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まおうさまの勇者育成計画  作者: okamiyu
序章:すべての旅は、茶番から始まる――剣も魔法もまだいらない
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番外編①:暇を持て余した神々のあそび

魔王が脱獄劇で大活躍していたその裏で、二つの小さな影がひっそりと町の陰に現れた。


「ふふっ……傑作ですわ。これは事前に知っていても笑わずにはいられません。"児童誘拐犯"? はい♪ 勇者を含む三名の児童を絶賛誘拐中で~す――現在も被害者の数を増やす予定です。心当たりがあるとすれば……銀髪の姫君のところでしょうか」


「はぁー……」


「珍しいですわね。バカ天使がここまで静かとは。明日は明星でも落ちるのでしょうか?」


「うるさい、悪魔。僕は……退屈なんだ。暴れたいのだ」


「やれやれ。あなたが暴れたら"人間"という概念そのものがこの世界から消え去るでしょう。神と交わした約束をお忘れですか? "やりすぎたら天界送り"ですわよ。私は一向に構いませんから、どうぞご勝手に自爆なさって?」


「ぐぬぬ……」


「でも、あまりに可哀想なので、一つゲームを提案して差し上げますわ」


「ゲーム?」


「ええ。あなたは"人間の町で人間の立場"として一日を過ごしてください。騒ぎを起こさなければあなたの勝ち。起こしたら私の勝ち」


「……僕が勝ったら?」


「何も出ません。これはただの暇つぶし。ですが、私は知っています。あなたは絶対に勝てません」


「人間ができることが僕にできないわけがないだろう! 見てなさい、悪魔。お前の"全知"は僕の"全能"の前に敗北する!」


「うふふ。楽しみですわ。……あなたが"できる"と"やりたくない"の違いを理解していれば、その全能を持って余すところないのに。うふふ」



「絶対、あの悪魔を見返してやる。一日なんて、瞬きする間に終わるさ!」


意気込みとともに、僕は翼を隠し、人間の町へと降り立った。


「これはツイてるぜ。綺麗な顔してやがる。どこかの坊ちゃんか? こいつは金になるぞ……!」


路地裏で、早速胡散臭い人間たちが僕に近づいて来た。


僕は無言で、そいつらを灰にした。


「……あ、間違った。普通の人間は他人を無闇に灰にしないんだった」


「えいっ」と指を弾き、灰になった人間たちは一瞬で元の姿に戻った――気絶したまま、泡を吹いて。


「……騒ぎになってないから、セーフだよな」


その瞬間――


「いや、アウトですわ」


遠く離れた屋根の上。モリアが静かにツッコミを入れていた。


こうして、ルーの"人間としての一日"が始まったのだった。


さあ、吉が出るか、凶が出るか、モリアのみぞ知る。

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