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4.甘美な夢を現実で思い返す





リリリリリリリッ!とけたたましい目覚ましの音が鳴る。

そして私はいつものように目を覚ました。




「ん…」




布団からすぐに出て体を伸ばす。

それからカーテンをシャーっと勢いよく開けて朝日を浴びた。



今日もとても体が軽い。


あんな夢を見ているが、どうやら体はしっかりと休めているようで寝足りないことも体が重いこともない。


私自身は全然寝ている感覚なんてないので、おかしな感覚である。


毎日のことなので流れるようにテキパキと出勤の準備をする。

顔を洗って、化粧をして、目に入った服を適当に着る。

それからその間を縫うようにとりあえず前日に買っておいたパンを口に入れた。


夢のお姫様な私とは大違いな朝。

優雅さもなければ、時間なんて当然ない。


まあ、それが普通なんだけどね。



準備を手早く済ませると私は一人暮らしのマンションの扉を開けた。




「いってきます」




そして誰もいない部屋に挨拶をして私は会社へ向かった。




*****




「彼氏できた?もしくは恋?」


「え?」




出勤後、いつものようにゆるゆるとデスクワークをしていると隣で同じように仕事をしていた5歳上の女の先輩、カオリさんが私に興味深そうに声をかけてきたので不思議に思いながらカオリさんを見た。


カオリさんは新人の時からお世話になっている方で仕事でもプライベートでも仲良くさせてもらっている。

非常に姉御肌な美人さんだ。


私も外見は強気美女なので2人で並んで歩く姿は圧巻らしく、近寄り難いらしい。

そういう噂を何度も耳にしたことがある。




「どうしたんですか?急に」




質問の意図がわからず私はカオリさんに首を傾げる。




「あらら?自覚なし?ここ数ヶ月かな、ずっと思ってたんだけどエマちゃんすっごく綺麗になったよ?」


「へ?」


「しかも絶対男が絡んでいると思うんだよね」


「えぇ?」




意地悪く笑うカオリさんに私は表情を歪める。

一体どこからそんな根拠のない自信が湧くのか。




「カオリさん…。カオリさんも私のプライベートはよく知ってますよね?恋人も居ませんし、そう言った浮いた話なんてものも残念ながらありませんよ」




軽く私はカオリさんに笑う。

浮いた話なんてなくても夢の中では恋人が、しかも超美しい恋人が3人もいるからいいのだ。

私はそれだけで十分満たされている。




「ええー。本当に?私そういうのは見る目あるんだよ?」


「本当ですよ…ん?」


「ん!なになに?」




私の返事を聞いて残念そうにしていたカオリさんだったが、私が考える素振りを見せると今度は期待の目で私を見つめてきた。




「いや、えっと」




思い当たる節はある。

だが、それをどうやってカオリさんに伝えればいいのかわからない。


恋かはわからないが、私には確かに恋人が3人もいる。

夢の中でだが。


それが現実に影響を与えているってこと?

え?嘘?

確かに気持ち的には現実でも彼らのおかげで満たされていたけど。


それをカオリさんに伝えるのはどうだろうか。夢で恋人が3人もいます?痛すぎませんか。




「思い当たる節はあるんですけど…」


「うんうん」


「ちょっとどう伝えればいいか」


「え?もしかして未成年に手ぇ出しちゃった?」


「っ!?」




どう伝えようかと悩んで言葉を選んでいるとカオリさんにとんでもない勘違いをされてしまい、思わず変な声が出そうになった。


でもルークは現実でなら高校3年生、未成年。

あながち間違ってはいない。




「違います!いや、違わないんですけど!違いますから!」




未だに何と言えばいいのかわからなかったがとりあえずカオリさんの言葉を否定する為に私は全力で両手を振った。





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