⭕ 第6回、動画撮影 1
セノコン
「 撮影の準備が出来ましたエリ 」
マオ
「 うわぁ~~…………。
夜だと雰囲気が違うな……。
今にも何かが出て来そうだよ…… 」
セロフィート
「 大丈夫です、マオ。
仮に映らなくても、CG加工や合成を使えばそれらしい演出は出来ます 」
マオ
「 それだと視聴率を稼ぐ為にするヤラセと同じになっちゃわないか? 」
マオキノ
「 マオ様、最近のオカルト番組は本物なんて使いませんエリ。
99%加工品の映像を使ってますエリ 」
マオ
「 何でだ? 」
マオキノ
「 イレギュラーな出費を出さない為ですエリ。
出演者のゲスト料と番組費用を合わせるだけでも高額な出費ですエリ。
加工した映像や写真を使う事で、出費の節約をしてますエリ。
浮いた費用は御偉いさんの懐に入りますエリ~~ 」
マオ
「 着服してるって事かよ? 」
マオキノ
「 テレビ業界の闇は深いですエリ。
暴いたら確実にバズりますエリ★
テレビ業界の闇にメスを入れる動画も撮影しましょうエリ 」
マオ
「 ………………オレは嫌だからな 」
セロフィート
「 面白そうな動画になりそうです。
霄囹さんなら詳しく知っているでしょう 」
マオ
「 …………オレ、テレビ業界には関わりたくないよ。
そう言えばさ、ヤバい現場に来ると “ お漏らし ” しちゃう人は来てないのか?
昼間も居なかったよな? 」
マオキノ
「 痔の手術をする為に入院中でしたエリ 」
マオ
「 痔の手術…… 」
マオキノ
「 座りっぱなしの仕事は、お尻に負担が掛かり易いですエリ 」
マオ
「 じゃあ、今晩も昼間みたいにセロと一緒に歩けば良いんだな? 」
セロフィート
「 深夜のデートも楽しいですね、マオ♪ 」
マオ
「 そだな…… 」
セノコン
「 マオ様、何時もの合い言葉を御願いしますエリ 」
マオ
「 分かったよ。
──画面の向こうに居る視聴者さん、御早う!
今日わ,今晩わ!
第14回目の【 セロに聞いてみよう! 】を始めます!
オレは助手のマオ!
此方がセロです! 」
セロフィート
「 視聴者の皆さん、1週間振りです。
如何御過ごしでしたか? 」
マオ
「 えぇと──、今回は何処かの心霊スポットに居るんだ。
何処だっけ? 」
マオキノ
「 ◯県に在る廃墟となった◯旅館ですエリ。
この土地は《 セロッタ商会 》が買い取りましたエリ。
《 セロッタ商会 》の所有する土地になった事により、撮影許可も立ち入り許可も取る必要が無いですエリ 」
マオ
「 へ…へぇ~~。
この動画を撮影する為に買い取ったんだ──。
そんな財力が《 セロッタ商会 》に有ったんだな…… 」
マオキノ
「 相手の弱味を握っていれば、交渉は有利ですエリ★ 」
マオ
「 一体どんな交渉したんだよ?
ちゃんと公平な交渉だったんだよな? 」
マオキノ
「 マオ様、この世に公平且つ平等な交渉なんて無いですエリ。
必ず一方が妥協しなければ交渉は決裂しますエリ。
弱者は “ 交渉 ” と言う名の戦には勝てませんエリ。
勝利するには絶対的に優位となる為の下準備が必要ですエリ 」
マオ
「 そ、そうなんだな…… 」
セロフィート
「 早速、中へ入りましょう 」
マオ
「 お…おぅ…… 」
セロフィート
「 マオ、離れてください 」
マオ
「 怖いじゃないかよ! 」
セノコン
「 ビビるマオ様、美味しいそうですエリ♥️ 」
マオ
「 セノコンもマオキノも涎を拭けぇ~~!! 」
怖がってるオレを見て涎を垂らすなんて、マオキノもセノコンも相変わらず喰いしん坊だ…。
マオ
「 セロ、マオキノとセノコンに吸収率の高い涎掛けを付けさせたらどうだ? 」
セロフィート
「 はいはい。
考えとくとします 」
マオ
「 それ考える気無いだろ~~ 」
撮影係りのセノコン,撮影サポートのマオキノ,セロとオレは廃墟と化している旅館の中へ入った。
──*──*──*── 廃墟・旅館
実は昼間にもこの旅館には来ていて、中を探索しながら実況中継用の動画を撮影していたんだ。
昼間に見た旅館の中は廃墟らしく荒れ果てていて、足を踏み入れて歩くのが困難な状態だった。
昼間は一切の手を加えない状態の旅館を歩き回ったけど、撮影が済んだ後はマオキノとセノコンの分身体達が手分けをして床を掃除していた。
多分、夜の撮影に向けて歩き易くする為の掃除をしていたんだろうと思っていたけど──、他人が所有する旅館の中を勝手に片付けて良いのかと思っていた。
まさか、買い取っていたとはな~~。
廃墟の雰囲気を伝える為に年代物のランプを使って歩いている。
因みにランプはマオキノが用意してくれていた。
マオ
「 ──確か、この先に落書きされた壁が有るんだよな? 」
セロフィート
「 そうですね 」
マオ
「 落書きがされてる場所は、心霊スポットとしては初級者向けなんだっけ? 」
マオキノ
「 関係無いと思いますエリ。
本当にヤバい現場でも普通に落書きされてますエリ 」
マオ
「 へぇ、そうなんだ? 」
セロフィート
「 落書きがされていると、警戒心もある程度は解けると思いますよ。
それに騙されて訪れた人間を襲うのでしょう 」
マオ
「 じゃあ、敢えて落書きをさせて、人間を呼び寄せてる──って事かよ? 」
セロフィート
「 見えない人には分からないものです。
見える人も騙される場合もあります。
落書きされていないから危険な心霊スポットである──という事は、通用しなくなって来ています」
マオ
「 へぇ?
そうなんだな?
時代が変われば、異形も怪異も学ぶもんだよな…。
此処を買い取った後は、どうするだ?
廃業になった旅館を復活させるのか? 」
セロフィート
「 それも良いですね。
広さは十分ありますし、健康ランドでも作ります? 」
マオ
「 健康ランドかぁ~~。
温泉に入れて、サウナも入れて、全身マッサージも出来て、漫画喫茶や食事の出来る場所,地元の御当地品や名産品を買える土産売り場とか遊戯室なんかも在ったら良いよな? 」
マオキノ
「 女性客を呼び込むなら、美容院やネイルサロンも加えたら良いと思いますエリ。
ペット同伴も出来る温泉ランドも隣に作りますエリ 」
マオキノ
「 ペット同伴の健康ランドも作るのか? 」
マオキノ
「 動物が苦手な御客も居ますエリ。
ペット同伴者とは分けた方が良いと思いますエリ 」
マオ
「 でもさ、最近は何でも “ 差別 ” って言葉でクレームが入るんだろ?
ニュースで言ってたぞ 」
マオキノ
「 差別異常者なんて無視すれば良いですエリ。
差別を悪用する迷惑なクレーマーは出禁にしますエリ。
あまりにも酷い差別異常者はボク達のオヤツにしちゃいますエリ★ 」
マオ
「 そっか~~。
随分と物騒な健康ランドになるな~~ 」
セロフィート
「 オカルトマニアにも注目されそうですね、マオ 」
マオ
「 ………………クレーマーってのはさ、何かを理由にして日頃のストレスを発散させたい心の弱い人間のSOSなんじゃないか?
程々にな? 」
マオキノ
「 自身に都合の良い理由を悪用し、自分を正当化しつつ、他者を攻撃して優越感に浸るのは性格破綻者のイカれた思考を持つ幼稚な人間のする迷惑行為ですエリ。
冗談でも庇うのは良くないですエリ。
調子に乗って被害が拡大するだけですエリ。
精神異常者が幼稚園に乱入して園児を50人も撃ち殺したのに、軽い刑罰だけで死刑にならない異常な世界に染まっちゃ駄目ですエリ~~ 」
マオ
「 そう言えば、そんな事件も有ったな。
確か──、障碍者の施設が襲われて20人近くの障碍者が殺害されて、施設が放火されて動けない障碍者達が焼き殺された──っていう痛ましい事件が……。
【 障碍者多殺事件 】の報復だとかで、精神的にイカれた男が近所の幼稚園に侵入して、先生と幼児を次々に──っていう事件だろ? 」
マオキノ
「 はいですエリ。
精神異常者は厄介な法律に守られてますエリ。
何百人殺害しても、厳しく裁かれる事は無いですエリ。
精神異常者の罪が減刑される事は有っても罪が重くなる事は無いですエリ。
米●町はまさに犯罪者に優しい犯罪者ファーストな都市ですエリ 」
マオ
「 そっか──、 “ 精神的な異常が見られる ” って診断を悪用して刑罰から逃げれる抜け道になってるんだな。
そりゃ、犯罪者は刑罰が軽くなるなら嘘でも “ 精神異常者 ” のフリをして演じるよな?
精神異常者と偽れば、減刑してもらえるから、犯罪もしたい放題な訳か──。
再犯させない為に精神病院にブチ込んで2度と出られない様にしたら良いんじゃないのか? 」
マオキノ
「 それだと米●町が精神病院だらけになっちゃいますエリ~~。
精神異常犯罪者を生かす為に、善良な国民から徴収している税金が使われますエリ。
税金の無駄遣いですエリ~~ 」
マオ
「 ん~~確かに??
犯罪者を生かす為に善良な国民の税金が使われるのは一寸変だよな? 」
セロフィート
「 ワタシ達には関係の無い事です。
それより──、地下へ降りてみましょう 」
マオ
「 は?
地下って??
旅館に地下なんて在るのか? 」
セロフィート
「 旅館の間取りには記されていない様です。
廃業した旅館の秘密を探れるかも知れません 」
マオ
「 ……………1階も2階も見て回ったけど、何も起きなかったもんな?
起きてないよな??
──だろ? 」
セロフィート
「 編集作業で明らかになるかも知れませんね? 」
マオ
「 止めてくれよぉ~~~~ 」
マオキノ
「 地下が在るなんて片付けていた時も気付きませんでしたエリ 」
マオ
「 本当かよ……。
セロとグルなんじゃないのか~~? 」
マオキノ
「 違いますエリ!
本当に見付けられませんでしたエリ!
信じてくださいませエリ~~ 」
マオ
「 前科が有り過ぎるだろ…… 」
セロフィート
「 見付けられないのは当然です。
今夜の為にワタシが細工しときました♪ 」
マオ
「 セぇロぉ~~~~!! 」
セロフィート
「 ふふふ(////)
ほらほら、地下へ入りましょう 」
マオ
「 全くもぅ~~ 」
そんな訳で、オレ達はセロが隠蔽していた地下室へ向かう事になった。