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僕と魔女さん  作者: 霧芽井
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第163話 ハルカの『塔』攻略記 ファンキー、ファッキン、教皇猊下!

 ハルカside


 道中、色々有ったものの、いよいよ、今回の件の依頼者にして、ルコード教国の元首。教皇との謁見に向かう。一国の元首と会うだけに、事前に武装は解除。教国側に預ける事に。案内係に導かれ、いざ、謁見の間へ。


 まぁ、武器に関しては、いざとなれば呼べば来るから、さほど問題ではないにしろ、やっぱり、緊張するなぁ。僕は元々、一般家庭出身で、こういう偉い人と関わる事は無かったから。


 貴族のミルフィーユさんや、王族のレオンハルト殿下と関わる様になったとはいえ、今回は一国の元首。ヘマをしたら、僕だけの問題じゃすまない分、重圧が凄い。下手すれば、国際問題だし……。


『こういう場は初めてですか? ハルカ様。ご安心下さい。例え、不測の事態が起きようとも、本機(わたし)が付いております。フォローはお任せ下さい。何、いつも魔博のフォローに奔走しておりますので』


 そんな僕を気遣ってか、話し掛けてくれるザッ君。緊張をほぐそうとしてくれているのが分かる。気の利くロボットだなぁ。その高性能ぶりに感心すると同時に、気遣いに感謝する。


「ありがとう、ザッ君。お陰で緊張がほぐれたよ」


 こういう時、頼りになる相手がいるのは、本当に助かる。ちなみに案内係の人は、ザッ君について、特には聞いてこなかった。今回は使い魔同伴が認められているから、誰かの使い魔とでも思ったんだろう。後、余計な事に関わりたくないって所か。


 それにしても、教皇は何を企んでいるんだろう? 『塔』が危険な存在なのは確かだし、自分で言うのも何だけど、僕が実力者なのも確か。


 でも、それだけで、わざわざ他国の人間である僕に『塔』攻略依頼を出すか? やはり、この依頼、怪しい。しかし、今は怪しいと分かっていても、乗るしかない。


 そして到着した、謁見の間に続く、両開きの扉の前。見るからに高そうな装飾の施された、大きくて豪勢な扉だ。こういう所にも、訪れた者に教国の威信を見せようとする姿勢を感じられる。


「アルトバイン王国よりの来賓。ハルカ・アマノガワ御一行をお連れしました」


 案内係の人が、扉の前でそう告げる。僕達、一応、来賓扱いなんだね。


 すると、見るからに大きく重そうな両開きの扉が、音も無く、静かに内側に開いていく。その先は赤い高級そうな絨毯が敷かれた、謁見の間。


 そして奥は雛段状になっており、その一番上に、玉座が有るんだけど……。


 ()()()()()()()()()


 あ、案内係の人、気まずそう。


「玉座が空席とは。教皇はどういうつもりなんでしょうか?」


「わざわざ、こちらを呼び付けておいて、会わないってのは、頂けないな」


 竜胆(リンドウ)さん、イサムは、不信感を顕にする。確かにこれは不自然。……もしや、何かの罠?


 メインの武器は預けたけれど、もしもの事態に備え、隠し武器の糸と針は有る。いつでも使える心構えをする。隠し武器は『裏』の者なら、当然の嗜み。その辺はイサム、竜胆(リンドウ)さんも言うまでもない。ましてや、戦姫、魔博は尚更。ザッ君に至っては、自身が兵器だし。


 と、まぁ、そんな事を考えながら、教皇が現れるのを待っていたら……。何と言うか、『直感』が働き、後ろに向け、コンパクトに足払いを放った。


「ヒョッ! 危ない、危ない。いきなり年寄りに何をするんじゃ!」


 しかし、空振り。不意打ちで放った足払いを軽くジャンプして躱したのは、宮殿に向かう途中で絡んできたファンキーなお爺さん。


 ……ちょっと待て。何故、ここにいる? ここは、ルコード教国の元首、教皇の御わす宮殿だ。単なるふざけた老人の入れる場所じゃない。もし、そんな事が出来るなら、この宮殿の警備担当は全員クビだ。と、なると、このお爺さん、もしかして……。


「ヒョヒョヒョ! 若いとは良いのう! 咄嗟に繰り出したにも関わらず、実に切れの有る、良い足払いじゃったぞ。だが、まだまだ甘いわ。『起こり』を消し切れておらん。ともあれ、はるばる、遠くからよく来られたな。異国よりの客人達よ。教国を代表して歓迎しよう」


 僕の不意打ちの足払いを軽く躱し着地したお爺さんは、飄々とした態度を崩す事なく、僕の足払いを評価しつつ、駄目出しもする。その上で、教国を代表して歓迎すると。……これは不味い。盛大にやらかした。思わず、背筋が寒くなる。


「では名乗ろう。儂はルコード教国、第十三代教皇。イメサチャミ・マキンザユトヤ。よろしくな! ヒョヒョヒョ!!」


 そう言って、ヒョヒョヒョ! と笑うお爺さん、改め、ルコード教国元首。イメサチャミ教皇猊下。…………本当にどうしよう? これ、国際問題待った無しじゃ……。


「あ、気にせんで良いぞ! 年寄りのほんの軽〜〜い挨拶じゃ! 北国ジョーク! ヒョヒョヒョヒョ!」


 流石は北の大国、ルコード教国元首。とことん食えない御仁らしい。


「伊達に長生きも、国家元首もしとらんわい! ヒョヒョヒョヒョ!! 後、隙有りじゃ!」


 いきなりお尻を触られた! ……このクソジジイ! 久しぶりに、殺意が湧いたよ。でも我慢。ここで手を出したら、本当に国際問題になる。腹立つな……。






「いやはや、待たせてすまんかったの。急なトラブルが起きてゴタゴタしてしもうてな。やれやれ、偉くなるのも良し悪しじゃわい。ま、とりあえず……キョーコー! ファンタスティックパワー! メイクアーップ!!」


 待たせてすまなかったと、ちっともすまなそうには思えない態度で謝罪するや、いきなり訳の分からない掛け声と共に空中に飛び上がる。そしてその姿が七色の閃光に包まれ……。


「グレートビューティフルパーフェクトキョーコー! セットアップ!!」


 正当な教皇の証たる、立派な法衣、冠を身に着け、様々な装飾が施された笏を持つ教皇猊下が玉座に座していた。……速い! ふざけた変身シーンはともかく、玉座までそれなりに距離が有った。それをあの一瞬で詰め、玉座に着くとは。ふざけたお方だが、その実力は認めざるを得ない。


「……ジジイの変身シーンなんて、どこの誰に需要が有るんだ?」


「イサム、そういう事言わない」


 気持ちは分かるけどね。多分、皆、同感だと思う。ともあれ、いよいよ、教皇猊下と謁見だ。






「さて、早速じゃが本題に入ろうかのう。時間は有限じゃからな。既に書状を読んで知っておるじゃろうが、改めてこの儂。ルコード教国、第十三代教皇。イメサチャミ・マキンザユトヤがアルトバイン王国所属。ハルカ・アマノガワに対し、正式に依頼する。依頼内容は、我が国の領内に突然出現した『塔』の内部調査、並びに、可能ならばその破壊じゃ。報酬は、1億マギカに『塔』内で発見した財宝は全てそちらの取り分で良い。更に、『塔』攻略に関する必要経費は全てこちらで持とう。後、『塔』攻略に関しては、全ての行動を許可する。例え、それが違法行為であったとしても、儂の名において許す。教皇からの特務としての。……これでどうじゃ? 何か、質問は有るかの?」


 謁見が始まるや、即座に話を切り出してきた教皇猊下。確かに時間は有限だけど。いわゆる、即断即決の人らしい。しかし、随分と破格の条件だな。間違っても一国の元首が一介のメイドに出す条件じゃない。なろう系のバカなら、喜んで飛び付くんだろうけど、生憎、僕はなろう系じゃないんでね。


『美味い話には、裏が有る』


 先人が残した、ありがたい言葉。本当に至言だね。これを軽んじたバカが、文字通りバカを見る事に。そんな訳で、僕は教皇猊下に問う。


「私如き、一介のメイド風情に過分な評価、及び、破格の待遇、恐悦至極に存じます。ですが、教皇猊下に対し、無礼は承知の上で、申し上げます。私如きに『塔』攻略などという大役が務まるとは、とても思えません。聞けば、教国の送り込んだ精鋭部隊でさえ、返り討ちの憂き目にあったとか。にも関わらず、私に依頼をする教皇猊下の真意を知りたく存じます」


 ……さて、どう答えるかな? まぁ、馬鹿正直に答える訳ないけど、とりあえず、返答を聞こうか。


「ヒョヒョヒョ! 一介のメイド風情のう。そういう台詞はもう少し以前なら、通用したかもしれんがのう。今となっては通用せんぞ。お前さん、ちと目立ち過ぎたぞ。例えば、南の魔境と悪名高い、魔蟲の森での大立ち回り。更には、同じく南の聖域。火の精霊王、朱雀の住まう、紅蓮島にも行った。比較的最近では、東方の国、蒼辰での騒動の解決にも一役買ったそうではないか。そして何より、()()伝説の三大魔女が一角。『名無しの魔女』が選んだ弟子。そんなお前さんが一介のメイドなど、笑えん冗談じゃぞ。それとも何か? お前さんの師匠は、そんなつまらん奴を弟子に取る、節穴か?」


 ……流石はルコード教国元首、教皇猊下だけあって、口では勝てないな。特に最後のナナさん絡み。あんな言い方をされて尚、一介のメイドと言ったら、それはナナさんの顔に泥を塗る事になる。後、思った以上に、教国側はこちらの情報を掴んでいるらしい。……本当に食えない爺さんだ。


「どうやら、こちらの事は把握済みの様で。教皇猊下に対し、非礼を働いた事、平にご容赦願います。その上で、敢えて、教皇猊下に質問致します。本当に、私でよろしいのでしょうか?」


 残念ながら、今の僕では、この老獪な人物に勝てない。北の大国、ルコード教国元首は伊達じゃない。その上で、改めて質問をする。


「うむ。そんなお前さんだからこそ、依頼するのじゃ。最近よく聞く、()()()()とか言うバカ共にはとても依頼出来んからのう。あの連中は力は有っても、知性も理性も品性も無い、獣にも劣る存在じゃ。その点、お前さんは信用出来る。のう? ()()()()()ハルカ・アマノガワよ」


 上位転生者。その言葉を聞いた時、正直、ゾッとした。目の前のスケベ老人が、得体の知れない化け物に見えた。いつの間にか、イサムとザッ君が僕を守れる位置に移動していて、尚且つ、いざとなれば、竜胆(リンドウ)さんが僕を捕まえ、脱出出来る位置取りをしていた。ちなみに戦姫と魔博は無関心。……少しはやる気を出してくれませんか?


「よくご存知で」


 とりあえず、それだけ言った。下手な事を言ったら、それこそ藪蛇になりかねない。僕は教皇に対する警戒度を一気に上げる。


「ヒョヒョヒョ! 伊達に長生きも教皇もしとらんわい。特に我が国は歴史が古いでな、歴代教皇には色々と伝わっておるんじゃ。その中には、お前さんの様な転生者、異界人に関する事も含まれておる。その上で判断した。お前さんは最近、急に増えた、世間を乱す愚か者達とは違うとな」


「過分な評価、痛み入ります」


 本当に食えない爺さんだ。だが、善意の人ではないにしろ、少なくとも、現状、敵ではなさそうだと思う。僕の師匠が三大魔女の一角。『名無しの魔女』と知っている以上、それを敵に回す危険性が分からないバカではない。そんなバカなら、そもそも、教皇になんかなれない。


「で、依頼に対する返答は如何に?」


 その上で、依頼に対する返答を問う、教皇。それに対し、僕も返す。


「謹んでお受け致します」


「ふむ。依頼成立じゃな。長話をしてすまんかったのう。長旅で疲れたじゃろう? 部屋を用意してあるでな。ゆっくり休むが良い。案内の者を付けるから、付いて行け。それから、会食じゃ。教国自慢の料理と酒を振る舞わせて貰おう。では、依頼の方、しっかり頼むぞ。ヒョヒョヒョ!」


 そう言うや、否や、一瞬で教皇は姿を消した。空間転移じゃない。()()()()()()()。とんでもない速さだ。某、殺しが趣味の運び屋みたいだ。


「……色々な意味でとんでもない爺さんだな」


「教皇は伊達ではないという事ですか」


 イサムと竜胆(リンドウ)さんも、教皇の実力に舌を巻く。権力者によく有りがちな、威張り散らすだけの無能じゃない。知謀と武力を兼ね備えた、油断ならない相手。気を引き締めて事に当たらねばならないな。






「では、会食の準備が整い次第、呼びに参ります。それまで、ごゆっくりお寛ぎ下さい」


「ありがとうございます」


「それでは失礼します」


 案内係の人に導かれ、来賓用の部屋に通された僕達。ようやっと、一息付ける……。緊張続きだった事も有り、豪華なソファーに腰掛けようとして……。いきなりイサムに止められた。


「待った。竜胆(リンドウ)、頼む」


「了解です、先輩」


 続いて竜胆(リンドウ)さんが槍を空中から取り出し、石突の方でソファーをあちこち突いたり、叩いたり。


「……何も仕掛けられていない様です」


 更には、ザッ君も。


本機(わたし)もスキャン完了しました。この室内及び、周囲に物理的、霊的、共に罠、盗聴、監視の類いは存在しません。安全であると思われます。しかし、一応、発言、行動には注意すべきと、進言致します』


「ハルカ、迂闊だよ。ここは敵地とまでは言わないが、少なくとも油断はしちゃいけない。何を仕掛けているか、分かったもんじゃない。もし、ソファーに罠が仕掛けられていたら、死んでたよ」


「相手が触る所に罠を仕掛ける。定番の手口です。全く、これだから、一般家庭出身の甘ちゃんは困るんです」


 イサムに迂闊だと指摘され、竜胆(リンドウ)さんもそれに乗っかり、ここぞとばかりに責める。とはいえ、確かに言われた通り、迂闊だった。相手の心理を突くのは、罠の鉄則。この場合、緊張続きで疲れて、座りたいという心理。もし、罠が仕掛けられていたら、危なかった。気を引き締めて掛からねばならないと思っていたのに……。自らの甘さを痛感する。


竜胆(リンドウ)、その辺にしておけ。失敗は良くないが、それを反省し、今後に活かすのはもっと大事だ。ハルカも疲れているのは分かるけど、気を付けような。君に何か有ったら、間違いなくナナさんがキレる。そうなったら、大惨事確定だ」


 そこへイサムがフォローを入れてくれた。気遣いの人だなぁ。それに、確かにイサムの言う通り、僕に何か有ったら、間違いなくナナさんがキレて、大惨事確定だ。……我ながら、責任重大だと改めて思う。ナナさん、正義の味方じゃないからね。基本的に邪悪な魔女だし。






 ともあれ、今後について話し合う事に。意思疎通、意見交換は大事。これらを疎かにするのは、あまりにも危険。でも、その前にやる事が有る。戦姫と魔博にお願いする。


「戦姫、魔博。これから今後について話し合いたいと思いますが、その前に防諜をお願いします。既に確認済みとはいえ、念には念を入れるべきと思いまして」


「……まぁ、良いでしょう。大した手間でもありませんし」


「防諜を考えないアホじゃなかったみたいだニャー」


 幸い、2人共、了承してくれた。戦姫が部屋の四隅に宝石を放ち、魔博はザッ君に指示を出す。


「ザッ君、頼むニャー」


『了解です、魔博』


 ザッ君の赤く光るモノアイが、より一段と強く光る。何かしたみたいだ。


「とりあえず、私の結界を張りました」


「更にザッ君に防諜フィールドを展開して貰ったニャ。これなら、まず大丈夫ニャ。ほら、防諜をしてやったんだから、涙を流してひれ伏して感謝しろニャ。この虚弱貧弱無知無能」


「…………本当にありがとうございます」


 やっぱり腹立つな、この2人……。いや、神魔とは本来、傲慢尊大な存在だ。ツクヨを始めとする、これまでの神魔が話の分かる例外だっただけか。


 まぁ、これで安心して話を出来る状況が整った。個人的な感情は抜きにして、今後について、話し合わないといけないんだけど、果たして出来るかな? この面子で……。






「え〜。では、これより、今後についての話し合いをしたいと思います。事前に情報を共有するという意味合いも有ります」


 この面子でまともに話し合いが出来るのか、不安だけど、やらなければ始まらないので、多少、強引に始める事にした。尚、話し合いを始めるに辺り、ザッ君が全員分のお茶を淹れて出してくれた。地味に助かる。


「まず、『塔』に関しては、事前に魔道神様から詳しい資料を頂き、読み込みました。ですが、過信はするなとの注意書きも有りました。やはり、()()()()()()()()()()というのが、実に厄介な点ですね」


 魔道神クロユリ様が事前に送って下さった資料。カラフルなイラスト及び、分かりやすい解説付きで、実に役立つ内容だった。そんな資料の最後に書かれていた事。


『この資料の内容はあくまでも、参考止まりにする事。過信する事なかれ。『塔』は生きているダンジョン。悪意と殺意に満ちている。あらゆる手段を持って、こちらを殺しに掛かる。予想外が起きて当然と心得よ』


『塔』は単なる建造物じゃない。それ自体が巨大生物。莫大な財宝を餌に冒険者をおびき寄せ、喰らう。生き延びて財宝を得るか、死んで『塔』に喰われるか。正に命懸けだ。


「ふ〜ん。ちゃんと事前に情報収集はしているみたいだニャ。ま、そのぐらい当たり前、やらない奴がアホなだけニャ」


「とはいえ、『塔』の厄介さは、その生きているという部分が大半を占めます。定番のダンジョン攻略が通用しませんからね」


 魔博と戦姫も一応、発言。特に戦姫も指摘した様に、生きているダンジョンというのが、本当に厄介だ。


 ただの洞窟とかの自然の構造物なら、よほどの事がない限り、極端に内部構造が変わるといった事は無いだろう。


 だが、『塔』は違う。悪意と殺意に満ちた巨大生物。その内部は常に刻々と変化し、通常のマッピングなど役に立たない。その上、いつ、どこで、何を仕掛けてくるか分からない。


 油断していたら、まんまと誘い込まれて、あの世行きなんて、よく有る事だそうだ。







 さて、話を進めていかないと。次の話へと移る。


「今回、このメンバーで『塔』攻略をするに辺り、纏め役であるリーダーを決めたいと思います」


「まさか、自分がやるとでも言う気ですか? ハルカ」


「僕はそこまで思い上がってはいませんよ、竜胆(リンドウ)さん。僕としては戦姫、貴女にお願いしたいと思っています。魔博には後方支援をお願いしたいので。実力、経験共に、貴女なら申し分ないです」


 やはり、纏め役のリーダーは必要と思う。だからといって、自分がなると言う気は無い。僕はそんな器じゃない。それに、このメンバーでは反発を招いて、空中分解だ。主に竜胆(リンドウ)さん。後、戦姫。次点で魔博。


「私ですか。……本当にそれで良いのですか?」


「はい。貴女が適任だと思います。さっきも言いましたが、実力、経験共に申し分なく、何より真十二柱。リーダーとして、うってつけでしょう。僕は若輩者。それにどこまでいっても、僕はメイドなんですよ。リーダー、まとめ役なんて務まる器ではありません。身の程はわきまえているつもりです」


 僕はむやみに出しゃばるつもりはない。ましてや、今回はパーティーを組んでの攻略。内輪もめを起こしては、致命傷になりかねない。


 僕は物語の主人公じゃない。主人公補正なんて、ご都合主義も無い。何もかもが自分の思い通りに、都合良く運ぶなどとは思わない。むしろ、その逆と考えるべき。


 ……そういう意味では、あの灰色の傀儡師こと、灰崎 恭也は大変な傑物と言える。あれだけの絶大な魔力を持ちながら、決して油断慢心せず、常に最悪の事態を想定し、徹底的にそれらを阻止する策を打ち、更にそれでも阻止出来なかった時に備え、何重にも逃亡手段を用意している。それ故、真十二柱でさえ、灰崎 恭也を殺せない。逃げられている。恐ろしい奴だ。


 ちなみに、なろう系転生者は、勝手に自滅する。ナナさんの名言。


『どんなに凄い力を得ようと、クズは所詮、クズ』


 諺に曰く、『宝の持ち腐れ』。せっかく凄い力を得ても、肝心の使い方が悪い。使いこなせない。これでは意味が無い。どのみち、3年経ったら死ぬ様に設定されている。最初から使い捨て前提の存在。それが、なろう系転生者。


 そもそも、無職だの、引きこもりだの、陰キャのクソオタだのといった負け組のクズが、力を得ただけで異世界で無双、成り上がりなど有り得ない。成り上がれる程、優秀なら、元の世界で負け組の訳がない。無能だから、負け組なんだ。無能の無能たる所以。それは自分が無能と分からない事。


『無知の知』。無知である事を知る。これが大事とはよく言ったもの。


 事実、力を得た負け組のクズ共は全員、あっけなく死んだそうだ。逆に生き残れたのは、やはり生前から優秀な、勝ち組の者達だけだったと。


 ちなみに勝ち組は、強い能力の持ち主とは限らなかった。弱い能力、戦いの役に立たない能力の者も多くいたそうだが、皆、考え、工夫し、見事、生き残り、天寿を全うしたそうだ。強い能力を持つから、強いんじゃない。能力を上手く使いこなす者が、強いんだ。要は地頭の良さ。


 結局、負け組のクズは異世界に行っても、力を得ても、何も変わらない。クズは所詮、クズ。勝ち組の踏み台に過ぎない。残酷だけど、これが現実。それでも現実を認めないのがクズなんだけどね。現実を認め、自らを改めない限り、何も変わらないのに。






 まぁ、そんなクズ共の事はどうでも良い。それより、大事な事を決めないといけない。とても大事な事だ。それは……。


 今回の報酬の分配。


「さて、大事な事を決めようと思います。今回の報酬の分配についてです。魔道神様からは、今回の『塔』で見付けた財宝は全て、こちらの取り分で良いと言質を頂きました。しかし、今回は個人ではなく、パーティーを組んでの攻略となります。故に、各々への報酬の分配を決めねばなりません。そして、一番の問題が、『塔』の最上階の宝。『理想珠』についてです。これの扱いをどうするかが問題です。手にした者の望む理想の品を、1つだけ手に入れられる凄い宝ですから。もし、外部に知られたら、何としても入手しようとするでしょう。そうなれば、大変な事になります」


 いわゆる願望器。流石にどんな願いも叶えてくれるとまではいかないものの、大変な宝であるのは間違いない。この情報は断じて外に漏れてはならない、危険極まりない情報だ。もし漏れたら、あらゆる勢力が手に入れようとするだろう。そうなれば、世界大戦待ったなし。大惨事になる。


「おミャーは要らないのかニャ? 1つだけとはいえ、自らの望む理想の品が手に入るチャンスニャ。『理想珠』の存在を知れば、普通は欲しがるものだニャ。おミャーがさっき言った様にニャ」


 今回の『塔』攻略における、各々に対しての報酬の分配。中でも、一番の問題である『塔』の最上階の宝。願望器たる『理想珠』の扱いについての議論。誰もが欲しがる至高の宝。外部に知られる訳にはいかず、どうしたものか? そこへ魔博が、お前は要らないのか? と聞いてきた。


「要りません」


 即答する。その事に魔博が初めて怪訝な表情を見せる。


「……おミャー、さっきはアホじゃないと思ったけど、やっぱりアホなのかニャ? 願望器ニャ。そんな至高の宝を要らないなんて、正気の沙汰じゃないニャ」


 随分な言われようだ。ならば、きちんと理由を言おう。()()()()()()()()()()()()()()()()


「魔博。分かっていて言うのはやめましょう。貴女程の方なら、分からない訳がない。願望器の危険性を。願望器なんて、大抵、ろくな物ではありません。何か恐ろしい代償が有るのが相場。仮に無くても、願望器を手に入れたという事実が災いを招くでしょう。もっぱら、願望器を欲しがる者達を」


「……チッ! 可愛くないガキだニャ。とはいえ、アホよりはマシだニャ。おミャーの言う通りニャ。願望器なんて、ろくな物じゃないニャ。大抵、恐ろしい代償が有るし、無くても、願望器目当てのクズ共がわんさかやってくるニャ。頭の良い奴なら、手を出さない。それが願望器ニャ」


 理由を言ったら、可愛くないガキと言われた。でも、アホよりはマシだと。やはり、願望器なんて、ろくな物じゃないらしい。頭の良い奴なら、手を出さないと。僕は別に自分が頭が良いとは思っていないけどね。


「序列九位の死神ヨミが、貴女にアイシア姉様の身体を与えた理由が、多少なり、分かった気がします。少なくとも、姉様の名誉を穢す真似はしないという事ですか」


 何か、戦姫からの評価も上がったらしい。結局、『理想珠』に関しては、僕の好きにしろとなった。イサム、竜胆(リンドウ)さんは、武器は既に愛用の品が有るし、他に特に欲しい物も無いと。戦姫と魔博も、今更、『理想珠』に望む物は無いとの事。


 その後、報酬の分配について、話を詰める。基本的に五等分で山分けとなった。個人的な戦利品は、自分の物にして良いと。だからといって、勝手な先走りは許さないと。その辺はきっちり締める。更に戦闘時のフォーメーションや各種合図、もしもの時の撤退も含めて、皆で話し合い、きちんと決める。手抜きはしない。


 冒険者パーティーとは、それ自体が1つの生物。身勝手は許されない。チームワーク、バランスが大事。ワンマンチームでは、いざという時に脆い。


 ともあれ、『塔』攻略に向けて、話を詰めていく。それぞれに思惑は有るし、お世辞にも相性が良いとは言えないメンバーだけど、折り合いを付け、今回はこのメンバーでやるしかない。それは冒険に限らず、世の中で生きていく上で必須の事だと思う。


 なろう系のクズは、自分の無能、怠慢を棚上げし、周囲に責任転嫁の上、全てが自分の思い通りにならないと気が済まないが、全くもって、幼稚でくだらない。そりゃ、認められないし、嫌われるよ。社会人なら、クビ。それ以前に不採用か。


「『塔』攻略における最大の問題。最上階の『塔の主』を倒すと『塔』が爆発する事ですが、これに関しては、戦姫、魔博、お二方にお願いします。僕ではどうにもなりません」


 魔道神様から貰った資料。そこに書かれていた『塔』最大の問題。最上階の『塔の主』を倒す事が『塔』を消し去る唯一の方法ながら、それは同時に『塔』が爆発する事でもある。


 その威力は凄まじく、まぁ、ルコード教国は丸ごと吹き飛ぶとの事。その対策が必要。『塔』と一緒にルコード教国も無くなりましたでは困る。


「それに関しては、私と魔博で事前に結界を張ります。被害は最小限に抑えましょう」


「全く、慈悲深いニャー達に感謝しろよニャー。この愚鈍愚劣馬鹿阿呆間抜け。ほら、額を地面に擦り付けて感謝しろよニャー」


「魔博、そんな事をしたら、アイシア姉様の御身体に傷が付くでしょう」


「チッ! 仕方ないニャー。とりあえず、地面に額を擦り付けるのは勘弁してやるニャー。あ〜ぁ、我ながら、溢れんばかりの慈悲深さに涙が出るニャー」


「…………………本当に、ありがとう、ございます!!」


 腹が立つのを通り越して、殺意が湧くよ! この連中より自分が弱い事が心底、悔しい。などと考えていると。


 コンコン


 ドアをノックする音。


「お待たせしました、会食の準備が整いました」


 どうやら、会食の準備が整ったらしい。とりあえずはここまでにするか。ある意味、良いタイミング。気分転換しよう。






 クリスside


「スタンピード様々ですわね。『塔』周辺の警備が全滅したおかげで楽々、侵入出来ましたわ。しかし……。酷い有り様ですわね」


 スタンピードが起きた後の混乱に乗じ、『塔』への侵入を果たした私達、4人。しかし、『塔』内部は酷い有り様でした。と言っても、死体がゴロゴロとか、血の海という訳ではありませんが、嫌な人には嫌な光景が広がっています。特に虫嫌いの人。


 何せ、大人でも一抱えは有りそうな、大きな『繭』があちこちに転がっているのですから。中から巨大な蛾でも出てきそうな光景。もし、そうなったら、恐怖以外の何物でもありませんわね。まぁ、その点には関しては、まず大丈夫ですが。既に知っていますし。


「随分と喰った様ですな、『塔』は」


 狂月さんはそう言って、繭を刀で切り開きました。その中から巨大蛾が出てくる事はなく、代わりに、兜や、甲冑といった装備一式が出てきました。


「こちらも同じか……」


「これは違うな。一攫千金を夢見た者の成れの果てか」


 狐月斎さん、クーゲルさんも同様に繭を切り開き、中を確認。私も眼前の繭を切り開きます。やはり中から出てきたのは装備一式。それと、写真。古ぼけたそれは、家族写真の様でした。どこの誰かは知りませんが、哀れな最期です。


 ちなみにこの繭、『塔』に喰われた者の成れの果て。『塔』は餌を消化吸収した後、残った食べ滓、大抵は金属製の装備品を繭に包んで吐き出すのです。……言ってしまえば、大便ですわね。


 しかしながら、これ目当てに『塔』に入る者もいますの。その者達は、この繭を皮肉を込めてこう呼びます。


『宝箱』と。







「しかし、多いですわね。『塔』が笑えるなら、笑いが止まらないでしょうね。わざわざ喰われに来てくれるのですから」


「教国もえげつない真似をしますな。欲に駆られた愚か者達を捨て駒にしましたか」


「冒険者だけでなく、教国内の不要な人間も纏めて処分した様だ、狂月殿」


「体の良い厄介払いか」


『塔』内に幾つも転がる繭。その事が犠牲者の数を現しています。教国はまず、欲に駆られた愚かな冒険者達を投入し、更に不要な人間を『塔』の警備に当てた模様。その辺の情報は、狐月斎さんの式神で調査済み。要はクーゲルさんの言う通り、厄介払い。


「とりあえず、上へ向かいましょう。今はともかく、いずれ、また人が押し寄せてくるでしょう。余計なトラブルが起きる前に、出来れば、最上階に到達。塔の主を始末し、終わらせるべきですわね。ま、今、最優先すべきは、この状況を打破する事ですわね!」


 魔道師である私の愛用の杖を頭上に向かって突き出す。


「ギッ!!」


 短い悲鳴を上げ、杖に串刺しにされるトカゲ風の魔物。ちなみに私の杖は、鋭く研ぎ澄まされたレイピアになっていますの。


 真に優れた魔道師は、魔法だけに頼らない。何らかの理由で魔法が使えない、通じない時に備え、きちんと武術を修め、武器も携帯しているものです。


 私の場合、レイピアに加工した杖を使い、レイピアを使った刺突術を修めていますわよ。空中にばら撒かれた豆を全て串刺しに出来る程度には。


 天井からのトカゲの不意討ちを皮切りに、『塔』の壁、床、天井、その全てから、続々と魔物が湧いて出ます。ゲームなら画面エフェクトと共に、戦闘画面に切り替わる所でしょう。ただし、これは現実ですが。現れたのは身長5m程は有ろうかという、ブヨブヨとした肉塊に手足が生えた様な醜悪な姿の巨人。ファッツジャイアント。それが大挙して向かってきます。


 巨人族としては下級も下級。知能も低く、太っているだけに動きも鈍い。武器も持たず素手。しかしながら、腐っても巨人族。その巨体、怪力は脅威。それに、やたらとしぶとい上、そのブヨブヨと太った身体は、物理攻撃を大部分無効化。魔法にも高い抵抗力を持ちます。そんじょそこらの連中では歯が立ちません。


「初手から、ファッツジャイアントとは。今回の『塔』は殺意が高いですな!」


「確かに。このデブ巨人、出るのは100階以降のはず……」


「やはり、『塔』に先入観を持つのは良くないな。想定外が起きるのが『塔』」


 1階の時点でファッツジャイアントが出てきた事に驚きはするものの、取り乱す様な真似は、誰一人しません。確かに、そんじょそこらの連中では歯が立ちませんが、私達ならば、さしたる問題でもなし。さっさと片付けて、先を急ぐとしましょう。


「とりあえず、一番槍は頂きますわ」


 飛行魔法で飛び上がり、狙うはファッツジャイアントの弱点である、脳天。


「せいっ!!」


 ファッツジャイアントの脳天にレイピアロッドを突き立てる。如何に全身ブヨブヨの脂肪に守られていても、脳天までは守られていない。研ぎ澄まされたレイピアロッドは容易く、ファッツジャイアントの頭蓋骨を貫き、脳まで達する。続けて、レイピアロッドに付与された火炎魔法が発動。脳を内部から焼き尽くす。


 悲鳴を上げる間も無く、崩れ落ちるファッツジャイアント。その前にレイピアロッドを引き抜き、次の獲物を狙う。


 その一方で、狂月さん、狐月斎さん、クーゲルさんの3人も、ファッツジャイアントを蹴散らしていました。


 狂月さんはファッツジャイアントの頭上に駆け上がり、私と同じく、脳天に刀を突き立てます。


 クーゲルさんは金色に輝く二丁拳銃を乱射。物理攻撃大部分無効のファッツジャイアントを蜂の巣にしていきます。物理耐性貫通のスキル持ちは、こういう時に輝きますわね。


 極めつけは狐月斎さん。


「あまり時間を掛ける訳にはいかん。纏めて死んで貰おう」


 あ、あの技を使う気ですわね。全員、狐月斎さんの後ろに回ります。


「狐月剣 百禍繚乱!」


 狐月斎さんが五尺の大太刀を振るうと、前方に向かい、金色に輝く大小様々な三日月型の刃の嵐が巻き起こる。狐月斎さんの得意とする、広範囲殲滅技。


 その数、100個に及ぶ、金色の三日月の刃の嵐にファッツジャイアント達は瞬時に細切れにされてしまいました。全滅です。


「笑止……」


 そう言って、大太刀を一振り。背負った鞘に納めます。恐ろしい方。味方で良かったですわね。さ、片付いた事ですし、先を急ぐとしましょう。


 ハルカ・アマノガワと、その仲間達も来ているそうですし。


 お互いに『塔』攻略を目指している関係上、相見える可能性は高いですわね。私としては、敵対するつもりは有りませんが、他の3人がどう考えているかは知りません。


 状況次第によっては、激突もやむを得ないかもしれませんわね。穏便に済ませられれば良いのですが……。




お待たせしました。第163話です。


ルコード教国元首、イメサチャミ教皇と謁見したハルカ達。ふざけたスケベ爺さんながら、大変な達人。


しかも、上位転生者の事を知っていたりと、博識でもある。侮れない老人。大国の元首は伊達じゃない。


その後、『塔』攻略に向けての打ち合わせをするハルカ達。リーダー決めに、報酬の配分、戦闘時のフォーメーションに、撤退時の事等、多岐に及ぶ。中でも、最上階の宝。理想珠の扱いについては、ハルカに一任する事に。なお、最大の問題である、『塔』を制覇した後の『塔』の爆発は、戦姫、魔博に抑えて貰えるものの、その代わり、ハルカは両者から散々に侮辱され、怒りと屈辱に耐える事に。そして、教国側の用意した会食へ。






その一方で、一足先に『塔』に侵入した、上位転生者4人組。初っ端から、上位モンスター、ファッツジャイアントの大群の襲撃を受ける羽目に。


本来なら、もっと上層階で出るはず。やはり、『塔』に想定外は付き物。軽く蹴散らし、上へと歩を進める。


ハルカ達と上位転生者4人組。共に『塔』攻略を目指す者達。いずれ、相見える事でしょう。ちなみに、彼らは、ハルカ達がルコード教国に来ている事を知っています。


では、次回予告。教国側の用意した会食の場。そして、遂に『塔』に挑むハルカ達。しかし、そこへ、1人の人物が現れ……。


追記

狐月斎の技名は、四字熟語が元ネタ。多少、字を変えています。他にも出します。


技解説

『狐月剣 百禍繚乱』 自分の前方、広範囲に対し、100個の大小様々な金色の三日月型の刃をばら撒く、広範囲殲滅技。要は、某、お労しい兄上の陸の型のパクり。と言うか、上位互換。

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