊になったハルカに授乳している身で血の匂いをプンプンさせる訳にもいかないし。一応、顔は隠しておいたし、私の事はバレないだろう。テロリスト共は縛り上げた上で、騎士団に連絡したし、後は任せよう。






「鮮やかなお手並みでしたな、ナナ殿」


 事を済ませて脱出した後、カフェの前でハルカを抱っこしたエスプレッソが待っていた。


「ふん、見てたのかい? 覗きとは悪趣味だね」


「いえいえ、もしもに備えての事です。執事たる者、不測の事態にも即座に対応出来ませんとな」


「大きなお世話だよ。あの程度の雑魚にやられる様じゃハルカの師匠は務まらないさ」


「ごもっとも。あぁ、ナナ殿。これは持ち帰りのカツサンドです。後、立て替えた代金の支払いをお願いします」


「普通、こういう時は男が奢るもんじゃないかい?」


 エスプレッソからカツサンドの入った紙袋を受け取りながら言う。


「代金を立て替える様に言ったのはナナ殿でしょう?」


 サラッと返すエスプレッソ。確かに私はそう言ったけど、ケチな奴だね。


「まま、おんぶ、おんぶ」


 あ、またハルカがおねだりしてるよ。はいはい、分かった。おんぶね。


「エスプレッソ、頼むよ」


「承知しました」


 こうして、エスプレッソに手伝って貰いおんぶ紐をセットしてハルカをおんぶする私。


「まま♪ まま♪」


 私の背中で大喜びのハルカ。あのさ、あんまり暴れないでくれないかい? 結構、辛いんだけど。


「さて、そろそろ帰りましょうナナ殿」


「そうだね。帰ろう」


 ふぅ、ハルカを連れての散歩のはずが、とんだ内容になったね。






 そして夕方。エスプレッソは夕飯の支度を始め、私はハルカの相手。


「明日は24日、クリスマスイブか。ファムからは一向に連絡が来ないし、一体どうなっているんだろうね? このままじゃ、クリスマスパーティーに間に合わないじゃないか」


 ハルカの相手をしながらも、ファムから何の音沙汰も無い事を愚痴る。


「ナナ殿、それは言っても仕方の無い事です。突然、赤ちゃんになってしまうなど、あまりに異常な事件なのですから。ここはファム殿を信じて待つしかありますまい」


 その愚痴をエスプレッソにたしなめられるが、私は待ちきれないんだよ! ハルカはクリスマスパーティーをとても楽しみにしていたんだからね。私もハルカの作ったご馳走が楽しみだし。


「分かってるけどさ。でも……」


 そこまで言った時だった。


『ナナちゃん……解毒…剤。出来たよ……。今……から行く……か…ら……』


 ファムから念話が届いた。しかし、途切れ途切れのそれは、ファムが疲労困憊の状態である事を伝えてきた。


『ちょっとファム! あんた大丈夫かい? 待ってな、私が受け取りに行くから!』


 急いで返信の念話を送ると更に返信が来た。


『それじゃ……、迎えに…来て…くれる……? 最終調整……はアタシが…直々に……やらな…いといけな……いから……』


『分かったから! すぐに行くから無理するんじゃないよ!』


『うん……お…願い……』


 そして念話は終了。まずいね、これじゃハルカを治す前に犠牲者が増えるよ! 私はエスプレッソに声をかける。


「エスプレッソ! 今、ファムから念話が来た。解毒剤が出来たって。でも、ファムがボロボロの状態なんだ。迎えに行ってくる!」


「承知しました。ハルカ嬢は私が預かります。ナナ殿は早くファム殿の元へ」


「分かった。ハルカを頼むよ。それじゃ、行ってくる!」


 念の為、エスプレッソにハルカを預け、ファムの家まで空間転移で飛ぶ。するとファムは調剤室で様々なガラクタまみれになって倒れていた。その手には、何やら液体の入った小瓶。


「ファム! しっかりしな! 迎えに来たよ!」


「あ……来てくれたんだ……。とりあえず……ナナちゃんの家へ……」


「分かってる。ほら、行くよ!」


 ボロボロの状態のファムに肩を貸し、私の屋敷へと再び空間転移。待ってなハルカ。もうすぐ、元に戻してやるからね。






「ただいま、エスプレッソ」


「戻ってこられましたかナナ殿。む、これはいけませんな。まずはファム殿を休ませないと。とりあえず、ソファーに運びましょう」


「そうだね」


 ファムを連れて屋敷に戻ってきたものの、ファムはもう限界の状態。一旦、休ませないと。ハルカを元に戻す為にはファムの力が不可欠。無理して失敗したら意味が無い。エスプレッソがファムを抱き上げ、リビングのソファーに運んで寝かせる。ファムの奴、相当な無理をしたんだね。目の下には酷いクマが出来、顔もやつれていた。自慢の赤毛の髪も艶を失いバサバサだし。


「ファム、無理させて済まなかったね」


 私、秘蔵の点滴をファムに打つ。点滴は良く効くからね。しばらくは寝かせてやろう。





 それから2時間程。やっとファムが目を覚ました。


「お目覚めかい? ファム」


「おはよう……って言うには時間帯が合わないよね。後、点滴、ありがと」


 自身の腕に刺さっている点滴の針を見ながら言うファム。さすがは表稼業が医者だけあって、手慣れた様子で針を抜く。


「さっそくで悪いけど、解毒剤は出来たんだよね?」


 私は一番の重要事項について確認を取る。これで『実は嘘』と言われた日には、私の怒りが天を衝き、地を砕き、海を裂くだろう。最低でも、世界を100億回は滅ぼせる勢いで。オラ、さっさと答えろ。するとファムは何やら歯切れが悪い。


「その事なんだけどさ、確かに解毒剤は出来たよ。でも……」


「でも? でもってなんだい? まさか、失敗したとか言わないだろうね?!」


 思わずファムに詰め寄る。冗談じゃない! 私はずっと解毒剤の完成を待っていたんだ! この期に及んで失敗したなんて、洒落にならない。するとファムは心底、申し訳なさそうに答えた。


「ナナちゃん。アタシ、全力を持ってハルカの血液を調べて解毒剤を作ったんだけど、残念だけど完璧な解毒剤は無理だったの。この解毒剤を投与して元に戻る確率は40%ぐらいかな?」


 それを聞いて、私はファムに掴みかかった。


「ふざけるな! 完璧な解毒剤が作れなかった? 元に戻る確率が40%ぐらいかな? あんた私をなめてるのかい?!」


「ちょっと! ナナちゃんやめて!」


 ファムが悲鳴を上げるが、知った事か! 更に締め上げようとしたが、そこへ飛んできた食事用フォーク4本。即座に片手で受け止めるが、そのせいでファムを締め上げる力が緩んだ。その隙に私から離れるファム。派手に咳き込んでいるが、それよりもだ。


「邪魔するんじゃないよ! エスプレッソ!」


 私は邪魔者を睨み付ける。もっとも、エスプレッソは顔色一つ変えないが。


「ナナ殿、落ち着いてください。お気持ちは分かりますが、ここはファム殿の話を聞きましょう。貴女もファム殿が名医である事は良くご存知のはず。ましてや、ハルカ嬢絡みの事で手抜きをするなど有り得ません」


 いつも通りの冷静さで正論を説くエスプレッソ。確かにその通りだ。つい、頭に血が登ってしまった。


「ほら、ハルカ嬢が怖がっていますよ。ママが怖い顔をしていてはいけません」


 見ればハルカが怯えていた。私とした事が……。


「悪かったよファム。ハルカも怖がらせてごめんよ」


 私はファムとハルカ、両方に謝る。謝罪もハルカに言われてする様になったんだよね。


「ゲホゲホ。……アタシこそゴメンね。不完全な解毒剤しか作れなくて」


 ファムも私に謝罪し、エスプレッソがその場を締める。


「とりあえず、ダイニングに行きましょう。ファム殿は夕食がまだでしょう? ご一緒にどうぞ。そこで詳しい話を聞かせて頂きましょう」


 そういえば、そうだった。ファムが寝てるのに私達だけが夕飯を食うのもなんだからと起きるのを待っていたんだ。腹が減ると余計にイラつくからね。まずは夕飯、夕飯。こうしてダイニングに向かう私達だった。






「で、ファム。どうして完璧な解毒剤が作れなかったんだい?」


「私もそこが気になりますな。ファム殿程の名医が完璧な解毒剤を作れないとは、尋常ではありません」


 夕飯の席。エスプレッソの作ったうどんをズルズルすすりながら、ファムに話を聞く。エスプレッソの言う様に最高クラスの医者であるファムが完璧な解毒剤を作れないのはおかしい。


「それなんだけどね、貰ったハルカちゃんの血液サンプルと、アタシの持つ魔王達のデータを元に、解毒剤を作ろうとしたんだけど……」


 またしても、気まずそうなファム。私は続きを促す。


「何が有ったんだい?」


「驚かないでね。ハルカちゃんの魔王の因子はアタシの持つ魔王達のデータとまるでかけ離れていたの」


「どういう事ですかな、それは?」


 私に代わり、エスプレッソが訊ね、ファムが答える。


「はっきり言うよ。ハルカちゃんと比べたら、他の魔王なんてゴミクズ。確か、ハルカちゃんは太古の魔王『魔氷女王』のデータを元に創られた身体を与えられたんだよね。やはり、噂は本当だったみたい。太古の神や魔王は今の神や魔王より遥かに強かったって。というか、上位種だって。今の神や魔王のほとんどは太古の神や魔王によって生み出された『劣化コピー』でしかないって」


 ファムが告げたのは恐ろしい事実だった。今の神や魔王は太古の神や魔王の劣化コピーに過ぎない。これは昔から陰ながらに言われていた事だ。だが、決して表沙汰になる事は無かった。そんな事が表沙汰になったら、間違いなく世の中が引っくり返る。もっとも、太古の神や魔王の存在の証明が無いのもまた事実。故に、太古の神や魔王は夢物語とされてきた。が、ハルカの存在がそれを打ち砕く。少なくとも太古の魔王は存在したのだ。もし、バレたらえらい事になる。そしてファムは続ける。


「いくらアタシでも、太古の魔王なんて未知の領域はね。最善は尽くしたけど、さっきも言った様に不完全な解毒剤しか作れなかったの。本当にごめん」


 そう言ってうなだれるファム。自分の無力を心底、悔いているのが私にも分かった。


「顔を上げなファム。あんたはハルカの為に最善を尽くしてくれた。ならば私は何も言わない。さぁ、さっさとうどんを食って、ハルカに解毒剤を投与しよう。私はいい加減、待ちくたびれているからね」


「……ありがとう、ナナちゃん」


 涙ぐむファム。こいつもハルカと知り合ってから随分とキャラが変わったね。昔なら、平気でハルカを解剖して研究サンプルにしていただろうに。


「大人になられましたな、ナナ殿」


「うるさい、私は大人だ」


 エスプレッソに毎度の茶々を入れられたけど。さぁ、もうすぐ解毒剤投与だ。頼むから元に戻っておくれよ。






 夕飯のうどんを食べ終え、場所はハルカの部屋。いよいよ、ハルカに解毒剤を投与する。注射器で注入するとの事で、ファムがハルカの腕をアルコールを含んだ綿で消毒。ちなみにハルカが元のサイズに戻った時の事を考え、自分のベッドに寝かせている。


「最初に断っておくけど、この解毒剤はこれが最初で最後。アタシの持つ素材の中でも最高の物を。中には絶滅したり、世界そのものが無くなってもう二度と手に入らない物も使ったから」


「1回きりの勝負って事かい。分かったよ、ファム。どんな結果になろうが、あんたを恨んだりしないさ」


「ありがとう、ナナちゃん。それじゃいくよ。ハルカちゃん、ちょっと痛いけど我慢してね」


 そう言って、ファムが解毒剤をハルカに注入。さて、どうなる? 私達は固唾を飲んで結果を見守る。


「ファム、どれぐらいで効果が出るんだい?」


「早ければ、2~3分。遅くても10分ぐらいで効果が出るはず。効果が有ればだけど……」


 訊ねる私に弱気な返事をするファム。未知の領域たる、太古の魔王の身体を持つハルカだからね。


「ここは成功を祈るしかありますまい」


 エスプレッソも真剣な眼差しでハルカを見守る。頼む、どうか元に戻っておくれ。時には叱られたり、喧嘩もするけど、私にハルカとのいつもの暮らしを返して欲しい。だが……。


 見守る事、5分、10分、そして、30分。何の変化も起きなかった。


「ごめん……どうやら失敗みたい……」


 うつむき、身体を震わせるファム。顔は見えないが涙がいくつも落ち、床に染みを作る。


「……………………!!!」


 私は怒り、悲しみ、絶望、悔しさ等が入り交じったやり場の無い感情に苛まれていた。ハルカが元に戻らなかった。その事実が私を打ちのめす。いつの間にか、私は愛用の魔水晶のナイフを手にしていた。だが、その手を止められる。


「ナナ殿……ダメです……」


「……エスプレッソ。ハルカが……ハルカが……」


 堪えきれない涙が溢れてくる。ファムでもハルカを元に戻せなかった。すなわち、ハルカを元に戻す事は絶望的という事だからだ。悲痛な空気が辺りを包む。エスプレッソさえも普段の余裕が消え、沈痛な表情を浮かべる。そんな中、聞こえてきた声。


「まま、ちゅうちゅう」


 ハルカだ。どうやら、お腹が空いたらしい。ミルクのおねだりをしている。その声に私は我に帰る。何を絶望していたんだ私は。ハルカは生きている。赤ん坊になったのなら、私が育てれば良いだけだ。私は言ったじゃないか。ハルカは私が育てると。私は2人に声をかける。


「あんた達、しみったれてるんじゃないよ! ほら、エスプレッソ。ハルカがミルクを飲みたがってるんだ。さっさとミルクを持ってきな! ファムもメソメソするんじゃないよ!」


 言われて2人も気分を切り替える。この辺はさすがだね。


「承知しました。少々お待ちを」


 エスプレッソは急いでキッチンに向かい、ファムも泣き止む。


「……うん。ごめんね、ナナちゃん」


「ふん、あんまりメソメソされて、ハルカにまで泣かれたら困るからね」


 そしてベッドに腰掛け、ハルカをあやす。ハルカは無邪気に私にじゃれついてくる。いい気なもんだよ。そうしている内にエスプレッソがミルクの入った哺乳瓶を持って来た。


「お待たせしました。ミルクです」


「もっと早く持って来な。ほら、ハルカ、ミルクだよ」


 さっそく、自慢の巨乳を出すと嬉しそうに吸い付くハルカ。美味しそうにミルクを飲み始める。それを見守っていたんだけど、妙な事が起きた。


「あれ?」


「どうしたの? ナナちゃん」


 異変に気付いた私にファムが訊ねる。


「いや、何だかハルカが重くなってる様な。気のせいかね?」


 するとエスプレッソが珍しく大声を上げる。


「ナナ殿! ハルカ嬢が!」


「え? ええっ?!」


 その声に戸惑っていると、劇的な変化が起きた。ハルカがみるみる内に成長していく。そして、最後には元に戻ったハルカの姿が有った。まぁ、それは良かったんだけどね……。


「ん……あれ……? ここは? ナナさん?」


  目を覚ましたものの、まだぼんやりしているハルカ。自分の状況が掴めないらしい。でも、だんだん頭がはっきりしてきたらしく、自分の状況を把握する。そう、自分が『全裸』である事に。ほら、さっきまで赤ん坊だったからね。元に戻った事で着ていたベビー服が破れちまったから。で、ハルカは物凄く怒っていたりする。気付けば、エスプレッソとファムはいない。あいつら逃げたな! いや、それよりも今は目の前の魔王様の怒りを鎮め……あ、間に合わない。


『僕を裸にして何してたんですか~~~~っ!!!!!』


「ギャアアアアアアアアアア!!!」


 ハルカの大激怒の冷気の嵐が吹き荒れるのだった。うぅ……理不尽だ。






 こうして、ハルカ赤ちゃん化事件は幕を閉じた。何故、ハルカが解毒剤を投与しても元に戻らなかったのに、ミルクを飲んだ後、元に戻ったかはファムにも分からないらしい。エスプレッソいわく、太古の魔王は私達の理解を超えているのだろうと。


 そして、私はハルカから散々に説教をされまくった。主に部屋の片付けについて。まぁ、ハルカも勝手に栄養ドリンクを飲んだ事を謝ったが。


 で、その夜。


 既に夜中の2時だが、私はなんとなく寝付けず、ベッドでゴロゴロしていた。そんな中、聞こえてきた音。


 ガチャ、パタパタ……ガチャン。……ジャー……


 どうやら、ハルカがトイレに行ったみたいだね。すると。


 ガチャン……パタパタ……ガチャ


「は?」


 思わず間抜けな声を出す。ハルカがドアを開け、私の部屋に入ってきたのだ。トロンとした目付きから見て、寝ぼけているらしい。


「ちょっと、ハルカ。寝ぼけているのかい? あんたの部屋は隣だろ」


 そう言うが、寝ぼけているハルカには効果無し。構わずに私のベッドに潜り込んできた。


「あぁ、もぅ。しっかりしな」


 起こそうとするが、ここで予想外の行動をしてきた。


 薄目を開けて私を見ると、何だか嬉しそうな顔をして、一言。


「ちゅうちゅう♪」


 私の乳房に吸い付いてきた。


「こら、ハルカ。あんたやめな!」


 だが、いくら言っても聞かない。夢中になって吸い続ける。そうこうしている内にやがてスゥスゥ寝息を立てて寝てしまった。


「やれやれ、世話の焼ける子だね。17にもなってまだ乳離れ出来てないのかね?」


 ぼやいていると、ハルカが寝言を言った。


「母さん……」


 それを聞いて複雑な気持ちになる。やっぱり、母親が恋しいらしい。でも、この子は帰れない。元の世界の座標が分からないし、仮に分かったとしても、元の世界において、天之川 遥は既に死んでいる。死んだ人間が銀髪碧眼の美少女に転生して帰ってきましたなど、通用する訳ない。したらしたで、問題だが。


「……いつまでもこのままじゃいけないね。もったいないけど、ハルカの部屋まで運ぶか」


 私のベッドですやすや眠るハルカを起こさない様に注意しながら、いわゆるお姫様抱っこで抱き上げる。そして隣のハルカの部屋に転移。ベッドに寝かせる。


「おやすみ、ハルカ」


 そう言って、私は自分の部屋に帰った。今日はクリスマスイブか。楽しみだね。



やっと終わりました、赤ちゃん騒動編。ハルカ誘拐事件と比べると規模は遥かに小さいですが、ナナさんにとっては一大事でした。何せ、色々とハルカに依存していますし、子育て経験も無いですから。元に戻って本当に良かった。


その一方で、ハルカが現在の魔王より遥かに上の存在という事が分かったり、現在の神や魔王のほとんどが太古の神や魔王の劣化コピーだったりと、ヤバい事も判明。ハルカはより狙われる立場になりました。


さて、次回予告です。ハルカが異世界で迎える初めてのクリスマス。ハルカもナナさんも大張り切りですが、そこに思わぬ事件が。


では、また次回。

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