表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピッチピチの青い全身タイツの精霊(笑)を装備して、邪神をイジリたおす ~旧神の力を宿すイケメンの勇者、帰還者トーマス~  作者: 正座回転ドリフト王子
1章 帰還者(笑)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/6

#0 勇者、水の精霊と業務委託契約を交わす(プロローグ)

 青い全身タイツの少女が、突風みたいに駆け抜けた。


 真昼の商店街。

 少女の顔にはラーメンどんぶりをヘルメットのように括りつけている。

 ただのファッションではない。

 店を飛び出す時につけた“犯行アイテム”だ。


「食い逃げ事件だ! 誰か、あの青く光ってる変態を止めてくれぇ!」


 白い割烹着の店主が、のれんを弾き飛ばし、麺の湯気をまとったまま参上した。


「ワシの特製チャーシュー麺を、そのまま頭にのっけて逃げるなんて……前代未聞だ!」


 少女は風のごときスピードで逃げる。

 その姿は“炭水化物を守る勇者”にも見えた。


 だが――。


 角から現れたのは、本物の勇者『パブロフ』だった。

 彼の身長3メートル。

 イケメンなのに女児用ベビー服を着用した姿は、まさに邪道系勇者。


 ラーメンどんぶりヘッドの少女を見るなり、勇者パブロフはすべてを理解した。

 彼の辞書には『静観』の二文字は存在しない。

 あるのは『一発で終わらせる』だけだ。


「ふむ。コイツが噂の『青い全身タイツの食い逃げ犯』か……」


 ベビー服の勇者は一気に加速。

 少女の横へ滑り込む。

 神の力を宿す、彼の右腕には、別の意味で正義が凝縮されていた。


「光速! ラーメン返却ローリング・ラリアットォ!!」


 湯気すら吹き飛ぶ、にぶい音が商店街にこだました。


 少女は、とぅるんッと一回転。

 丼を両手でしっかり抱えたまま地面にへたり込む。

 青いタイツが十字に広がり、やる気のないヒトデのようになっていた。


 店主が駆け寄り、髪の毛から湯気を立たせながら叫ぶ。


「勇者さま! またあの子、うちのラーメンを……!」


 勇者パブロフは、倒れた少女を見下ろし、ニヒリと笑った。

 その執念は、かつて戦った邪神よりも熱かった。


「この件は俺に任せろ」


 勇者は、空っぽのサイフを取り出して店主に差し出す。


「コイツのラーメン代は俺が払う。 麺を愛する心を、罪とは呼ばせん!」


 地面の少女が、どんぶりの隙間から涙をにじませつつ、つぶやいた。


「この御恩、次のボーナス日までは……絶対忘れません……!」


「ボーナス!? 食い逃げ常習犯がボーナスとか言うな!」


 勇者は、少女をド突き回した。


「このド畜生がぁ!」


 サイフが空だと気づいた店主が、鬼の形相でこちらに向かってくる。


「よし、逃げるぞ!」


 青い全身タイツの精霊を担いだ勇者は、全力で逃走した……。


                     ★


 勇者と全身タイツの精霊は、ファミレスにいた。


 照明はやさしく、店内にはポテトの香りが漂う。

 そんな平和空間の隅っこに、3メートルの巨体がぎゅうぎゅうに収まっている。


 勇者パブロフは背中を丸め、テーブルに合わせようと必死だ。

 店員さんが「ご注文お決まりですか?」と来るたびに、彼の頭が天井スピーカーにコツンと当たるのがまた味わい深い。


 対面には、青い全身タイツの小柄な少女――水の精霊。

 ストローをチュッと吸いながら、紙の契約書を両手で必死に押さえる姿がなんとも愛らしい。


「業務委託契約書(精霊装備に関する条項)にサインをくれ」


 勇者は大きな指でペンをつまみ、精霊はソワソワしながら、自分の名前欄にちょこんとサインを書き込む。


「契約成立だ。お試しで3か月間だがな」


 契約書にサインし終えた精霊が、ドリンクバーのグラスを両手で持ちながらぽつり。


「これで……やっとお金、もらえるんですね……!」

「ひとつ言っておきたいことがある。俺は呪いで武器が装備できん。必要な時には、精霊(お前)を装備して武器として使う」

「なんですとぉぉぉぉ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ