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僕と魔女さん  作者: 霧芽井
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第135話『灰色の傀儡師』 覇道編

 前回までとは舞台が変わり、現在。ナナさんの屋敷。


「…………やはり、()せんな」


「何がですか? ツクヨ」


 夕飯の席。今日のメニューは焼き肉。夕方に訪ねてきたツクヨ達が上等なお肉を差し入れしてくれたんだ。ツクヨを崇拝しているメツボー教の信者からの供物なんだって。邪神とはいえ、れっきとした神様だし。最初はアポ無しでいきなり来たツクヨ達に怒っていたナナさんも、大量の上等なお肉を見て、見事な手の平返しを披露。焼き肉パーティーとなったんだけど、その席でツクヨが呟いた一言。それがどうにも気になって、聞いてみた。


「灰崎 恭也だよ。あいつが君を狙う理由だ」


 良い具合に焼けたロース肉をおろしポン酢に付けて頬張りながら、ツクヨは答えてくれた。


「嫌な奴の名前を出すんじゃないよ。そんなもん、ハルカが優秀だからじゃないのかい? 灰崎 恭也はこれまで何度も、身体を乗り換えてきたんだろう? 別段、おかしい話じゃないと思うけどね」


 そのツクヨの答えに、カルビを頬張りながら、ナナさんも自分の意見を述べる。確かにナナさんの言う通り、次々と他人の身体を乗っ取りながら生きてきた灰崎 恭也が僕の身体を狙う事自体は別段、おかしい話じゃない。ツクヨは何が引っ掛かるのだろう?


「確かにあいつは、これまで何度も身体を乗り換えて、生きてきた。だがな、身体を乗り換えるに辺り、常に守ってきた事が有る。それは『目立たない事』だ。灰崎 恭也。あいつはとにかく、用心深い。目立つ事を嫌い、常に自分の安全確保に余念が無い。身体を乗っ取る相手も、常に地味で目立たない女ばかりを標的にしていた。その方があいつにとっては、好都合だからな。だからこそ、ハルカを狙うのはおかしい。ハルカは非常に優秀だが、同時に非常に目立つ。それに、師匠のナナを始め、ハルカの周りは化け物揃い。用心深く、臆病なあいつがそこまでハルカに執着する理由が分からん。以前、あいつが言っていたが、最強の座には興味が無いらしい。とにかく生き残りたいんだとさ」


 そう言って、ツクヨは追加のカルビをホットプレートに乗せる。


 言われてみれば確かに。魔道神クロユリも言っていたっけ。灰崎 恭也は相手を倒すより、自分が生き残る事を優先する。常に最悪の事態を想定して動くと。そんな灰崎 恭也がこうも僕に執着するのは不自然だ。ツクヨの言う通り、リスクが高い。単に強い身体が欲しいなら、他にもいるはず。というか、生き残る事が最優先で、強さにこだわりは無いみたいだし。


「つまり、灰崎 恭也は強さ以外の何らかの理由でハルカを狙っているって事だろうね。その何らかの理由が何かは分からないけど、あの用心深くて臆病な灰崎 恭也がわざわざリスクを承知で狙うぐらいだ。それだけの価値がハルカには有るんだろう」


 こんがり焼けた粗挽きウィンナーを取りながら、そう言うイサム。


「灰崎 恭也がハルカ・アマノガワを狙っている。そこまでは分かっても、狙う理由が分からない。分からないという程、厄介な物は有りませんね。手の打ちようが無いですから」


「そういう点では、ハルカ・アマノガワの抹殺を視野に入れていた魔道神クロユリの判断は正しかったと言えるでしょう。狙う理由が分からないなら、狙う対象を消し去るのが、単純かつ、効果的」


 ホットプレートから、ロース肉を取りながら、そう話すのは竜胆(リンドウ)さんとコウ。しかし、コウ。君、真十二柱、序列二位の魔道神クロユリを呼び捨てとは、怖いもの無しなの?


 







 焼き肉を食べ終わり、食後のデザート。今回はツクヨから提供されたレモンシャーベット。がっつり系の焼き肉の後だけに、さっぱり爽やかなシャーベットが実に美味しい。でも、そこでまたしてもツクヨが話題をふってきた。


「ハルカ。君は使い魔を探しに行った先も含め、何度か『人形』と戦ったそうだな」


「はい。直接戦ったのが、蒼辰国と使い魔探しに行った先の二回。後、温泉旅行に行った際にも、襲撃を受けましたね。これに関しては、ツクヨも知っているでしょう」


 新しい話題は灰崎 恭也の『人形』の事。今、思い出しても、とても恐ろしい相手だった。その強さ。致命傷を負わせても、すぐさま回復する再生力。恐怖も迷いもためらいも無く、命令を遂行する不気味さ。あれが元は人間だとは思えない程。


『人形』の恐ろしさを思い返している僕に、ツクヨは更なる恐ろしい事実を告げた。


「はっきり言うぞ。君が出会った『人形』は雑魚中の雑魚。ぶっちゃけ、最下級だ。はなっから、使い捨て前提のな」


「使い捨てですか?!」


「そうだ。使い捨てだ」


 ツクヨが言うには、あの『人形』達は最下級。使い捨ての雑魚だと。驚く僕にナナさんが話してくれた。


「ハルカ。何を驚く事が有るんだい? 当たり前じゃないか。灰崎 恭也は『人形』を自分の手足として、使っているんだろう? あんな、あからさまに正気じゃないと分かる奴、使えないよ。私なら、手足として使う奴は、洗脳されているとは分からない様な、ごく自然に振る舞える奴に仕立てるね」


「ナナの言う通り。灰崎 恭也が自分の手足として使う『人形』は、一見、洗脳済みとは分からない程、ごく自然に振る舞う。そして、周りに警戒される事無く、自らの支配者である灰崎 恭也の為に働く。情報を流したり、裏工作をしたり、何より、若く美しく優秀な女を洗脳し、新たな『人形』にしたりな」


 言われてみれば、確かに。仮に僕が灰崎 恭也の立場だとしても、そうするだろう。


「でも、結局の所、灰崎 恭也は何がしたいんでしょうね? 若くて綺麗な女性達を洗脳して『人形』にしているから、ハーレムを作りたいんでしょうか? その割りには『人形』に対する扱いが酷いですけど」


 ここで、僕の疑問を口にした。灰崎 恭也は一体、何がしたいのか? 現時点で分かっているのは、若く美しく優秀な女性達を洗脳し、『人形』にして操り、色々と暗躍している事。僕の身体を乗っ取ろうと企んでいる事。真十二柱から追われ続けながら、現在も逃亡中である事。転生者に良く有りがちな、ハーレム願望が有る訳でもなさそうだし、最強の座にも興味は無いらしいし。こうして考えてみると、目的がさっぱり見えてこない。


「灰崎 恭也は『人形』ハーレムを作っているが、あくまで娯楽、性欲の捌け口、ストレス解消でしかないらしい。ハーレムだの、最強だの、と騒ぎ立てるバカ共とは違う。そんな単純な奴だったら、簡単に始末出来るんだがな。とにかく、あいつの腹の内は読めん。ただ、少なくとも、世の為、人の為、ってのだけは無いな」


 そう言って、ツクヨは忌々しげに食後のお茶を飲み干す。……灰崎 恭也。一体、何が目的なんだろう?








 舞台は再び、過去へ。


「ふむ。今の所、特に問題無く、順調に進んでいるね。実に結構」


 僕は自分の住居であるワンルームの安アパートの一室で、手駒である『人形』からの報告書を読んでいた。現在、攻略中の名門女学院、聖華院女学院に関してのね。教師、生徒共に、順調に洗脳処理が進んでいるとの事。ちなみに、この報告書を送ってきた『人形』は聖華院女学院の理事長。彼女を使い、姉妹校にも近々、手を伸ばす予定。


「あのファミレスは思った以上に使えたね。これは嬉しい誤算だよ」


 僕はコーヒーを淹れたマグカップを手に、一人、ほくそ笑む。やはり、世の中、見た目だね。誰も僕みたいな、不細工モヤシ野郎なんか気にも止めない。おかげさまで、実に助かっているんだけどさ。







 僕の行き付けのファミレス。野望の第一歩として選んだ、ウェイトレスを始め、店長に至るまで、美人揃いのこの店。まずは、ここの社員寮の管理人の女、白石 夕子を洗脳、僕の操り人形第一号に。僕は夕子に社員寮に住む、他の女達を捧げるように命令。


 実にありがたい事に、この社員寮には、僕の行き付けのファミレスのウェイトレス達のほとんどに加え、そこの女店長まで住んでいるらしい。夕子は社員寮の管理人の立場を活かし、怪しまれる事なく女達に近付き、僕の持たせた睡眠薬を盛っては眠らせ、次々と女達を僕に捧げた。もちろん、献上された女達は僕が全員、洗脳を施し、僕の意のままに動く『人形』と化した。


 さて、『人形』と化した女達。彼女達を使い、僕は自らの勢力拡大に向けて動く事に。その一環として、ファミレスの経営陣の掌握。これはファミレスのオーナーの娘であった女店長を使って、実現。だが、もっと上を目指したい。後ろ楯は強いに越した事はない。政界、財界に対し、大きな影響力を持つ強い後ろ楯が欲しい。しかし、残念ながら、僕自身には、そんな政界、財界に対するコネは無い。


 ……まぁ、それをどうにかする為にも、女を『人形』にしているんだけど。






 ここで役立ったのが、ファミレスのウェイトレスの1人。なんと、彼女、良家の子女だけが通う、名門女学院。聖華院女学院の生徒だったんだ。本人から聞き出した話によれば、将来に向けての社会勉強の一環だそうだ。いずれ、実家の事業を継ぐそうでね。いやはや、立派な志だね。……まぁ、今や『人形』と化した以上、無意味だけどね(笑)。


 しかし、これは使える。僕は即座に決めた。彼女を使い、聖華院女学院を内から蝕む。ゆくゆくは完全な支配下に置く。それは同時に、間接的にではあるが、政界、財界に対し、大きな影響力を持つ事にも繋がる。


 聖華院女学院。100年以上に渡る古い歴史を持つ名門校。そして、そこに採用される教師、入学する生徒もまた、歴史有る家柄。更には容姿と実力を求められ、その非常に狭き門を潜り抜けた者だけがこの学院に在籍出来る。筋金入りのエリートだけが集う学院なんだ。それだけに、この学院の持つ影響力は凄い。卒業生達のほとんどが、政界、財界入りし、しかも百年以上の歴史が有る。その人脈と影響力たるや、推して知るべし。


 うちの母と姉妹(クソ共)も、この学院に入りたがっていたけど、それは叶わなかった。灰崎家は確かに金は有ったけど、所詮、歴史の浅い成金。聖華院女学院に相手にされなかったんだ。その事に関しては、悔しがって負け惜しみを言っていたものだよ。あの時ばかりは、僕も多少なり、溜飲が下がったね。……後で八つ当たりされたけどさ。







 さて、表向きは相変わらずの地味な奴を演じつつ、裏では、計画を進めたり、新しく『人形』と化した女を犯したりと、日々を過ごしていたんだけど、ここで、ちょっとした事件が起きた。


 僕以外の、魔道の使い手が現れた。ファミレスのウェイトレスの1人。その妹が本物の魔道師だったんだ。







 とある少女side


 3年ぶりの帰国。祖母からの言い付けにより、海外の魔道学院に入学し、3年間を過ごし、やっと卒業。帰ってくる事が出来ましたわ。そんな私は、長らく会っていない姉に会いに行く事にしました。


「確か、ファミレスでウェイトレスのバイトをしていらっしゃるとか」


 姉と言っても、血の繋がりは半分だけ。腹違いの姉妹。姉の両親は姉が産まれてから程なくして、離婚。その後、父親が私の母親と再婚。私が産まれたのです。


 そんな事情が有るだけに、姉は私を良く思ってはいません。離婚した父が、他所の女と作った娘ですもの。


 しかし、それでも私にとっては唯一の姉。出来る事なら、仲を改善したいのですが。ともあれ、今は姉のバイト先に行きましょう。







 ………………何という事でしょう。それが久しぶりに再会した姉に対する私の第一印象。


 あらかじめ調べておいたおかげで、道に迷う事もなく、姉のバイト先のファミレスに到着。ちょうどお昼時だった事もあり、姉の顔を見がてら、昼食にしよう。姉のバイトが上がり次第、どこかでお茶でもしよう。そう思っていたのですが……。その思いは粉々に打ち砕かれました。


「いらっしゃいませ。御一人様ですか?」


 ファミレスに入店した私を出迎えたウェイトレスは、偶然にも姉でした。……いえ。()()()()()でした。


 私は内心の動揺を必死に抑え込み、表情には出さないようにしつつ、一人客である事を伝え、席に案内されて着席。すぐに運ばれてきた、お冷やを飲んで、とりあえず、気分を落ち着けます。落ち着いた所で、改めて、周囲を観察してみました。


 一見、普通のファミレスの光景。お昼時だけに、賑わっており、外回り中のサラリーマンや、買い物帰りの主婦、子供連れの家族等が、思い思いの食事をしています。……それ自体に特に問題は有りません。しかし、店内で客を案内したり、注文を聞いたり、空いた食器を片付けたりしているウェイトレス達。彼女達は、私の姉も含めて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 普通の人間どころか、下手な魔道師さえ欺く程、高度な洗脳術。今の彼女達は既に元の人格を失い、薄っぺらな紛い物の人格によって動かされている人形。ある意味、ゾンビです。


 しかし、一体、誰の仕業なのでしょうか? これ程の洗脳術の使い手が、全く知られる事なく、潜んでいたとは。その事に驚きました。よほど用心深いのでしょう。


 幸い、私に対する洗脳術の気配は有りません。そもそも、洗脳されたウェイトレス達は全員、魔力の片鱗も無い、一般人ばかり。用心深い上に、小心者。大それた事は出来ない小物の様です。魔道学院を主席卒業した、私の敵ではないでしょう。ともあれ、今は昼食です。テーブルに備え付けの呼び出しボタンを押すと、すぐにウェイトレスが注文を聞きに来ました。……姉です。


「ご注文はお決まりでしょうか?」


 注文を聞きに来た姉は正にマニュアル通りの、見事な接客態度。私以外の男性客に対する態度も見ましたが、それは見事な物でした。父親のせいで、重度の男嫌いだった姉がです。もはや、私の知る姉はいない。これは姉の姿をした『人形』に過ぎない。


「この、ミックスフライ定食をお願いします」


「かしこまりました。ご注文を繰り返します。ミックスフライ定食を、御一つ。以上でよろしかったでしょうか?」


「はい、それで」


 私の注文を受け、再確認した上で、姉だった者。『人形』は笑顔で去っていきました。形だけの笑顔を浮かべて。






 その夜。私は、ファミレス近くの公園で待ち合わせ。約束した時間通り、姉はやってきました。


「お待たせ。久しぶりね」


 そう話す姿は、かつての姉からは想像も出来ません。姉は父親が他の女との間に作った娘である私の事を毛嫌いしていましたから。


「えぇ、お久しぶりです、お姉様。立ち話もなんですから、カフェにでも行きましょう」


 姉の態度を見て、改めてもはや、これは姉ではない。それどころか、人ですらないと実感。カフェに行こうと誘って、歩き始める。もちろん、行き先はカフェなどではありませんが。






 しばらく、姉と最近の出来事やら、何やら、他愛ない話をしながら歩き、目的の地点まで着きました。いわゆる路地裏。昼食を済ませた後、私が細工を施しておいた場所。人払いの術を施しておいたので、誰かに見られる心配はまず、有りません。……私はここで姉を始末します。それが妹として、姉に対する、せめてもの手向け。


 ファミレスにいる間、私は姉を始めとするウェイトレス達の肉体をスキャンしました。その結果、全員、既に処女を喪失。それどころか、幾度となく、犯されている事が判明。もし、姉が正気であったなら、とても耐えられないでしょう。そういう点では、ある意味、姉は幸せなのかもしれません。もはや、羞恥も嫌悪も感じない、生ける人形と化したのですから。


 だからと言って、姉がどこの誰とも知れない輩に洗脳され、あまつさえ、意のままに操られ、犯されているなど、到底、許せません!!


 しかし、姉達に施された洗脳術はあまりに強力。私の力を持ってしても、解除は不可能。あれは単なる洗脳術ではありません。普通の洗脳術はゲームで例えると、ステータス異常の状態。それゆえに、回復、解除法が有ります。


 しかし、姉達に施された洗脳術は違う。あれは、精神を分解、再構築したもの。今の『人形』としての状態がデフォルト。正常な状態として固定されてしまっている。正常な状態ゆえに、回復、解除など、無意味。この洗脳術の使い手の嫌らしさが伝わってきます。残念ながら、こうなってしまった者を元に戻すのは、事実上、不可能。


 仮に、洗脳術を解除し、正気に戻せたとしても、犯され、処女を失った事実は消えない。全てを円満に解決するなら、それこそ、時間を巻き戻すぐらいしかないでしょう。そして、そんな術など、上級魔道師の私には使えません。使えるとしたら、私より遥かに格上の大魔道。いえ、更に上の超魔道や、噂に聞く、極魔道でしょう。よって、私が姉に出来る事は1つ。その命を絶つ事だけ。私は路地裏に用意した領域に入った事を確認した上で、姉に。姉だった者に向き合います。左手に魔道書を、右手に魔炎を呼び出して。


「お姉様。悪く思わないでください。一瞬で終わらせますから」


 そう話す私に対し、姉は、ただ無表情に立ち尽くすばかり。この路地裏には、人払いだけでなく、他者の術の妨害の為の結界を張っておいたのです。もはや、姉は立ち尽くすだけの案山子と同じ。その姉に対し、魔炎を放つ。鉄さえ蒸発させる高熱の魔炎。苦しむ間もなく、姉を葬る事が出来る。……そのはずでした。


「?! 魔炎が!」


 姉に向けて放つはずの魔炎が突然、消えた。別に姉が何かをした訳ではない。ならば、なぜ?!


 予想外の事態に混乱する私。そこへ、更に予想外の事態が。私の妨害結界により、案山子と化していたはずの姉がこちらに向かって歩きだしたのです。その手には、赤く煌めく小さな宝石らしき物。あれは、不味い! 私の魔道師としての直感が告げます。この場から逃げなくては! 幸い、ここは私の用意した領域。もしもに備え、緊急離脱の術式を組んであります。すぐさま、それを起動。しかし……。


「そんな! 転移術式が起動しない!」


 緊急離脱用の転移術式を起動させたはずなのに、何も起きない。その間にも姉は赤い宝石を手に近付いてくる。こうなれば仕方ありません、姉相手に手荒な真似はしたくありませんが、強行突破です。今時の魔道師は体術も修めているのです。幸い、姉は武術に関しては素人。こちらに向かって伸ばしてきた、宝石を持つ右腕を掴んで投げようとして……()()()()()()()()()()()


 指一本どころか、まばたきさえ出来ない。声も出ません。そして動けなくなった私に近付き、目の前立った姉は。()()()()()は能面の様な無表情のまま、右手に持つ小さな赤い宝石を、私の額に軽く押し付けました。それは一切の抵抗も無く、まるで水の中に沈むように、私の頭の中へと入っていきました。その直後、やってきたのは、これまで生きてきて味わった事の無い、至高の快楽。身体も記憶も何もかもが蕩けていく感じ。それが『私』が感じた最後の事でした…………。








 灰崎 恭也side


「…………上手くいったね。正直、びびったね。本当、上手くいって良かった。僕の事を突き止められたら、全てが台無しになる所だったよ」


『人形』の眼を通して、現場の状況を確認。無事に片付いた事に、深い安堵の息をつく。いや、本当にヤバかった。もし、彼女に僕の事を突き止められたら、攻め込まれたら、僕みたいな弱小魔道師なんて、あっさり殺されていたからね。とにかく、事が済んだなら、回収して撤収だ。僕は『人形』に指示を出す。


「余計な証拠とかが無いように後片付けをした上で、妹を回収して、僕の所へ来い」


 しばらくすると、『人形』が意識を失ってぐったりしている妹を抱えて『門』をくぐり、やってきた。


「ご命令通りに致しました。ご主人様」


「うん、ご苦労様。君の妹はそこのベッドに寝かせて。それが済んだら、待機」


「かしこまりました」


『人形』。僕の掌握したファミレスのウェイトレスの1人にして、以前、僕に対して嫌悪の目を向けてきた彼女は、僕の命令に従い、自らの妹をベッドに寝かせて、少し離れた場所で綺麗な気を付けの姿勢で待機。僕は椅子に座り、ベッドの上で眠る少女を眺める。


「君の敗因はね。ひとえに僕を舐めていた事さ。確かに君は強い。まともに戦ったら、僕に勝ち目なんか無い。あっさり殺されていただろう。()()()()()()()()()


 まともに戦ったら、勝ち目は無い。だったら、まともに戦わないだけ。強者と勝者は必ずしも、イコールではない。僕は弱い。その事は、誰よりも熟知している。だからこそ、僕は事前に幾重もの防衛策を講じてきた。辺り一帯に探知網を張り巡らせ、更に『人形』達の目や耳を使い、情報収集にいそしんできた。要はやられる前に、対策を打つ為に。


「そして、君が僕の網に引っ掛かった。君は気付いていなかったみたいだけど、この市内に入ってきてからの君の動きは、全て把握していたよ。僕の隠蔽術、探知術もなかなかの物だと分かって嬉しいよ」


 彼女の動きを把握し、彼女の仕掛けた術式を、バレないように上書き。こちらが掌握した。彼女の魔炎が消えたり、転移術が発動しなかったのは、そのせい。とはいえ、もしバレたらと思うと、ヒヤヒヤ物だったよ。更に腕を上げないといけない。油断、慢心は弱者の敵だ。


「今回は僕の開発した新しい洗脳術の実験でもある。これまで、一般人ばかり洗脳してきたからね。魔道師とかにも通じる、より、強力な洗脳術。さて、結果はどうだろう? そろそろ目を醒ましてはどうかな? 眠り姫」


 僕はベッドの上で眠る、魔道師の少女に声を掛ける。すると、少女が軽く身じろぎし、ゆっくりとその目を開く。上半身を起こし、しばし周りを見渡した上で、僕と視線が合う。そして開口一番。


「おはようございます、ご主人様。私はあなた様の『人形』。所有物。どうぞ、私を如何様にもお使いください」


 そう言って、頭を下げる。……良かった。成功だよ。本日、二度目の安堵の息をつく。


「うんうん。君は良い『人形』だね。では、さっそく、初仕事を頼もうかな。まずは、君の姉共々、可愛がってあげよう。とりあえず、全部、服を脱いで」


「ありがとうございます、ご主人様」


 僕の命令に従い、少女は何のためらいも迷いもなく、服を脱いで全裸になる。


「君もだよ。全裸になってこっちに来い。姉妹で僕に尽くせ、満足させろ」


「かしこまりました、ご主人様」


 待機していた姉の方にも命令。妹同様、全裸になるとベッドに上がってきた。


「君達、姉妹は色々と確執が有ったらしいけど、そんなものはもう無意味。これからは姉妹仲良く『人形』として、僕に従え、尽くせ。分かったね?」


「「かしこまりました、ご主人様」」


 かつては確執を抱えていた姉妹。そんな彼女達は『人形』と化した事で、くだらない確執から解放された。これからは、僕に支配される喜びと、僕に犯される快楽だけを味わって生きる事になる。我ながら、良い事をしたね。さて、姉妹丼を味わうとするかな。


 だが、これだけで終わりはしない。僕は更に上を目指す。今回手に入れた魔道師の少女を足掛かりに、魔道の世界をも掌握してやる。そして、全て若く、美しく、優秀な女達を僕の『人形』にして、思う存分、犯し、踏みにじってやる!!!








 それから3年後。僕は文字通り、世界を掌握した。正確には、世界中の上層部を掌握したんだけどね。何も、世界中の全てを掌握する必要は無い。上層部さえ掌握すれば、僕には十分。もちろん、その間、色々有った。しかし、その全てを僕は退けた。もっと正確に言えば、脅威となる前に全て潰した。内部崩壊、空中分解させてやった。『人形』と化した女を使えば、バカな男達など、簡単に破滅させる事が出来たよ。もっと、現実を見るべきだね。


 そうそう、僕にとって、最大最悪の怨敵である、うちの母と姉妹(クソ共)だけど、きっちり、これまでの復讐はしてやったよ。


 聖華院女学院を掌握して得た、権力を使い、灰崎家の事業に圧力を掛け、全て潰してやった。更に母と姉妹(クソ共)の前にあえて姿を現してやった。案の定、あいつらは僕に食って掛かってきたんでね。あらかじめ準備していた洗脳術を食らわせてやった。


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 その上で、中東の特にヤバい武装勢力の支配地に飛ばしてやった。徹底的な女性至上主義の女達だからね。単に殺したんじゃ、僕の気が済まない。徹底的に叩き潰し、どん底に叩き落とさないと。その結果、すぐに武装勢力の男達に見付かって、徹底的に犯されて、麻薬漬けにされた挙げ句、最後は飽きられて、新兵の一斉射撃の的にされて、ミンチになって死んだよ。







 その後も僕は、研究と修業を積み重ね、遂に、異世界へと旅立った。そして、更に洗脳術に磨きをかけ、支配の権能にまで昇華させた。だが、そんな僕の前に立ちはだかった存在。


 全ての神魔の頂点に立つ者達にして、全宇宙の抑止力。


『真十二柱』


 この頃になると、僕の支配の権能は、神魔さえ洗脳、支配する事が出来た。でも、その事がとうとう、真十二柱の出動案件になってしまった。最初に来たのが、序列四位の武神 鬼凶。あれはヤバかった。僕の支配の権能を。女神でさえ、即座に操り人形と化す権能を『小賢しいわ!!』の一喝で消し飛ばし、拳の一撃で、星ごと砕いてきたし。


 幸い、殺られたのは意識を移しているだけの『人形』の身体。本体さえ無事なら、僕は死なない。これも弱者の知恵。


 しかし、その後も真十二柱による追跡は終わらない。僕はひたすら逃げ回る羽目に。でも、やられっぱなしは嫌なんでね。それに、真十二柱は恐ろしいが、たとえほんの僅かといえど、その力を奪えたなら、絶大なる武器となる。


 僕は逃亡を続けながら、真十二柱について、ひたすら調べ上げ、狙いを定めた。序列二位。魔道神 クロユリ。異能の根源たる神。本来なら、まるで勝ち目の無い相手。しかし、僕は一か八かの大博打を打つ事にした。このままでは、いずれ、真十二柱に殺される。生き延びるには、真十二柱の力を奪うしかない。


 相手は異能の根源たる神。ほんの僅かな失敗も許されない。そもそもチャンスが来るかどうかも分からない。それ以前に、僕のやり方が通じるかさえ、分からない。真十二柱の追跡の恐怖、上手くいくかどうかの不安に苛まれながら、僕はひたすら、対、魔道神クロユリの術式を研究していた。







 結果から言うと、僕の計画は成功した。僕は、真十二柱、序列二位。魔道神クロユリから、力を奪う事に成功した。全宇宙に異能と術をもたらしている彼女からすれば、僕が奪った力など、塵の一つにも届かぬ、微々たるもの。だが、それでも良い。むしろ、それで良い。あまりに多くの力を奪っても、僕の手に負えないし、異能の根源たる、魔道神クロユリの力が崩れたら、最悪、全宇宙から異能や、術が失われてしまう。だから、これで良い。手に入れた、魔道神クロユリの力を元に、研究を重ねた結果、僕は真十二柱さえも欺く隠蔽術を得た。


 もっとも、向こうも僕にほんの僅かとはいえ、力を奪われて黙っている程、甘くない。以前とは比べ物にならない程の追跡をしてきた。特に、魔道神クロユリご本人がね。どうやら、僕の望む、平和で幸せな暮らしはまだまだ、程遠いらしい。







 そして、現在。


「やぁ、君達。気分はどうかな?」


 僕は先日捕らえた、神王の娘と、魔王の娘。そして、そんな彼女達の想い人である、爽やか系美少年に話しかけた。しかし、魔王はともかく神王とは大きく出たね。真十二柱にバレたらヤバいと思うけど。


「最悪よ! この外道! よくも、父様や、みんなを!」


「たとえ、いかなる目に会おうとも、貴方には屈しません! 必ず、貴方を討ち倒してみせます!」


 神王の娘は僕の事を口汚く罵り、魔王の娘は気丈にも、僕を討ち倒してみせると、強い意志を見せる。


「いやはや、実に元気が有って良いね。ま、好きな様に言えば良い。どうせ、君達には何も出来ない。それに、じきに君達も僕の『人形』コレクションに加わる。ほら、みんな向こうで待っているよ」


 僕の言葉に美少女達は悔しそうに睨んでくる。何せ、彼女達は僕特製の十字架に固定され、身動きも、異能や術も全て封じられている。せいぜい喋るぐらい。ちなみに舌を噛んで自殺しようとしても無駄。そして、彼女達の視線の先には全裸の女性達。彼女達の身内や、友人、クラスメート、担任教師()()()()()。既に全員、洗脳を施し、僕の所有物、『人形』と化した。


「あぁ、君の意見は聞いてないからね。そのまま黙ってろ」


 彼女達の想い人である、爽やか系美少年だけど、彼はベッドの上に全裸でなおかつ、大の字で固定されている。更に喋れない様に猿ぐつわを噛ませてある。ふん! 短小包〇野郎が! まぁ、こいつに関しても、生殺与奪の権は僕が握っている。


「さて、ここで、一つ、君達と勝負をしないか? もし、君達が勝ったなら、解放しようじゃないか。ただし、負けたら、君達、お姫様2人は僕の『人形』に。そして、男には死んでもらうよ。ルールは簡単。君達、お姫様2人の内、どちらか1人でも僕の支配の権能に勝てば良い。さ、どうする? やらなくても良いけど、その場合、あそこにいる君達の友人達に、彼を殺させるからね。言っておくけど、彼女達は今や、僕の操り人形。君達がいくら言っても止まらないからね」


 僕は十字架に固定されている、2人の美少女達に、勝負を持ちかけた。僕の言葉に彼女達は少なからず動揺を見せる。


「……本当に約束は守ってくれるんでしょうね?」


「非常に不本意ではありますが、他に選択肢は有りませんわね」


 彼女達もバカではない。他に選択肢が無い以上、僕の提案を受け入れるしかない事を分かっている。約束を守れと念押ししてきた。


「約束は守るよ。ただ、これだけは言っておくよ? 今まで僕は何人もの女達に、この勝負を持ちかけてきた。そして、全勝してきた。さて、君達はどうかな?」


「だったら、私達が初の勝者になってみせるわ!」


「私達の愛の深さを甘く見ないでください! 貴方の支配の権能など、打ち破ってみせます!」


 僕は約束は守ると告げた上で、これまで全勝してきた事を告げる。2人の美少女達は、愛の力とやらで対抗する気らしく、やる気満々。


「ふ〜ん。そう。ま、せいぜい、頑張る事だね。じゃ、公平を期す為に、君達2人同時にやるよ」


 そう僕が告げると、両手の人差し指の先に灰色の輝きが現れる。これぞ、磨き上げてきた、支配の権能。この状態から、女の額に触れ、支配の権能を脳内に流し込む。その輝きを見て、2人の美少女達も息を飲む。


「大丈夫、私達の愛は負けない!」


「えぇ。3人で帰りましょう!」


 目前に迫る僕の人差し指を前に、2人の美少女達はその覚悟を見せる。そして、彼女達の額に僕の人差し指が触れ、支配の権能が脳に流し込まれ、駆け巡る。







「……毎度の事ながら、口ほどにも無いね。何が愛の力だ、くだらない」


 支配の権能を脳に流し込まれた2人の美少女達。神王の娘と、魔王の娘。彼女達は愛だの、負けないだの、僕を討ち倒してみせるだの、と抜かしていたものの、結局は他の女達と何ら変わりなかった。


「……ご主人様…お恵みを……」


「………いえ、私にこそ……」


 神王の娘と、魔王の娘。2人共、あっさり洗脳され、僕の『人形』コレクションに加わった。今は全裸かつ、四つん這いで僕に媚びへつらう。そこに神王の娘、魔王の娘の尊厳など全く無い。ちなみに彼女達の想い人である爽やか系美少年だけど、彼女達2人に殺させた。2人に金槌を持たせて、こう命じた。


「僕がやめろと言うまで、その男を金槌で思い切り、殴り続けろ」と。


『人形』と化した彼女達は忠実にその命令に従い、実行。3時間後に見に来たら、既に原型をとどめない血みどろのミンチに向かって、ひたすら全力で金槌を振り下ろしていた。そして現在。


「うるさいな、バカ共! そんなに言うなら、お互いにヤってろ!」


 いい加減、鬱陶しくなり、そう命じると、僕は席を立つ。一方、命じられた神王の娘、魔王の娘は命令通り、2人で絡みあい、甘い声を上げる。完全な色情狂と化したか。あれじゃ、手駒には使えないな。適当に払い下げてやるか。







 その夜。僕はどうにも眠れずにいた。その時、ふと、ハルカ達の様子を見てみようと思い立った。彼女達はなかなかに興味深いからね。すぐさま空中にその光景が映し出される。


「どうやら、向こうも夜らしいね」


 向こうも夜中らしく、暗い。パジャマ姿のハルカがドアをノックしている所だった。トイレじゃなさそうだけど?


 するとドアを開けて出てきたのは、ナナ。2人の会話を聞くと、ハルカは怖い夢を見たらしく、ナナのベッドで一緒に寝たいらしい。…………あのさ、ハルカ。君、確か17歳だよね? その歳で、怖い夢を見たぐらいで、添い寝して欲しいなんて言う奴、初めて見たよ。随分と精神面は幼いらしい。そういえば、何か上手く出来るとナナに頭を撫でて欲しいとねだっていた事も有ったな、彼女。


 ただし、ナナも添い寝の条件を出してくる。どうも、ハルカは度々、添い寝をねだっているらしく、毎度のやり取りらしい。すると、ハルカは、パジャマを脱ぎ、下着も脱いで全裸になる。彼女の師匠にして、保護者であるナナは寝る際は全裸。よって、添い寝して欲しかったら、ハルカにも全裸になれとの事。……よく、こんな師匠の元でやってられるな。







 その後、2人はベッドに入ると、ハルカがナナに寄り添い、じきに寝てしまった。寝付きの良い事で。ナナはナナで、眠ったハルカの頭をしばらく撫でていたが、こちらも寝てしまった。


「……()せないね」


「私からすれば、旦那の方が()せないけどね」


 僕の呟きに、ツッコミを入れる声。僕は声のした方へと振り返る。


「君か」


 そこには、黒髪をショートカットにした、20歳ぐらいのメイド。そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「また、ハルカ・アマノガワ達の事を見ていたの? 覗きは悪趣味だと思うな〜」


「悪かったね。こちとら弱いんでね。情報収集は欠かせないんだよ」


 全く、口の悪い事だよ。()()()()()()()()()()()()()()。そう、彼女は人間ではない。僕が作った自動人形(オートマタ)。ぶっちゃけ、ロボットだ。ただし、単なるロボットではなく、魂を宿し、自らの意志を持っている。


 遥か太古の遺物、『キューブ』。見た目は約1㎝四方の立方体ながら、僕の力を持ってしても分析不可能な謎の物体。これを人間そっくりに作った、機械の身体に組み込んで、彼女は生まれた。あまり、従順じゃないけど、不思議と不愉快ではない。


「旦那、いくら考えても、旦那があいつらを理解するのは無理だって。旦那とあいつらじゃ、住む世界が違う。そもそも、他人を完全に理解するなんて無理って、教えてくれたのは旦那じゃない」


 なかなか耳に痛い事を言ってくれる。僕としても、その事は分かってはいるんだけどね。でも見てしまうんだよ。見ず知らずの赤の他人であったにもかかわらず、かくも親密な関係を築き上げた彼女達の事を。


「そんな事は分かっているよ。でも、それ以上に、彼女達は興味深くてね。で、君こそ、僕の何が()せないんだい?」


 メイドに答えつつ、今度は僕がメイドに問う。その問いにメイドが答える。


「人間を心を持たない『人形』にして支配しているくせに、本来なら、心を持たない機械人形の私に心を与えて、あまつさえ、腹心にしている事。理屈に合わないと思うんだけど」


 彼女からすれば、あまりに不合理。理解不能らしい。


「簡単な事だよ。『人形』だけでは退屈だからね。従順なのは良いけれど、それだけじゃ、飽きる。人生、程良いスパイスが必要。そういう事さ」


「……やっぱり、人間って、分からない」


 不満そうなメイドを尻目に、僕はその場を立ち去る。いい加減、寝ないと。おやすみ、おやすみ。


 全ては、()()()()()()()()()()()()()





1ヶ月以上の、更新無しをお詫びします。第135話をお届けします。


灰崎 恭也がハルカを狙う理由が分からないと語る、邪神ツクヨ。あれだけ、用心深く、臆病な灰崎 恭也が、多大なリスクを犯してまで、なぜ、ハルカに執着するのか? 謎です。単なる強さ以外の何かがハルカには有る。ただし、それが何かは分からない。


そして過去。弱者であるが故の、用意周到ぶりで、着々と力を蓄えていく、灰崎 恭也。ファミレス掌握から始まり、名門女学院も掌握。更にそこを足掛かりに、政界、財界にまで支配の手を伸ばし、遂には世界中の上層部さえ、支配下に。


その間に自分をさんざんに貶め、蔑み、虐げてきた母と姉妹達に、とびきりの屈辱と恐怖と絶望と悲惨な死をセットでプレゼント。積年の恨みを晴らしました。


最後に現在。『愛』の力を語る美少女達をあっさり洗脳。そして洗脳された美少女達は自らの手で、想い人たる、爽やか系美少年を殺す始末。


その後、ハルカとナナさんのふれあいを見るも、どうにも、2人の気持ちが分からない。


そんな灰崎 恭也に、彼の唯一の腹心。自動人形のメイドが、色々と指摘。


結局の所、灰崎 恭也の真の目的は分からずじまい。


では、また次回。



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