表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピッチピチの青い全身タイツの精霊(笑)を装備して、邪神をイジリたおす ~旧神の力を宿すイケメンの勇者、帰還者トーマス~  作者: 正座回転ドリフト王子
1章 帰還者(笑)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

#3 競泳水着の美女を釣る

 ピョコハマ市の秘境『神ヶ下(じんがした)渓谷公園』内に、ボッチ御用達の釣り堀がある。スキル不足・なんか無理! などと言われ、パーティーからおっぽり出された者たちが仲間を探すスポット。

 異世界とリンクしているため、あらゆる職種(クラス)の人間を釣ることができる。


 渓流に沿って続く未舗装の坂道を下っていくと、釣り堀(それ)は姿を現す――。


 皇帝ペンギンが土下座をして謝りそうな、夏の暑い日。

 赤いマフラーを巻いた勇者『早目野はやめのパブロフ』が、ほぼ全裸で現れた。


 数多くのパーティーから加入を拒否された彼は、メンバーを獲得しようと自身で開発したこの釣り堀にやってきたのだった。


 やる気全開の毛根を鎮めてくれる毛穴回復士(ケヒーラー)が欲しいところだが……。


 レンタルした釣り道具をひっさげたパブロフが、ぶつぶつ言いながら聖職者などが釣れるエリアへと入って行く。


 聖水で満たされた池の前で仁王立ちするパブロフ。

 太陽が繰り出すどぎつい光に思わずてのひらで目を覆う。

 そわりと吹いた心地よい風に体を撫でられたパブロフは、ニヒリと笑みを浮かべる。


 公園からぶっこ抜いてきたベンチを無造作におろした。

 十字架を握りしめ、丈夫そうなベンチに勢いよく腰をおろす。


 ベンチが悲鳴をあげながらグシャリと潰れ、パブロフは尻もちをついた。

 そんな彼の趣は、胡坐あぐらをかいて土俵を眺める力士のよう。

 どすこい体勢で糸に十字架エサをくくり付け、祈りとともに池へと投げ込んだ。


「半裸でドMな美形の修道女シスターを頼む!」


 ドラム型のリールのハンドルをゆっくりと回し、エサをたぐり寄せる。

 投げては引き戻すという行為を反復すること30分。グイと竿が反応した。


「フィッシュ!」


 獲物が掛かったときにあげる言葉を、パブロフが興奮気味に叫ぶ。

 目当てのシスターでもヒットしたのだろう。

 竿を持つ手に力がはいる。竿といっても、彼の股間にある小振りの()()だが。


 20分ほど格闘した甲斐あって、黒い競泳水着姿のシスターを釣りあげた。

 160センチほどのシスターの体から雫がしたたり落ちる様を、パブロフはイヤラシイ目つきで観察する。


「オメエが落としたのは、デラックスな修道女デスカ? 金の修道女デスカ? 銀の修道女デツカ?」


 びっくりするほど流麗な棒読みで、シスターが問いかけてくる。


 水着の胸元に印刷された“修道服”という銀色の文字、名前らしき単語をパブロフが三度見する。


 胸元に記されたシスターの名は、かすれて良く見えないが、源氏名だ。

 冒険者たちの間では、“本名を明かさないという暗黙ルール”があるためだ。


「だあ、ちくしょう! 一服できねえし!」


 胸の谷間から取り出したズブ濡れ状態のタバコの箱を、シスターはグシャリと握りつぶす。


 パブロフは異世界で変態・地雷系・中二病など、アタマのおかしい女子に遭遇している。美女が毒を吐いても、彼が臆することはない。

 シスターの艶めく黒髪と砂時計のようにクビレた腰を眺めながら、どうやって調教してやろうかと思案する。


「なあ、ずんぐりムッツリなミートボール。タバコかタバスコ持ってねえ? ニコチンが切れてイライラが襲ってくっし!」

「ニートのマッチョさんと言い直せ。ふたつ合わせて“ニートボール”か、”ニート・ミーツ・ガール”でもいいが……。それはそうと、喫煙なんて体に悪いことを俺がするように見えるか? 歩きタバスコをするとでも思っているのか?」

「タバコないならいいや。アッシは帰っから」


 頭上で手をヒラヒラと動かすヤンキー座りのシスターが、眼前に(そび)え立つパブロフを仰ぎ見る。


「ちょっと待て。邪神を封印しに行かないか? ストレス解消にもってこいだと俺は思うが」


 スパルタ教育でもすればマトモになるか。そう考えたパブロフは、池にもどろうとするシスターを引きとめる。


「はぁ? いやだし。ヤニ持ってないんしょ?」


 邪神よりシスターの封印が先か……。

 考えることをやめたパブロフは、シスターの背中を蹴りとばし、ポッチャリと池にリリースした。


「パーマに失敗してハゲろ! おまえの毛根しね!」


 水面から顔を出したシスターは、わりとボーボーなパブロフの頭部に向かって高尚な悪態をついた。


「俺の毛根はカンストしている。毛髪にいたってはアンデッドでな。つまり、ミラクルが起きない限りハゲないということだ。それはそうと、オマエの乳はけしからん。全国の貧乳女子に謝れ。乳道女にゅうどうじょめ!」

「はぁ? あんだよ、乳道女って。人を入道雲とか道場破りみたいに言うなだし!」

「冗談だ。手を出せ、引き上げてやる」

「幼稚園児の落書きみてぇな顔だけあって、人も悪いな……。闇のニオイしかしねえけど、いいとこあんじゃん……」


 やさぐれたシスターは乙女チックな表情をみせる。

 シスターの面様(おもよう)とアニメ声に萌えたのか、顔をほころばせたパブロフは、救いの手を差しのべた。


「股間がチャックのスク水に着替えて出直せ」


 手を差し出すシスターの顔面をトンと蹴り、池に沈めるクズ勇者。


「もう1回パーマに失敗しろ。ゲジゲジ三角まゆげ! クズ! 糸クズ! 頭ばーか!」


 平家ガニの甲羅を思わせる表情で、池の奥底へとシスターが消えてゆく。


 パブロフはシスターを引き上げては落とすという行為を何度も繰り返す。

 シスターは、20回目からプリプリの臀部(でんぶ)だけを水面に表出させる。顔を出すのが億劫になったのだろう。


 25回目にして、ようやくシスターが顔を出した。


「おケツを出した子、1等賞! 頭ばーか!」


 ひとこと残し、すぐにシスターは引っ込んでしまう。

 30回目には、浴槽で放屁をしたようなデカイ泡だけが浮かび上がった。それきり、シスターが顔を見せることはなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ