第四十話:勇者は入れず、姫が入った
この物語をスクロールしてくださり、ありがとうございます!
不夜城を前にしたレンたちの奇妙なやり取りと、圧倒的な城の美しさを描いたシーンです。
スマホでも読みやすいよう、適度な改行と空白を入れています。
それでは、幻想と現実が交錯する物語をお楽しみください!
「レン君、ひどいです。なんで、何も相談せずに勝手に出ていったんですか! みんな心配してたんですよ!」
「はい……すみません」
俺はあいつらを巻き込まないために、一人で兄の救出に向かおうとした。
……のに、
「「あっ!」」
――途中で、ふつうにセリナたちと出くわした。
「レン君、ちゃんと反省してますか?」
「はい、すみません……」
夜の闇に、不思議な光景が広がっていた。
メイドが姫を叱っている――それも真剣に。
*
「君は《不夜城》に入れないって話、前に教えたたよな? 男しか入れないって」
「試してみないと、わからないだろ?」
「レン君!」
「はい、すみません……」
セリナのお説教は帰ってからお預けになった。
一行は《不夜城》の目前へと進んでいった。
帰ってもまだ説教か…
「よし、そろそろだな。ここから先は……何か女子禁制だ。俺が入ってやる」
「……いや、レン君、もう入ってます。」
セリナがふいにそう言って、俺の背後を見た。
……ん?
「セリナ君、君はその先へ進めるか?」
「はい、何か見えない壁があって……通れません」
……んんん?
「じゃ、セリナ君はここで待機して。私とレンで行く」
「はい! いってらっしゃいです!」
「ちょっと待って! なんで誰も俺が"入れてる"ことに触れないの!?」
おかしいでしょ!
俺、正真正銘の女の子だよ!?
*
「いいじゃないか。戦力が一人増えたことで。君も入りたがってただろ」
「そうだけど! でもそうじゃない!」
「レン君……やっぱり男の子だったんですね……」
「女の子だよ!? 一緒にお風呂だって入ったことあるよね!? てか、"やっぱり"って何さ!」
……って、あの悪魔、確かに言ってた気がする。
――「また《不夜城》で会おう」って。
……ああ、こういう意味だったのか……。
「時間がない。早くしないと、あの勇者もどき、歴史の教科書でしか会えなくなるぞ?」
……こいつ、本当にデリカシーがない。
でも、そんなとこも少し好きな自分が……にくい。
*
目の前に、城の光が広がっていた。
――豪華、絢爛、壮麗。
どんな言葉を使っても足りない。
夜空に浮かぶ城は、まるで星座そのものが地上に降り立ったかのようだった。
無数の光の粒が宙に舞い踊り、虹色の光線が幾重にも交差して、闇を昼のように照らしている。
城壁は純白の大理石で築かれ、その表面には金と銀の装飾が複雑な文様を描いていた。
尖塔の先端には巨大な水晶が据えられ、内部から放たれる光が万華鏡のように七色に分かれて夜空を彩る。
正面の大門は象牙と黒檀で作られ、扉には無数の宝石が星座の形に埋め込まれていた。
門の両脇には翼を広げた黄金の竜の像が立ち、その目には紅いルビーが嵌められて、まるで生きているかのように輝いている。
城の周囲には、透明な水晶の橋が宙に浮かんでいた。
橋の下には雲海が広がり、その中を色とりどりの光の魚が泳いでいる。
空中庭園には見たこともない美しい花々が咲き乱れ、甘い香りが風に乗って漂ってくる。
遠くから聞こえてくるのは、天上の音楽。
竪琴の調べに混じって、美しい歌声が夜風に響く。
それは人の心の奥底に眠る欲望を呼び覚ますような、危険で魅惑的な調べだった。
過去の王や皇帝たちが、果たしてこのような宮廷を築けただろうか?
……わからない。
人間の技術では到底不可能な、まさに超自然的な美しさ。
それは現実を超越した、夢と幻想の結晶だった。
これが、男たちがすべてを捨ててでも向かう、堕落の楽園――
《不夜城》
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
レンの性別騒動と、圧倒的な不夜城の描写はいかがでしたか?
もしこの物語が気に入ったら、ぜひ感想をお聞かせください。
次回はいよいよ不夜城内部へと突入します!




