不器用な。
―――満たされない。カラダもココロも。
ボクは女には不自由してないんだ。
ホラ、今だって。
ボクの隣にはぐっすり眠った女がいるんだ。
きっと、ボクは昨日この女と恋をしたんだ。だから、カラダを重ねたんだ。
でも、ボクは次を求めている。
求めてたって、ボクから来なくても相手からくるんだ。
今も、ボクの枕元にある携帯が鳴っている。
―――ねぇ、昨日は何で会ってくれなかったの?昨日、誰と何処にいたの?
なんて女の問いかけに、ボクは苦笑。"保護者かよ"って。
けど、そんなことは口には出さない。ただ曖昧に、優しく甘い言葉を囁いて。最終的に、"ボクにはキミだけだよ?"って。そしたら、女は簡単にボクの言葉を信じるんだ。
―――これでいい。"愛してる"なんて言葉はいらない。
"愛してるって言って?"なんて女の言葉も誤魔化して流して、ただ"スキだよ"って。そう言えばいいだけ。もっと、ボクに溺れればいい。ボクしか見えなくなって、ボクだけに乱れて…。
なんて、ボクは自分勝手な男。
ボクが可愛がってあげるのは、一人じゃないんだ。
一途じゃないボクを許して。
いつも女たちは問う。"どうして愛してるって言ってくれないの?"って。面倒くさい。何で答えてやらなきゃいけないんだよ。
そんな問いかけにボクは、"言わなくても分かってるだろ?"って。
こういう時、ちゃんと顔を作れてるかな。ちゃんと笑えてる?
ボクが"愛する"ということを知らないって、バレてない?
でも、ボクにはこれで丁度いい。愛なんて知らなくても…愛なんて、重そうなものよりも…
恋のほうが、楽じゃん?
*
ある日。ボクの双子の姉の部屋に用事があって、ノックをした。
けど、応答はない。
"入るよ?"と一言、そのまま部屋に入った。
姉の部屋には写真が数枚壁に貼っていた。
ボクとの小さい頃の写真や、友達と写っている写真。
ふと、ある写真が目に付いた。
姉が、ボクの知らない男と写っている。
そのとき、ボクの中でなんともいえない感情が渦を巻いた。
ボクが、一番姉に一番近い存在だと思っていたのに。
安心していたのに。
ベッドで眠っている姉の姿を見る。布団も被らず寝転んでいるところから、帰ってきてからすぐベッドに寝転んだと思われる。
そして、目元には泣いた跡。
あの男なのか?なんて思うと、頭がおかしくなりそうだった。
丁度目を覚ました姉は、部屋にいるボクをみて驚いている様子。
そんな姉にお構いナシに、ボクは姉に覆い被さる。
固まっている姉の顔の横に顔をもっていく。
そして、耳元で小さく叫んだ。
"愛してる…。"
ある歌を聴いて。
コレ、分かる方いらっしゃったら凄い。
RYUNさんがお祝いします←