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僕と魔女さん  作者: 霧芽井
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第164話 ハルカの『塔』攻略記 それぞれの思惑

 ハルカ達が『塔』攻略について話し合っていた頃。ルコーデ宮殿内、教皇の私室にて。


「猊下!! いくらなんでも、お戯れが過ぎます!! 既に申し上げましたが、ハルカ・アマノガワは、あの『名無しの魔女』の弟子!! 彼女の怒りを買う事は、そのまま、師の怒りを買う事に直結するのですよ!! 猊下はこの国を滅ぼすおつもりですか?!」


「おいおい、そんなに大声を出して怒鳴るでないわ。こちとら、老い先短い年寄りなんじゃぞ。もう少し、労らんか。大体、あんなの軽〜〜い北国ジョークじゃ」


「それがいけないと申し上げているのです!!」


 ふ〜、やれやれ。ヒョージュの奴も煩いのう。あんなの、軽〜〜いジョークじゃ。一々、怒るでないわ。まだまだじゃのう。ヒョヒョヒョ!


「まぁ、そうカッカするでないわ。ほれ、温かいハーブミルクティーを淹れてやるわい。まずは一息付け」


 愛用のティーセット一式で、教国名物、温かいハーブミルクティーを儂の分も含めて、出してやる。


 ふぅ~、ガーショ(生姜に似たハーブ)入りミルクティーは効くのう。身体の芯から温まるわい。後、鎮静効果が有るから、イライラした時にはこれに限るわい。ヒョージュも温かいハーブミルクティーを飲んで、ひとまず落ち着きを取り戻す。


 ま、その程度の感情の制御も出来ずして、護教聖堂騎士団(テンプルナイツ)団長は務まらんわな。


「……申し訳有りません、猊下。つい、感情的になってしまいました」


「ヒョヒョヒョ。良い良い、その程度、不問に処す。事実、お前は間違った事は言っておらんからの。むしろ、お前の真剣に職務に打ち込むその態度、儂は実に嬉しく思うぞ。ヒョヒョヒョヒョ!」


「……相変わらず、猊下にはかないませんな。流石は、元、護教聖堂騎士団(テンプルナイツ)団長」


「ヒョヒョヒョ! お前も精進せいよ、現、護教聖堂騎士団(テンプルナイツ)団長」


 ハハハ、ヒョヒョヒョとお互いに笑い合ってから、本題に入る。


「して、お前から見て、どうじゃ? ハルカ・アマノガワは?」


 儂の問いに、ヒョージュはハーブミルクティーを一口飲んでから答える。


「……何分、接した時間が短い故に、完全に人物像を読み切るまでは至りませんが、あの若さにしては、思慮深く、聡明にして、謙虚。一廉の人物と見受けました。かの『名無しの魔女』の弟子である事も踏まえ、将来的な利益の為にも、出来れば友好関係を築きたい所。少なくとも、敵対は避けたいと、私は考慮致します」


「ふむ。この短い時間でそこまで見切るか。流石じゃのう。やはり、お前を使者に出して正解じゃったわい。他の奴では、そうはいかんかったじゃろうな」


 ヒョージュからのハルカ・アマノガワの人物像の情報と、儂自身が実際に会って感じた事。そして、これまでに集めた情報。それらを元に考える。


 ……ま、ハルカ・アマノガワに関しては、特に問題無かろう。少なくとも、世の中をどうこうしてやろうという野心は無さそうじゃ。これまでの情報においても、常に騒動を鎮める側であり、起こす側に付いた事は無い。あの悪名高い『名無しの魔女』の弟子とは思えん程、良識派且つ、良心的な行動をしておる。


 何よりじゃ。ふざけたスケベジジイとして、実際に彼女に会って確かめてみたが、あれじゃな。野心に満ちたギラついた感じが無い。むしろ、冷たく澄んだ水の様な感じがしたわい。


 ただし、甘く見て良い相手でも無さそうじゃがのう。確かに、野心に満ちたギラついた感じは無く、冷たく澄んだ水の様な感じではあったが、同時に、底の知れなさを感じたわ。どこまでも深い、深淵の様な感じをな。


 流石はあの『名無しの魔女』の弟子。今は、まだまだ未熟じゃが、末恐ろしい娘じゃわい。おぉ、怖い怖い。


 しかし、問題はそれだけではないんじゃよなぁ。あの怪しい『塔』。あれは出来るだけ早く、消し去らねばならん。儂の嗅覚が訴えておる。


『あれは、危険』とな。


 儂が今日まで生き延び、教皇の座にまで上り詰めた、一番の要因。それは『危機を嗅ぎ付ける嗅覚』じゃ。分かるんじゃよ、危機の匂いが。独特の鼻に突く匂いという形でのう。危険であればある程、その匂いは強い。


 で、あの怪しい『塔』が出てきた時には、たまげたわい。とんでもなく強い、危機の匂いがした。思わず咳込んでしもうた程に。


 まず、手始めに、欲に駆られた冒険者共と教国内の穀潰しを送り込んだが、まぁ、見事に返り討ちにされたわ。そこで、最近、何かと話題の超新星、ハルカ・アマノガワに依頼を出したんじゃ。その人品を見定めがてらの。


 しかし、事態が急変。悠長にしておられん様じゃ。『塔』由来のスタンピードが起きて、『塔』周囲を警備していた部隊は完全に壊滅。現状、急ぎ、新しい警備部隊を編成し、向かわせる事になっておるが、流石にすぐには出来ん。このドサクサに紛れ、何人か、『塔』への侵入を許してしもうたと報告も上がっておる。


 その中に、長い刀を背負った、東方の巫女らしき金髪の狐人の女がいたというのが有った。それだけなら、まだしものう。


 ()()()()()()()()姿()()()()()()()()と、目撃情報に有る。……『黒巫女』か。しかも『紫の袴』。わざわざこんな北国に黒巫女が来るとはな。しかも紫の袴ときた。随分と久しぶりじゃわい。こりゃ、こちらも本腰を入れねばならんな。黒巫女の怖さは、よ〜く知っておるでな。


 全く、『塔』といい、黒巫女といい、次から次へと問題ばかり起きて困るわい。教皇になんぞ、ならなければ良かったわい。なりたくてなった訳ではないがのう。やれやれ……。ま、こんな事を言ったら、なれずに死んでいった連中が化けて出かねんな、ヒョヒョヒョ!


「あの『塔』は思った以上に危険じゃ。ヒョージュよ、警備部隊の再編を急げ。とびっきりの腕利きを揃えよ。装備も第一級戦闘装備じゃ。費用は気にするな。儂の名において許す。それと、黒巫女が来ておる。それも最高位の『紫』じゃ。もし出くわしても、手出しするなと伝えよ」


「黒巫女、ですか。話に聞いた事は有りますが……」


「滅多におらん、レア物じゃからの。じゃが、あれを通常の『白巫女』と同じと思うなよ。黒巫女は、白巫女の様に甘くはないぞ。聖なる力を用い、魔を清め、祓うのが白巫女。対して、黒巫女は魔の力を用いて、魔を討ち滅ぼす、闇の巫女じゃ。その性質上、魔に飲まれて自滅する輩が多い故に、数は少ないが、逆説的に、生き残りは腕利き揃いよ。特に最高位の『紫』の実力は計り知れん。儂でも直接対決は御免じゃわい」


()()()()()()の猊下が、そこまで仰るとは……。は、直ちに伝えてまいります。それでは失礼します」


 流石はヒョージュ。判断が早い。すぐに黒巫女の脅威を理解し、通達をすべく部屋を後にしようとする。おっと、大事な事を言い忘れる所じゃった。


「ヒョージュ、重ね重ね言うが、今回の黒巫女には特に気を付けよ。先だってのスタンピードを潰した輩じゃが、どうも、その黒巫女らしい。良いな、手出し無用じゃぞ。クズが幾ら死のうと構わんが、有能な人材に死なれては困る。仮にお前に死なれたら、大変な損失じゃ。お前をここまで育てるのに、幾ら掛かったと思っとる」


「……忠告、痛み入ります。では、改めて、失礼します」


 苦笑いを浮かべつつ、今度こそ、ヒョージュは部屋を出て行った。ま、ヒョージュに任せておけば、悪い様にはなるまい。安心して任せられる。色々な意味でのう。


 さて、儂の方も支度をせんとな。玉座を尻で磨き続けるのも、いい加減、飽き飽きしたわい。あんなつまらん毎日を過ごしていたら、老け込んでしまうわい。







 ハルカside


 会食の準備が整ったとの知らせを受け、いざ、会食の場へ。観光で来た訳ではないけど、やはり、食事は楽しみ。……と素直に言えない所が辛い。


「ハルカ、分かっていると思うけど、軽々しく料理や飲み物を口にしない事。かつて、俺を勇者として召喚し、邪神こと、ツクヨさんとぶつけようとした王国の奴等。俺が邪神を討伐したら、その祝勝会で俺を毒殺する計画を立てていた事、前に話したよね」


 イサムからも、軽々しく料理、飲み物を口にするなと釘を刺される。実際、イサムは毒殺されかけた事があるだけに説得力が有る。


「伝説の魔女の弟子である貴女を殺すリスクが分からない程、あの教皇は愚かではないでしょうが、その他の者達がどうするかは分かりませんからね。組織が大きくなれば、必ず、腐った輩は現れるものです」


 続けて竜胆(リンドウ)さんからも、ありがたい忠告。竜胆(リンドウ)さん、実家が代々続く暗部の家系だけに、この手の事には詳しい。もっとも、あまり昔の事は話してくれない。雰囲気から察するに、実家との関係が良くなかったみたい。そして、それが分かっていて無理に聞く程、僕は空気が読めなくはない。藪蛇にしかならないからね。


『ご安心下さい、飲食物に何か仕込まれていても、事前に本機(わたし)がスキャンし、安全を確認しますので。もし、何か仕込まれていたなら、その事について、正式に抗議するべきでしょう。少なくとも、あの教皇ならば無視はしないと、考慮致します』


 そしてザッ君からは、飲食物への毒物対策として、事前にスキャンするからとの言葉。本当に気が利くロボットだな。助かるよ。


 ともあれ、先方を待たせる訳にもいかず。いざ、会食の場へ。







 案内された先は、広間。白いテーブルクロスが掛けられた長いテーブルの上には、見るからに高価そうな器に盛り付けられた幾つもの料理と、各種飲み物、そして食器が並べられている。ナイフ、フォーク、スプーン、箸。僕が箸を使う事まで調査済みらしい。立食形式らしく、椅子は無い。


 〘スキャン完了しました。毒物、薬物反応は無し。周辺にも盗聴、盗撮、監視、伏兵等も無し。安全と思われます〙


 ザッ君がこっそりと耳打ちしてくれる。


(ありがとう、ザッ君)


 こちらもこっそりとお礼を告げる。


「では、ごゆっくりお楽しみ下さい」


 そう言って、案内係の人は去っていった。とりあえず、頂くとしよう。食べないと身体が保たない。仙人とかじゃないからね。


 メイン料理は北国だからか、鍋料理。グツグツと煮えていて、湯気が上がっている。それ以外にも、肉、魚介料理が並び、酒にソフトドリンクも各種並ぶ。スイーツブルグ侯爵家のパーティーの手伝いによく呼ばれていたから、どれも贅を尽くした品ばかりと分かる。僕達に対する誠意を見せる意味合いか。


 しかも、使い魔の分まで用意されている。つくづく、細かい所まで至れり尽くせり。……裏を返せば、ここまでしたんだから、絶対に結果を出せと言われている訳だけど。


「とりあえず、頂きます」


 ちゃんと頂きますを言ってから、箸を手に、料理に手を付ける。まずは鍋料理。……何か、妙に見覚えの有る鍋料理なんだけど。


「ヒョヒョヒョ! 教国名物料理、ウォーデーンじゃ。熱々のこいつと、同じく教国名物の猛火酒(ブレイズ)で一杯やるのが最高なんじゃ。ま、お前さんはまだ未成年じゃから、酒は飲ませられんがのう」


「って! 教皇猊下! 何故、ここに?!」


 やけに見覚えの有る鍋料理に少なからず驚いていると、そこに追い打ち。教皇猊下が突然、話し掛けてきた。びっくりした! というか、何故、ここに? 謁見は終わったでしょうに。


「な〜に。せっかく訪れてくれた客人を、主人直々にもてなすのが礼儀というもんじゃろうが。違うかの? 後、儂も美味い物のご相伴に預かりたくての。教皇というのも、中々に窮屈なものでな。たまには息抜きの一つでもせねば、やってられんわい」


 そう言うなり、近くの酒瓶を手に取り、いきなりラッパ飲み。それから、鍋から具材を次々と取っては食べる。


「う〜ん! やっぱり、猛火酒(ブレイズ)にウォーデーンの組み合わせは最高じゃ! 堪らんのう!」


 あの、僕、まだ食べてないんですけど……。なんて場合じゃない、早く食べないと無くなる! 急ぎ、鍋から小皿に具材を取る。卵、練り物に、輪切りの根菜。どう見ても『おでん』だ、これ。醤油ベースの出汁の奴。偶然にしては出来過ぎ。となると……。


「このウォーデーンはの。その昔、まだ教国が建国されるよりも前、この地を訪れた男が教えてくれた料理だと伝わっておる。その男がどこから来たかは、分からんそうじゃがのう。ただ、妙な事は言っていたそうじゃがな。『ここはどこだ? こんな場所は知らない』とな。その後、男は去り、それっきり、二度と姿を見せなかったとある。……恐らくは、異世界から迷い込んだ者だったんじゃろうな。どうなったかは知らんが、気の毒な事じゃて。その点、お前さんは幸運じゃわい、ヒョヒョヒョ!」


「……まぁ、その点に関しては否定しませんが」


 やはり、異世界からの来訪者由来だった料理、ウォーデーン。だが、教えてくれた人はその後、消息を絶ったと。改めて、異世界に投げ出される事の過酷さ。今、こうして生きている事のありがたさを痛感する。


 異世界は楽園じゃない。むしろ、地獄。身分も金銭も人脈も無い。法も適用されない。それが異世界に行くという事。そんな状況で生き残るのは至難の業。ましてや、成り上がりだの、世界最強だの、ハーレムだの、もはや夢物語。そんな事が出来るとしたら、極一部の天才だけ。元の世界で負け組のクズには絶対に無理。


「ま、運だけでなく、色々な要素が上手く噛み合ったからこそ、お前さんは今、ここにいるんじゃがの。今後も精進せいよ、若人。油断していたら、あっさり死ぬぞ? 」


 ヒュッ! ガキッ!


 教皇猊下がそう言うや否や、風切り音と、激突音。


「忠告、痛み入ります」


 教皇猊下が僕の喉元に向けて繰り出した箸を、同じく箸で弾いて逸らす。


「ヒョヒョヒョ! 素直で実に結構。忠言は耳に逆らうでな。老いぼれの戯言と、聞かん奴が多くて困るわい。伊達に長生きはしとらんのじゃがな」


「忠告は聞く主義なんです」


「良い心掛けじゃ。ヒョヒョヒョ! では、今日はゆっくり英気を養い、明日からの『塔』攻略、頼んだぞ」


 楽しそうに笑い、去っていく教皇猊下。つくづく食えない爺さんだ。とりあえず、今は食事。明日に備えないとね。


「シャー!」


 僕の頭の上に乗ったまま、今まで空気を読んで黙っていてくれた、僕の使い魔。白ツチノコのダシマキにも、料理のおすそ分け。鍋からゆで卵を取り、小皿に乗せると、飛び降りてきて、蛇だけに一口で丸呑み。


「シャー」


 悪くない味付けとの事。でも、ハルカの作る出汁巻き卵よりは落ちると。


「そう。帰ったら、作ってあげるからね」


「シャー」


 その為にも、今回の『塔』攻略、無事に果たさないとね。後、あまり留守には出来ないし……。ナナさんに、バコ様とチーたん、大丈夫かな? 特にバコ様とチーたん。ボケ猫とアホ猫だし。騒ぎを起こしてないと良いけど……。






 魔博side


 ハルカと教皇の間で一悶着有ったものの、会食は終了。その後、豪華絢爛にして広い浴場に案内され、汚れを落とし、疲れを癒す事に。まがりなりにも、来賓扱いだけに良い湯だった。虚弱貧弱無知無能の人間にしては、中々のもてなしと評価してやらないでもない。で、その夜。


 私達の為に、教国側は最高級の来賓用個室を用意。ガキ3人は、明日に備え、さっさと寝てしまった。……良い判断と言える。『塔』は悪意と殺意に満ちた、生きているダンジョン。一度入れば、安心して休める場所など限られている。休める時にしっかり休み、万全の状態で戦いに備える。流石は邪神ツクヨのお気に入り2人と、武神の弟子。


「で、いつまで不貞腐れているつもり? エルージュ。貴女も分かっているでしょう? 魔氷女王アイシアは『滅びた』。『死んだ』ではなく『滅びた』。どう足掻いても、彼女は帰ってこない。それに、ハルカ・アマノガワだけど、この短い間とはいえ、私が散々侮辱してやったのに、乗ってこなかった。腹は立てていたけどね。中々どうしてやる。目先の事しか見えないバカ(なろう系転生者)とは違う。邪神ツクヨが入れ込む理由も分かるわね」


「……理屈と感情は必ずしも一致しないのです、タマ。私とて、分かってはいます。アイシア姉様は滅びた。復活は無いと。それに、ハルカ・アマノガワ。あの死神ヨミが選び、アイシア姉様の身体を与えた転生者。確かに、それだけの資質は有りますね。それは認めざるを得ません」


 相変わらず、拗らせている事。とはいえ、認めるべき所はきちんと認める辺りは流石。


「事実、彼女は大したものだと私も思います。願望器たる理想珠。それを要らないと即答した辺りは特に。しかも、ただ要らないのではなく、願望器の危険性を指摘した上で、要らないと言った。そうそう言える事ではありません」


 その辺は私も同感。願いを叶える願望器。多くの者達が求めて止まない至高の宝。たとえ恐ろしい代償が必要としても、尚、欲しがるのが常。それをあっさり、要らないと即答するとはね。最近、やたらと増えた下級転生者。いわゆる、なろう系のバカには絶対に出来ない事だ。あいつら、本当に目先の利益しか見えないからね。その先に破滅が待っているとしても。


「まぁ、少なくとも彼女なら、アイシア姉様の名に泥を塗る真似はしないでしょう」


 それだけ言うと、そっぽを向くエルージュ。一応、及第点という事らしい。さて、私、機怪魔博タマとしては、もう少し見てみたい。科学者なのでね。個人的な感情ではなく、あくまで事実を元に判断せねばならない。そういう意味では、今回の『塔』攻略は渡りに船。じっくり観察させて貰おう。


「ザッ君、今回も頼りにしているよ」


『は、お任せ下さい、魔博』


 私が一番の信頼を置く、唯一の側近に告げる。さて、部屋に戻りますか。


 ……何か、キャラが違うと言われた気がするわね。これが私の素よ。ニャーニャー煩いキャラは、キャラ作り。そうそう素は見せないのが私の主義。








 クリスside


 スタンピード発生による警備部隊壊滅のドサクサに紛れ、『塔』への侵入を果たした私達4人ですが、今回の『塔』はこれまでとは格段に難易度が上がっていました。


 これまで100階から出現していた、巨人系のファッツジャイアントが、1階の時点で大量出現。この時点で、明らかに異常です。その後、上へと向かいましたが、まぁ、出るわ出るわ、大量の魔物、凶悪な罠、嫌らしい妨害。


 流石に私達といえど、消耗が激しく、これ以上は危険と判断し、一旦撤退。退くべき時には、躊躇わず退く。ダンジョン攻略の鉄則。もっとも、その退き時の見極めが難しいのも確かですが。ともあれ、撤退した私達は、今は宿で反省会をしている訳です。


「今回の『塔』は明らかにおかしいですわね。難易度がこれまでと段違いに上がっていますわ」


「私もクリス殿に同感だ。今回は明らかに異常。これまでの感覚でいたら、足元を掬われかねない」


「全くですな。まさか、我等が30階にも至れず、撤退する羽目になるとは……」


「敵の質も然ることながら、とかく、妨害が辛い。徹底的にこちらの邪魔をしてくる。これでは、満足に戦えない」


 狐月斎さん、狂月さん、クーゲルさんも、それぞれ意見を述べます。


 敵が強い上、妨害が酷い。直接殺害ではなく、徹底的に嫌がらせをしてくる。例えば……。


 敵が現れ、迎え撃つべく踏み込もうとしたら、足元陥没、転ぶ。その先には、悪臭放つヘドロ。しかも、顔面直撃の位置。


 休憩をしようとしたら、酷い悪臭、耳障りな金属音、辺り一面、水浸し。


 突然、フロア全体に大量の粘液。歩きにくい、上から垂れてきて、気持ち悪い。


 持ち込んだ行動食や飲料水が、突然腐る。


 とにかく、一々、邪魔をしてくる。ガリガリとこちらの精神を削りに掛かってくる。地味ですが、恐ろしい罠です。如何に強くとも、ストレスが溜まり、平常心を失えば、脆いもの。呆気なく死にます。事実、過去、何人もそれで死にました。






「異能封じの罠とかも有りましたけど、何より、こちらの精神を削りに来る罠が辛いですわね」


 とりあえず、今は食事。食事が身体を作ります。私は頼んだ料理。甘辛いタレのたっぷり掛かった串焼きの肉を頬張ります。やはり、むしゃくしゃした時には肉を食べるに限りますわね。


「そうして精神的にまいった所へ、温泉やら、安全地帯やらを出してくる、と」


 狐月斎さんは教国名物の強い酒。猛火酒(ブレイズ)を大ジョッキで煽り、私と同じ串焼き肉を頬張ります。


「で、引っ掛かった者はもれなく、『塔』の餌になる訳ですな。実際、見ましたしな……。遺品からして、まだ若い女性だった模様。気の毒な事です」


 狂月さんは白身魚の炒め物を食べつつ、今回目撃した、見知らぬ誰かの末路に目を伏せました。


「『塔』に限らず、ダンジョン攻略は自己責任。それだけだ」


 クーゲルさんは猛火酒(ブレイズ)を大ジョッキで飲みながら、唐揚げを次々と平らげる。


 今回の『塔』は本当に嫌らしい事に、徹底的に嫌がらせを仕掛けて、精神的にまいった所へ、地獄に仏とばかりに、救済をチラつかせてくる。……実際は救済に見せかけた罠ですが。


 心身共に疲労困憊した所へ温泉。入って一息付きたくもなるでしょう。


 美味しそうな果実が実っていたら、食べたくなるでしょう。


 宝箱が有れば、開けたくなるでしょう。


 しかし、それらは全て『塔』が仕掛けた罠。手を出した者は皆、『塔』に喰われてしまいます。世の中、そんなに都合良く出来てはいないのです。






 あまりにも悪質な今回の『塔』。ですが、今回、最も悪質な事。それは……。


「今回の『塔』。まさか、()()()()()()()()()()()()()()()とは」


 基本的に鉄面皮な狐月斎さんが、珍しく苦虫を噛み潰した様な顔をします。私達も似たような顔をしている事でしょう。余計なトラブルの種が大量にばら撒かれたのに等しいのですから。


 通常、『塔』は1つの世界につき、1つしか現れません。しかし、今回の『塔』は違いました。複数世界に跨って出現していたのです。要は『塔』が複数世界同士を繋ぐ中継点となっている状態。これは由々しき事態。


 複数世界から『塔』への侵入者がやってくる。これまでとは比較にならない程、数多くの者達が来るでしょうね。そして、こういう時に必ず現れるのが……。


「自分は主人公だと思い込んだ、なろう系のバカ共が複数世界からやってきて、好き勝手、やりたい放題やらかすのが、目に浮かびますな」


 そう、なろう系のバカ共です。


「で、盛大に破滅する訳だ。周囲を盛大に巻き込んでな!」


 狂月さんは呆れ、クーゲルさんはその末路に怒る始末。


「そして、私達が迷惑を被る。……全く、百害あって一利なしというのを地で行く連中だ……」


 狐月斎さんも不機嫌さを隠そうともせず、猛火酒(ブレイズ)の大ジョッキを一息で空けます。


 実際、これまで幾度となく、迷惑を被りましたし。なろう系の連中は、例外なく狂っているので。


 邪悪な上位転生者や、狂った上位転生者はいますが、善良ななろう系、まともななろう系はいません。そもそも、まともな人なら、軽々しく最強だの、極めるだの言わないでしょうし、ましてや、政治、経済、軍事等に首を突っ込まないでしょう。危険且つ、面倒ですもの。まぁ、狂っている者には分かりませんか。


「これは本当に由々しき事態ですわね。一刻も早く『塔』を消し去らないと、バカ(なろう系転生者)達のせいで、取り返しの付かない事態になりますわよ」


「……あの連中に、自重の二文字は無い故に。狂人共が……」


「自分は主人公、自分は優秀、自分は正しい、自分のやる事は全て上手くいく、自分以外は全てバカ。そう信じて疑わない輩ですからな。自重など求める事自体が無理筋」


「サイコパス、アスペルガー、自己愛性人格障害、それらの合わせ技の連中だからな。話にならん。ああいう社会の汚物は即時、抹殺。これに限る」


 私達は事態の深刻さに頭を抱えます。『塔』だけでも厄介なのに、そこへ狂ったなろう系が大挙してやってくる。あんなクズ連中、幾ら死のうと構いませんし、むしろ、さっさと死に絶えれば良いのですが、『塔』内で死なれるのは困ります。


『塔』内で死んだ者は全て『塔』の餌となり、そのまま『塔』の強化に繋がります。特に力有る者程、より良い餌になります。つまり、なろう系の連中は『塔』にとって、実に都合の良い存在なのです。今回の『塔』が複数世界に跨って出現した事。これは恐らく、より多く、より良い餌を捕食すべく、『塔』が進化したという事でしょう。


「不幸中の幸いは、なろう系の連中が『塔』から出てきていないという事ですわね。現状、『塔』内で全滅している模様」


「欲の皮の突っ張った連中故に、『塔』内の財宝に執着しては、罠に嵌り、死ぬと」


「しかし、クリス殿。それとて時間の問題でしょう。なろう系は自己顕示欲の塊ですからな。いずれ、自分の優秀さ、正しさ、素晴らしさを異世界の愚民共に知らしめんとして、行動し始めるでしょう。そして、意にそぐわぬ者達は全て悪と断じ、虐殺を始めるでしょうな」


「ほとほと、始末に負えんな、なろう系は。特に、今でも語り草だからな。あの最低最悪の自称、魔王の事は」


「かつて、真十二柱に誅殺された、ナグモ某でしたかな? 少しでも気に食わなければ、即座に虐殺。根絶やしにする事で恐れられていたそうですな。陰キャのクソオタが力を得るとどうなるかという、悪い意味での見本でしたな。クーゲル殿」


「……その最期の不様さもまた、語り草。あまりにも酷い傲慢尊大、悪逆非道ぶりに、真十二柱 序列二位 魔道神クロユリが直々に誅殺に来た。その結果、実に惨めで不様な最期を迎えたらしいな。所詮、異能頼みのクズ。魔道神に異能を全て没収されたら、元の陰キャのクソオタに逆戻り」


「狐月斎さんの言う通り、これまで手に入れた異能のお陰で魔王を名乗っていただけですものね。周りの者達もその力故に、従っていただけで、人望ゼロ。むしろ、虐殺を繰り返していたせいで、マイナスに突き抜けていますわね。異能を失えば、即座に掌返しをしますわ。周りの全てに見放されて、不様に泣き喚きながら、それは惨めに死んだそうですわね。まぁ、調子に乗った陰キャのクソオタにはお似合いの最期ですわね」


 世の中は残酷で非情です。極一部の選ばれし者以外、所詮、有象無象に過ぎないのです。


 仮に異能を得たとして、その先に待つのは『破滅』の二文字。


 死にたくなければ、身の程をわきまえる事。現実を受け入れる事。ゲーム、小説等の世界には行けません。当然、物語の主人公にはなれません。現実を見据え、今をしっかり生きる者にだけ、未来が来るのです。


「とりあえず、今はしっかり食べて、ゆっくり休んで英気を養い、明日に備えましょう」


「「「同感」」」







 ハルカside


 明けて翌日。教国側の用意してくれた朝食を食べ、支度を整えて、迎えた午前9時。僕達は、いよいよ『塔』へ向かう。首都ルコーデグラードからも見える、その威容。


「それでは、これより『塔』に向けて出発します。全員、準備は整いましたか?」


 今回のリーダーをお願いした戦姫が、全員に最後の確認を取る。


「はい、大丈夫です」


「俺もいけます」


「私も同じく」


「ニャーも準備万端だニャ」


本機(わたし)も問題ありません。全機能、正常に機能している事を確認しました』


「シャー」


『僕も大丈夫』


「ヒョヒョヒョ! では、張り切って行こうかのう」


 全員が了解の返事をする。喋れないダシマキは鳴き声を上げ、巨大モグラのテルモトは爪で地面に字を書く。……あれ? 余計な返事が。


「……あの、何でいらっしゃるんですか?! 教皇猊下!!」


 いつの間にやら、一同に紛れ込んでいた教皇猊下。勿論、謁見の時の法衣姿ではなく、最初に出会った時の姿。北国なのに寒くないのか? と聞きたくなる、ド派手なアロハシャツに短パン姿にサングラス。


「教皇猊下? はて? 誰の事かのう? 儂は遊び人の『ゴールド・ファーマウンテン』さんじゃ。こう見えても若い頃はブイブイ言わせとったもんじゃわい。ヒョヒョヒョ!」


 何でいるのか聞いたものの、案の定、しらを切る。挙げ句、遊び人のゴールド・ファーマウンテンさんとか、ふざけた事を言い出す。普通なら、即座に叩き出す所だけど、相手は教皇猊下。そうもいかない。それに強いのも事実だし。帰れと言っても、絶対に聞いてくれないな。僕は他のメンバーに視線を送るが、全員、『諦めろ』と視線で返してきた。


「…………分かりました。では、よろしくお願いします、ゴールドさん」


「ヒョヒョヒョ! 物分りの良い子は好きじゃぞ。では、いざ、出発じゃ!」


「何、勝手に仕切っているんですか、このジジイ……」


「そうカリカリするニャー。小じわが増えるニャー」


「煩い!」


 諦めの境地で教皇猊下、もとい、遊び人のゴールドさんを一行に加え、僕達は『塔』に向かう。果たして、何が待ちかまえているんだろう? 無事に解決出来るかな?







 ヒョージュside


『ヒョージュへ。面白そうだから、儂も『塔』へ行く。後は任せた。もし、儂が生きて帰らなかった場合は、儂の指名に基づき、お前が次の教皇じゃ。頼んだぞ、ヒョージュ・イツテク枢機卿。


 ルコード教国 第十三代教皇 イメサチャミ・マキンザユトヤ』


 私は、読み終えた置き手紙を思わず握り潰し、叫んだ。


「あの!! クソジジイーーーーーーーーッ!!!!』







 ハルカside


「シャー?」


「……ダシマキ、今ね、何か、ヒョージュさんが凄く怒った気がする」


「シャー」


「うん、そうだね。教皇猊下が勝手に宮殿を抜け出して、『塔』攻略に加わるなんて、不祥事中の不祥事だからね」


「ヒョヒョヒョ! 儂は教皇猊下ではなく、遊び人のゴールドさんじゃ」


「……事が済んだら、ヒョージュさんにストレス解消に良い、薬草茶を送ってあげよう」


 間違いなく、今頃、大荒れしているであろう、ヒョージュさんに同情。だからといって、引き返す選択肢は無い。そして、ついに僕達はやってきた。


『塔』へ。







 僕達の眼前にそびえ立つ『塔』。大きいのも、高いのも分かっていた。遠目からも見えていた。魔道神様から頂いた資料も読んだ。だが、いざ、実際にその前に来ると、その威容と異形に圧倒される。


「凄く……大きいし、高いです。後、デザインが悪趣味」


 とにかく大きい。それ以上に途轍もなく高い。上を見上げても、頂上が見えない。後、デザインが悪趣味。有機物、無機物問わず、あらゆる時代、あらゆる場所の物を片っ端から寄せ集め、無理やり『塔』の形に仕立て上げたのが分かる造形。しかも、現在進行形で、『塔』全体が不気味に脈動している。本当に悪趣味だ。ホラーゲームかと言いたくなる。現実だけど。


「いつまで見ているんですか。さっさと入りますよ」


 戦姫に促され、『塔』の入口。巨大な両開きの門の前へ。


「私が開けます。下がっていなさい。後、もしもの事態に備え、迎撃、撤退、いずれでも出来る様にしなさい」


 自分が門を開けると言い、門の前に立つ戦姫。僕達には下がり、もしもの事態に備えよと。そして、戦姫が巨大な両開きの門に両手を掛けて、押す。ゆっくりと静かに門が開いていく。それを見守る僕達。


「……門を開けた途端に急襲、とは来ませんでしたか」


 幸い、門を開けても何も起きなかった。戦姫が周囲を確認した上で、僕達に手招きをし、僕達も『塔』内へ。


「広い。それに立派ですね」


 内部は非情に広く、奥が見えない程。白い大理石の様な素材で出来た、古代ギリシャ時代の建物の様な構造になっていた。パルテノン神殿の更に凄い奴。


 その広さ、立派さに驚くと同時に、その異常さにも気付いた。あまりにも綺麗過ぎる。


「おかしいのう。これまで、かなりの数の連中がここに入ったはず。そして帰って来んかった。魔物に殺されたにしろ、罠で死んだにしろ、死体の1つや2つ転がっていてもおかしくあるまい。じゃが、血の跡すら無いのう。わざわざ、綺麗に掃除でもしたというのか?」


 ゴールドさんも不審がる。僕は資料のお陰で知っているけど。死体は全て『塔』に喰われたんだ。


「ハルカ、来るよ」


 イサムが僕の脇腹を軽く突く。彼は既に腰に差した刀をいつでも抜ける体勢だ。竜胆(リンドウ)さんは銃剣付きライフルを構え、戦姫は槍、魔博はザッ君を前に出し、自身は下がる。僕もまた、両手に宝石扇を構える。ゴールドさんもいつの間にやら、戦闘体勢。


 ピシピシ……


 周囲の床、壁、挙げ句は天井から、ひび割れの音。直後、それらが砕け、中から魔物が大量に出現。四方八方から、大挙して襲い掛かってきた。全身、肌色でブヨブヨした身体の巨人族。


「ファッツジャイアントですか。良い小手調べになりますね。ハルカ・アマノガワ、貴女に任せます。この程度、蹴散らしてみせなさい」


「分かりました」


 まずは、小手調べか。戦姫のご指名とあらば仕方ないね。


「では、行きます!!」


 両手に宝石扇を構え、向かうはブヨブヨの醜悪な巨人の群れ。傍から見れば無謀。だけど、僕はある意味、戦姫を信じている。彼女は僕の事を良く思ってはいないだろう。


 だからといって、『魔氷女王アイシア』の名誉を汚す様な事もしないだろう。彼女は魔氷女王アイシアを、それは敬愛しているそうだからね。


 そんな彼女が僕にやれと言ったんだ。つまり、今の僕なら出来ると信じているという事。ならば、答えよう。とりあえず、目前の奴等を片付けるか。


御津血(ミヅチ)神楽改!!」


 天之川家に代々伝わる御津血(ミヅチ)神楽をベースに、ナナさん流武術を組み合わせた、御津血(ミヅチ)神楽改。まだ未完成ながら、宝石扇の鋭利さも有り、ブヨブヨの巨人達を切り刻む。


『魔博、援護はよろしいので?』


「あの分なら、必要無いニャー。ま、この程度で助けを必要とするカスなら、そもそも助ける価値無しニャー」


 聞こえてますからね、魔博。とはいえ、言っている事は正しい。頑張って、片付けるとしましょう! 先は長い。


「…………やはり、アイシア姉様とは違う。だが、悪くない」



お待たせしました。第164話。


教皇とヒョージュ。上位転生者4人組。そしてハルカ達。それぞれの思惑の中、ついに、『塔』に侵入したハルカ達。


そして今回、分かった事。今回の『塔』は徹底的に精神的に削る罠を仕掛けてくる。更に、精神的に疲れた所へ、温泉やら、安全地帯やらを出してくる。正確にはそう見せかけた罠を。


更に『塔』はこの世界だけでなく、複数世界に跨って出現していた。つまり、入口は1つではなく複数有り、複数世界から、侵入者が来ている。これは由々しき事態。


『塔』を中継点として、他の世界の連中がこちらの世界に来るかもしれない。特になろう系。もし来たら、ろくな事をしないのは火を見るより明らか。その事に頭を抱える上位転生者4人組。


ちなみに、邪悪な上位転生者。狂った上位転生者はいるが、善良ななろう系。まともななろう系はいない。なろう系は、例外なく狂人。サイコパス、アスペルガー、自己愛性人格障害等の合わせ技ばかり。でなければ、軽々しく、極めるだの、最強だの言わない。ましてや、政治、経済、軍事に首を突っ込まない。実際、ハルカはしない。


では、また次回。




追記


黒巫女 ∶魔の力を持って、魔を討ち滅ぼす、闇の巫女。神聖な力を持って、魔を浄化する白巫女とは対極に位置する。その性質上、白巫女からは嫌われているし、魔の力に飲まれて破滅する奴が多く、数は少ない。ただし、数少ない生き残りは、魔の力を使いこなす腕利き揃い。


黒い着物に袴姿。袴の色で格が分かる。初級の青。一人前の灰。最高位の紫。上位転生者4人組の夜光院 狐月斎は黒巫女最高位の紫。


更に追記


上位転生者4人組のクリス。


本名、クリスティーヌ・リツハ・ソーディン。剣を生み出す、創剣魔法の名家、ソーディン家の生まれ。他の3人と違い、赤ん坊からスタート。元は、売れない漫画家。大震災により、住んでいた安アパートが倒壊、圧死。異世界転生を果たす。


だが、創剣魔法の名家、ソーディン家の生まれながら、出来損ない扱いされ、不遇の日々を送る。何故なら、ソーディン家の者達は皆、炎、氷、雷といった、属性剣を出せるのに、彼女は何の力も無い、ただの鋼の剣しか出せなかった。創造速度だけは、一族随一且つ、剣の大きさ、形を自在に変えられるものの、相手にされず。


しかし、その後、自らの創剣魔法の計り知れない可能性に気付き、ついには、一族最強の座を得る。そんな彼女の異名は『千剣万禍』。本人曰く、千剣どころではないとの事。


ある時、千年前の剣聖の生まれ変わりとやらと戦い、完勝した事で、その名を知らしめる。ちなみに、その剣聖、クリスの生み出した剣を掴み、『借りたぞ』などとドヤ顔かますも、『他人の物を勝手に借りてはいけないと知りませんの?』と返され、直後、両手が腐り落ち、敗北。


そもそも、剣聖ではなかった。剣聖はこの世に4人しかいない上、剣聖なら、『剣聖の証』を必ず持っている。持っていなかったので、単なる自称、剣聖。


後に、クリスは本物の剣聖、狐月斎と知り合い、『剣聖の証』を見せて貰った。


狐月斎の持つ『剣聖の証』、月長石という鉱石で作られた三日月形のペンダント。常に身に着けている。


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