ジム・ヘンソン、糸を見つけた
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
ムサシロとヴァレリーは今や恋人同士になっていた。ムサシロは、あんなに美しい女性が自分の彼女だという事実に、毎日が幸せで仕方なかった。
ある男たちは、ヴァレリーの過去、つまりアダルト業界での活動を理由に「汚れた女」だと笑うかもしれない。ムサシロを馬鹿にする者もいるだろう。だが、ムサシロには分かっていた。そう言う連中は、ただの負け犬で、人生で一度も本当の恋人を持ったことがないやつらだと。
ムサシロはヴァレリーにとても優しかった。二人はいつもデートに出かけた。ムサシロは、自分に突然備わったあの謎の力の使い方が、だんだんと分かってきた。
ある日、ヴァレリーを遊園地に連れて行ったときのことだった。ただ「無料で入れたらいいな」と思っただけで、チケットを買わずにそのまま中に入ることができた。
レストランやカフェに行っても同じだった。ただ「お金を払いたくない」と思えば、誰にも請求されることなく食事ができた。
その力の正体は分からなかったが、付き合い始めて2日後、ムサシロはマーケティング会社「Kappa Inc.」に就職したいと思った。そう思った瞬間、採用が決まり、働き始めることになった。
すべてが順調だった。
だが、「Kappa Inc.」でムサシロは新たな女性に出会った。アスカという名の爆乳美女だった。
ある日、仕事終わりにヴァレリーがムサシロを迎えに来たときのことだった。
ムサシロはアスカの姿を見て、ふと思った。
「アスカが俺の彼女になったらいいのに。」
その瞬間、アスカは頬を赤らめてムサシロを見つめた。
同時に、ヴァレリーの表情が曇った。
「……私、どうしてあなたと付き合ってたの? 全然タイプじゃないし、むしろ気持ち悪い。」
そう言って、ヴァレリーはムサシロに別れを告げた。
そしてその直後、アスカがムサシロに告白した。
その瞬間、ムサシロはすべてを理解した。
――俺の能力は、精神操作だったのだ。
しかも、その力は「自分が相手のことを考えている間」だけしか効果がない。
この数日間、ずっとヴァレリーのことを考えていたから、彼女を操作できていた。
だが今、アスカのことを考えた瞬間、ヴァレリーへの操作が途切れてしまったのだ。
「……なるほど、そういう仕組みか。」
ムサシロは、口元にゆっくりと笑みを浮かべた。
(つづく)
このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードは近日中にアップロードします。