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僕と魔女さん  作者: 霧芽井
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第128話 ハルカの使い魔 悩むハルカ、踊る三毛猫

「手荒な真似をして、ごめんなさい。でも、僕は君とちゃんと話がしたかったんだ。まずは、昨夜は助けてくれてありがとう。そして、僕から提案が有るんだけど、僕と契約を交わして使い魔になってくれないかな?」


 端から見たら、さぞかしおかしな光景だろうね。何せ、蛇に話しかけているんだから。でも、僕は大真面目。それに話しかけている相手はただの蛇じゃない。上からやや、押し潰した形の楕円形の胴体に短い尻尾の生えた独特の体型を持つ、幻の珍蛇。ツチノコだ。しかも白いツチノコ。現在、僕はツチノコ相手に使い魔契約に関する事を話している。ただ、困った事にツチノコは喋れない。ミルフィーユさんの方のドードーはうるさいぐらい喋るけど。


 ちなみに水の縄は既に解除してある。拘束した状態で話をするのは公平じゃないと思ったから。他の3人からは、甘い、逃げられたらどうする等、言われたけど、幸いツチノコは逃げたりせず、僕との対話に応じてくれた。で、今は契約の内容について詰めている所。


「僕の使い魔になってくれたら、基本的に毎日、卵料理を出すよ。安全な寝床も用意する。君に対し、暴力は振るわないし、暴言も吐かない。君とは良好なパートナー関係を築きたいと思っている。ただ、使い魔である以上、仕事はしてもらうよ。時には、危険な仕事をする場合も有る。それでも構わないなら。もちろん、契約を強要はしない」


 僕からの提案にツチノコはというと。


「シャー!」


 鳴き声を上げて、ピョンピョン跳ねる。……困った、何を言っているのか分からない。怒っている様には見えないけど。とにかく、最低限の意志疎通は出来ないと。そうだ!


「えっと、僕の言う事に対し、はい、もしくは了承なら、1回跳ねて。そして、いいえ、もしくは否定なら、2回跳ねて。分かったかな?」


 喋れないなら、ジェスチャーで。このツチノコ、喋れないものの、僕の話自体は通じている様に思える。そこで、この提案。すると、ツチノコは1回跳ねた。……ちゃんと通じたのかな? 聞いてみよう。


「あの、僕の話の内容が分かったのかな? そうなら返事をして」


「シャー!」


 一声上げて、ツチノコは1回跳ねた。やっぱり通じているみたいだ。更に聞いてみる。


「無理して使い魔になってくれなくても良いんだよ?」


「シャー!」


 ピョンピョン


 また一声上げると、今度は2回跳ねた。ここまできたら、偶然とは思えない。このツチノコ、喋れないけど、ちゃんと言葉を理解している。これはありがたい。


「ありがとう。それじゃ、契約をしようか。でも、その前に最終確認をさせてもらうよ。使い魔契約は一度交わすと、簡単には解除出来ない。そして、主人は使い魔に魔力を与え、代わりに使い魔は主人に仕える。……本当に良いんだね? やめるなら、今の内だよ。別にやめたって、怒らないよ。お互いに納得のいく契約がしたいからね」


 喋れないながらも、言葉は通じるツチノコ。契約を前に、最終的な意思確認を取る。ナナさんにも言われたけど、この辺をおろそかにして、悲惨な結果になった人が後を絶たないらしい。自分のパートナーとなる使い魔との契約。いい加減な事をしてはいけない。きちんと話をして、お互いに納得のいく契約をしないと。その事を告げるとツチノコは、また一声上げて、1回跳ねた。了承のサインだ。


「そうか。分かった。なら、契約しよう。ちょっと時間が掛かるけど、我慢してね」








 ツチノコから了承の意を受け、使い魔契約の準備に掛かる。幸い、必要な物は有るし、手順も分かっている。待たせては悪いから、手早く、それでいて正確に準備を進める。亜空間から取り出したのは、口紅の様な物。ナナさん特製の魔法陣を書く為のチョーク。それを使い、地面に魔法陣を書く。書いた後に、正しく書けたか確認。……良し、合ってる。


 魔法陣の確認は済ませた。いよいよ、契約だ。大事な事だから、緊張する。


「用意が出来たよ。この魔法陣の中心。ここに入って、じっとして。すぐに済むから」


 待ってくれていたツチノコに、魔法陣の中に入る様に指示を出す。幸い、素直に入ってくれた。話の分かるツチノコで助かる。さて、今度は僕の番。


「……必要な事だと分かっているけど、やっぱり、抵抗が有るな。でも、待たせているんだ。早く済ませよう」


 亜空間から消毒済みのメス(表稼業で医者をやっているファムさんからもらった)を取り出し、更に左手の親指の痛覚を一時的に遮断。その上で、左手の親指をメスで少し切る。痛覚は遮断しても、肉を切る感触は感じる。嫌な気分を噛み殺し、傷口から血がにじんだのを確認すると、ツチノコの頭に左手の親指を軽く押し付ける。これが使い魔契約。すると魔法陣が一瞬、光り、そして消えた。それと同時に、ツチノコと僕の間に『繋がり』が出来たのを感じる。良かった。使い魔契約が無事完了した。ツチノコも何かを感じたのか、ピョンピョン跳ねる。


「契約完了だよ。今から君と僕はパートナーだ。よろしくね」


 契約が無事完了したし、僕は改めて、ツチノコと挨拶をする。これから長い付き合いになるパートナーだ。ぜひとも、良好な関係を築きたい。


「シャー!」


 ツチノコも鳴き声を上げてピョンピョン跳ねる。何を言っているのかは分からないけど、なんとなく、嬉しそう。僕の贔屓目かな? あ、そうだ。確認しないといけない事が有るな。僕は使い魔契約を済ませた後、確認すべき事をナナさんから言われていた。


「ごめんね。ちょっとじっとしてくれるかな? 君の身体を見せて欲しいんだ。大丈夫、確認したい事が有るだけだから」


 ツチノコにそう断りを入れると、1回跳ねて了承の意を示してくれた。その上で、ツチノコを両手で捕まえ、持ち上げて、その身体を確認。すると、背中に『それ』は有った。


「良かった。ちゃんと『印』も有る」


『印』。それは、人それぞれに備わる紋様。ナナさんが言うには、魂に由来し、同じ物は二つと存在しないらしい。そして、使い魔契約を交わすと、使い魔の身体のどこかに『印』が現れる。僕も以前、ナナさんの補助を受けながら、自分の『印』がどんな物か見た事が有る。だからこそ、今回の件でも分かった。


「しかし、いつ見ても、あまり良いイメージのしない『印』だなぁ。まぁ、こればかりはどうしようもないって、ナナさんも言ってたし」


 ツチノコの背中に刻まれた『印』。それはS字を描く青い蛇と黒い蛇がお互いの尻尾をくわえて横倒しの8の字を描いている。ただ、蛇って、世間的にイメージ悪いし。神話や伝説でも、悪者扱いが多いし。だからといって、僕はツチノコに不満は無いけど。最初は驚いたけど、いざ、向き合ってみれば、賢いし、なかなか愛嬌も有る。良い使い魔だと思う。


 さて、ツチノコとの使い魔契約を済ませた事もあり、僕と同じく、使い魔契約をに関する話し合いをしているはずのミルフィーユさんの様子を見に行く事にした。ただ、ミルフィーユさんの使い魔候補のドードーがね……。大丈夫かな?







「我輩に従えと? 寝言は寝てから言うのである、下郎。我輩の力を借りたくば、毎日三食、大皿に山盛りの唐揚げを所望するのである。更におやつと夜食も所望するのである。食後は休憩とし、我輩が休息するにふさわしい寝床も提供するのである。更に毎日、朝、昼、晩の3回、偉大なる我輩を崇め奉るのである。さすれば、そなたに助力してやらんでもない、下郎」


 うん、全然、大丈夫じゃなかった。最悪だ。予想以上に酷い事態に、思わず頭を抱えたくなる。ミルフィーユさんとドードーの交渉の場に来たんだけど、ドードーはとにかく上から目線の要求を出しまくっていた。これじゃ交渉にならないよ。


「シャー」


「うん、大丈夫。僕は平気だから。本当に大変なのは、ミルフィーユさんだからね」


 気遣ってくれたのか、鳴き声を上げるツチノコに、平気だと返す。実際、本当に大変なのは、ミルフィーユさんだし。当のミルフィーユさんは、全身を震わせながらも、必死に自分を抑えていた。凄い自制心だ。これがナナさんなら、とっくにキレてる。


「……言ってくれますわね。しかし、私としましても、そちらの実力を確認しない事には、その要求には応じられませんわね」


 内心では、相当怒っているであろうミルフィーユさん。それでも怒りを押し殺し、なんとか交渉に持ち込もうとしている。ちなみにイサムと竜胆(リンドウ)さんは交渉の邪魔にならない様に、席を外している。……他人の交渉に干渉すべきではないかもしれない。でも、ここは助け船を出すべきかな。ミルフィーユさんの性格的に、あのドードーとの交渉を上手くまとめるのは厳しそうだし。


「あの、交渉の最中、申し訳ありませんが、ここは一旦、落ち着かれては?」


 とにかく偉そうなドードーと、我慢しているものの、いい加減、キレてもおかしくないミルフィーユさんの間に割って入った。余計な横槍を入れたのは承知の上。しかし、このまま交渉決裂するのを黙って見ているつもりは無い。


「ハルカ! これは私の交渉ですのよ! 余計な口出しはしないでくださる!」


 当然、僕が割り込んできた事に怒るミルフィーユさん。しかし、それぐらい既に織り込み済み。


「ほら、そんなに頭に血が登っていては、交渉どころじゃないでしょう? えぇと、そちらの藤堂さんも、ひとまず休憩されては? お互いに落ち着いた上で、改めて交渉をされるべきかと」


 ミルフィーユさんもバカじゃない。僕に指摘されるまでもなく、自分が熱くなっていた事は気付いていた模様。ただ、引っ込みが付かなくなっていたみたい。僕の進言を受けて、一旦、休憩に同意してくれた。


「……そうですわね。ごめんなさいハルカ。声を荒げてしまって。藤堂さん、ここはひとまず、休憩にしましょう。その後に改めて、貴方と交渉します」


「モハハハハ! まぁ、良かろう。我輩は寛大であるからな」


 とりあえず、一旦休憩。その後に改めて交渉する事に。しかし、態度の大きいドードーだな。本当にナナさんがいなくて良かったよ。







 一旦、その場を離れ、僕とミルフィーユさんの二人で話し合う事に。ドードーの藤堂さんは、イサムが作った唐揚げを食べている。冷めたから大丈夫らしい。


「どうぞ。エスプレッソさんが淹れた味には及びませんが」


 メイドのたしなみとして、いつも亜空間に入れてある紅茶セット一式を取り出し、紅茶を淹れ、ティーカップに注いで、ミルフィーユさんに差し出す。


「ありがとう。頂きますわ」


 ミルフィーユさんは、お礼を言ってティーカップを受け取ると、まずは香りを楽しみ、それから一口。


「……この香り、当家で使っている茶葉と同じですわね。味も十分、合格点ですわ」


「ありがとうございます」


 辛口評価のミルフィーユさんからの評価は合格点。満点じゃない。エスプレッソさんの淹れた紅茶には及ばないからね。自分の分の紅茶も淹れ、ティーカップを片手に、話し合いを始める。


「では、僕から。ミルフィーユさん。あのドードーですが、なんとしても契約を結ぶべきです。確かに、不愉快な性格と態度ですが、あの飛行速度。そして、使い魔召喚を拒否する程の力。何より、ミルフィーユさん自身、あれこそ、契約すべき相手と感じたんでしょう?」


「言ってくれますわね、ハルカ。そのぐらい私とて、分かっていますわ。あの飛行速度は確かに魅力的。その上、召喚術を拒否する力。何より、私自身の直感。貴女の言う通り、契約すべき相手なのでしょう。しかし……」


 ミルフィーユさんとしても、あのドードーと契約すべきと分かってはいる。しかし、分かっていても、納得出来るとは限らない。僕から見ても、不愉快だからね、あのドードー。でも、契約しない訳にはいかない。灰崎 恭也の言葉を信じるなら、使い魔こそが僕達が新たな段階に進む為の鍵らしいし。何より時間が無い。3日後のデスゲームに負けたら、おしまいだ。だから、僕はミルフィーユさんを怒らせる事も覚悟の上で話す。


「ミルフィーユさん。貴女がスイーツブルグ侯爵家の三女として、常に誇り高く有る事は重々、知っています。ですが、今はその誇りを曲げてでも、あのドードーと契約すべきです。確かに誇りは大事です。しかし、それに囚われて、大局を誤るのはただのバカです。僕の知る、ミルフィーユ・フォン・スイーツブルグはそんなバカじゃありません」


 ……言い過ぎたかな? ミルフィーユさんは、ティーカップを手に何も言わない。僕も何も言わない。お互いに沈黙する。やがて、その沈黙を破ったのはミルフィーユさんだった。


「ハルカ。貴女、だんだんナナ様に似て、口が悪くなっていませんこと?」


「否定はしません」


 ナナさんに似て、口が悪くなってきたと言われた。でも、その口調は柔らかい。


「紅茶をもう一杯頂けます?」


「はい」


 紅茶のおかわりを要求されたので、すぐに2杯目を注ぎ、差し出す。ミルフィーユさんはそれを受け取り、一口飲むと話を切り出した。


「やはり、持つべきものは、良き友人ですわね。確かに不愉快な鳥ですが、あの程度、御する事が出来ない様では、私の名折れですわ」


「それでこそ、ミルフィーユさんです」


 さすがはミルフィーユさん。わりとあっさり、冷静さを取り戻した。さて、ここからどうするかが、彼女の真価が問われる所。そんな彼女の取った最初の手。それは他人の意見を聞く事。


「ハルカ、貴女に問います。仮に貴女なら、あの鳥相手にどう出ます?」


「そうですね。とりあえず、へりくだり、ご機嫌取りをした上で、上手く乗せて使いますね。とにかくああいうタイプは、自分の優秀さとやらをひけらかしたいというのが一番の行動理念なんで」


 ああいうタイプは、いわゆる、お山の大将。とにかく自分が一番。下手に押さえ付けると余計、反発する。だったら、上手くおだてて利用するに限る。母さんと姉さんの得意技だ。姉さん、高校1年の時に、これで生徒指導のクズ教師と、学年二位の優等生(笑)を潰したっけ。バカな人達だったな。そんなに学年一位の姉さんが気に入らなかったのか。結果、クズ教師は懲戒免職。学年二位の優等生(笑)は退学。自業自得だけどね。


 まぁ、姉さんが潰したクズ2人と違い、あのドードーは契約をしないといけない。いかに向こうをその気にさせるかが、大事。


「なるほど。参考になりますわ。不細工鳥の分際で言いたい放題、言われたせいで、つい熱くなってしまいましたが、ああいうタイプは社交界にはよくいるタイプですわね。ならば、やりようは有りますわ」


 そう言って不敵な笑みを浮かべるミルフィーユさん。そもそも、ミルフィーユさんは貴族。腹の探り合いや、口八丁手八丁の交渉は日常茶飯事。冷静さを取り戻したなら、あのドードーぐらい、上手く丸め込むだろう。


「あのドードーに、我がスイーツブルグ侯爵家の威光を示し、その上で、こちらに協力する様に誘導しますわ。ああいう相手は、とにかく、肩書きや、身分にこだわりますから」


「それですね。メイドの僕じゃ、舐められそうですが、名門スイーツブルグ侯爵家の三女が話を持ちかけたなら、乗ってきますよ」


「ありがとう、ハルカ。では、行ってきますわ」


「はい、頑張ってください」


 僕は改めてドードーとの契約に向かうミルフィーユさんを見送った。僕が出来るのはここまで。後は、ミルフィーユさんの手腕次第。その後、無事、契約成立したと聞かされた。こうして、僕とミルフィーユさんは、この世界に来た本来の目的を果たせた。でも、まだ終わった訳じゃない。やっとスタートラインに立てただけだ。全ては3日後のデスゲームに掛かっている。








「さてと。ミルフィーユさんの方も一段落したし、今度は僕の方を片付けないとね。まずは、君の名前を決めようか」


 僕は契約を結び、使い魔となった白いツチノコと向き合う。使い魔となった者に必ず行う事。名前を付ける事に。


「どんな名前が良いかな? ポチやタマは……。あ、嫌なんだ」


 試しに有りがちな犬や猫の名前を出したら、ツチノコは鳴き声を上げて二回跳ねた。拒否の意味だ。仕方ないので、色々名前を出してみる。でも、どれも気に入らないらしい。


「アレクサンダー、信長、ナポレオン、曹操。……これも嫌なの?」


 古今東西の有名人の名前を出しても、拒否一択。思ったより、気難しい性格なのかな? いい加減、面倒になってきた。その時、ふと浮かんだのが、僕とツチノコの出会いのきっかけとなった物。


「君、だし巻き玉子が好きみたいだし、そもそも、僕達の出会いのきっかけとなった物だからね。それにちなんで、『ダシマキ』はどうかな?」


 正直、冗談半分で言ったこの言葉。ところが、それを聞いたツチノコは……。


「シャー♪」


 嬉しそうな声を上げて、1回跳ねた。了承の意味だ。


「あの、本当にそれで良いの? 食べ物の名前だよ?」


 念の為、ツチノコに確認を取る。すると、また、鳴き声を上げて、1回跳ねる。どうやら『ダシマキ』という名前が気に入ったらしい。名前のセンスが分からない。ともあれ、本人、本蛇と言うべきかな? が気に入った以上、僕が口出しする事じゃない。こうして僕の使い魔。白いツチノコの名前は『ダシマキ』と決定した。







 さて、僕とミルフィーユさん、2人共、使い魔契約を結ぶ事が出来た。となれば、次は3日後のデスゲームに備えて修行なんだけど、ちょっとその前に。僕はツチノコのダシマキに気になっている事を聞いてみた。


「ダシマキ、ちょっと良いかな? 君に聞きたい事が有るんだけど」


「シャー?」


 僕の作っただし巻き玉子を食べて、食後の昼寝をしようとしていたらしい。ちょっと、不機嫌そう。


「ごめんね、昼寝の邪魔をして。でも気になる事が有ってね。昨夜の話だけど、君は灰崎 恭也の『人形』に地面の裂け目に向かって投げ捨てられたじゃない。なのに、どうして無事なのかなって」


 昼寝の邪魔をした事を詫びつつ、底が見えない程、深い裂け目に投げ捨てられたダシマキが生きている理由を尋ねた。もしかして、空を飛べるのかな? すると、ダシマキはその理由を明かしてくれた。


「シャー!」


 よく見ていろとばかりに、声を上げるダシマキ。そして、前に向かって跳ねると、まるで水面に飛び込んだ様に『空間に飛び込んでいった』。


「シャー♪」


 今度は、足元からダシマキの声。見れば、ダシマキが空中から頭だけ出していた。そして、スルスルと、空中から抜け出してきた。これにはびっくり。でも、ダシマキが助かった理由は分かった。投げ捨てられた後、この能力で難を逃れたんだ。しかし、空間転移とは違う。『空間潜航能力』といった所かな? いずれにせよ、凄い。ツチノコが見付からない、すぐに姿を消すと言われているのも、この能力のせいじゃないかな? 興が乗ったのか、ダシマキは更にステルス能力も見せてくれた。見事に姿を消してしまう。


「ありがとうダシマキ。君達、ツチノコが見付からない、捕まらない理由が良く分かったよ」


「シャー♪」


 能力を見せてくれた事にお礼を言うと、凄いだろうといった感じで声を上げるダシマキ。蛇だから、表情は分からないけど、多分、どや顔している。







「そうですか。貴女達2人共、使い魔契約を結べましたか。それは実に結構」


「これで、この世界に来た本来の目的は果たせた訳だ」


 僕とミルフィーユさん、共に使い魔契約を結べた事をイサムと竜胆(リンドウ)さんに報告。これで当初の目的は果たせた。となれば、次は当然、3日後のデスゲームに備えての特訓だ。その内容について話し合う。


「確か、ハルカの相手が水と槍の使い手で、ミルフィーユの相手が炎と拳銃の使い手でしたね」


「う〜ん。使う武器と能力からして、俺より竜胆(リンドウ)の方が、特訓相手には向いているか」


 特訓内容自体はシンプル。実戦形式だ。武器も術も何でも有りのノールール。実戦に、反則なんて無いからね。どんな汚い手を使っても、勝てば良い。ナナさんから常日頃から聞かされた言葉だ。で、特訓相手は竜胆(リンドウ)さんがメインでやる事に。槍も銃も術も使う点で、『人形』達と共通点が多いし。剣士のイサムもサブで指導を受け持つ。


「さて、今回の特訓ですが、厳しくいきますよ。単に実戦形式でやるだけでなく、貴女達の『根源の型』の力を引き出すのが一番の目的ですから」


 竜胆(リンドウ)さんは、今回の特訓の目指す所について語る。灰崎 恭也に言われた『根源の型』の力。それを引き出すのが一番の目的。特に僕は、魔氷女王の力ではなく、僕自身の力を見せろと言われたし。挙げ句、安っぽいアニメやラノベの主人公(クズ)と同類呼ばわりされた。あの屈辱、晴らさずにはいられない。


「ハルカ。落ち着きなさい。今の貴女、淑女としてあるまじき顔をしていますわよ」


「?! すみません。つい……」


 どうも顔に出ていたらしい。ミルフィーユさんに、たしなめられた。まだまだ、甘いな。







「さ、方針が決まった以上、早く始めましょう。ハルカ、ミルフィーユ、貴女達、2人で掛かってきなさい。以前と同じです。遠慮は要りません、真剣を使いなさい。でなければ、ただのお遊びです」


 方針が決まったなら、即、特訓開始。竜胆(リンドウ)さんは槍を取り出し構える。腰には、リボルバー式の拳銃も装備。その上で、僕とミルフィーユさん、2人まとめて相手にすると宣言。更に真剣を使えと。


「……ハルカ」


「はい」


 ミルフィーユさんは短剣サイズの黒い魔剣を抜き、即座に長剣サイズに伸ばす。僕も愛用の小太刀二刀を抜き、構える。


「バッコッコのコ♪ バッコッコのコ♪」


 能天気なバコ様の歌。それが始まりの合図となった。


「行きますわよ!」


「はい!」


「……捻り潰してあげましょう」








「……強いなんてもんじゃないですね、あの人」


「……逆に言えば、こうして生きている私達も、なかなかのものだと思いますわ」


 現在、僕とミルフィーユさんは二人して、地面に転がっています。全身ボロボロで動けません。特訓開始時の竜胆(リンドウ)さんの捻り潰してあげましょう発言。その通り、捻り潰されました。槍で突かれ、叩かれ、それをくぐり抜け、やっと懐に入れたと思ったら、拳銃で『殴られた』。その後に至近距離からの銃弾の洗礼。更に術の嵐と爆弾トラップの山。ミルフィーユさんの言う通り、こうして生きている僕達って、凄いと思う。普通は死ぬ。


「まるでなっていませんね。まぁ、これで死ぬなら、その程度。むしろ、灰崎 恭也の手に渡らないだけ、良いかもしれません」


 倒れている僕達を見下ろしながら、竜胆(リンドウ)さんが治療を施してくれる。今日の特訓は竜胆(リンドウ)さんに挑んでは捻り潰され、治療を受け、また挑んでは捻り潰され、治療の流れをひたすら繰り返していた。そして、やっと今日の分が終わり。既に日は沈み、辺りは暗くなっていた。


「3人共、お疲れ様。とりあえず、風呂と飯、どちらにする?」


 治療が終わり、動ける様になった所へ、イサムから、お風呂と夕飯どちらにするか聞かれた。僕はミルフィーユさん、竜胆(リンドウ)さんと顔を見合わせる。


「僕は先にお風呂に入りたいんですけど。さっぱりしたいんで」


「私も同じですわね。汗や、泥汚れが着いたまま夕食など、貴族としてあるまじき事ですし」


「私はどちらでも構いません」


 僕とミルフィーユさんは先にお風呂に入りたい派。竜胆(リンドウ)さんはどちらでも良い派。多数決なら、お風呂かな。ただね、この場合のお風呂はドラム缶風呂だから、一度に1人しか入れない。昨日もそれで揉めたからね。でも、早くさっぱりしたいのも事実。ここはじゃんけんで決めるか。


「ミルフィーユさん、どちらが先にお風呂に入るかじゃんけんで決めましょう。さすがに昨日の二の舞は嫌ですから」


「……そうですわね。なら、早く済ませましょう。すぐにお風呂の準備は出来ませんし」


 その事を伝えるとミルフィーユさんも了承。さぁ、じゃんけんを始めようとした所へ、竜胆(リンドウ)さんが割り込んできた。


「お風呂なら、私が準備しましょう。貴女達の会話から察するに、ドラム缶風呂でしょう? そんな狭い風呂では十分にくつろげません。ここは私に任せなさい。何より、貴女達には3日後のデスゲームに万全の状態で挑んで貰わないといけないのですから」


 竜胆(リンドウ)さんがお風呂を用意してくれるらしい。僕自身はドラム缶風呂は嫌いじゃない。野外でのドラム缶風呂は、なかなかに味わい深い。でも、狭いのも事実。どうせお風呂に入るなら、手足を伸ばして、ゆっくり入りたい。何より、竜胆(リンドウ)さんの言う様に、3日後のデスゲームに備えて、体調を万全にしておく必要が有る。ここはおまかせしよう。







「お風呂の用意が出来ましたよ。私もさっぱりしたいので、3人まとめて入りましょう。ちなみに露天風呂です」


 お風呂を用意すると言って、その場を離れた竜胆(リンドウ)さん。しばらくして戻ってくるなり、そう告げた。しかも露天風呂らしい。どうやって用意したのか知らないけど、とりあえず、着替えとお風呂セット一式を持って、付いていく。


「先輩、夕食の準備はお願いします」


「分かった。風呂に入っている間に仕上げておく」


 その際に、夕食の準備をしているイサムに声を掛けていく。当のイサムは石を積み上げて作った即席のかまどで、鍋を火に掛けている。僕達が特訓をしている間に食材を集めてきてくれたそうだ。匂いからして、カレーだな。


 しばらく歩くと、大きな岩が有り、その陰に立派な露天風呂が有った。以前の雪山旅行の際の、スイーツブルグ侯爵家の別荘の温泉にも引けを取らない。


「立派な露天風呂ですね」


「ハルカの言う通りですわね。これは見事な物ですわ」


「キツネ印の携帯式露天風呂です」


 立派な露天風呂に僕とミルフィーユさんが感心していると、竜胆(リンドウ)さんから、簡単な説明。あの人の商品か。本当に色々取り扱っているな。思い浮かべるのは、灰色の髪の胡散臭い女狐。


「あの女狐が胡散臭いのは同感ですが、商品は確かです。安心して入りなさい。脱衣場はそこです」


 僕の思いを読んだらしく、安心しろと竜胆(リンドウ)さん。あの女狐は胡散臭い人ではあるけど、その商品の品質は確か。他人を認めるハードルがやたら高いナナさんが、彼女から手に入れたナイフの性能を自作のナイフ以上と認め、愛用するぐらいだし。


 ともあれ、今はお風呂。布を張った即席の脱衣場に入り、服を脱いでお風呂に入る。







「良い湯加減ですわね」


「全くです。それに手足を存分に伸ばせるのはありがたいです」


 エメラルドグリーンの湯船に浸かり、存分に手足を伸ばしてリラックス。ミルフィーユさんの言う様に、湯加減もちょうど良い。


「師匠がお風呂にこだわる方でしてね。そこで女狐から、購入しました。良い買い物をしました。これに限らず、あの女狐の取り扱う商品に外れは無いですから」


 竜胆(リンドウ)さんも、良い買い物をしたと話してくれた。そして3人で今日の事や、今後の事について話し合う。


「率直に聞きます。竜胆(リンドウ)さん、貴女は3日後のデスゲームまでに、僕達の強化が間に合うと思いますか?」


 湯船に浸かりながら、僕は竜胆(リンドウ)さんに尋ねた。残された時間があまりにも少ない。そもそも、『根源の型』の力を引き出すといってもどうすれば良いのか? どんな風に発現するのか? 具体的なヒントなり、何なり欲しい。何より、彼女は間に合うと思っているのだろうか?


「さぁ?」


 それに対する返事はたったの一言。あまりにも素っ気ない言い方に、つい、食って掛かった。


「何ですか! その言い方! 僕は真面目に聞いているんですよ!」


 詰め寄ろうとしてミルフィーユさんに止められる。


「よしなさい、ハルカ! 争う相手が違いますわ!」


「別に止められるまでも無いのですが」


「貴女も黙っていてくださる?!」


 止めに入ったミルフィーユさんに、竜胆(リンドウ)さんは止められるまでも無いと言い放つ。それに対し、黙れとミルフィーユさん。どうにも気まずくなってしまった。それからしばらく、沈黙が続いた。それを破ったのは竜胆(リンドウ)さん。


「先程の質問に答えましょう。望みは薄いですね。そもそも、残された時間が少ない。ただ、貴女とミルフィーユを比べるなら、多少、ミルフィーユが先んじていると見ました。この分なら、『根源の型』の力をいくらかは引き出せるかもしれません。あくまで推測に過ぎませんが」


「それは本当ですの?!」


 竜胆(リンドウ)さんからの、『根源の型』の力を引き出せるかもしれないという言葉にミルフィーユさんが食い付く。それはそうだ。魔道の極意の一つである『根源の型』。その力を引き出せるかもしれないとあれば。僕でもそうする。


「落ち着きなさい。あくまで推測です」


 食い付いてきたミルフィーユさんに、あくまで推測と断りを入れつつ、竜胆(リンドウ)さんは続ける。


「ざっくり言うなら、積み重ねてきた経験、その他諸々の差。少なくとも、魔力の扱いに関しては間違いなく、ミルフィーユがハルカより優れています。後は、上手く『力』を引き出せるか否か。それだけです」


 僕とミルフィーユさんに間に有る、絶対の差。積み重ねてきた経験。それを竜胆(リンドウ)さんは指摘する。どうあがいても、この差は埋められない。


「まぁ、いずれにせよ、どうなるかは貴女達次第。死にたくなければ、せいぜいあがきなさい」


 実に嫌な言い方で締めくくる竜胆(リンドウ)さん。でも、実際その通り。その後はゆっくり湯に浸かり、疲れを癒してから上がり、帰ってイサムの作ったカレーを食べて就寝。







 それから2日間は朝から晩までみっちり修行。使い魔達が見守る中、竜胆(リンドウ)さんとの特訓に明け暮れた。そして、その間に、ミルフィーユさんが見事、『根源の型』の力を引き出した。2日目の特訓中の昼前。足を滑らせバランスを崩したミルフィーユさん目掛けて繰り出された槍の突き。そのままなら、間違いなく串刺しになっていたであろう一撃を、ミルフィーユさんの背中から突然現れた『炎の翼』が防いだ。


「これは?!」


 一番驚いたのは本人だけど、そこはさすがにミルフィーユさん。すぐに自分の新しい力を使ってみせた。炎の翼で空を舞い、高速機動を持って竜胆(リンドウ)さんを果敢に攻め立て、更に炎の翼から炎の羽を大量発射。僕までとばっちり。


 後でその事について謝罪されたから良いけど、いまだに僕は『根源の型』の力を引き出すには至らなかった。水の円盤カッターや、水の鞭の複数制御なんかは出来る様になったんだけど。それ以外にも、ミルフィーユさんの『翼』を真似て、『蛇』の形の水を放ってみたものの、竜胆(リンドウ)さんから全て却下された。その際、こう言われた。


「そんな上っ面だけの物が通用するとでも?」


 悔しかった。否定された事より、自分が『根源の型』の力を引き出せない事が。そして、ミルフィーユさんに先を行かれている事が。


 やがて日も暮れ、2日目の特訓も終わりを告げる。そして、決戦の3日目が迫る。夕食を食べながら、僕達は決戦に備える。


「泣いても笑っても明日が決戦か」


 夕食の雑炊をよそいながら、イサムは語る。雑炊の入ったお椀を受け取り、夕食開始。みんな揃って雑炊を食べる。こういう野外の食事はカレーとか、雑炊がありがたい。食器が少なくて済むからね。


「ところで、明日のデスゲームですが、場所や時間について聞かされていませんわね」


 雑炊をレンゲで食べながら、ミルフィーユさんがふと、口にした。言われてみれば確かに。場所や開始時間は聞いていない。と、そこへ、突然知らない女性の声。


「夜分に申し訳ありません。我が主、灰崎 恭也様から、伝言を承っております」


 驚いてそちらを向くと、そこには20代と思わしき、スーツ姿の若い女性。身なりもきちんとしている、綺麗な女性だ。ただし『意思の光の無い虚ろな瞳』をしていなければ。灰崎 恭也の『人形』だ。即座に構える僕達を彼女は制する。


「お待ちください。私はメッセンジャーです。明日のデスゲームの開始時刻、並びに開催場所を伝えに参りました」


 それを聞いて、ひとまずは話を聞く事に。武器は納めないけど。


「さっさと話せ」


 刀を構えながら、イサムは続きを促す。すると、『人形』は話し始めた。


「開始時刻は明日の正午。場所はここより東に20㎞先に特設会場を用意しております。迎えを寄越しますので、ご足労は無用です」


「わざわざ迎えを寄越してくれるとは。随分と灰崎 恭也はハルカに入れ込んでいるとみえます」


『人形』は明日のデスゲームの開始時刻と場所を伝え、更に、当日に迎えを寄越すと。随分と待遇が良いね。……信用出来るか分からないけど。


「我が主は明日のデスゲームを大変、楽しみにしておられます。ぜひとも万全の状態で臨んでくださいませ」


 そう言うと『人形』は消えた。空間転移を使ったらしい。ナナさんが得意とする次元魔法の中でも、あれは、かなりの上級。そうそう使い手はいない。そんな実力者さえ『人形』にして操る灰崎 恭也の実力に改めて、恐ろしいと思う。僕達は明日のデスゲームに勝てるのかな?


「ハルカ、今はしっかり食べて、ゆっくり休んで、明日に備える事が一番大事」


「先輩のおっしゃる通りです。本番で調子が出なければ、意味が有りません」


「ハルカ。今、私達がすべき事は、明日を万全の状態で迎える事ですわ。不安なのは貴女だけではありません」


 僕の不安を感じたらしく、3人共、励ましてくれた。僕はその事に感謝を告げる。


「……ありがとうございます。あ、それとイサム。雑炊おかわり」


「分かった。しっかり食べてくれ。大丈夫。君なら勝てるさ」


 今は自分の出来る事をしよう。しっかり食べて、ゆっくり休んで、明日のデスゲームに備えよう。








 その夜。ハルカ達が寝静まった後。


「バッコッコ、バッコッコ、バッコッコのコ♪ アッホッホ、アッホッホ、アッホッホのホ♪ へーへーブーブー、へーブーブー♪ へーへーブーブー、へーブーブー♪」


 夜空の下、いつもの変な歌と踊りを繰り返すデブの三毛猫、バコ様。それを見ている3つの影。


「…………まさか、この様な場所で、いと高き貴女様に拝謁の栄誉を賜るとは。この藤堂さん、身に余る光栄に喜びに堪えませぬ」


「シャー」


「こら、モグラの小童(こわっぱ)、頭が高いぞ! 控えよ! 本来なら、我輩達ごとき卑しき畜生風情がそのお姿を拝見するどころか、お声を賜る事すら、有り得ぬのだぞ!」


 ドードーの藤堂さんに叱られ、巨大モグラの子供は慌ててひれ伏す。


 そして、1羽と1匹と1頭がひれ伏す中、バコ様は歌って踊り続けた。そして、その事をハルカ達は知らない。




お待たせしました。第128話です。


やっと捕まえた白いツチノコと赤いドードー。何だかんだで契約成立。ハルカは白いツチノコにダシマキと命名。そして始まる、3日後のデスゲームに向けての特訓。


しかし、ここでハルカは壁にぶつかり、悩む事に。対するミルフィーユは次の段階に進んだだけに、その悩みもまた、ひとしお。しかし、他の3人の励ましも有り、今は自分の出来る事をしようと決意。だが、いまだに『根源の型』の力を引き出せない事は、その心に影を落としています。


その夜、みんなが寝静まった後、夜空の下で歌って踊る、デブの三毛猫、バコ様。そんなバコ様にひれ伏す、赤いドードーの藤堂さん、白いツチノコのダシマキ。巨大モグラの子供。


これまで数々の奇跡を起こし、ピンチを救ってきたバコ様。はたして、何者なのか?


次回、ハルカの使い魔編、完結。


それでは、また。

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