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僕と魔女さん  作者: 霧芽井
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第115話 ハルカのスキー初挑戦。そして招かれざる客達

 東方の国、蒼辰国での事件。それが元で塞ぎ混むハルカに対するナナ様からの相談を受け、私が提案した、我がスイーツブルグ侯爵家の所有する別荘への温泉旅行。季節柄、美しい雪景色を満喫出来ますし、ハルカの気分転換に良いかと思いましたの。


 さて、昼食も済ませたし、どうしましょうか? 考えていた所、そこへエスプレッソが、せっかく雪山に来たのですから、外で遊んではと。そうですわね。天気は上々。せっかく雪山に来たのですから、これを満喫しない手はありませんわね。とりあえず、一旦部屋に戻って着替え、玄関に集合という事になりました。






「どうやら他の方達はまだの様ですわね」


 着替えて玄関に来ましたが、まだ誰もいません。しばし待つとしましょう。すると向こうから誰かやってきました。クローネ様とファム様ですわね。蛍光色の良く目立つスキーウェアに身を包んでいますわ。ちなみに、クローネ様はオレンジ。ファム様は黄緑。


「待たせたな」


「お待たせ。ナナちゃん達はまだ?」


「私もさっき来た所ですわ。ナナ様達はまだですわね」


 軽く会話し、ナナ様達を待ちます。……どうやら来た様ですわね。ナナ様達がやってきましたわ。


「お待たせしました」


「待たせたね。さ、行こうか」


 スキーウェアに着替えた姿のナナ様とハルカ。ナナ様は普段来ている黒ジャージと同じく、黒いスキーウェア姿。そのせいで、あまり違和感は有りません。対するハルカは、普段はメイド服姿だけに、黄色のスキーウェア姿が新鮮ですわね。ともあれ、私達は外に向かいます。







「改めて見ると壮観ですね。僕は雪山に来たのは初めてですから」


 辺り一面の銀世界。ハルカが感嘆の声を上げます。


「喜んで頂けて何よりですわ。さ、せっかく雪山に来たのですから、存分に楽しまないと損ですわ」


 私としても、ハルカが喜んでくれて喜ばしい限り。さて、何をしましょうか?


「ふん、粉雪か。なかなかの雪質、スキーをやるにはうってつけだね」


 ナナ様が雪を手に、その雪質を確かめられていました。サラサラの粉雪。おっしゃる通り、スキーをやるにはうってつけの雪質ですわ。


「スキーか。悪くないな。久しぶりに一滑りするか」


「本当、久しぶりだからね。特にレジャーで来るのはさ。前の時は殺し合いだったし」


 クローネ様はともかく、ファム様は怖い事をおっしゃっていました。過去に何が有ったのかは聞かない方が賢明ですわね。そんな中、なぜか、やや不満そうなハルカ。何か気に入らない事でも有るのでしょうか?


「……こんなサラサラの雪じゃ、うまく雪玉が作れません。これじゃ、雪だるまも、かまくらも作れません」


「……やれやれ。あんまりガキみたいな事、言うんじゃないよ。せっかくの粉雪なんだよ。ましてや、あんたぐらいの歳なら、スキーとかスノボをやるもんだろ?」


 どうやらハルカは、雪遊びがしたいらしく、まとまりの悪い粉雪が不満な模様。そんなハルカに呆れるナナ様。確かに、私やハルカぐらいの歳なら、雪山に来たらスキーやスノボが定番ですし。もっとも、ハルカは世間一般の同年代とは少なからず、ズレている所が有りますから。


「でも、僕、スキーもスノボもやった事、有りません。というか、この世界にも有ったんですね」


「まぁね。とにかく、せっかく来たんだ。私が教えてやるから、やってみな」


「……分かりました。でも、ちゃんと付いていてくださいね? ケガするのは嫌ですから」


「分かってるよ。ミルフィーユ、この辺で初心者向けのスキーの出来る場所は無いかい?」


 スキーやスノボをやった事が無いと言うハルカでしたが、ナナ様に言われて、渋々ながら了承。そしてナナ様から、初心者向けのスキーの出来る場所を聞かれました。


「そうですわね。ここからもう少し行った所に手頃な場所が有りますわ。案内致しますわ」


 ここは温泉がメインの地。スキー場は有りませんが、スキーをするのに適した場所は有ります。そんな訳で、ナナ様、ハルカと共に移動。







「ふん。余計な障害物は無いし、急勾配でもない。確かに初心者には良さそうな場所だね」


 私が選んだ場所を見て、ナナ様は評価をなさいました。どうやらお眼鏡にかなったようですわね。


「さ、ハルカ。スキー用具、一式出してやるよ」


 さっそく亜空間からスキー用具、一式を取り出すナナ様。


「用意良いですね。ただ、付け方が分からないんで、教えてください」


「分かってるよ」


 ナナ様は、スキー初心者のハルカの為に、せっせとスキー用具の付け方を教えています。幸い、飲み込みの早いハルカ。ナナ様の教え方が上手い事も有り、さほど時間を掛けずにスキー用具、一式を身に付けました。


「よし。じゃ始めようか」


「よろしくお願いします。……本当、ナナさん、ちゃんと付いていてくださいね! 僕、ケガとかしたくないですから!」


 やっぱり、初めてのスキーが怖いらしいハルカ。ナナ様にちゃんと付いていてくださる様、念押ししています。


「全く、怖がりだね。仮にケガをしても、ちゃんと治療してやるよ。それじゃ、さっさと始めよう」


 ハルカは怖がっていますが、このままでは先に進めません。ナナ様はいざとなれば、ちゃんと治療すると言い、ハルカのスキー初挑戦、始まりました。







「よし、まずは歩いてみな。ここまで来るんだ」


 まずは平らな場所で歩く練習。少し先で待つナナ様の元まで行かねばなりません。しかし、普通に歩くのと違い、スキー板を着けた状態で歩くのは慣れていないと上手くいきません。案の定、ハルカも上手く進めません。


「ナナさん、歩けません!」


「うるさい! 泣き言、言わずに考えろ!」


 歩けませんと言うハルカに、容赦なく叱りつけるナナ様。厳しいですが、確かに自分で考えなくては身に付きません。叱られた事も有り、ハルカは試行錯誤を繰り返し、やがて、ストックを使い、滑る様に前進。ナナ様の元に到着。


「着きましたよ!」


「ふん、やれば出来るじゃないか。よし、次は斜面を移動するからね」


 ナナ様の元に到着した事を喜ぶハルカ。ナナ様も一応、褒めつつ、次の段階へと移ります。そして、次々と練習をこなし、いよいよ、斜面を滑りに。







「さ、お待ちかね、斜面を滑るよ。まずは、私が手本を見せるからね。しっかり見るんだよ」


「はい」


 まずは、ナナ様が手本を見せる事に。分かりやすい様に、スピードを落として、斜面を滑ります。実に綺麗なフォーム。さすがですわね。


「さ、私達も行きましょう。でも、無理はしない様に」


「……分かりました」


 続いて、私達の番。下で待つナナ様の元まで向かう事に。私はともかく、ハルカはやはり、緊張していますわね。


「大丈夫、ナナ様と私が付いていますわ。ゆっくり滑りましょう」


「……そうですね。とりあえず、ゆっくり滑ります」


 ようやっと踏ん切りが付いたらしく、いよいよハルカが滑ります。私もその横に。


「えっと、スキー板はハの字型に……」


 ナナ様から教わった事を復唱しながら、準備を整えるハルカ。


「そんな感じですわ。さ、行きましょう」


 ハルカの準備が整ったのを見計らい、いざ出発。比較的なだらかな斜面をゆっくり滑ります。ハルカも慣れないながらも何とか付いてきます。程なくして、ナナ様の元に到着。


「ふん。とりあえず滑る事は出来たね。しばらくはこれを繰り返しな。今は真っ直ぐ滑る事だけ考えろ。慣れたら方向転換を教えてやるから」


 着いた所でナナ様による評価。相変わらず厳しいお方。軽々しく褒めたりはしません。


「分かりました。頑張ります」


「ハルカ、私も付き合いますわ」


 浮遊魔法で上に戻り、再び滑っては、また上に戻る。それを繰り返す内に、ハルカはみるみる上達していきました。ナナ様から方向転換を教わり、スキーの楽しみを知った様です。それは良い事だとは思うのですが……。


 何度目かの滑走。すっかり慣れたらしく、控えめな性格のハルカにしては珍しく、はしゃいでいますわ。ただ、少々、はしゃぎ過ぎな気が。こういう、ある程度慣れた時が一番怖いのです。


「ナナ様、私、少々ハルカが心配になってきましたわ。ケガをしないと良いのですが……」


 せっかく旅行に来たのにケガをしては意味が有りません。まぁ、ナナ様がいますし、仮にケガをしてもすぐに治療は出来るでしょうが、それでも気分は台無しですわ。しかし、ナナ様はというと。


「ふん。まぁ、そんなに心配する事は無いさ。特にここは『雪山』だからね」


 何やら意味深な言い方をなさいました。どういう事でしょう? と、ナナ様の言葉の意味を考えていたら、恐れていた事が起きました。滑走中のハルカがバランスを崩したのです。かなりのスピードが出ていますし、ただではすみません!


「ハルカ!」


 思わず声を上げる私。ですが、ここで思わぬ事態が。


 ボスッ


 ハルカの倒れる先に突然、雪が盛り上がり、それがクッションとなってハルカを受け止めたのです。突然の事態にハルカも驚いた様ですが、見た感じ、無事の様です。私は急いでハルカの元に向かいました。


「大丈夫ですの? ハルカ」


 クッションとなった雪に埋もれたハルカに声を掛けます。すると、ちゃんと返事が来ましたわ。


「すみません、ミルフィーユさん。雪に埋まって上手く動けません。引っ張ってくれませんか?」


「分かりましたわ!」


 ケガは無かった様ですが、その代わりに、雪に埋もれて上手く身動きが出来ない様です。引っ張って欲しいと言われ、ハルカを引っ張り出します。


「……ありがとうございます。助かりました」


「いえ。ケガが無くて何よりですわ」


 無事、ハルカを雪の中から引っ張り出す事に成功。別段、どこかを捻ったりなどもしていませんでした。しかし、突然、雪が盛り上がり、ハルカを受け止めるなど、明らかに異常。すると、そこへナナ様がやってきました。


「全く。ちょっと上手くなったからって、調子に乗るからだよ。ま、ここはあんたにとって、ある意味、ホームだからね。今の身体に感謝するんだね」


 まずは、ハルカにお説教。ですが、続けて奇妙な事をおっしゃいました。ここがハルカにとって、ある意味、ホーム? ハルカも疑問に思ったらしく、ナナ様に尋ねました。


「ナナさん。ここが僕にとって、ある意味ホームってどういう事ですか?」


 するとナナ様は、呆れ顔。


「分からないのかい? 言ったろ? 今の身体に感謝しろって。あんた、今の自分が何者か忘れた訳じゃないだろう?」


 ナナ様のその言葉を聞いて、私はピンと来ました。なるほど、確かに、この『雪山』はハルカにとって、ある意味、ホームですわね。ハルカも同じ結論に達した様ですわ。


「分かりました。真十二柱の序列十一位。魔氷女王の身体を持つ僕にとって、雪山は確かにホームですね。この一帯に住む、氷系の精霊達からすれば、遥かに上位の存在ですし。気を遣ってくれたんですね」


 ハルカのその言葉に頷くナナ様。


「そういう事さ。この一帯に住む氷系の精霊達からすれば、遥か雲の上の存在のあんたにケガなんかさせたら、まずいどころじゃ済まないんだよ」


「……僕はそんなつもりは無いんですけどね」


「あんたがそう思っていても、向こうとしてはそうはいかないのさ」


 ナナ様とハルカの会話を聞いていると、精霊の世界もなかなか世知辛いものが有る様ですわね。


「そういう訳だから、くれぐれも発言には気を付けな。雪山でのあんたの発言の影響力は凄いんだからね」


「はい。気を付けます」


 雪山での発言には気を付ける様にと、ナナ様から注意を受けるハルカ。……ちょっと待ってくださる? 確か、ハルカが……。


 私はある事を思い出しました。ハルカがスキーを始める前に少々、こぼしていた言葉を。ナナ様も気付かれた様です。


「ハルカ。あんたが余計な事を言うから……。ちょっと、雪を触ってみな」


「え? 分かりました」


 渋い顔のナナ様にそう言われ、ハルカは足元の雪を一掴み。気付いた様ですわね。


「ぼたん雪になってます!」


「全く、困った子だね、あんたは。あんたが粉雪じゃ雪遊びが出来ないなんて言うから、精霊達が気を遣って、粉雪をぼたん雪に変えたんだよ。せっかくのスキーにうってつけの粉雪が台無しだよ」


「……すみません」


「本当に気を付けな。今回は私達だけだから、まだ良いけど、これがスキー場だったら、大事だからね。商売あがったりになっちまう」


「本当にすみません!」


 ハルカは自分の軽はずみな発言の影響力を知り、すっかり縮こまってしまいました。ですが、確かにナナ様のおっしゃる通り。今回は私達だけですから良いものの、もしこれが、スキー場で起きたら、大変です。


「えっと、無理してぼたん雪に変えなくても良いから! とりあえず、元に戻して!」


 ハルカも事態の重大さを知り、慌てて元に戻す様に精霊達に呼び掛けます。


「仕方ない。そろそろ戻るとしようか。さすがに冷えてきたし」


 粉雪がぼたん雪に変わってしまってはスキーには向きません。それに、さすがに冷えてきました。そんな訳で、私達はひとまず別荘に戻る事に。







「ただいま戻りました!」


 私達を代表して元気にただいまを言うハルカ。それを聞いてエスプレッソが出迎えてくれました。


「お帰りなさいませ。雪山はいかがでしたか?」


「はい、存分にスキーを楽しんできました」


 雪山はどうだったかとの問いに、スキーを存分に楽しんできたと答えるハルカ。


「それは実に結構。さ、冷えたでしょう。温かい飲み物を用意致しております」


「ふん。さっさとしな。それと夕飯は早めに頼んだよ」


「ナナさん! すみません、エスプレッソさん」


 温かい飲み物を用意してあると言うエスプレッソに対し、相変わらずの喧嘩腰のナナ様。それを止めるハルカと、ある意味、お馴染みの光景。まぁ、今はリビングに向かうとしましょう。







「お待たせ致しました。熱いので、お気を付けてください」


 リビングのソファーに座って待つ事しばらく。エスプレッソがマグカップ3つを載せたお盆を持ってやってきました。……この香り、紅茶ではありませんわね。


 てっきり、紅茶だとばかり思っていましたが、香りからして違う様です。何とも独特な甘い香り。


「あっ! この香り、もしかして!」


 ハルカはこの香りに心当たりが有る様ですが。一体、何でしょう?


「さすがはハルカ嬢。お気付きですか。最近、手に入れまして。この機会に、使ってみました。甘酒でございます。さ、冷めない内に召し上がれ」


 そう言ってエスプレッソが配ったマグカップには、乳白色の飲み物。所々、小さな粒が見えますわね。甘酒という事ですが、お酒の一種なのでしょうか?


  ……いえ、それはまず無いですわね。ナナ様はともかく、私とハルカは未成年。アルコールを出す訳にはいきません。エスプレッソはその辺り、非常に厳格ですから。それに、真面目なハルカが口にしていますし。ならば、私も頂きましょう。マグカップを手に取り、一口。


「……上手く表現出来ませんが、優しい甘さですわね」


 今まで味わった事の無い、優しい、柔らかな甘さ。これは身体が温まりますわ。


「ふん。酒じゃないけど、悪くないね」


 口の悪いナナ様も、お気に召した様ですわ。ハルカが言うには、ナナ様がああ言うのは褒め言葉だそうです。


「美味しいです、エスプレッソさん。しかし、よく酒粕が手に入りましたね」


 ハルカも甘酒を味わいながら、エスプレッソに酒粕とやらについて尋ねました。そういえば、ハルカは甘酒について知っていた様ですし。


「最近、東方の食材を使った料理に凝っておりまして。その一環でございます。お気に召して頂けた様で何より」


「まだ酒粕が残っているなら、粕汁も作りましょう。美味しいですし、温まりますよ。作り方は知っています」


「ほう、それはありがたい申し出ですな。ぜひともお願いします」


 やはり、ハルカはこういう料理を始めとした、家事全般絡みの話になると、俄然盛り上がりますわね。そこへ、クローネ様、ファム様も帰ってこられました。


「今、戻った。急に雪質が変わってな。あれではスキーにならん」


「急にぼたん雪になったからね」


 ハルカの発言の影響は思った以上に広かった様です。それを聞いて、また縮こまってしまうハルカ。


「すみません、僕が余計な事を言ったせいで」


 一連の事情を話し、ひたすら平謝りのハルカ。


「ふむ。そういう事か。ハルカ、君の発言の重さが分かっただけでも、大きな収穫だったと言えよう。強い力を持つ者の発言は多大な影響を及ぼす。くれぐれも気を付ける事だ」


「クローネちゃんの言う通りだよ。気を付けてね」


「はい。ありがとうございます。気を付けます」


 幸い、お二人共、特にハルカを責めたりはしませんでした。しかし、そこへ、思わぬ事態が。


「バッコッコのコ! バッコッコのコ!」


 ソファーの上で寝ていた三毛猫。バコ様が突然起きて、踊り始めました。


「どうしたのバコ様? お腹か空いたの? それとも漏らしたの?」


 突然、騒ぎ出したバコ様にハルカが話しかけます。


「バッコッコのコ! バッコッコのコ!」


 しかし、バコ様は相変わらず、意味不明な歌と踊りを繰り返すばかり。頭がボケているそうですし。


「ったく、うるさいボケ猫だね」


 騒ぎ立てるバコ様に対し、イラつきを隠さないナナ様。まさにその時。玄関の呼び鈴が鳴ったのです。その瞬間、静まり返るリビング。一体、誰が? ここは、雪山の中の別荘。現在、私達以外に近隣には誰もいないはず。一同、緊張が走ります。


「……あんた達、いつでも抜ける様にしておきな」


 小声でそう告げるナナ様。ご自身も既にナイフを手にしておられます。そこへ再び鳴る呼び鈴。


「私が行く。あんた達はここにいな。クローネ、ファム、エスプレッソ、ハルカ達を頼んだよ」


 ナナ様はそう言って、玄関に向かおうとされたのですが、それに先んじて玄関に向かった者がいました。


「へ〜〜、へ〜〜」


 三毛猫のバコ様です。何を思ったのか、変な鳴き声を上げながら、玄関に向かって走っていってしまいました。


「あっ! ダメだよバコ様!」


 そのバコ様を追いかけて走っていくハルカ。


「ちっ! あのバカ弟子は!」


 更にその後を追いかけるナナ様。事態は滅茶苦茶です。しかし、放っておく訳にもいきません。私達も玄関に向かう事に。







 到着した玄関。そこでは。


「バッコッコ、バッコッコ、バッコッコのコ♪ アッホッホ、アッホッホ、アッホッホのホ♪ へーへーブーブー、へーブーブー♪ へーへーブーブー、へーブーブー♪」


 相変わらずの変な歌と踊りを繰り返すバコ様。そして、そのバコ様を挟んで、ハルカとナナ様が3人の招かざる客と対峙していました。


「全く、客を待たせるとは、なっていないな。こんな寒い雪山だぞ。さっさと出迎えるのが当然だろう?」


「だからって、勝手に余所様の別荘に入ってくるんじゃないよ! 非常識な奴だね!」


 それは何とも奇妙な光景でした。ナナ様と、ナナ様そっくりの女性が言い争っていたのです。ただ、ナナ様。貴女のその言葉、盛大なブーメランですわよ。そして、何より、この女性。ナナ様とそっくりの外見。もしや……。


 私の予想はナナ様の発言で、見事に的中している事が判明しました。


「一体、何しに来た?! 魔道神クロユリ!」


 そう、真十二柱が序列二位。異能の根源たる神、魔道神クロユリだったのです。





長らくお待たせしました。僕と魔女さん、第115話をお届けします。


初めての雪山。そしてスキー。ハルカとしては雪遊びがしたかったのですが。ともあれ、ナナさんの指導の元、スキーに初挑戦。何だかんだで楽しんでいます。


ただ、ハルカの何気ない一言のせいで、スキーにうってつけの粉雪がぼたん雪に。雪山における、自分の発言の重さを知るハルカでした。


別荘に帰り、エスプレッソ特製の甘酒を堪能していたら、突然の来客。思わぬ事態に身構える一同。しかし、それをぶち壊す、頭のボケた三毛猫のバコ様。向かった玄関の先には、魔道神クロユリ御一行様。せっかくの楽しい旅行が一気にキナ臭くなってきました。


ここ最近、多忙且つスランプ。短めの内容ですが、これが精一杯です。


では、また次回。





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