ポーション工場の御仕事
異世界実況中継、工場見学のはじまり、はじまり。
魔王が倒され国王も倒され、身分制度も緩和し、世界は平和になった。
そうして、冒険者ギルドも「情報公開」の名の元に、中継魔法水晶を携えた、レポーターが活躍する時代になったのだった。
「さぁ、本日の実況中継は『ポーション工場』です。冒険者や戦士は頻繁に、そうでない人もたまには、使ったことのあるポーション」
水晶玉では、進みゆく工場とレポーターが交互に映されていた。
「およそ500年間、極秘とされてきた、ポーション製造について、とうとう私達、ギルド報道班のメスが入るのです。おったのしみに」
水晶玉カメラマンと、レポーターはズンズンと工場の入り口まで進んでいくと、一人の工場長らしき男にマイクをむける。
「こんにちは。ギルド報道班です。本日はよろしくお願いします」
「どうも。私がポーション工場の工場長です。それでは、中を案内します」
報道班は、工場長に導かれて、ゾロゾロとポーション工場内に入っていく。
工場の中では、既に製造されたポーションが工員によって瓶詰されていた。
「おお、こうやって、ポーションは、瓶詰されるのですね。いたって普通です」
「ええ、密閉には気を付けていますが、水の扱いと大差ないですね」
そんな会話をしながら、工場の内部へと進んでいく。
「やはり、私達が興味深いのは、生物を回復させるその神秘。ポーション液そのものの製造になります」
「そうでしょうね」
「では、工場長、ポーション液を作っているトコロへの御案内と説明をお願いします」
そうして、工場長は、歩きながら、説明していく。
「『尿』という字をよく観察してください。
『尸:しかばね』+『水:みず』、でしょう?
つまり、屍の水、なんですね」
淡々と説明させる。
「『尿』それは、生きている生物が出す、屍の水」
ふむふむ……漢字だけどね
「この尿が、ゾンビ、スケルトン、キョンシー、グール、などなどの回復薬として用いられることが500年前に発見され、秘匿事項として本日まで隠されてきたのです」
ふむふむ……まさか
「そう、では逆に、屍である、ゾンビ、スケルトン、キョンシー、グール、などなどの、尸の水について、研究された結果……」
やっぱり、そうなのか。
ガチャリと、扉が開いて、見えてきた光景に絶句する。
「なんと、ゾンビの尿には、生きた生物を回復させる力がありました。そして、ポーションの大量生産を可能にしたのが、このゾンビ尿採取状です」
そこには、便器が並んでおり、ゾンビ達が排尿していた。
「これにより、人類は回復薬を得て、ダンジョン攻略の偉大な業績を気づいてきたのです」
男ゾンビが、ジョーロジョロジョロ。
女ゾンビが、チョロチョロチョロ。
これが、ポーションになるのか。
「はい、そしてですね。採れたてほど、効力が高いですので、私達は鮮度を保つ魔法を行使した時期があったのですが、うまくいきませんでした。結果として、生のままビン詰めで販売することになり……」
解説はもう耳に入ってこない。
レポーターの私が一言いいたいのは……
「Oh、尿!」
の、一言だった。
(おしまい)
マイナスかけるマイナスはプラス、のハズ。そして、刑務所で作られているアイスクリームのヘラとか、衛生管理について調べないほうが幸せに過ごせますよ。検索するなよ、検索するなよ…ああ、知ってしまったのか。




