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まおうさまの勇者育成計画  作者: okamiyu
第九章:魔王とは何か、王が王になる前の話――千年前の地獄と九つの罪
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第百八十三話:三千世界を越えて、お菓子の家の先にいる者

精霊は、道具だった。


神が世界を設計するための、

便利な“ツール”。


役割は与えられるもの。

欲望など、不要。


だが――


一匹の精霊は、

役割を拒んだ。


「彼女が欲しい」


その一言が、

神の設計図を歪ませる。


魔法は解放され、

世界は書き換えられ、

六千二百年の準備が始まった。


これは魔王誕生の物語ではない。


恋が、神を超えるまでの物語だ。

未来は、もう一度書き直される。

時をさかのぼる。

神は世界を作る時、万物を一から創るのを面倒だと思った。

効率よく創造するために――

『精霊』の概念が生まれた。

これで水の精霊に命じれば河や海ができ、

土の精霊に命じれば山や丘ができ、

木の精霊に命じれば森や林ができる。

大変便利だ。

今風に言うなら、RPGツールのようなもの。

私たち精霊は、その「ツール」だった。

――ならば、魔力の精霊は何に使うのか?

誰もそれを知らない。

私自身も含めて。

役立たず、この上ない。

そしてもちろん、使い道のない精霊に居場所などない。

みんなが忙しくしているのに、ただ一人、やることがない奴がいたら――

居心地が悪いよね。

旅に出ることにした。

それは何かを探すためじゃない。

ただ、その場から逃げたかっただけだ。

孤独を忘れようとした。

だけど目的のない旅の中で、

自分が惨めで哀れな存在だと、何度も何度も再確認しただけだった。

――神はなぜ、使い道のない私を創ったのだろう。

________________________________________

彼女に出会った。

まるで導かれるように、彼女はそこにいた。

私と同じく一人なのに、私と違って孤独に浸食されず、

強く、気高く、美しい。

ああ――ずっと彼女の側にいたい。

彼女と話したい。

…彼女が欲しい。

気づいた時には、すでにそれを言葉にしていた。

どうやら、この初めて生まれた感情に、

体の方がまだ慣れていないらしい。

「ただの毛玉では、このパイモンには釣り合いませんわ。」

その通りだ。

だけど、それで諦めたら、私は何も残らない気がした。

『ただの毛玉』がダメなら――

「ならば、悪魔の王になって、君を手に入れるまでだ」

道があったじゃないか。

ずっと行き先のなかった私の前に、

魔王になる道が。

________________________________________

魔法システムを開発した。

神がこの世界を作る時、全部を一から創ったわけじゃない。

システムのように基本のモデルを作り、それを『親』として、『子』に引き継いで新しいクラスを作らせる。

抽象的なものを、実物や現象に変える仕組みだ。

サラマンダーが様々な形や温度の炎を出せるのと同じく、

魔力を使って現象を起こすことも、理論上は可能なはずだ。

他の精霊のシステムは既に神のシステムに組み込まれていて、彼らはそれを使うだけでいい。

ならば――作られていなかった私は、自分で開発すればいい。

『魔法』が誕生した。

世界の現象を、魔力で実現可能なようにプログラムする。

魔力によって、それらを再現できるようにしたのだ。

魔力と呪文さえあれば、誰でも使える――

この点がポイント高い。

本来、特定の者や種族しか使えない『能力』を、『魔法』で誰でも使えるようにしたのだから。

魔法の工業革命が起きた。

あっという間に、それは世界の一部となった。

私が『魔王』になるのも、初めてただの空想話だけで終わらずに済んだ。

________________________________________

地獄の攻略が始まった。

苦しかった。

戦いの経験は浅く、周囲の敵はずる賢い。

七十二柱の悪魔どころか、下級悪魔にすらまともに勝てたことは少ない。

なんとかしなければ――

空間魔法を使って、別の世界へ行った。

そこは『地球』と呼ばれていた。

神や悪魔の伝説はあるが、実在するものはない。

私の世界と違って、異なる文化を発展したらしい。

でも、それでいい。

私が学びたいのは、戦いの仕方だから。

――そして私は分かった。

強くなるというのは、ただ力をつけることだけじゃない。

個人の『武』には限界がある。

そして、思わぬところで躓く。

あの化け物たちを超えるには、

『戦術』、そして『戦略』を持って戦わなければならない。

異世界の資料を集めて、勉強に励んだ。

兵法、歴史、心理学、会話術、シミュレーションゲーム――

何百年かかったが、有意義な時間だった。

おかげで、地獄の攻略が捗った。

幾度の生死を超え、ついに残すところあと十柱。

六千二百年――

長いが、勝ち続けるには、今の私にとってこれが限界だ。

ある日、モリアが人間を三人連れてきた。

そこそこ強い。だが、それはあくまで人間としての話だ。

この地獄で何ができる? 捨て駒にすら使えそうにない。

でもモリアに言われたから、仕方なく面倒を見ることにした。

詳しく彼女たちの話を聞くと、どうやらモリアが千年後の世界からこちらへ連れてきたらしい。

千年後か……それは、私がこの試練に勝っていたということか。

それとも、私が負けて死んだから、モリアが彼女たちを呼んだのか。

それを知るのが、ちょっとだけ怖くなる。

一人目の娘は、セリナという名前だ。

十五歳らしい。でも、私が異世界で学習したときに見た十五歳の人間より、幼く見える。

栄養不良で成長が遅れたのかな。

千年後の世界で、勇者として選ばれたらしい。

勇者――職種の一種なのか。

異世界のエンタメ作品では、魔王を倒す戦士のように描かれているが、この世界では違うのか。

彼女から聞く話によると、未来の私は魔法使いの男に扮装し、彼女を育成したそうだ。

最強の勇者を作り上げ、それを倒すことで聖剣信仰を壊すため、らしい。

ああ~私ならやりそうだ。

それに、今の彼女を見る限り、どうやら未来の私の計画は失敗したようだ。

情けないな、未来の私……

でも、騙されたにもかかわらず、何故か彼女は私に懐いている。

わからない。この場合、普通は憎むんじゃないか。ストックホルム症候群とかいうやつか?

――そう思ったが。

紅蓮地獄で、アスタロトとの遭遇戦になったとき。

彼女は命を張って、私の前方を守った。

屈しない意地を見せた。

これは納得だ。

未来の私は、とんでもないものを育てた。そりゃあ勝てないわ……

________________________________________

もう一人の娘は、レン。

ボーイッシュな格好で、お姫様らしい。

普段はがさつで気が強いが、『女らしい』と褒めると、素直に嬉しさを表す。

なるほど、知っているぞ。

これが異世界によくある『ツンデレ』だな。やはり色んな本を読んでおくと、いざという時に困らない。

彼女の話によると、未来の私に告白されたらしい。それも『恋人』の関係だと。

え? マジで?

今の私には、モリア以外の人を好きになる自分が想像できない。

でも、嘘ではなさそうだ? セリナといい、この娘といい――未来の私、節操がなさすぎる。

彼女の剣術は、実に素晴らしいものだ。

これだけの時を生きてきたが、あそこまで洗練された剣術を見たことがない。

目で捉えられない速さと、千変万化の技のバリエーション。

あれは、人間だから――そして女戦士だからこそ、鍛え上げられたものだ。

生まれつきの力がないからこそ、速度と技で補う。その極致だ。

彼女とザベルトの一騎打ちを見て、私は未来の自分を理解した。

すべてを尽くし、命を燃やして、ただ相手を倒すことだけに専念した――その剣。

私は、あれが好きだと思った。

________________________________________

最後の一人は、人間ですらなかった。

エンタープライズ CVN-6――ロボット? なんで空母の名前を付けているんだ。

未来の私が作ったらしい。顔はモリアに似ている。

モリアを『オリジナル』と呼んでいたあたり、どんな事情でこの子を作ったのか、うすうす分かった気がする。

正直、こいつはポンコツだ。

性能こそ高いが、絶対どこかで抜ける……最初は失敗作なんじゃないかとすら思った。

でも、何故か放っておけない。憎めないのが、悔しいところだ。

第一人称は『吾輩』、語尾は『であります』――個性出しすぎだろ。

自称搭載した『感情回路』は、絶対イカれている……

でも、アスモデウスとの戦いでは助かった。

魂を持たない人造生命のエンプラに、幻術は効かない。

粘膜がない分、性魔術にも完全耐性。

さらに関節が外れるし痛覚もないので、アスモデウスの柔道の寝技も効かない。

こういうのもなんだが、まるでアスモデウス対策のためにわざわざ開発したみたいだ。

アスモデウス、未来の私に何かしたのか……

この子と一緒にいると、なぜか退屈しない。

襟の後ろに住所と連絡先を縫いつけたところを見ると、よく迷子になるんだな。

未来の私も、苦労が絶えないだろう。

でも、なぜか口元が緩む。

きっと、あの私も――『仕方ない、仕方ない』と文句を言いながら、この子の面倒を見ているんだろうな。

________________________________________

彼女たちが来たから、本来なら慎重に時間をかけて攻略するはずの地獄が、

たったの一か月間に縮まった。

初対面の強敵と、命をかけて勝負するはずなのに――

彼女たちが来てよかったと思う。

モリアと出会って、私の世界は一人じゃなくなった。

でも、こんな風に他の人と旅をするのは、初めてだ。

そんなに楽しいことだとは、知らなかった。

その間、ピンクのウサギぬいぐるみのザガンや、明けの明星のルキエルも加わって、

いつの間にか大所帯になった。

――でも、幸せだった。

早く終わってほしいと思っていたこの試練が、

もっと長く続けばいいのに、と思うようになった。

________________________________________

……そうか。

それが、君が彼女たちを未来から呼んだ理由なんだな。

本来の試練をクリアする時間を短縮するためじゃない。

この娘たちを利用して、私を変えようとしたんだ。

もう、寂しさを恐れないように――

本当に……

敵わないな。

「さっきから何をボーっとしているんだ…」

そして今、地獄全体が闇に包まれ、孤独地獄と化している。

ここはモリアの力で作られた、一つの世界に過ぎない。

この小さき世界を三千個集めたものを小千世界。

そんな小千世界を三千集めたら中千世界。

そんな中千世界を三千集めたら大千世界――

そんな三千世界が、今の孤独地獄だ。

そりゃルキエルも彼女を見つけられないわけだ。

「いや、セリナたちの未来の話をしてくれたことを思い出していただけだ。聞いて驚かせないでくれよ。どうやら、未来の君は私のことを『マスター』と呼んだらしい。おかしいだろ?」

「じゃあ『マスター』で。」

「……君、その言葉の意味、わかってないだろ?」

「知らない~どうせ僕の方が偉いし、呼び名がないと不便だから、それでいい。」

……適当すぎる。

雑談のつもりで振った話が、いつの間にか私がルキエルの『マスター』になっている。本人は意味を理解していないが。あとで気づいて逆ギレしないだろうか……

まあ、その時はその時か。

セリナたちはいない。彼女の性格なら、先にそちらへ会いに行ったかもしれない。依頼の期限は大丈夫か。それに――

「時間が止まっている!」

偵察用の魔法生成物を錬成し、他の世界へ飛ばそうとするが――

私の手から離れた瞬間、停止された。

モリアがすべての世界の時間の流れを止めたのだ。

何のために? 依頼の期限まであと一日しかないから、これは助かるけど。

どうやってモリアを見つける? モリアが本気で隠れるつもりなら、私の移動先を先読みして、別の場所へ移動するはずだ。

「困っているのか? マスター。」

考えに耽っていると、隣のルキエルがこちらを覗き込んだ。

「まあな。最後の試練、モリアのところへ行かないと。でも彼女がどの世界にいるのか……」

「手伝おうか?」

ルキエルの助力はありがたい。だけど『全能』の力に頼りすぎるのはよくないよな……

――マオウさん……

セリナの声がする。そんなはずがないのに。彼女の声は世界を超えられない。なのに。

――バカ、ヘタレ、いくじなし……

今度はレン。いやいや、私は鈍感系主人公じゃないだろ。

――ドクター!

まだ迷子か、あのポンコツロボめ……

――兄貴、こっちです!

ザガン。こっちってどっちだよ、声だけじゃわからないぞ。

……

そうだよな。

迷っている今も、彼女たちが必ずしも安全とは限らない。助けるのに変なプライドを持って、後で後悔したくはない。

「ルー、私をモリアのところへ連れて行ってほしい。」

「嫌だ。」

「え?」

……えええええ?

うそだろ。そういう流れじゃなかったのか。

「だって、さっき『手伝おうか』って聞いたじゃないか?」

「うん。でも、僕が手伝うとは言ってない。」

「……君もモリアに用事があったんじゃないのか?」

「もうそれはいいよ。マスターがいるから、あいつはもういい。」

――この子の行動パターンは、やはり読めないな。

考えろ。子供との付き合い方……

「そうか、それは残念だ。今の彼女はきっとお茶会を開いているだろうな。そこに甘いお菓子が――いや、これは言ってもしょうがないか。」

「お菓子?」

食いついた。食いついている。

「ルーは行かないんだろ? だったら、知っててもしょうがないと思うが。」

「うるさい。お菓子がどうしたのか、それだけ言え。」

「そうだな……あれはただのお菓子じゃない。大きなお菓子の家だ。」

「壁はこんがりと焼き色のついたジンジャーブレッドで、表面にはざらめ糖が星のようにきらめいている。窓枠にはリボン状に絞られたピンクのアイシングが這い、窓ガラスは琥珀色に透ける飴細工だ。内側から暖かそうな灯りが漏れて、飴の向こうに揺れる炎の影が、ほっとするような安らぎを感じさせる。」

「屋根は薄焼きのウェハースが几帳面に重なり、所々にアーモンドのスライスが並んでいる。煙突からは焼き立てのクッキーの香りを含んだ煙が立ちのぼり、周囲にバターとバニラの優しい香りを広げていた。」

「クッキー……バター……バニラ……じゅるり。」

ルキエルの目が、お菓子で埋め尽くされている。口元から、うっすらと涎が零れかけている。

「それは思わず手を伸ばしたくなるよな。壁のジンジャーブレッドは、スパイスの香りとコクのある甘さが口いっぱいに広がるだろう。窓の飴細工は、パリッとした歯触りのあと、じんわりと優しい甘さが溶けていくに違いない。屋根のウェハースは軽くて、口の中でさらりと消えてしまいそうだ。」

「入り口のドアは分厚いミルクチョコレート。取っ手は金箔を貼ったマジパン細工で、熟したアプリコットのような形に仕上げられている。ドアの前には、フルーツ味のドロップ菓子が敷き詰められた小道が続き、ひとつまみすれば、甘酸っぱい果汁が広がるのだろう。」

――さすが私。存在もしないものを、まるであるかのように言える。前に童話を読んでおいてよかった。

「ふん~別に、興味はないけど~」

しかしルキエルは簡単には靡かない。いくら心が子供でも、明けの明星は明星だ。でも――何でもできる君に、我慢という概念があるのか?

「そうだよな。ルーは明けの明星だもんな。そんなただのお菓子につられるわけがないよな。あんな幻のミルクチョコレートに。」

「幻の? チョコレート?!」

「いやいや、大したことないよ。ただ――そのチョコが唇に触れた瞬間、ひやりとした冷たさが伝わるが、次の瞬間には体温で表面がうっすら溶け始める。」

「溶けるのだ!」

「ああ。とてもデリケートなスイーツだからな。そして、そっと歯を立てると――」

「立てると?」

「パリッ――という小気味よい音とともに、表面の薄い膜が割れる。そこから先は、ゆっくりと、しかし確実に歯が沈み込んでいく。分厚い板チョコレートならではの、しっかりとした抵抗感。噛みしめるたびに、断面から新しい冷たさが広がり、同時に口内の熱でどんどん溶けていく。うん~」

味わうように目を瞑って、その美味しさを再現する。食べたことないけどな。

「あうあう……あうあう……」

「広がるのは、濃厚なミルクの風味。ただ甘いだけではない。カカオのほろ苦さが奥で支え、バニラの香りが全体を包み込む。溶けていくにつれて、なめらかな口溶けに変わり、舌の上でクリームのようにとろける。時折、細かく砕けたカカオニブの粒が当たり、ほろ苦さがアクセントとして顔を出す。」

「苦いのか……」

ルキエルがちょっとしょんぼりする。

――やばい。子供は苦いのが苦手だったのを忘れた。フォローしないと。

「そのわずかな苦さが、甘さを引き立てるんだぞ。噛むたび、飲み込むたびに、鼻腔を抜けるカカオとミルクの芳醇な香り。ひとくち、またひとくちと、手が止まらなくなる危うさ。口の中で溶けていくたびに、昔、暖炉の前で飲んだホットチョコレートの記憶が蘇るような、そんな懐かしい温かさがあった。」

「最後の一片が喉を通り過ぎるとき、ほのかな余韻が残る。甘すぎず、苦すぎず、ただただ優しいミルクの味わいが、いつまでも口の中に広がり続けているのだった。」

――どうだ。手応えはあったか?

「パイモンめ! 許さん!」

え?

「僕に隠れて、そんな美味いものを食べるなんて許さない! あれは全部、僕が美味しくいただくものだ! マスター!」

「は、はい!」

――これは、効きすぎたか?

「僕のチョコとお菓子の家が、邪悪な悪魔の毒牙にかかる前に、行くぞ!」

「うん、そうだな……」

――いや、君のものではないだろ……

まあ、最初から存在しないものだから大丈夫か。でも、この食いつきようだと、嘘だと知ったら――私、大丈夫かな……

________________________________________

ルキエルはアポロンを取り出し、それに向かって詠唱を始めた。

「あなたがたも、夜が明け、明星がのぼって、あなたがたの心の中を照すまで、この預言の言葉を暗やみに輝くともしびとして、それに目をとめているがよい。」

この子、まさか――

「憎き我が敵・パイモンのもとへ行け!」

矢が放たれた。

因果を歪める必中のアポロンは、どんな世界を超えても、必ずモリアのいる世界に当たる。これを人探しに使うとは――さすがとしか言えない。

「行くよ~~~~!!」

ルキエルは私を懐に抱きしめ、十二枚の翼をはためかせた。

「え?」

次に目を開けた時、元の世界の影すらなかった。

放たれたアポロンの矢の後を、一筋の光がそっと追っている。

速い速い速い速い――死ぬ死ぬ死ぬ!

――これまでは、本当にただやりたくなかっただけか?!

文字通り、やればできる子だったんだな、この子は……

明星の光は三千世界を駆ける。

モリアのお茶会に着くまで、そう時間はかからなかった。


魔王とは、何だ。


力を持つ者か。

支配する者か。

神に抗う者か。


違う。


孤独を否定した者だ。


未来を知り、

終わりを理解し、

それでも進むと決めた者。


だから私は、

地球で学び、

世界を改造し、

娘たちを未来から呼んだ。


すべては――


彼女を一人にしないために。


次は明星。


神話は、ここから本番だ。

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