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僕と魔女さん  作者: 霧芽井
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第168話 ハルカの『塔』攻略記 時には退く事も肝心

 竜胆side


 72階で遭遇した、三十六傑の4人組。その内の1人。そして四剣聖が筆頭。九尾の狐人の黒巫女、夜光院 狐月斎が、先輩(イサム)に対し、死合いを申し込んできました。


 断る、逃げるなど通用するはずもなく、両者は激突。凄まじい戦いでしたが、最後はくだらない乱入者のせいで水入りに。しかし、それで良かったのかもしれません。


 先輩曰く、狐月斎はまるで本気を出していないと。狐月斎は九尾の狐人。にもかかわらず、一尾のままでした。もし、戦闘が長引き、最悪、狐月斎が九尾を解放したら、それこそ魔剣聖様を呼んでこなければ、手に負えないと。


 その後、ハルカの提案により、向こうと話し合いの場を持つ事に。幸い、話が通じる相手でしたし。流石は三十六傑。狂人揃いのなろう系とは違いますね。あの連中、脳の代わりに腐った糠味噌か、ヘドロでも詰まっているとしか思えませんので。


 ここに来るまでも、何度も遭遇し、その度に戦闘になりました。全く話が通じない。聞く耳を持たない。一方的に自分の意見を押し付け、こちらが受け入れなければ、すぐさま悪と決め付け、正義の名の元、殺しに掛かってくる。勇者気取り、英雄気取り、正義の味方気取り、主人公気取りの、現実と妄想を混同した狂人ばかり。


 人を殺す事に対し拒否感を示すハルカですが、この手の連中を殺す事に関しては割り切る様になったらしく、両手の宝石扇を振るい、容赦無く斬り殺していましたね。本人曰く。


『人を殺すのは嫌ですが、人擬きは別です。社会のゴミは排除します』


 人として最低限の域に達しない者は、人と認めないそうで。まぁ、それに関しては私も全面的に同意。差別? 知りませんね。そもそも、この世に平等、公平など無いのです。








 さて、その後、私達は歩を進め、遂に中間点の500階に達しました。着いた先はやたらと広く、天井も高い、大広間のフロア。


「凄く広いですね。果てが見えません。天井も、とんでもない高さです」


「ふむ。やはり、ここの内部は異空間の様じゃな。外見と合わん。しかし、誰が創ったのか知らんが、とんでもない物を創ったものじゃ。神か、はたまた魔か。ま、この『塔』を創った奴は最低最悪のろくでなしなのだけは確かじゃな。悪意に満ちとるわい。気を付けよ、お嬢さん。こういう、やたら広く、高いフロアは、それが必要とされているという事じゃ」


「……嫌な予感がします」


「奇遇じゃな。儂もじゃ」


 不穏な会話をしているメイドと爺。全くもって不本意ですが、私も同感です。これだけ広く、高いフロアが必要という事は……。


 ピシピシ……。


 敵が出現する前触れの、壁、床、天井が罅割れる音。来ます!


 即座に全員、戦闘体勢に。その直後、壁、床、天井が弾け飛び、中から敵が出現。


 現れたのは巨人。最初に出てきたファッツジャイアントの比ではない、文字通りの見上げる大きさ。しかも、ただの巨人ではありません。異形の巨人。


 大量の目、口の付いた顔。そして、大量の腕。そんな異形の巨人が次々と現れる。


「ヘカトンケイル」


 戦姫が異形の巨人を見て、一言。


「確か、僕の世界ではギリシャ神話に語られる巨人です。百の腕を持つ巨人とか。しかし、グロテスクな外見です。神話でも、あまりにも醜いせいで幽閉されたそうですし」


「へー。おミャーの世界じゃ、そう伝わっているのニャ。巨人族の中じゃ、まだ下級ニャ。とはいえ、油断出来る相手じゃないけどニャ!」


 魔博がそう言うや、否や、巨大な岩が飛んできました。当然、ヘカトンケイルの仕業です。全員、即座に飛び退きます。しかし、どこからこんな岩が? その答えはすぐに出ました。


「そういえば、この『塔』は生きているダンジョンだったな! それも悪意と殺意に満ちたクソダンジョン! そりゃ、こっちを殺しに掛かってくるよな! ちくしょう!」


 悪態を吐く先輩。『塔』の悪意と殺意。それが突如、私達に対し牙を剥いてきました。


 ヘカトンケイル達の足元の床から、次々と巨大な岩が湧き出ています。それをヘカトンケイル達が大量の腕を活かし、次々と拾っては投げ、拾っては投げ、まるで速射砲です。『塔』はヘカトンケイルを生み出しただけに飽き足らず、わざわざ武器まで与えているのです。あまりの攻撃の激しさに、反撃の間すら有りません。ひたすら逃げ回るしかない。


 ()()()()()()()()()()()()()()()


「ハルカ。私が攻撃を防ぎます。その間に奴等の足止めを。先輩はとどめを」


「分かりました」


「引き受けた」


 次々と飛んでくる巨岩を避けながら、ハルカと先輩に、指示を出す。その一方で、調子に乗って、バカスカ巨岩を投げ付けてくるヘカトンケイル達。いい加減、頭に来ましたよ。後、戦姫と魔博。貴女達なら、ヘカトンケイル如き、鎧袖一触でしょうに。……あくまで、どうしようもない状況にならない限り、動く気は無さそうです。邪魔しないだけマシですが、腹立たしくはあります。流石に、真十二柱相手では勝ち目が無いので、我慢一択ですが。……今に見ていなさい。








 ともあれ反撃です。私だけでは無理が有るので、ハルカと先輩にも協力願いました。役割分担です。その為のパーティー。ハルカは気に入りませんが、それはそれ。実力は認めています。私はこの状況で、個人的感情を持ち込む愚行はしません。


 さて、やりますか。やる事は単純。広範囲攻撃で巨岩を迎撃。長くは保ちませんが、そこはハルカと先輩を信用します。巨岩が次々と飛んでくる中、タイミングを計る。…まだ…まだ……まだ………今!


「行きます!」


 先陣を切るは私。高速連続突きによる、面制圧。ちなみに技名は言いませんし、有りません。……漫画や小説ではないので。師匠にはつまらん奴じゃ、と言われましたが。


 ともあれ、飛んでくる巨岩を迎撃です。全ての力と感覚を迎撃に全振り。それ以外は全て無視。それらはハルカと先輩に任せて、極限まで自身を高める。


「破ッ!!!!」


 裂帛の気合いと共に、繰り出すは、無数の突きによる『壁』。点を集めて面と成す。それを前方広範囲に向けて放つ。飛んでくる巨岩が片っ端から塵と化す。長くは保ちません、私が力尽きる前にけりを付けて下さい。頼みましたよ、ハルカ、先輩。








 ハルカside


『塔』が生み出した異形の巨人、ヘカトンケイル達による、巨岩投擲攻撃。まさか、こんな所でギリシャ神話に語られるティタノマキアの再現を体験する羽目になるとは。


 それによれば、ヘカトンケイル達は山サイズの巨岩を投げ、ゼウス達に味方したらしい。それと比べれば、今回の巨岩はせいぜい、貨物コンテナサイズ。だからといって、当れば只では済まない。何より、次々と速射砲の如き勢いで飛んでくる。戦姫と魔博は助けてくれない以上、自分達で何とかするしかない。というか、しろと戦姫と魔博は言っているのだろう。ナナさんに通じるものが有るな。


 などと考えている間にも、次々と巨岩が飛んでくる。どうにかしなければ。そんな中、竜胆さんから提案。彼女が巨岩を防ぎ、その間に僕がヘカトンケイル達の足止め、イサムがとどめを刺す。ぶっつけ本番だが、それで行く事に。


「行きます!」


 竜胆さんの声と共に飛び出す。彼女の繰り出す、高速連続突きによる面制圧。それにより、飛んでくる巨岩が片っ端から塵と化す。凄まじい槍技。だけど、あんな激しい技、長くは保たない。短期決戦で終わらせないと。それは、共に走るイサムも同じ。


「ハルカ、奴等の足止めを! 俺に構うな!」


「うん!」


 相手はギリシャ神話に語られる巨人。しかも多い。半端なやり方では、足止めなど出来ない。かなりの大技が必要。だからこそ、イサムも自分に構うなと言った。……勝つ為なら、味方さえ犠牲にする。非情の決断。


 だが、必要とあらば、そうしよう。敗北に何の価値も無い。敗北は死だ。勝者のみが明日を得られる。それに何より、僕はイサムを信じている。強いと。


 数多くの信者を実験台にし、数多の術を編み出した、狂った教祖。その彼の遺した術から、この状況に合う術を選ぶ。かつて、彼が死ぬ時に、最後に使った術。


『迷える信者達を残して死ぬなんて、教祖として無責任だから』


 と、そんな理由で使った術。ある意味、責任感の強い男だったのだろう。迷える信者達を救いたいというのも嘘ではなかったのだろう。しかし、そのやり方が最悪だった。そんな彼の編み出した術を使う。


『白蓮華獄楽浄土』


 フロアの中心に突如、出現した巨大な白い蓮の花。そこから全方位に撒き散らされるは、マイナス120度の超低温の冷気の嵐。その冷気の嵐は辺りの全てをたちどころに凍らせていく。異形の巨人達でさえ、その冷気の前に凍り付いていく。かつて、狂った教祖が最期の時に使った際には、教団の施設どころか、国一つ、氷漬けにしてしまったという。


 しかし、その術を持ってしても、ヘカトンケイル達を殺すには至らない。足元が凍り付いたものの、それがどうしたと言わんばかりに、百の腕を使い、こちらを叩き潰さんとしてくる。


 良かった。()()()()()()()()()


 僕の役目はヘカトンケイル達の足止め。注意を引き付けられたら、尚良し。


「でかした、ハルカ。後は任せろ」


 僕の横を駆け抜け、ヘカトンケイル達に向かうはイサム。その手には漆黒の刀身、凶刀 夜桜。真十二柱 序列十位 戯幻魔 遊羅の作った、最高傑作にして、最悪の失敗作。


 神魔どころか、これ以上死ぬはずの無い、死者さえ殺せる最強の刀。ただし、敵のみならず、使い手さえ死に追いやる、これまで幾多もの使い手達を殺してきた最悪の刀。


『刀剣に愛される』という、類い稀なる才を持つイサムだからこそ使える刀。その夜桜を手に、イサムがヘカトンケイル達に立ち向かう。


 勝った。そう思った。竜胆さんもそうだろうし、イサムもそうだったろう。しかし、僕は大事な事を2つ忘れていた。


『勝ったと思うな、思えば負けよ』


『『塔』は悪意と殺意に満ちた、生きているダンジョン』


 我ながら甘かった。悪意と殺意に満ちた、生きているダンジョンである『塔』が、みすみすこちらを勝たせる訳がない。妨害が有って当然。


 突然、飛来した極太のビーム。それはイサムを足止めする形で雨霰とばかりに襲い掛かってきた。いつの間にか、『塔』の壁面に砲台が。


 流石のイサムもこれには、攻撃を中止せざるを得ない。更にヘカトンケイル達にも変化が。青黒い体色から、赤くなった。そして、頭に有る大量の目からビームを撃ち始めた。パワーアップ、バージョンアップしたのか!


 挙げ句、僕の術による拘束さえ破ってしまった。自由の身になったヘカトンケイル達は、目からビームを乱射し、先程にも増して暴れ回る。


「未熟ですね。アイシア姉様なら、あの程度の巨人風情、即座に凍結粉砕していますが」


「すみませんね! 未熟で!」


 即座に戦姫が結界を張ってくれ、難を逃れたものの、事態は悪化するばかり。ヘカトンケイル達の暴走は止まらず、壁面の砲台からは雨霰とばかりにビームが降り注ぐ。


 挙げ句、途中、何度かなろう系の馬鹿が乱入してきたものの、ヘカトンケイル達に踏み潰されるか、ビームの直撃で消し飛んだ。どこから湧いたか知らないけど、空気読め。大方、主人公気取りで出しゃばってきたんだろうが、残念ながら、現実世界に『主人公補正』なんて、御都合主義は無くてね。現実と妄想を混同している連中はどうしようもないな。


 しかし、この状況、どうしよう? このままでは埒が開かない。戦姫は結界を張っただけだし、魔博に至っては、まだ何もしてくれない。


「…………仕方ないのう。儂が何とかしてやろう。若い者達が頑張ったんじゃ。この老いぼれも多少は骨を折らんとな」


 そんな中、きょうこ……ゴールドさんが、儂が何とかしてやろうと名乗り出た。


 しかし、そこへ待ったを掛ける者が。


『お待ち下さい。ここは本機(わたし)が出るのが最適解。あの手の巨大な敵の相手は本機(わたし)の本分ですので。魔博、許可を。このままでは、時間の浪費にしかなりません。可及的速やかに、事態を解決すべきと進言します』


 ロボットのザッ君。自分が出るのが最適解だと。巨大な敵の相手は自分の本分だと。確かにザッ君の本来の姿は巨大ロボットだからね。


「……仕方ないニャー。ザッ君、殲滅形態での出撃を許可するニャー。その代わり、3分以内に終わらせるニャー」


『ありがとうございます、魔博。3分以内と言わず、1分以内で終わらせてご覧にいれます』


 ザッ君の出撃志願に、魔博が許可を出した。3分以内で終わらせろとの命令に対して、ザッ君は1分以内で終わらせると答えた。凄い自信だ。


『それでは、ザッ君、行きまーす!!』


 以前にも聞いた、某有名ロボット作品の主人公の天パ風の台詞と共に出撃するザッ君。


『殲滅体、召喚』


 合成音声によるザッ君の言葉。それに応じて、空中から巨大な何かが現れる。それは巨大ロボット。


『召喚完了、随行体から殲滅体へ移行』


 続けて、巨大ロボットの胸部分のハッチが開き、そこへザッ君が吸い込まれ、ハッチが閉じる。


『殲滅体への接続完了。殲滅モード起動。目的、攻撃対象、完全破壊、完全抹殺。目的完了まで、全機能解放』


 最初の、ルコード教国まで運んでくれた時の姿と違い、見るからに凶悪そうな姿になったザッ君。その上、物騒な発言まで。


「まぁ、見てろニャー。あれがザッ君、本来の姿ニャー。かつて、出身世界で敵味方両方から、『緑の悪魔』と呼ばれた兵器。あまりの強さに戦争終了後に、宇宙の彼方に廃棄された悲劇の兵器。その強さは折り紙付きニャー。それと全員、目を閉じて伏せろニャー」


 そう語る魔博。……そういえば、ザッ君、過去の事は一切話さないんだよね。ザッ君をいつ、どこで、誰が、何の為に作ったのか。更に、ザッ君の出身世界はどんな世界だったのか。


 少なくとも、ろくな世界じゃなかったんだろうな。僕はそう思った。


『ジェノサイダー放射』


 聞こえてきたザッ君の声。何かが放射された気配。それから、またザッ君の声。


『敵勢力殲滅完了。殲滅モード解除。随行体へと移行』


 更にそれから、ザッ君の声。


『魔博、任務完了しました』


「ん、ご苦労様だニャー、ザッ君。今回も良い仕事したニャー」


『光栄です』


 顔を上げてみれば、そこには何も無かった。ヘカトンケイル達も、巨岩も、フロア一面に出現していた砲台も。後、ついでになろう系転生者の死体(汚いゴミ)も。凄まじい高熱により蒸発してしまったのが、状況から読み取れた。これがザッ君の力か……。


「言っておくけど、ザッ君の力はまだまだこんなものじゃないニャー。『緑の悪魔』の呼び名は伊達じゃないニャー」


『魔博、その名はあまり口にしないで下さい。今の本機(わたし)はザッ君です。皆様、お騒がせして大変申し訳有りませんでした。お怪我等は有りませんか?』


 ザッ君の異名と力を自慢する魔博に対し、ザッ君はその名はあまり口にしないで下さいと苦言を呈し、その上で、お騒がせして申し訳有りませんと謝罪し、更に怪我は無いかと気遣いまで。下手な人間より、人間らしいな。……見習えよ、なろう系転生者(最低最悪のクズ)







「とりあえず、片付いた以上、長居は無用。先を急ぎますよ」


 ザッ君の活躍により、危機を乗り越える事が出来た。その後、上層階へのショートカット通路も見付かり、先を急ぐ事に。しかし……。


『戦姫、本機(わたし)や魔博、貴女はともかく、ハルカ様達は、これまでの戦闘にてかなりの消耗を強いられました。特に三十六傑が、一。四剣聖筆頭の夜光院 狐月斎との戦闘をこなしたイサム様の受けたダメージ、消耗は決して座視出来ません。十分な休養及び、適切な治療が必要と、判断致します。御一考願います』


 ザッ君から、休養、治療が必要との提案。先を急がねばならないのは確かだけど、その一方で、消耗、負傷が激しいのも、また事実。特にイサム。四剣聖筆頭の夜光院 狐月斎との死合いで、大きく消耗している。特に失血が酷い。治療を受けたものの、失った血までは戻らない。正直、生きている事自体が凄い。


「……確かに一理有ります。仕方ありませんね。一旦、『塔』から退却しましょう」


 ザッ君の提案に対し、戦姫はそれを受け入れ、『塔』からの一時撤退を選択。


「セーフティエリアは探さないんですね」


 僕としては、戦姫が一時撤退を選んだ事が意外に思えた。時間のロスに繋がるから。『塔』内には、安全なセーフティエリアが存在しており、そこには食料、水、医薬品、衣料に温泉、快適な寝床まで、至れり尽くせり。RPG定番の宿屋に当たる。第三代創造主が作ったリアルデスゲームだけに、こういう所まできちんと作り込まれている。飴と鞭だね。


「それも検討しましたが、やはり、安全を優先します。偽セーフティエリアに騙されては堪らないですからね。ですが、あくまで今回はです。今後はセーフティエリアを使う事も有るでしょう。有益なのは事実ですから」


「確かに」


『塔』を作った第三代創造主は、非常に悪趣味だ。リアルデスゲームとして、『塔』を作り、僕達、地上の者達の生き死にを眺めるのを至上の娯楽としていた。その為に、莫大な財宝を用意し、魔物を生み出し、罠を仕掛けた。


 あっさり死なれてはつまらないからと、セーフティエリアを用意した一方で、偽セーフティエリアも作った。セーフティエリアに来たと安心した者達の絶望した顔が見たいから、と。本物と偽物の区別は困難。安全策を取るなら、一時撤退が無難。特に今回は消耗が激しいから。








 さて、一時撤退となった訳だけど。改めて見ると、やはり、消耗が激しいな。狐月斎との死合いを経たイサムを筆頭に、ヘカトンケイル達の巨岩攻撃を防いだ竜胆さんも体力を激しく消耗しているし、僕自身、新術の多用で、体力、魔力、精神力共に、かなり消耗した。きちんと休んで回復する必要が有る。現実に御都合主義は無いからね。都合良く、完全回復なんて事は起きない。


「さ、帰りますよ。集まりなさい」


 戦姫の呼び掛けに応じ、皆、彼女の元に集まる。戦姫が取り出したのは、銀色の小さな鍵。その名も『銀の鍵』。何の捻りも無い名前だけど、『塔』攻略における、最重要アイテム。


『塔』に初めて入ると、『塔』から与えられる品であり、『塔』と外部を繋ぐ門を開く事が出来る。これが有れば、『塔』のどこにいようが出られるし、また、これまで行った階層まで戻れる。こういう辺りも正にゲーム。第三代創造主は、つくづくゲーム好きだったらしい。


 ちなみに『塔』内において、空間操作系はその使用を大きく制限される。召喚は出来るが、テレポートで一気に移動とか脱出は出来ない。これも第三代創造主が決めたルール。


 戦姫が銀の鍵を空中に差し込み回すと、空間の一部がドアの様に開く。そこから見えるのは、僕達が宿泊した、ルコード教国の宮殿の一室だ。


「休むなら、ここが最適でしょうからね。色々と揃っていますし」


 確かにそうですが、いきなり僕達が戻ってきたら、それはそれで問題な気が……。まぁ、今は休息が最優先。皆、門をくぐり、宮殿の一室へ。


 その際に、ちらりと後ろを振り返る。必ず戻ってくる。必ず最上階に行ってみせる。







 その後は、当然、一悶着有った。『塔』に向かったはずの僕達が戻ってきているのだから。ちなみに真っ先に来たのが、現護教聖堂騎士団(テンプルナイツ)団長、ヒョージュさん。


「猊下! 何ですか! あの手紙は!!」


 ドアをぶち破る勢いで入ってきて、ゴールドさんこと、教皇猊下を締め上げる。……やっぱり勝手に宮殿を抜け出してきたのか。そりゃ、怒る。


「はて? 猊下? 誰の事かの〜? 儂は遊び人のゴールド・ファーマウンテンさんじゃが?」


 ブチ切れ状態のヒョージュさんに対し、あくまでふざける教皇猊下。この状況でふざけられる辺り、大物感が凄い。


「とりあえず、聖務が山積みになっております故、大至急、執務室にお戻り願います」


 しかし、ヒョージュさんは動じない。教皇猊下の襟首を掴み、そのままズルズルと引きずって去っていった。聖務頑張って下さい。


「ひえ〜、か弱い年寄りに何をするんじゃ〜。誰か助けてくれ〜い」


 聞こえてきた悲鳴が棒読みで、あのジジイ、全く懲りてないなと僕は思った。ヒョージュさんも大変だ。






 その後、イサムを始め、僕達の治療が行われた。僕と竜胆さんは単なる疲労と、魔力の消耗だったから、休めば治る。問題はイサム。やはり、夜光院 狐月斎との死合いで受けたダメージは大きかった。


「骨、筋肉、内臓、全てに深刻なダメージを受けているニャ。おミャーだから、かろうじて死ななかっただけ。普通なら即死ニャ。まぁ、幸い、毒、呪詛とかによる汚染は無いニャ。後、とにかく血が足りないニャ。これ以上、血を失えば、死ぬニャ」


 イサムを診断した魔博の言葉。イサムの受けたダメージは、普通なら即死だと。後、とにかく血が足りない。これ以上、血を失えば死ぬと。


「輸血は出来ないんですか?」


「無理ニャ。普通の人間ならともかく、こいつは普通の人間じゃないから、合う血が無いニャ。下手に輸血なんかしたら、死ぬニャ。まぁ、エリクサーと造血剤を投与してやるから、安静にする事ニャ」


 この辺が『力』有る者の弊害。『力』有るが故に、輸血が基本的に無理。下手に輸血をしたら死ぬ。造血剤を投与が基本。ちなみに最高の回復薬、エリクサーは傷は治せても血は補えない。その辺を理解せず、死ぬ奴は多い。もっぱら、なろう系。現実とゲームを混同している馬鹿ばかりだからね。現実はゲームの様に甘くない。


「俺はとりあえず寝てるよ。ハルカ達は今後について、話を進めてくれ」


 イサムはそう言うと、さっさと寝てしまった。人によっては、態度が悪い! と怒るだろうが、僕はそう思わない。イサムは今、自分のすべき事は一刻も早く回復する事だと分かっての事だから。それが分からない程、僕は馬鹿じゃない。だから、僕はこう言う。


「お大事に」








 寝ているイサムの邪魔にならない様に、別室に移動。その上で、話を始める。


「まずは、今回の収穫の分配ですが、貴女達3人で分けなさい」


「真十二柱は、そこまで貧乏じゃないからニャー」


 戦姫から、今回の収穫の分配についての話が出たが、僕達3人で分配しろと。魔博曰く、真十二柱はそこまで貧乏じゃないと。それはそうでしょうが……。やはり、真十二柱は価値観が違う。僕からすれば、大変な価値有る収穫なんですが。


 今回の収穫。


 ミスリル400kg

 アダマンタイト 300kg

 オリハルコン250kg

 オブシダイト30kg

 巨人の実 数個

 竜の牙、爪、鱗、翼の皮膜、骨、血液を始め、各種魔物由来の素材 大量

 様々な薬の素材となる、薬草、果実類 大量

 様々な武具、魔道具 大量

 各種貴金属に、高品質な宝石類 大量


 一財産築くどころでは済まない程の収穫。そりゃ、『塔』で一攫千金、人生逆転、成り上がりを狙う奴が絶えない訳だ。……生きて帰れたら、だけど。


 上に行く程、財宝の質が上がり、量も増える。ダンジョンゲームの定番だ。だが、それは恐ろしい罠でもある。


 セーフティエリアで休息を取れば大丈夫。この程度の消耗なら、いける。この程度の雑魚など敵じゃない。もっと財宝が欲しい。もっと力が欲しい、もっと名声が欲しい。成り上がってやる。


 こういう考えに取り憑かれ、退き際を誤った奴は死ぬ。某作品のギルドの女性職員も、冒険をするな、生きて帰る事が一番大事と、主人公に言っていた。正論だと思う。


 しかし、冒険しなければ、富、力、名声を得られないのも、また事実。矛盾を孕んでいる。


 ただ、その作品に1つだけ物申す。ほんの駆け出しの14歳のガキに、神の作った武器なんか与えるな。その作品の二次創作の感想で言われていたが、狙われ、殺され、奪われるのがオチ。実際、原作でも狙われた。死ななかったのは、単なる御都合主義。強力な武器を得るなら、相応に強くなってからにしろ。それまでに死んだら? 所詮、そこまでの奴だったという事。僕だって、ナナさんの元で修行を積んだ上で武器を貰ったんだから。







「とりあえず、三等分で良いですか?」


「私はそれで構いません。後で先輩にも聞いておきなさい。多分、了承されるでしょうが」


 今回の収穫は三等分にする事に。持って帰ったらナナさんに渡そう。僕じゃ、加工出来ない、販売する伝手も無い以上、宝の持ち腐れにしかならない。その点、ナナさんなら、上手くやってくれるだろう。大ベテランの魔女だからね。


 しかし。ナナさん今頃、どうしているかな? ちゃんとご飯食べているかな? 屋敷の中が引っ繰り返ってないと良いけど……。







 イサムside


 ハルカ達が部屋を出てから、俺は夜光院 狐月斎との死合いについて振り返っていた。


「完敗だな。あそこまで完膚無きまでに負けたのは、魔剣聖様に挑んだ時以来か。こっちは殺す気でやったが、向こうは終始、様子見。九尾のくせに、一尾のまま。二尾にすらならなかった。なるまでもないってか」


 奴は九尾の狐人。にもかかわらず、終始、一尾のままだった。力を最低限に抑えている証拠だ。リドキノとか言う、剣聖気取りの気狂いが乱入してきたせいで水入りになったが、仮にあのまま続けていたとしても、俺に勝ち目は無かった。ある意味、ついていた。生きているのは運が良かっただけだ。次は無い。四剣聖筆頭、夜光院 狐月斎。そんな甘い奴じゃない。


「それにだ。奴の技、『狐月剣』。あれは()()()だな。手の内をまだまだ隠しているのは確実」


 凄まじい切れ味と速さを誇る、金色の三日月を放つ剣技。確かに強力で恐ろしい技だが、()()()()()()()()()()


 奴は金髪、蒼紅のオッドアイ、九尾の狐人、五尺の大太刀、黒巫女と、とにかく見た目が派手だが、その派手さとは裏腹に、剣技そのものは至って堅実。悪く言えば地味。余計な物を徹底的に削ぎ落とし、磨き上げられた殺人剣。そもそも、殺し合いに派手さなんか要らない。求められるのは、如何に確実に相手を殺せるかだ。


 つまり、見た目が派手な狐月剣と、奴の堅実な戦い方は矛盾している。この事から、狐月剣は見せ札だと考える。じゃあ、どんな技を隠しているかだが……。


「あいつの堅実な性格からして、回避、防御共に難しい、見えない、聞こえない、そういう嫌らしい技を使ってきそうだな。派手な狐月剣と組み合わせたら、敵からすれば、最悪だな」


 いつかまた、相見えるであろう相手に、少なからず憂鬱になった。


「だが、避けては通れない相手。俺も奴も最強の剣士の座を求めている以上はな」







 狐月斎side


『塔』内のセーフティエリアで、休息中の私達。現在、621階。毎回、ショートカット通路を探している訳にもいかなくてな。段々、見付からなくなってくる故。


 ちなみに『塔』内は200階より上は複数に分岐している。中には行き止まりの『外れ』ルートも有り、非常に嫌らしい。先のハルカ・アマノガワ一行と出会ったのは、大変な偶然……とは思えんな。間違いなく『塔』の意思だ。あんな出会いが偶然な訳がない。で、私は大和 勇との死合いを振り返っていた。あれ程の見事な剣士との死合いは、一体、いつ以来か? 久しぶりに剣士の血が滾った。実に楽しかった。


「……多分。いや、確実に大和 勇は気付いているだろうな。狐月剣が見せ札でしかない事を。次、相見える時には『狐空剣』を使う事になるだろう」


 狐月剣はあくまで見せ札であり、私の真の剣技、狐空剣を隠す物でしかない。まぁ、大抵の相手は狐月剣で片付く故に、狐空剣を使う事は滅多に無いのだが。


 しかし、大和 勇。かの天才剣士に対しては、狐空剣を開放せざるを得まい。強くなるぞ彼は。この私。四剣聖筆頭たる、夜光院 狐月斎を差し置いて、次期魔剣聖最有力候補と呼ばれているのは伊達ではないな。


「楽しそうですな、狐月斎殿」


「あぁ、楽しいぞ、狂月殿。長らく雑魚ばかりでうんざりしていたからな。久しぶりに斬り甲斐の有る相手と巡り会えた。永きに渡り封印していた狐月刃も解き放った。ようやっと全力で戦える。こんな楽しい事は無い」


 弱者を殺した所で、何ら得る物は無いし、何より作業にしかならん。つまらん。強者を斬ってこそ、満足感を得られるというもの。


 その一方で、私とは裏腹に浮かぬ顔のクリス殿。


「クリス殿、浮かぬ顔だが、先のリドキノとかいう、自称、剣聖絡みか?」


 私に代わり、クーゲル殿が聞いてくれた。


「えぇ。リドキノの狂信者である、没落貴族のラナ・メオンヘン。リドキノが現れた以上、彼女も生きていると考えるのが妥当。彼女はリドキノと共に在る事を至上としていましたから。奴が死んだと知れば、絶対に黙ってはいません。必ず、襲撃してきますわ」


「あんな奴のどこが良いのか、私にはさっぱり分からんな。多少、剣の腕は立つが、明らかな狂人だぞ」


「あの男、剣の腕は中の下止まりでしたが、見た目は良かったですし、汚い本性を隠して女を誑し込む腕は中々でして。まぁ、お家再興に囚われ、目の曇った愚かな女を引っ掛けるぐらいは容易かった様ですわね。美辞麗句を並べ立て、彼女を讃美し、リドキノこそが彼女を救う救世主であると、周囲は全てクズであると思い込ませた」


「……あの男、剣士ではなく、ホストか、詐欺師が天職だった様だな」


「同感ですわね。ま、あの男、最強という言葉に異常に執着していましたので」


「愚かな。最強の座は途轍もなく高く、果てしなく遠い。我等でさえ、その足元にも及ばない」


「全くですわね。特に最近は、なろう系と呼ばれる下級転生者達がぞろぞろ現れては、軽々しく、最強だの、ハーレムだの、無双だの、改革だの、スローライフだの抜かしていますが……」


「例外なく、全員失敗、破滅しておりますな。ま、当然の結果。所詮、無能な負け組のクズ。そんな輩が『力』を得たところで、宝の持ち腐れにしかなりませぬ。何より、現実はそんなに甘くはありませぬ。他人は容易に裏切り、自然は容赦無く猛威を振るいまする。そんな簡単に成功を収められるなら、今頃、世の中は成功者だらけでしょうに」


 クリス殿の言葉に、狂月殿が答える。正に正論。下級転生者。いわゆる、なろう系の連中は、とにかく現実を軽視している。『力』が有るから楽勝だと。……救えぬ愚か者共ばかりだ。幾ら『力』が有っても、使い方が悪ければ意味が無い。


 何より、現実は甘くない。他人は容易に裏切り、自然は容赦無く猛威を振るう。それらの前に、下級転生者程度の『力』など何の役にも立たん。そもそも、お前達みたいな負け組のクズに、誰が強大な力を与えるものか。最初から、使い捨て前提だ。


 後、ゲームや小説の世界に来たと思い込む愚か者の多さにも、うんざりするな。フィクションの世界には行けないと何故、分からないのか?


 フィクション、即ち、架空の物語。ぶっちゃければ、嘘、作り話だ。存在しない虚構だ。存在しない世界になど行けない。異世界と虚構の世界は違う。なろう系の馬鹿は、その違いが分からないらしい。つくづく救えぬ馬鹿だ。


 後、霊は見えるが、ステータスやら、好感度やらは見えない。現実はゲームではない。そんな物、見えてたまるか。見えるとしたら、それらは全て幻覚だ。私自身、霊視は出来るが、ステータスだの、好感度だのは見えん。当たり前だ。


 以前にも、好感度メーターが見えるとか言う少年に会ったが、明らかに狂っていた。「好感度がー!」「好感度がー!」と、有りもせぬ好感度メーターとやらで騒ぎ立て、遂には私に対し、「好感度が低い! 殺される前に殺してやる!」と言って刃物を振りかざし、殺そうとしてきたからな。その場で斬った。正当防衛だ。


 後に司法解剖の結果、脳に大きな腫瘍が有ったとの事。そのせいで、有りもしない好感度メーターなどという幻覚が見えていたらしい。さっさと病院に行っていれば、また違った結果になったやもしれんものを……。最早、愚かを通り越して、哀れだ。


 尚、後日談として、その少年に熱を上げていた娘が敵討ちと称して私を殺そうとしてきたから、きっちり斬り殺した。やはり、狂人に惚れる奴もまた狂人。狂人同士、あの世で仲良く過ごすが良い。







「さて、十分、休息も取りましたし、そろそろ、行くとしましょうか」


 セーフティエリアで十分に休めた。ならば、先に進まねばな。


 狂月殿の言葉に、皆、腰を上げる。我等は最上階の宝、理想珠を既に手にした事が有る故、最早、手にする事、叶わぬが、だからといって、愚か者の手に渡す訳にもいかぬ。最悪、世界の破滅だ。そうはさせぬ為にも、我等は最上階を目指す。





















「あぁ! リディ様!! 何と言う事に!! …………おのれ!! クリスティーヌ・リツハ・ソーディンめ!! いずれ、森羅万象の王となられるリディ様をよくも!! 許さない!! 絶対に許さない!!必ず!! 必ず殺してやる!!!!」



500階まで来たものの、消耗が激しく、特に四剣聖筆頭、夜光院 狐月斎との死合いを経たイサムが危険な状態な事もあり、『塔』からの一時撤退を選択したハルカ達。


魔博の部下、ロボットのザッ君の過去が少しだけ明かされたりも。かつて『緑の悪魔』と呼ばれ、敵味方双方から恐れられていた事。終戦後、その力を恐れられ、宇宙に廃棄された事。


戻って来てからは、収穫の分配。そして、狐月斎との死合いを振り返るイサム。狐月斎との実力差を痛感。向こうは最低限の力しか出さず、猛威を振るった狐月剣は見せ札に過ぎないと看破。まだ奥の手を隠している。共に最強の剣士の座を目指す者同士。目指す所が同じ以上、いつかまた、ぶつかる事必至。少なからず憂鬱に。


その一方で先行している狐月斎達。狐月斎も、いつかまた、イサムとぶつかると確信。狐月剣は見せ札とイサムにバレているだろうとも。そして次は真の剣技。『狐空剣』を開放せざるを得ないと。


その一方で、先を案ずるクリスティーヌ。自称、剣聖のリドキノは死んだものの、リドキノの狂信者。没落貴族の娘、ラナ・メオンヘンがまだ残っているのではないかと。リドキノが死んだと知れば、黙っている訳がない。必ず襲撃してくると。


……その予想は的中していた模様。『塔』攻略。まだまだ波乱が続きます。


そして、地味にフラグを立てていたハルカ。ハルカ不在の王国で何が……。


では、また次回。




追記


この世界、霊が見える霊視能力は有りますが、ステータス、好感度等は見えません。ステータスウィンドウ、好感度メーター等が見えたら、全て幻覚。何者かに薬を盛られたか、術でも掛けられたか。でなければ、脳障害、精神障害。病院へ行くべき。現実世界に、ステータスウィンドウも、好感度メーターも有りません。そんな物が見えたら、まず、自身を疑え。


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